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 2007/01/28(日)  「冬コミ新刊感想記その8」

冬コミ新刊感想記も第8回目。舌の根も乾かぬうちに、DSの「ウィッシュルーム」、Xbox360の「アイマス」、さらにはWiiまで到来してしましまい、ますます冬コミ新刊感想記の更新ペースを維持するのは困難になりつつあります。進行管理人格がやけっぱちを起こしかねないので、せめて週間10本のペースだけは維持したいものです…

SWORD DANCERS 2 episode2 (比村乳業(仮)) Fate
サークル「比村乳業(仮)」さんが送るFateの2次創作であり、現在進行中の「アチャ子版第五次聖杯戦争」、それが「SWORD DANCERS 2」です。続きモノでしかも未完の同人誌を評価することほど難しいことはありません。しかし、旬を逃すと既刊がますます手に入りづらくなるのも同人なので、敢えて見切り発車で現時点でのご紹介とさせていただきます。そもそも、アチャ子とは、女性版のアーチャーとしてイラストに描かれただけの存在でしたが、数年をかけて無印「SWORD DANCERS」の主人公となり、そして「抑止の守護者(カウンター・ガーディアン)」であるアーチャーと対となる存在「森羅の守護者(カウンター・カウンター・ガーディアン)」として、壮絶な戦いの物語の主人公へと昇華したのです。我が道を行く 独自の設定であることさえ忘れてしまうほどの真に迫るバトルは、迫力という言葉で表現できるものではありません。「ついてこれる?」と作者も心配してしまう創造理念の速度に乗り遅れず、完結まで括目して見守りたい逸品です。

なのるんです4 (小作人列伝) 
サークル「小作人列伝」さんにより、画像掲示板に投下されてきた、リリカルなのは和み系4コマ漫画「なのるんです」の第77回〜100回までを収録した同人誌「なのるんです」シリーズも第4弾を迎えました。実際には、和み系というには少々エキサイティングなノリとオチが多かったりものしますが、それこそがこのシリーズの最大の魅力でもあります。掲示板発の漫画だからということもあるのでしょうけど、この作品のギャグの切れ味には「面白さの距離の近さ」のようなものを感じます。反響を楽しみながら楽しみながら描けるし、ネタも交流の中で広がって行きますからね。その「近さ」があるからこそ、ジャンプ系の無駄に濃くて熱いパロディとの組み合わせネタでも「近い近い」と感じながら、素直に理屈抜きで笑うことができるのだと思います。第三期の情報がこれから増えてくれば、それを受けて「なのるんです」がどんな展開を見せてくれるかも併せて今から楽しみです。ユーノの出番が増えることは多分ないでしょうけど(^^;既刊も含めて是非読んでみて欲しい逸品です。

カラーボックス2 (まじっく・すくえあ) マリみて
サークル「まじっく・すくえあ」さんのマリみて「ノンシリーズ」本の総集編第2弾、それが「カラーボックス2」です。2003年〜2005年に発行された5冊を収録した今作は、桂さん中心だけど実際はオリジナルサブキャラ大活躍の「りりあんず」をはじめとして、ノンシリーズならではのバラエティに富んだエピソードが満載です。残念ながら工夫を凝らしたコンセプト単色の各巻の表紙は収録されていませんが、その代わりに各巻の解説とインターミッションが書き下ろしされているので、既刊をすべてお持ちの方は実物と見比べならがのマニアックな楽しみ方もできます。聖祥大付属小学校のコスプレをした祐巳ちゃん、似合いすぎです…「ダンジョンズ&リリアンズ」のネタは古くからの活動を知る人ほど笑いのツボに入りますが、このネタで笑えるということは年がバレるかも。私は全巻リアルタイムで読んでいましたが、こうして総集編で改めて通して読むと、当時の状況(公式とか)を思い出しつつ、それらがすべて今に繋がっているんだと実感できますね。脇道は本筋を深く理解しているからこそ楽しめるものであり、本気の脇道も進み続ければ立派な道になるのです。これまでも、これからも。変わらぬペースで楽しんで行きたい逸品です!

詰め合わせてTH2-2 (腰の曲がった空間) 
同人誌のパロディにどのような面白さ求めるかは人によって様々なので、何を持ってオススメとすべきなのかも考え方の分かれるところですが、案外難しいのが「オールキャラ」という手法です。特にギャルゲー作品ではキャラの好みが本を選ぶ動機になりやすく、登場キャラを増加させることは一人当たりの出番の減少を意味するものでもあるのですから…しかし、「詰め合わせてTH2」シリーズは例外的に安心して読めるバランスにいつも仕上げてくれます。退院した郁乃がTH2の登場人物と触れ合う(周りでお節介を焼いて賑やかに勝手に自爆している)中で緩やかに広がっていく世界。ずっと続いて欲しい楽しくて平穏な日々があるからこそ、刺激も楽しいと思えるのっでしょう。キャラの特性がしっかりとした萌えパロディ4コマに必要なのは、ギャグの味付けの仕方ではなく、そうあることをどこまで自然だと感じられるかどうか、なのだと思います。心にタッチされるような良質なパロディとはかくありたい、そう思える逸品です。

■あしたのみさきの物語 (STUDIOネロアズーリ) TLS
トゥルーラブストーリー10周年記念でもあり、そしてSTUDIOネロアズーリさんのコミケ連続当選20回&TLS同人活動10周年記念でもある同人誌、それが「あしたのみさきの物語」です。10年後の世界に意識だけが飛んでしまったみさき(主人公の妹)は、この日のことを予見していた弥生に案内されて、自分達のその後に驚く。神社を継いだ草薙さん、水泳をやめてOLになった水谷さん、オリンピック選手になった後藤さん、小説家になった本多さん、弁護士を目指す春日さん、作曲家を目指す桂木さん…新聞記事や声優つながりでTLSの遺伝子を受け継ぐ「キミキス」キャラとのクロスオーバーネタがあったりと、TLSへの10年間の愛が所狭しと詰め込まれています。そして、お兄ちゃんの相手は…ううん、たとえ夢でも聞かない方がいいことだってあるよね。「明日の私は、今の私が決めるんだから」。その言葉は、世間的には報われなくても愛し続けてきたこのシリーズのファンたちの気持ちそのものであり、この作品は喜びを分かち分ち合える逸品になることでしょう。書店委託はされていないので、イベントで頑張って探してみてくださいね。

 2007/01/24(水)  「冬コミ新刊感想記その7」

冬コミ新刊感想記も第7回目。公私ともにあれこれ忙しくて1週間ぶりの更新になってしまいましたが、ちゃんと最期までやり遂げますよ。そうしないといつまで経っても心置きなくvol.6本編の執筆に掛かれませんからね。さぁ、ラストスパートいってみよう!

RE-TAKE after (スタジオKIMIGABUCHI) エヴァ
エロ漫画だと思い込んでいて今までこの「RE-TAKE」シリーズを知らなかったことが、仮にも同人レビューを書いている者として恥ずかしい!…と素直に全面降伏してしまいました。とあるキッカケで今回RE-TAKEシリーズを「0」から「After」まで一気に読む機会を得ましたが、涙が止まりませんでした。でも、最後までこの胸を締め付ける痛みと苦しみから目を背けることはできませんでした。リプレイのように再び繰り返される使徒との戦いの日々の中で、今度こそ大切な物を失わないために逃げずに戦うことを決意したシンジ…世界が誰も私達に未来を約束をしてくれないなら、私達が未来の約束をしよう。結婚を誓ったシンジとアスカ二人。だが、それは決して叶わない幸せという願いだった。それはシンジがアスカの首に手をかけた時から何度も繰り返されてきた、決して消えない罪であり出口の無い絶望でしないのに…それでも、それでも、シンジは自分のためだけの幸せな世界ではなく、アスカと向き合い続けて戦い続ける道を選んだ。たとえこの道の果てに僕の未来がなくても… 絶望と苦闘の果てにシンジとアスカの二人がやっとたどり着いた、最高のフィナーレは、感動という安っぽい言葉では表せるようなものではありません。ただ言葉もなくその笑顔を見守りたくなる、もうひとつのエヴァの結末。この傑作を見逃すことなかれ!

超ハルヒ症候群3 (夢屋花乃屋) ハルヒ
「FOLON」での活動からも分かるように、圧倒手なSF方面の知識と分析的な視点を背景にしたエピソードが魅力の夢屋花乃屋さんのハルヒ本第三弾は、いつにも増して持ち味が発揮された見所が満載です。DVDハルヒの各話解説では「「ハルヒの公式」が世に出た以上、解説文めいたことを書いてもしょうがない」ということで、レビューに近い極私的なエピソードでまとめられているのですが、絵描きさんならではの視点でのポイントを絞った感想がかえって新鮮に感じました。また、ハルヒたちと出会ってから満一年を迎えたキョンが、自身の内面変化から実は世界は自分を中心に非常識に侵食されているのではないか?と疑問を持ってしまうエピソード「MATEYO」の切れ味が絶品でした。ハルヒを特定のキャラ萌えや奇抜な演出としてではなく、作品構造の本質を理解していなければ、あんな表情(かお)をするハルヒに読者が特別な感情を抱くことはないだろうし、ここまで完成度の高いエピソードには仕上がらなかったと思います。「ハルヒ同人はどれを読んでも代わり映えしない」と思い込んでしまって諸兄にこそ、是非オススメしたい逸品です。

路地裏ブレイカーズ (ひなたぼっこ倶楽部) 月姫
ひなたぼっこ倶楽部さんの月姫同人の代名詞的な存在であった「さっちん(弓塚さつき)シリーズ」は一応完結しましたが、今回も都古ちゃんメインのお話に「路地裏同盟」の一員(しかもリーダー的存在)としてさっちんがゲスト参加しています。路地裏同盟のメンバーのシオンと白レンを引き連れて、ギニュー特戦隊の決めポーズで登場するなど、本来の(?)ちょっと抜けたバカっぽいところもあるけど、元気で前向きなさっちんは、これからもひなたぼっこ倶楽部さんの同人誌の中で活躍してくれることでしょう。1本のエピソードを5Pか6Pの単位に切り分けて、中書きトークを織り交ぜているのは珍しいパターンかもしれませんが、着地点に向かって長く続けてきたシリーズを終えて、ちょっと一休みしながらも「思いつくままに色々やってみたい」これからに思いが馳せてあり、かねてからの読者にはただ普通に漫画を読む以上のわくわく効果があったと思います。これまでも、これからも。それも同人ならではの楽しみだと実感できる逸品です!

リリアンが大王4 (AQUA MANA) マリみて
万能素材「あずまんが」のキャラとネタを他の作品に当てはめた同人誌が数多くあります。何にでも合うので何をやってもそれなりに面白くなりますが、予想外の何かを発揮できる作品は稀です。「リリアンが大王」はそのタイトルの通り、マリみてを舞台にしたあすまんが大王「風」の同人誌です。読んでいる時は「あずまんがみたいで面白い」と感じるのですが、よくよく資料を検証してみるとそんなネタは原作には存在しない。しかも「マリみて」の方にもそんなエピソードは存在しない。オリジナルのネタなのに何の違和感もなく本物と同じ質感を実現し、原作の行間であることも忘れさせてしまうのは、両方の作品を表層のネタレベルではなく深層のコンセプトレベルで理解しているからできることだと思います。残念ながら、「4」をもってリリアンが大王シリーズは無期充電期間に入るとのことなので、過去のシリーズを含めて是非この機会にまとめ読みしてみて欲しい逸品です。

レヴァンティン「さん」黙示録3 (まぜもの) なのは
「魔法少女リリカルなのは」のデバイス「駄目」ロボ化シリーズの第三弾は、どうにも止まらないマジ駄剣のレヴァンティン「さん」のアホアホ暴走に加えて、新たに巨大ロボ化したグラーフファイゼンさんが大暴走。ロケットパンチ(ラケーテンハンマー)やカートリッジロードによる巨大化(ギガントフォーム)に子供っぽく「かっこいい!」と目を輝かせるヴィータと、さらにはフェイトまで負けじとロボ化したバルディッシュ「さん」を引っさげて参戦して、話はますますややこしく…常識人のシグナムさんは気苦労が絶えません。さらに、悪ノリした管理局のマリーの暴走でレイジングハートまで改造されてしまい…続きモノの話しなので途中からは入りづらいかもしれませんが、まぜものさんのHPにも既刊分がwebコミックとして公開されているので、是非この機会にこの絶妙にアホアホなノリをお試し下さい。

 2007/01/22(月)  「大軍襲来」


冬コミ以来同人のことばかり書いていますが、ふと気が付くと同人以外の買い物の山がこんもりと出来ていました。しばらく買い物メモの写真を撮ってなかったなぁ…と思い立ち、床に並べてみたら…どえらい大軍になってしまいました。これはどこの要塞攻略戦ですか?怖くなるので総額は計算しないように!

漫画
・ネギま!(17)
・ネギパ!(5)(6)
・えこといっしょ(4)
・さよなら絶望先生(6)
・こち亀(153)
・げんしけん(9)特装版
・宙のまにまに(2)
・箱舟の行方 (シギサワカヤ)
・ヒビキのマホウ(2)(依澄れい)
・となグラ!(5)
・はいぱー少女うっきー(1)(むんこ)
・いろいろぶっく (竹本泉)
・最後の制服(3)(袴田めら)
・月光はレンズを越えて (磨伸映一郎)
・ひだまりスケッチ(2)限定版
・かりん(10)

書籍
・DDD (奈須きのこ)
・アルスラーン戦記12 暗黒神殿
・メカビvol.2
・現代視覚文化研究
・新世紀エンタメ白書2007

DVD
・涼宮ハルヒの憂鬱(6)限定版
・Kanon(1)
・ゼロの使い魔(4)

CD
・のだめカンタービレBest100
・fantasic arrow (栗林みな実)
・Radio ToHeart2 vol.2
・Last regrets
・遠い夢 (セイバー/川澄綾子)
・おしかりCD
・小松未歩ベスト
・やさしい花の咲く場所 (奥華子)
・小さな星 (奥華子)
・このたま
・Maple Leaf Box(霜月はるか)

フィギュア
・TYPE-MOON COLLECTION
・いとうのいぢ版 柚原このみ

…我ながら呆れるばかりの物量ですが、もっと驚くのはこれらを全部消化しているということです。どこにそんな時間があったのだろうか…私は自分を特別に勉強家だとは思いませんが、こうして改めて物量で示されてみると、他人事のように感心してしまいますね。わずか一ヶ月で、しかもこの上300冊近い同人誌を買って読んでいるというから…ゲームをやる時間がまったく無いのも頷けるというものです。

あ、でも今週DSで発売される「ウィッシュルーム」は買って遊んでみたい。「アナザーコード」を制作したCINGの期待の新作ですから。どうやら、ダンボールから開封されるゲーム機一番乗りはDSになりそうです。

 2007/01/21(日)  「「かのはち」+α」

本日は、都産貿台東館で開催された、Kanonオンリーイベント「かのはち」に一般参加してきました、同日都産貿浜松町館で開催されていた、ハルヒオンリーの「長門祭」、おとぎ銃士オンリー「じゅーすぃー」、他にもコードギアスとか多数開催されていたオンリーイベントとの両立は物理的に不可能であり、作戦立案は困難を極めました。都営浅草線一本で往復できるとはいえ最速で40分のロスでは、コピー本率が高くて初手攻略が重要なオンリーでは致命傷ですから…

しかし、こんな時だからこそマイミクさんからの本当にありがたいお申し出が身に染みました。そんなわけで、本日は「かのはち」を初手で攻略して午後から「長門祭」に移動する作戦を立案。新年一発目からあいかわらずヘビーなオタクライフですなぁ…朝9時に起床してAsakusaベース(GM研新本部)を出発。徒歩で行ける距離であることは地図上では確認していましたが、実際に歩いてみると25分かかりました。アキバのヨドバシまで実測13分だったので、台東館までは案外遠いらしい。

開場1時間前の朝10時に現着。この時間でも一般待機列はたいしたことになっていないだろう、と予想してしましたが実際には…10名。これは列とは言わないのではなかろうか?開場前には60名くらいに増えてましたが、他に台東館でイベントが併催されているわけでもないし、累計で見ても100名くらいと見積もるべきかと。14時前くらいまでカタログも完売してなかったみたいだし…この時期にしてはサークルさんの出席率は非常に高く、コピー本を出すモチベーションも高いものがあり、ただ単にフロア全面使用で会場が広すぎるというだけであって、長く続いているイベント独特のまったりした雰囲気で、即売会というより知り合い同士の歓談が中心であって、決して閑散としていたというわけでもありません。いつも忙しない即売会が当たり前になっているので、たまにはこういうのもいいのでは? 企画で面白かったのは、「舞の誕生日が近いから」という理由で、本部が企画したサークル向け限定での「牛丼配達サービス」。個人参加のため持ち場を動けないサークルさんにとってありがたいサービスですが、30個以上の吉牛テイクアウト袋が本部の机を埋め尽くした様は壮観でした。それをスタッフが各スペースに配って回ったわけですが、いっせいに皆が食べ始めたものだから、会場には一気に牛丼臭が充満。Kanonの劇中でも夜の校舎にこの匂いがたち込めていたと考えると、ロマンチックとは程遠い気もしてきた。あと、各人の萌えキャラを明示する目的で色分けした「はちまき」着用のススメについては、スタッフを除くと着用者は10名に満たなかった。コスプレよりは手軽だけと地味すぎるのも…というイベント企画の難しさを再認識。

この日の「かのはち」での収穫は28冊でした。コピー本がそのうち9割だったりしますが、書店委託ではノーマークだった良さげなサークルさんをいくつか新たに発見できたのが収穫でした。この開催規模のオンリーでこの冊数はなかなかの充実ぶりだったと言えるでしょう。vol.6のレビューで新たにお世話になる予定のサークルさんにもご挨拶と献本ができたし、メール不着で連絡がついていなかったサークルさんにもお話を通すことができたし、非常に満足度の高いイベントになりました。ただ、作戦の反省点としては、ダメ元でお願いしたスケブやコピー本の再生産がOKだったからと言っても、掛け持ち移動の時間がシビアな時は上がりの時間も考慮しないと、今日のようなドタバタ移動劇になってしまうということです。


予定より1時間以上を超過して、2時前に台東館を後にして表通りでタクシーを捕まえて飛び乗る。もはや地下鉄を使う余裕もない。ハイコスト覚悟で「浜松町の都立産業貿易センター!」。東京の都心を車で移動すること自体が初めての経験でしたが、確かに車は便利ですね。昭和通りなんてアップダウンを繰り返して交差点を回避できるから速い速い。自分では運転したくありませんけど。信号にさえつかまらなければ約15分で移動できます。片道で2500円もかかりましたけど…即売会の数分は何物にも代え難い宝物ですから!(と言って自分の中の経理担当人格を納得させてみる)

14時20分頃、ようやく浜松町館に到着。「長門祭」に直行してマイミクさんにご挨拶。どちらかというと、こっちの方が本日のメインイベントだったりします。かなり私的なトークなので仔細は丸ごと伏せますが、本だけでは補充できないやる気をバッチリ充填させていただきました。今年は積極的に自分から動くことをテーマにしているので、これから色々と動きがありそうですよ。ご挨拶も一段落したところで、ダメ元で会場を回ってみることに。「かのはち」とは異なり、一般待機列の導線にも苦労するくらい大盛況のイベントだったみたいだし、さすがに残り30分くらいしかない状況だったので、ほとんど全滅も覚悟していましたが、それでも7冊をゲットできました。どうもハルヒ系のイベントには縁がないらしく、他のオンリーと予定が被ってしまことが多く、今は他ジャンルで作家性を熟知しているサークルさんの「信用買い」状態であって、本気でハルヒジャンルの新規発掘に臨めていないのが残念です。来月の「来ないと死刑だから2」にも参加してみようかな?

長門祭のアフターイベントについては、色紙の抽選会とかあったみたいですが、すでにカタログが完売していてアンケート用紙を入手できなかったので、私はノーチャンスでした。それに、17時から1ヶ月半待ちだったロフトベットの搬入と組み立て予定が入っていたので、珍しく早々に退散しました。でも、オンリーイベント乱立による戦力の分散はもう少し考慮して欲しいものです。オンリーの主催さんは個人の場合がほとんどだし、公的にスケジュールを調整する機関なんてないので、難しいとは思いますが…何にしても、今年も同人は元気ですね。私も負けずに元気にやっていきたいものです。

 2007/01/18(木)  「冬コミ新刊感想記その6」

冬コミ新刊感想記も第6回目。目録の統合リンク化など、ちまちまと環境を整備していたら思いの他時間がかかってしまい、今日は感想記の2連戦はできそうにありません。質を取るか量を取るか…あ、スピードも大事ですね。私は文章で生計を立てているプロではないけれど、プロではないからこそ時間を使って読んでもらえるだけのクオリティを追求することと、供給者としての更新努力を怠ってはいけないと思っています。世の中には「プロだからできないこと」もあるのですから…

少年フェイト (少年フェイト製作委員会) Fate
只今同人業界を大絶賛席巻中の「祝刊少年フェイト」を遅ればせながら私もゲットしました。「狂っているとしか思えない」とか「すでに伝説だね」という世間の前評判に違わず、これはある意味で究極の同人誌だ!と私も自信を持って断言しましょう。同人誌の常識をぶち破る496Pという圧倒的な物量もさることながら、括目すべきは「少年ジャンプ」を徹底的に模した質にこそあります。週刊漫画雑誌特有のざらついた紙質と安っぽいインクの匂い。ロゴや嘘広告や放送局コーナーまででっち上げる徹底ぶりには脱帽です。グラビアの「実写モデルのイリヤ」に至っては下手な本誌よりもレベルが高いかも…どんなアンソロジーでもここまで集められないだろうと思えるくらい、現役Fateジャンルで活躍する作家がこぞって参加した豪華執筆陣が、今回限りのお祭感覚でいつも以上に破目を外してはっちゃけた読み切りを描いたものだから、一冊をトータルで読むととてつもないクオリティーに仕上がってしまいました。こりゃあ、この先どんなアンソロにも満足できない身体になってしまったかもしれぬ…商業誌もうかうかしてられませんな。一応、今回限りの企画であり次回は未定とのことですが、真剣に続きを読みたくなってしまった作品がいくつもあるので、あと2つのメジャー週刊漫画誌「サンデー」「マガジン」を制覇!…というのも面白いと思うのですが?恐ろしくお金の掛かった特殊製本で再販はできないみたいなので、四の五の言わずこの機会を逃さず確保しておくことをオススメします!

コハクリコX / せいばりんV (経験値ランド) 月姫/Fate
サークル「経験値ランド」さんの月姫応援(?)パロディシリーズ「コハクリコ」が、X(10巻目)でついに完結を迎えました。ちょうどFateネタの「せいばりん」がVなので、エックスとビクトリー。期せずして縁起のいい(?)ナンバリングでのフィナーレとなりました。とはいえ、最終回だからといって特別に何かあるというわけではないのは、このシリーズのシンプルな絵柄と大胆な余白で演出される、すっとこどっこいで微妙にヒネた悪ノリをよく知るファンであれば、これは暗黙の了解というやつです。表紙の衣裳から奥付にまで及ぶ2冊同時発行によるクロスオーバーの仕掛けが使えなくなるのはちょっと寂しいですが、多分、これらかも何食わぬ顔をして「せいばりん」のクロスオーバーネタに琥珀さんが登場して、いつものように笑顔でまた要らぬ火種を蒔いていくことでしょうから(^^) 「せいばりん」の方は、今年はPS2版FateレアルタヌルやFate/Zeroシリーズの発売、空の境界の映画化など、当分ネタには困りそうにありませんから、次の夏コミにはまたいつもように彼らに会うことを楽しみに待つことにしましょう。既刊を探すのは大変かもしれませんが、完結記念に是非オススメした逸品です!

■毎日なかよし1 (TUGUMIX) オリジナル
同人界では仲良し夫婦で有名な(?)サークル「TUGUMIX」の林つぐみ・つくし(つぐ&つく)夫妻の、漫画のような本当のハナシを集めたフルカラー4コマ漫画、それが「毎日なかよし1」です。商業誌にはほのぼの夫婦漫画はジャンルとして定着していますが、同人誌ではあまり見かけないのは、よほどキャラが立った夫婦でないと読み応えの面でハードルが高いという一面があるわけですが、その点ではこのご夫妻の存在感は格別です。ノンフィクションでつづられるネタ満載のお二人の日常風景は、二次創作の裏表紙のオマケ日常漫画を読んでも分かる通り、文字通り漫画のようなハナシです。喜怒哀楽が激しくて中間のない、猪突猛進の野生児・ラストサムライタイプのつぐみさんと、いつも優しくて温厚なタイプのつくしさんがなだめる組み合わせは、ネタとして面白すぎです。「付和雷同」のCYONさんをはじめとして多様なジャンルからのゲスト寄稿は、つぐ&つく夫妻の交友の広さと明るい人柄と、見ていて面白すぎる絶妙な夫婦関係があるからこそのことだと思います。旦那さんが一方的に搾取されているように見えるのは、多分気のせいでこれも「愛」ということにしてしまいましょう(^^) どうかこれからもお幸せに。そして、ナンバリングがあるから「2」がいつか出る事を楽しみにしております。

季節のめいどさん総集編・春夏秋冬 (こもれびのーと) オリジナル
水彩画のような独特の彩色が美しい、フルカラー和風めいどさん漫画の代名詞的な存在「こもれびのーと」さんの「季節のめいどさん」シリーズが、フルカラーをそのままに春・夏・秋・冬の全シリーズを完全収録した総集編になって大登場!柔らかくて優しい光が溢れるような色彩感覚と、ひっそりと降り積もるような優しさに溢れる感情表現は、こうして四季を通して読むとまた格別な味わいがありました。よく「暖かい」「微笑ましい」「ぬくもり」という言葉で作品を形容することがありますが、この作品においては確かにその言葉の通りなんだけど、それだけではこの物語の本質を伝えきれていないようにも感じます。それは言葉では伝えられない、読者の心に生まれた「幻想」なのかも知れません。「探すものじゃない。気が付けば満たされた自分が居る。本当の家族(たからもの)」という台詞にもあるように、つい踊り出したくなるような美しく輝く季節の中で、こんなに素直で清々しい気持ちになれたこと…上手く言葉では伝えられませんが、それが全てでもいいんじゃないでしょうか。季節が移ろい往こうとも、ずっと変わらない笑顔(もの)…あなたのとっておきの季節(おもいで)にして欲しい逸品です。

ギャルゲーム批評2007年1月号 (O山出版) 評論
既刊レビュー
私は仕事柄評論本には大量に目を通していますが、魂に響くような文章に出会えることは極めて稀です。しかし、私には毎年この時期になると必ず読むことにしているゲーム評論同人本があります。それが「ギャルゲーム批評」です。ゲーム派ギャルゲー復興のためのゲリラ闘争を続けてきた本誌ですが、止まらない市場の縮小を象徴する2つの事象(ねこねこソフトの解散、KIDの自己破産)にも現れているように、業界は確実に緩慢な滅びの道を進み続けています。仮にも評論ジャンルの片隅にいる私にとって、この本を読むことは滝に打たれる様な荒行です。「本誌ですらギャル「ゲーム」以外を中心にしなければ本が作れない」現実を率直に認めた上で、「作品を作るのは確かにメーカーの責任だが、良作を見極めて購入して作品を育てていくのはユーザーの責任だ」という論旨にあるように、我々はキャラADVに安住して冒険を嫌うあまり、宝を掴み損ねてはいまいか?「ギャルゲー再生」をテーマにして熱く語られる戦士たちの魂の言葉は例えようもなく重い。だが、まだ希望を見失ってはいない。同人誌とはいえ少なからず支持を集めている本誌がその証明であり、本当にギャル「ゲーム」を愛する者のチャレンジに応えるために戦い続ける覚悟があれば…いつかギャルゲーは再生する。新たな決意と信じる力をくれる、評論家必読の逸品です!

 2007/01/17(水)  「冬コミ新刊目録ver2.0」

週間20本のミニレビューをアップしても終わりが一向に見えてこないレビューロード。それもそのはず。レビューの消化率よりも本の増殖率の方が高いのですから!!そんなわけで、1/7に書いた目録がすでに実態と合わなくなってきたので、目録自体を更新しておくことにします。

AAA: 63冊 + 8= 71冊
AA : 64冊 +15= 79冊
A  : 67冊 +23= 90冊
総数 :194冊 +46=240冊

■新規AAA
・少年フェイト (少年フェイト制作委員会) Fate
・SWORD DANCE 2 episode2 (比村乳業(仮)) Fate
・マスター凛にきいてみて!総集編 (ぐりーんぺっぱー) Fate
・超ハルヒ症候群3 (夢屋花乃屋) ハルヒ
・カラーボックス2 (まじっく・すくえあ) マリみて
・OVER THE MOON (金平糖工房) マリみて
・聖夜に流れるほし (しうまいを継ぐ者) なのは
・LOG HEART vol.6 (S-FORCE) ToHeart2

8日で46冊の増殖ですか…予想していたとはいえ、どえりゃあ数字です。シングルAランクの割合が高くなっているのは、審査基準を厳しくしたわけではなく、わずか2ページの見本でしか判断できない書店購入では、どうしても「最高の当たり」を引く確率は下がってしまうし、信用と継続で読み続けているサークルさんには求めるレベルも上がって行くので、よっぽどのものでなければ期待値を超えた驚きとは感じられないという面もあります。だからこそ、何年もの間AAAランクで在り続けてきたこの目録内のサークルさんは本当にすごいことだと思います。常に読者の想像の一歩先を往く努力と研鑽。単なるリストにも振り返れば歴史がある…そう思えた感想記の中休み。さて、明日からは再びレビュー戦線に復帰するとしましょう。


↓以下は目録ver1.0の再録です。全部に(済)マークを入れるのはいつになることやら…
リンク先は各感想記へのショートカットになっています。

■魔法少女リリカルなのは
(済) リインフォースを待ちながら (美月亭)
(済) 杖萌え通信RX-78 III (さうんどすとっく)
(済) PV13 (ぱるくす)
(済) LYRICAL DEATH NOTE (GRINP) 
(済) フェイトのフ?(タマゴ屋)
(済) リリカルなのコマ2 (タマゴ屋)
(済) 時空管理局本局爆発事件についての報告 (まじっく・すくえあ)
(済) Fun Of The Fair (ryu-minBS)
(済) Forget Me Not (ryu-minBS)
(済) シャマル対メカシャマル (ギコガコ堂)
・「闇の書」事件のエース (サークル近衛衆鉄虎第501大隊&Gewalt)
・守護騎士「ヴィータ」 (サークル近衛衆鉄虎第501大隊&Gewalt)
・魔砲少女フェイト・テスタロッサ(サークル近衛衆鉄虎第501大隊&Gewalt)
・なのるんです4 (小作人列伝)
・これがあたしの御主人様 (赤坂小町)
・レヴァンティン「さん」黙示録3 (まぜもの)
・なのはまんが大王 出張版5 (みはるワークス)
・魔法少女リリカルなのはアンソロジーなのっ!S

■マリア様がみてる
(済) 瞳可南姉妹物語 (美術部)
(済) そんな場所にいるはずもないのに (鉄棒少年)
(済) 明日も笑って 笑って (羽根屋根) 
(済) FRAGILE: (TUGUMIX) 
(済) 子羊たちの未来予想図 (マズルカSTEP) 
(済) 放課後の音符 (ティンクルスター)
(済) 雪の吐息 (HONEY DROP) 
・ホソカワカナコクロニクル (ティンクルスター)
・La Rose de Rosine 4 (きむちらうめん) 
・リリアンが大王4 (AQUA MANA)
・薔薇くい姫 (ジュリエット計画)
・真冬に咲く小さなバラ (山猫BOX)
・ずっとあなたが好きだった (ぱわふるここあ)
・未完成とギルト (美彩'd)

■ToHeart2
(済) るーこの世界3 (オレと勝負だ!)
(済) Secret (MUGEN∞DAI)
・詰め合わせてTH2-2 (腰の曲がった空間)

■TYPE-MOON
・コハクリコX (経験値ランド)
・せいばりんV (経験値ランド)
・路地裏ブレイカーズ (ひなたぼっこ倶楽部)
・UNI-MIX (UNI-SEX)
・NOVAさっちん総集編 (ぐりーんぺっぱー)

■オリジナル
(済) チャージ!ふたば4 (ゆ〜のす通信)
(済) 花嫁指南5 (ノースノマド)
(済) もっとがんばれ美月さん総集編2 (美月亭)
・毎日なかよし (TUGUMIX)
・季節のめいどさん総集編・春夏秋冬 (こもれびのーと)
・毒田モロ男のリッチな生活2006 (モロモロ)

■評論
(済) オタクとデザイン1 (オタクとデザイン)
・ギャルゲーム批評2007年1月号 (O山出版)
・ホール長島耕作のコミケ成功方程式2006 (90分15,000円)
・波状言論号外 (波状言論)

■エヴァンゲリオン
(済) NEVER END OF その後のEVANGELION (美術部) 
・RE-TAKE after (スタジオKIMIGABUCHI)

■その他
(済) あなたが幸せそうに笑うから (羽根屋根) 時をかける少女
(済) ヨネザワヨシヒロによろしく4 (90分15,000円)
(済) ボスボク (エイジア) メタルギアソリッド
・あしたのみさきの物語 (STUDIOネロアズーリ) TLS
・いちご通信EX 17 (さうんどすとっく) 
・涼宮ハルひがしんが (ラピュタ帝国) 涼宮ハルヒの憂鬱
・花かんむり (プラチナブロンド) 魔法先生ネギま!
・おにかの (てりやきにくまん) Kanon ※18禁
・お兄様しかいない (てりやきにくまん) おとぎ銃士赤ずきん ※18禁

 2007/01/15(月)  「冬コミ新刊感想記その5」

冬コミ新刊感想記も第5回。休日に2連戦がすっかり当たり前のサイクルになりつつありますが、書店では軒並み品切れなのが紹介者として出遅れてしまったことが申し訳なく思えたりもして…執筆スピードとクオリティの飽くなき探求はこれからも続きそうです。

Fun Of The Fair / Forget Me Not (ryu-minBS) なのは
鉛筆画のような濃くてシンプルな主線が味わい深い、「ryu-minBS」さんのなのは本2連発は、縁日でのひとコマと、ヴィータのアイス奮闘記がメインのネタになっています。縁日の方では、射的でも砲撃の達人ぶりを発揮するなのはの実力を、構えた目だけで見抜いたテキ屋のおっさんが何気に印象的だったり、うさぎのお面をプレゼントされたヴィータがお面を被って照れ隠ししながらお礼を言う仕草に頬が緩みました。また、サウンドステージ03で語られた「謎の超大型打ち上げ花火(スターライトブレイカー平和利用バージョン)」事件に触発されて、鳴海市の花火職人達に火をつけてしまったりとか、設定面での面白さも際立っています。ヴィータの最強サイズのバケツアイス「ギガデラックスアイス」を巡る騎士の意地と誇りをかけた闘い(?)は、無口で真面目な末っ子(リイン)の冷静なツッコミもあって、しっかりとした家族のお話に仕上がっているから不思議です。起因はアイスなんですけど…それだけの話を家族ぐるみで盛り上がれる平和な八神家は素敵ですね。WEBコミックはどうしても短い尺になりがちですが、単行本にまとめて通して読んでもこれだけ読み応えのある作品は珍しいと思います。「空白の2.5期」を脳内補完したい方に是非オススメした逸品です!

フェイトのフ? / リリカルなのコマ2 (タマゴ屋) なのは
独特の糸目3頭身キャラでおなじみの「タマゴ屋」さんのなのは本2連発は、ホームページでほぼ毎日更新されてる4コマの再録シリーズ「リリカルなのコマ」の第2巻と、書き下ろしショートストーリー漫画シリーズ「フェイトのフ?」です。「なのはの○」シリーズの続きのタイトルがどうなるかと思っていましたが、これで少なくともあと3回は安心ですね。題材的にはヴィータ×リイン×アイスは他の作家さんと同ネタ多数な感はありましたが、同じネタでも作家さんの作風によって全然違うものに感じられるのが、同人の面白いところですね。エピローグで別方向でオチがついてのも見逃せないポイントです。真面目キャラはある意味大変ですな、シグナムさん。なのはラブが高じるフェイトと、アリサの負けず嫌いの相乗効果が招いた小さな悲劇は…そういえば小学3年生なんだよなぁと、今更ながら思い出したりもしました。ほのぼのとした作品とは絵柄だけでは成立しません。力まないで自然な日常のひとコマを切り取る着眼点がとても重要になりますが、それは言葉で伝えるのは難しいものです。HP連載による好きの積み重ねで、作者も読者もともに大好きな作品を楽しめること…タマゴ屋さんの作品は、その基本に対する忠実なお手本とも言うべき逸品だと思います。

子羊たちの未来予想図 (マズルカSTEP) マリみて
存在感バッチリの等身大パネル効果もあって、マリみて同人の間では「瞳子本」の代名詞的な存在になっている「マズルカSTEP」さんの最新刊は、「子羊たちの休暇」を祐巳瞳姉妹に仮題したお話です。今までの「ツン」の反動もあってか「デレ」全開で初々しい妄想大爆発の瞳子が可愛すぎです。「もう大丈夫。見失ったりしないよ!」と優しく瞳子を包む祐巳ちゃんには薔薇様の貫禄が。瞳子の過去から続いてきた苦悩…仮面を被って演じ続けてきた瞳子にとって、祐巳ちゃんのまっすぐさは自分を映す鏡だった。だから反発した。認めたくなかった。氷のように溶けて消えてしまいたかった…でも、そのままの自分を好きだと言い続けてくれた祐巳ちゃんがいたら、自分は救われたのだ…という瞳子の感謝の言葉に熱いものがこみ上げて来ました。ちになみに、原作での決着が丸1年以上ついていないため発行時期の決まっていない「瞳子おめでとう本企画」は、12月現在で60名もの執筆者が参加の名乗りを上げる愛されっぷりです。多分今年中には名実ともに「おめでとう」と言える日が来ることを願って…今はもう少しだけ、彼女たちの未来予想図を思い描きながらその日を楽しみに待ちましょう。

■雪の吐息 (HONEY DROP) マリみて
これはクリスマス後・総選挙前の設定で「大きな扉 小さな鍵」のエピソードへとつながっていくお話です。乃梨子と瞳子の友達関係を好ましく思っている方に是非読んで欲しい素敵なオリジナルストーリーです。「祐巳さまと何があったの?」とか、瞳子に聞きたいことはたくさんあった。でも、いざとなると言いたくても言えない。瞳子は私には何も言ってくれない。私は友達なのに…友達なのに?友達だと思っているのは自分だけじゃないのか??原作ではいつも気の利く世話焼き完璧超人の役どころを演じている乃梨子が、風邪による高熱にうなされる中で、不意にこぼれた本音。そして、はにかんだ瞳子の台詞にならない小さなつぶやき…「クリスクロス」では自然に呼び捨てしあう親友になっていた二人ですが、乃梨瞳コンビが大好きな私にとって、シンプルで温かい絵柄と絶妙のコマ運びで心の動きを繊細に描いてくれた「HONEY DROP」さんのこのエピソードは、公式設定にしてもおかしくないくらいお気に入りの逸品になりました。雪をも溶かす熱い友情を是非!

■るーこの世界3 (オレと勝負だ!) ToHeart2
ToHeart2の宇宙人さんヒロイン「るーこ・きれいなそら(ルーシー・マリア・ミソラ)」を主役にした学園パロディ「るーこの世界」はこの第三弾でシリーズ完結を迎えました。といっても、のほほんとした日常をギャグにするいつものノリはそのままです。でも、長く続くシリーズだからこそ、「変わらないこと」は案外難しくて、とても大切なものだと思います。故郷に手紙を出すことになったるーこ。全宇宙に知れ渡る報告書とあって、アレもコレも書いてくれと周囲はてんやわんやの大騒ぎ。しかし、報告が果たされるということは、るーこの地球観察任務の終了を意味するものでもある…ほんの少しだけ貴明が願ってしまった「届かなければいい」という思いは…ゲーム原作版のるーこシナリオは、「離れていても心はひとつだ」という主人公(貴明)のカッコ良さが光りましたが、個人的には等身大の恋愛像としてはもう少し女々しくてもいいのかな?と私も思っていたので、このオリジナルエピソードはまさにぴったりでした。書店委託はされていないので、お探しの方は根気強く即売会に足を運んでみましょう。

 2007/01/14(日)  「冬コミ新刊感想記その4」

非人間的な勤務シフトでちょっと間が空いてしまいましたが、本日も元気にAAAランクの冬コミ新刊を5本ご紹介です。すみませーん、追加いいっすかぁ?(35冊追加)…いつ終わんねん、この宿題は…

オタクとデザイン1 (オタクとデザイン) 評論
最近、商業ベースの「オタクカルチャー評論本」増えましたよね?一般書店でも萌え絵が表紙を飾る評論本を見かけるようになり「世の中変わったなぁ」と実感していますが、正直ここまで色々出すぎると、本職(?)の私も義務感がなければ目を通す気にはなりません。ビックネームが出演する型通りのインタビューが面白いとは思わないし、あれもこれもやろうとして結局「書いた人が何を言いたいのか分からない」。商品としては豪華かもしれないけど、作品として評価する気にはなれないものばかり…そんな中、久々に「おおっ!」と唸らせる評論同人誌に出会いました。それが「オタクとデザイン」です。デザインという視点の切り口が目新しいというより、「デザインが生まれる背景」を含めて大真面目に資料を検証分析していることと、それをフラットな心持ちで自分の言葉で伝えたいという意識が感じられることが素晴らしい。特に、本の装丁から分析した「よつばスタジオ」が関わったデザイン論が印象的でした。「カッコ良くデザインすることだけがデザインじゃない」という言葉にあるように、デザインとは作品イメージの統一感を生む演出であり、「絵柄の趣味など取るに足りない問題だ」という言葉にあるように、デザインは作品の本質を伝える要素でもあるのです。作ることを純粋に楽しんでいることが手に取るように分かる逸品です。書店委託も間もなく始まるみたいなので、冬コミで買えなかった方はお見逃し無く!

もっとがんばれ美月さん総集編2 (美月亭) オリジナル
既刊レビュー
妄想絵日記浪漫譚「がんばれ美月さん」の第二期「もっとがんばれ美月さん」の総集編が遂に登場。しかも、あの問題作(?)伝説の本人には内緒で進行していた陵辱企画本「もっといけない美月さん」も完全収録!そのため、シリーズ初の18禁指定になっているので、書店で探す際にはご用心を。修羅場漫画で笑える18歳以下のよい子ってのもどうかと思いますが(^^; 本書はあくまでも妄想絵日記でありフィクションですが、人生のダウンヒルエースの称号の通り、大人の階段を四輪ドリフトで駆け上がる(降りる?)美月さんのエースっぷりは、真に迫るものがありすぎです。260Pもの厚みに溢れるほど詰まっているのは、兼業隠れ同人両立の過酷な日々と、数々の出会いとの喜びです。どんなに鼻血が出るほど忙しくても、忙しささえギャグする。心の声(あゆ)に撲殺されるオチが待っていても物欲と好奇心には正直に。その行動力・勇姿に惹かれて自然と広がって行ったいくもの交流は、今へとずっと続いて行く原動力になっていて、それこそ同人の楽しさの醍醐味を体現しているドキュメンタリーなのだと思います。特に「なのは」本で美月亭のファンになった方にも、その着眼点やテーマのバックボーンを知る上でも是非オススメしたい逸品です。

ヨネザワヨシヒロによろしく4 (90分15,000円
医学会を舞台にした原作「ブラックジャックによろしく」を、コミケット準備会にあてはめたパロディ同人「ヨネザワヨシヒロによろしく」のシリーズ最新刊は、2006年10月1日に急逝した巨星:米澤代表への追悼の意が込められた作品となっています。準備会の面々と長年の付き合いの宇奈無英雄氏だからこそ描ける、理想と現実の艱難辛苦を乗り越えてきたコミケットの理念を貫く者達が語る言葉は、どんなお悔やみや追悼の言葉よりも遥かに重いものだと思います。「あの人」はどんな時でも笑いながら…そう言い続けてオレたちの先頭で引っ張り続けていたんだからな…責任がでかくても楽しみがもっとでかけりゃ格別じゃねぇか?10年後、オレは「じじい」と呼ばれながら参加していたいのさ…かつての「じじい」のようにな。だから頑張れ。「立ち止まるな!」と若者の決意で結ばれたラストシーンに魂が震えました。理想の祭は勝手に続いて行くようなものではない。時代とともにルールややり方は変わる。唯一変わってはいけないのは、存続するための理念。偉大なる先人を喪って手を合わせた時の気持ちを、同人を愛する気持ちを忘れないことなのですから…その気持ちを忘れないために、ぜひ読んでおいて欲しい逸品です。

時空管理局本局爆発事件についての報告 (まじっく・すくえあ) なのは
コミック版の「魔法少女リリカルなのはA's」に収録されているA'sの後日談「Epilogue of ACES」、その作中に登場したチームバトル訓練の翌日を舞台にした同人誌、それが「時空管理局本局爆発事件についての報告」です。なのはファンなら一目瞭然ですが、タイトルは小説版なのはの作中に使われた表題のパロディでもあります。訓練室の結界どころか本局の外壁まで吹っ飛ばしたなのは達の馬鹿魔力は、難攻不落・史上最強の要塞だったはずの時空管理局本局にまさの爆破テロ!?と報道されて国際問題に発展。訓練中の事故という形で訂正報道されたものの、無自覚ななのは達はお咎めなしで、クロノだけ呼び出されて厳重注意に… 同人は原作を知っていることが前提の趣味ですが、良く出来た同人というものは「原作をもう一度読んでみたくなる」ものだと私は思っています。設定の整合性はあまり重要ではなく、むしろ読者の「こうだったらいいな」と思っていた可能性が実現した喜びが勝る。短い製作期間でも・短い尺だからこそ光るやり方もあることが実感できる逸品です。

Secret (MUGEN∞DAI) ToHeart2
冬コミ作戦立案中はまったくノーマークの作品でしたが、書店で表紙を見かけて衝動買い。ToHeart2のメイドロボ:イルファさん好きは何度か公言していましたが、同人ではギャグかエロばかりでなかなか純愛モノで個人的なヒット作に出会うことがありませんでしたが、ようやく「これ!」と言える1冊に辿り着くことができたような気がします。イルファさんが「楽しみにしてます」と言っていた覚えのない約束…忘れたとは言い出せなくて、知っているフリをして遊園地デートに誘った。傷付けずに済むならそれが一番いい。何事もなく過ぎていく楽しいひととき…だが、あまりにも楽しそうな彼女の心からの笑顔に…彼女を騙し続けることに貴明の胸は痛んで…イルファさんの言う「約束」の本当の意味とは? どうやらこのサークルさんが非エロの本を作るのは滅多に無いことのようですが、それだけにこのキャラに対する思い入れの深さが伝わってきます。涙を流すことのできないロボットの彼女の心に応えるかのように降り注ぐ雪に、上気した幸せな表情に…恥ずかしいくらいのまっすぐさ、それもまた同人の面白さですね。

 2007/01/12(金)  「冬コミ新刊感想記その3」

本日もオリジナルとその他ジャンルから、AAAランクの冬コミ新刊を5本ご紹介。ようやくエンジンがかかってきましたよ!2日連発で行ってみよぅ!

NEVER END OF その後のEVANGELION (美術部) エヴァ
既刊レビュー
7年間・全23巻にも及んだ、シンジとアスカの長い長い、二人の・二人だけの・二人きりの旅は、とうとう完結を迎えました。シリーズ開始当初から心に決めていたという最終章は、これまでのシリーズがそうであったように、決してぶれることないテーマ…ともに歩み積み重ねてきた「幸せ」に満ち溢れていました。この恥ずかしさを恥ずかしいと感じることは、決して恥ずかしいことではありません。それは、あなたが彼らを家族として祝福することの「照れ」のようなものなのですから。「NEVER END」というタイトルからも分かるとおり、連載は終わっても世界は終わりはありません。これから続いて行くのは「家族」の日々。彼ら彼女らを幸多かれと最後まで笑顔で見送れたこと…それは読者にとって最高の喜びでした。レビュアーの私がこう言うのは変かもしれませんが、言葉で着飾る必要なんてないと思います。子供達におめでとう。そしてありがとう。この幸福な物語と出会えたことに同人の神さまに感謝します。

あなたが幸せそうに笑うから (羽根屋根) 時をかける少女
オタク業界では2006年最高の評価を得た「時かけ」でしたが、同人ではまだ原作の本質を理解消化した作品は皆無に近い…そんな中、夏コミの無題コピー本の時から私が期待し続けてきたのが、羽根屋根さんの時かけ本です。千昭が真琴を意識していく過程として「七夕」をテーマにしたオリジナルストーリーは、原作の流れを汲むエピローグへと繋がっていく。この作品を読んだ後には、奥華子さんの「ガーネット」と「変わらないもの」をぜひもう一度聴き直してみて欲しいですね。ノートに並んだ四角い文字にさえ…歌詞の通りなぜだか胸が痛くなることでしょう。あの感動の記憶はきっとずっと特別なものになるんだ…改めてそう思える逸品です。

チャージ!ふたば4 (ゆ〜のす通信) オリジナル
既刊レビュー
脱線と暴走を続けるラジコンをテーマにしたオリジナル漫画「チャージ!ふたば」の最新刊の舞台は海!発行は真冬なのに真夏!海上に浮設された特設コースで繰り広げられるのは、ハットリグランプリスペシャルステージ!箱から出してプロポを握ればすぐに走り出す、A4サイズの小粋で手軽なオフロード「タミヤ・タムテックギア」シリーズを駆り、真夏の太陽の下での爽快なオフロードRCの醍醐味がギャグ漫画の中にしっかりと盛り込まれています。もちろん、お笑い担当のガッツ軍団(ウオリアーズ)も参戦して悪だくみ(枯れたコント)を見せてくれるし、海が舞台なので合法的に水着とおっぱいを思う存分使用できますから(ここ重要)。楽しいをもっと楽しく。これぞ同人の醍醐味ですね!

花嫁指南5 (ノースノマド) オリジナル
既刊レビュー
奉公先の旦那様ヴィクターに見初められて、住む世界の違いという様々な困難を乗り越えて婚約したメイドのアン。上流社会の違いに戸惑いながらも、グレン家に恥ずかしくない相応しいレディーなろうと、ヴィクター様を心配させないように、がっかりされないように、嫌われないようにバーバーラの花嫁修業に耐えていたが…飛び出してきてしまった。そんなアンをヴィクターは「話しくれる方が嬉しい。私の前では我慢するな」と優しく包み込み、とうとう結ばれた二人。これまでの展開を心配しながら見守ってきたファンとしては、男でも惚れそうなオジサマ・ダンディズムにメロメロです。会社が潰れそうな時にこの余裕。悪い中年紳士です(^^)。春予定の「6」でいよいよシリーズは完結を迎えます。二人の幸せな結婚式を楽しみに待ちましょう。

■ボスボク (エイジア) メタルギアソリッド
書店委託には出ていないのであまり知られていませんが、コミティアでのオリジナル作品「ダチェラット」でも知られているエイジアさんは、コミケではメタルギアの二次創作でも活動されています。普段はダンディズム満載のシリアスストーリー漫画なのですが、今回はうって変わってアホアホなオールギャグ4コマです。タイトルは「ボスとボクの美しき師弟関係」の略。沈着冷静なスパルタ鬼教官の彼女(ザ・ボス)に対する、かわいそうなくらいのジャックの空回りと玉砕っぷりが最高です。「ボス○○」というタイトルに掛けた活用形のオチの付け方も面白い。ザ・ボスを真面目に敬愛している方にはちょっとアレかもしれませんが、これもキャラ愛あってのパロディですので、固く考えずに笑える幸せを感じて欲しい逸品です。

 2007/01/11(木)  「冬コミ新刊感想記その2」

本日は単独ジャンルで1000冊を越えてもなお増え続ける「マリみて」から、AAAランクの冬コミ新刊をまずは5本ご紹介。順番が前後してしまいますが、その1で書いた以外の「なのは」本も後日ちゃんとご紹介しますよ。果たしてあと何回かかる連載になることやら…

瞳可南姉妹物語 (美術部
2006年3月に発行された「可南瞳姉妹物語」とちょうど正反対の設定で語られる、瞳子が姉で可南子が妹の「if」姉妹、それが瞳可南姉妹物語です。美術部さんの可南子「if」シリーズ(カナみて)に親しんできたファンにとっては、この逆カップリリングの実現は、とても感慨深いものがあったと思います。生意気とツンデレの取り合わせは、水と油でライバルにしかなれないような気がしていましたが、タイプが違うからこそ互いに補い合える関係なのかもしれないと気付かされました。賑やかで微笑ましい「カナみて」の時間の中で、一番成長したのは可南子で、一番変化したのは瞳子なのかも知れません。並び立つことはできなくても、助け支え合うことはできる…そんな素敵な「if」を、今までにない長尺で描かれたストーリー漫画は、ページの尺を忘れてしまうほど自然に、可南子と瞳子の「らしさ」と心の動きが表現されています。キャラクターと作品への愛に溢れた最高の「if」を、是非!

■そんな場所にいるはずもないのに (鉄棒少年
鉄棒少年さん久々(約1年ぶり)のマリみて本は、「やさぐれ乃梨子さん」と蔦笙+内藤克美の2本立てです。最近の原作は瞳子の方がすっかりやさぐれていて、乃梨子の方が世話焼き友情パワー全力全開だったりしますが、このやさぐれシリーズを知っていたファンにとっては、原作のその変化さえ別の意味で楽しめます。「やさデレ」な落差効果の上手さを再認識。笙子ちゃんの実姉である内藤克美様をテーマにすることで、写真を撮るという行為そのものに対する蔦子さんのポリシーを掘り下げ、蔦笙「姉妹未満」の関係を外堀から描いたのは、なんとも夏師さんらしいフィンダーの切り方だと思いました。瞬間を切り取る写真、行間の思いをはせる同人。どちらも思い入れがあってこそ、その人にとって特別な存在になるのですから…

明日も笑って 笑って (羽根屋根
羽根屋根さんのマリみて最新刊のテーマは、「笙子ちゃんの写真嫌い・優秀な姉と比較されるコンプレックスと、だからこそ蔦子さんと一緒に居たいという想い」です。あらすじなのに全然要約されていませんね。それもそもはず。この作品には、あまりにも多くの想いが込められていて、文字だけで表現できるものではないのですから。羽根屋根さんの作品は繊細で柔らかい絵柄そのものと同じく、ヒロインの心の機微を繊細に優しく描くともに、弱さからも決して目を背けない。そのまっすぐさは心にぐさっと突き刺さる。その痛みは本当に大切なものだと気付いているから。だから、大切な人の言葉と笑顔に自分も救われた思いになれるのだと思います。晴れやかな笑顔で零れた温かい涙…懼れず心に一歩踏み込んでみて欲しい名作です!

FRAGILE: (TUGUMIX
TUGUMIXさんのマリみて最新刊は、可南子の切さが炸裂するストーリー漫画1本勝負です。目が覚めると、そこは瞳子が存在しない世界だった。自分だけを見てくれる祐巳様。誰もが祐巳様の妹になるのは自分だと噂していて…こんなはずはないのに…という違和感はどんどん大きくなっていった。これは夢だ…いつか覚めるんだ。夢なら早く覚めて欲しいと思っていたのに…瞳から溢れた涙は、本当の自分の気持ちはきっと…切なすぎるラストシーンは見てのお楽しみ。TUGUMIXさん作品の定番とも言える裏表紙の「オマケマンガ」も必見です。タイトルやカラー選択には深い意味はなく、ぶっちゃーけ感覚でやっているとのこと。解釈という意味では私がやってるのも似たようなものなので興味深かったです。でも、構えずに本当に大好きな気持ちで描いているからこそ、読者にそう感じさせるパワーがあるのだと思います。

放課後の音符 (ティンクルスター
傘を忘れて雨に濡れて歩く瞳子。その手を引いて雨宿りを勧めたのは可南子だった。天敵だ、同情なんていらないとかみつく瞳子を可南子がおちょくり続ける、色々と正反対の二人が過ごす温室での雨宿りのひととき。それが「放課後の音符」です。ちなみに、タイトルは山田詠美の作品から。温室の外で雨が奏でる小さな音と、少女たちの想いが奏でる微かな音。この二人のイメージにぴったりのチョイスだと思います。あとがきにもありますが、可南子は大きいのは身長だけじゃなくてハートもでっかい。作者が本当にこの二人が好きで楽しみながら描いているんだなぁ、と感じられて頬が緩んでしまう逸品です。総集編「ホソカワカナコクロニクル」も併せて読むとより楽しめますよ。

 2007/01/08(月)  「冬コミ新刊感想記その1」

昨日暫定リストを公開したばかりだというのに、本日も新刊を6冊お持ち帰り〜(C)ひぐらし。6冊中5冊がAAAランクってどういうこと?…まずは、自分的には冬コミで最大の質と量を誇るジャンルとなった「魔法少女リリカルなのは」で、最高のAAAランクを獲得した作品からご紹介していきましょう。一体何回の連載日記になるか分かりませんが…

リインフォースを待ちながら (美月亭
まさに「なのは」に明け暮れた感のある「美月亭」の「美月さん」の最新刊は、リインフォースII(ちびリイン)が主役です。八神さん家の新しい家族として迎えられたちびリインが、マイスターはやてや守護騎士達・先輩のデバイス方と過ごす賑やかで騒がしくて、そして微笑ましくて大切な優しい日々。タイトルの意味は、やさしい風に包まれるようなラストシーンで明らかになりますが、それは読んでのお楽しみということで。大好きな作品に対するありったけの感謝が込められていることが伝わってくる、同人の醍醐味そのものと言える逸品です!

杖萌え通信RX-78 III (さうんどすとっく
「いちご通信EX」でおなじみの「さうんどすとっく」さんのなのは本第3弾は、フェイト役の水樹奈々ネタが満載です。ナチュラルブラックなフェイトさんがしれっと「第三期はEDも私が歌った方がいいと思うんだ」発言、「チケット買ってください」にノーと言えない説得力がありすぎです。こと歌唱力という点では勝負になりませんからね…声優ネタと時事ネタとマニアックなアニメの要素を絡めて、どう斬られているのか後からじんわりと分かるギャグの斬れ味も健在です。ギャグマンガにするほど好きという意味なので、水樹ファンはくれぐれも誤解なきように。

PV13 (ぱるくす
「ぱるくす」さんのなのは本9冊目。いよいよ二桁リーチです。今回もいつにも増して微笑ましくて独特の演出効果擬音「ばぼーん」な展開が満載です。ナチュラルに危険な思考に走るフェイトを影ながら心配するエイミィさんと、ヴィータとなのはのコドモな凸凹友達っぷりはもちろん健在ですが、今回一番のヒットはシャマルさんの自虐いじけっぷりが全力全開で炸裂しているデフォルメタッチです。落ち込む時の擬音は「ばぼーん」の活用形「ばぼー」…なんて表情豊かで便利な言葉なんでしょう(^^)安心して独特の行間を楽しめるシリーズとして大推薦!

LYRICAL DEATH NOTE (GRINP) 
「DEATH NOTE」ネタを取り扱った数々のパロディ同人誌を読んできましたが、これほど見事に他の原作要素と上手く融合させた同人は初めてです。フェイトの過剰すぎる「なのはラブ」な想いが、半信半疑でつい犯してしまった小さな過ち…罪の意識は傷心のなのはを独占したい欲求ともに深みにはまって…アリサとすずかの失踪、そして「はやて(L)」との直接対決の行方は…ラストは見てのお楽しみということで。でも、とても「なのは」らしい「GRINPさん」らしいまとめ方であり、読後には「DEATH NOTE」ネタとしてどうだったかなんてどうでも良く思えました。いつものギャグテイストとは一味違った新境地を、是非!

シャマル対メカシャマル (ギコガコ堂
非常に意外なセレクトかもしれませんが、同人界で多分ほぼ唯一、八神さんち最大のボケキャラ:シャマルさん主役の本を出し続ける「ギコガコ堂」さんの新刊です。台詞がないのに味わい深いアットホーム4コマ「しゃまるでございまーす」でファンになりましたが、小作人列伝さん原案の「メカシャマル」とのコラボ外伝的な位置づけで、はっちゃけた今回の熱い戦隊モノなノリもとても面白い。確かな画力とキャラへの愛。作者が心の底から楽しんで描いているのが良く伝わってくる良作です。メロン専売なのでお探しの際にはご用心を。

 2007/01/07(日)  「冬コミ新刊読書目録AAA」

このままではいつまで経っても冬コミ新刊の山が片付かないので、休日を利用して一気に読み進めること連続13時間…ようやく全部読み終えました。あくまで「今手元にあるもの」という意味ですけど…あと100〜150冊くらいは増えそうです。さすがにこれを全部評価するのは無理なので、3段階評価で山を選り分けてみました。

AAA:63冊
AA :64冊
A  :67冊
総数 :194冊

まるで計ったかのように均等に3分割されました。絶対の自信を持ってオススメできるAAAランクでも63冊…多すぎです。さすがに今日はショート感想を書く気力は残っていないので、せめて目録だけでもジャンル別でご紹介しておきましょう。私の趣味嗜好と近いと感じている方であれば、どれを買ってもまず外れを引くことはないと思いますよ。個別の書評は明日以降ということで…


■魔法少女リリカルなのは
・リインフォースを待ちながら (美月亭)
・杖萌え通信RX-78 3 (さうんどすとっく)
・PV13 (ぱるくす)
・LYRICAL DEATH NOTE (GRINP) 
・フェイトのフ?(タマゴ屋)
・リリカルなのコマ2 (タマゴ屋)
・時空管理局本局爆発事件についての報告 (まじっく・すくえあ)
・「闇の書」事件のエース (サークル近衛衆鉄虎第501大隊&Gewalt)
・守護騎士「ヴィータ」 (サークル近衛衆鉄虎第501大隊&Gewalt)
・魔砲少女フェイト・テスタロッサ(サークル近衛衆鉄虎第501大隊&Gewalt)
・Fun Of The Fair (ryu-minBS)
・Forget Me Not (ryu-minBS)
・なのるんです4 (小作人列伝)
・シャマル対メカシャマル (ギコガコ堂)
・これがあたしの御主人様 (赤坂小町)
・レヴァンティン「さん」黙示録3 (まぜもの)
・なのはまんが大王 出張版5 (みはるワークス)
・魔法少女リリカルなのはアンソロジーなのっ!S

■マリア様がみてる
・瞳可南姉妹物語 (美術部)
・そんな場所にいるはずもないのに (鉄棒少年)
・明日も笑って 笑って (羽根屋根) 
・FRAGILE: (TUGUMIX) 
・子羊たちの未来予想図 (マズルカSTEP) 
・放課後の音符 (ティンクルスター)
・ホソカワカナコクロニクル (ティンクルスター)
・雪の吐息 (HONEY DROP) 
・La Rose de Rosine 4 (きむちらうめん) 
・リリアンが大王4 (AQUA MANA)
・薔薇くい姫 (ジュリエット計画)
・真冬に咲く小さなバラ (山猫BOX)
・ずっとあなたが好きだった (ぱわふるここあ)
・未完成とギルト (美彩'd)

■ToHeart2
・詰め合わせてTH2-2 (腰の曲がった空間)
・るーこの世界3 (オレと勝負だ!)
・Secret (MUGEN∞DAI)

■TYPE-MOON
・コハクリコX (経験値ランド)
・せいばりんV (経験値ランド)
・路地裏ブレイカーズ (ひなたぼっこ倶楽部)
・UNI-MIX (UNI-SEX)
・NOVAさっちん総集編 (ぐりーんぺっぱー)

■オリジナル
・チャージ!ふたば4 (ゆ〜のす通信)
・毎日なかよし (TUGUMIX)
・花嫁指南5 (ノースノマド)
・もっとがんばれ美月さん総集編2 (美月亭)
・季節のめいどさん総集編・春夏秋冬 (こもれびのーと)
・毒田モロ男のリッチな生活2006 (モロモロ)

■評論
・ギャルゲーム批評2007年1月号 (O山出版)
・ホール長島耕作のコミケ成功方程式2006 (90分15,000円)
・波状言論号外 (波状言論)

■エヴァンゲリオン
・NEVER END OF その後のEVANGELION (美術部)
・RE-TAKE after (スタジオKIMIGABUCHI)

■その他
・いちご通信EX 17 (さうんどすとっく)
・あなたが幸せそうに笑うから (羽根屋根) 時をかける少女
・あしたのみさきの物語 (STUDIOネロアズーリ) TLS
・ヨネザワヨシヒロによろしく4 (90分15,000円)
・ボスボク (エイジア) メタルギアソリッド
・涼宮ハルひがしんが (ラピュタ帝国) 涼宮ハルヒの憂鬱
・花かんむり (プラチナブロンド) 魔法先生ネギま!
・おにかの (てりやきにくまん) Kanon ※18禁
・お兄様しかいない (てりやきにくまん) おとぎ銃士赤ずきん ※18禁
・オタクとデザイン1 (オタクとデザイン)

 2007/01/05(金)  「過ごし方を忘れた休日」

年末年始の特別夜勤生活も今朝で終わり、久々のフルタイム休暇を1日挟んで、明日から通常通りの日勤に復帰…する予定だったのですが、引越しとコピー本製作もあって12月から全くといっていいほど自由な時間から遠ざかっていたため、普通の休日の過ごし方をすっかり忘れていました。もっとも、100冊以上の同人誌を読みまくるのが普通の休日の過ごし方とは思えませんけど(^^;

そういえば、何気にネットで検索していたら、夏冬と連続して1000冊もの同人誌を買った猛者がいるとの情報を発見しました。世の中上には上がいるものですねぇ…
http://d.hatena.ne.jp/ban-ban/20070102/p1
http://d.hatena.ne.jp/ban-ban/20060815/p1

ペーパーを有効カウントにすることの是非はさておき、彼の御仁も自分のアレさに一定の歯止めをかける意味もあっての集計報告であって、別に数を競っているわけではない、というのは私のスタンスに近いものがあります。興味深かったのはガチのエロオンリー同人というわけではなく、パロディ中心で私の守備範囲とかなり近いこと。もし私が未だに現役でコミケ会場を駆けずり回れる立場であったとしたら、彼の御仁と同じくらい買いまくっていたことでしょうね。

とはいえ現実には、私はコミケでは公務のため買い物を人にお願いする立場なので、1日に頼める量は30件前後しかありません。私のチェックサークルは1300を越えています。そのうち1000サークルが現役でコミケに参加しているとしても、3日間で100件・10分の1しかフォローできない。残り9割を別イベントや書店で補完しているので、私にとってのコミケは一ヶ月近い長期戦になるのです。

必然的に行列必至の大手は諦めるしかないし、ジャンルを丸ごと見切って「増やさない制限」を自らに課しています。私が「ひぐらし」や「東方」や「ラグナロク」に一切言及してこなかったのは、単純に資金調達能力と消化能力の限界という面もありますが、それ以上に「増えた分だけ削らなければならない」葛藤があること、同人の中毒性の高さを知っているからでなのです。

…と、まだ本の山を読み終わっていない端から何を語っているのやら、それこそ間違った休日の過ごし方ではないかと思ったりもしますが… 締め切りを延長しただけで、本を完成させるまで私の冬コミは終わらない、ってことを忘れてはいけませんよ(^^;

 2007/01/03(水)  「なにがヒジの高さまでだ…俺は壁を築いてやる!」


世間的にはお正月三ヶ日の最終日ですが、私はいまだに昼夜逆転した夜勤生活続行中です。この非人間的なシフトも今夜で終わりであり、明日は久々の1日休暇をフルに使って、山積みされた同人誌を読みまくることがせめてもの愉しみです。これでいいのか三十路ルーキー!…とツッコミを入れたくなりますが、虚しいのでやめておきます。

友人の厚意と書店委託を駆使して、現在までに購入した冬コミ新刊を数えてみると…187冊もありました。いつものような買い物メモ形式では写真が何枚あっても足りないので、机に積んでみると…まるで壁。どこの要塞ですかこれは?ちなみに、表題は福本伸行の「銀と金」で使用された台詞です。

しかも、これで終わりではありません。自分で会場を駆けずり回るなら500サークルでも1000でも回りますが、友人に作戦を依頼する以上、行列・混雑必至の大手は軒並み外し、数も絞らなくてはならない。未だに100以上のサークルが書店委託待ちで購入待機状態にあり、さらに新規開拓も加えると最終的には400冊を超える見通しです。

行くぞ所長さん、資金の貯蔵は十分か? GM研の資金調達能力の限界…鉄板の底が見えるまで、買うべし買うべし!特に気になる作品については、明日以降の日記でショートレビューでご紹介していきますね。

 2007/01/01(月)  「あけましては夜の住人」

あけましておめでとうございます。
皆様、今年もよろしくお願いいたします。

…と、夕方7時に書き込むのも妙な感じですね。さすがに20時間勤務で無理やり夜勤のサイクルに移行させるのは、相当無理があったみたいで、さっきまで眠りこけていました。軽い時差ぼけのような感覚です。朝日を受けながら帰宅する時に浄化されそうな気がして、徹夜仕事に耐える体力がなくなっているのを実感。年は取りたくないものです…

寝る前にアキバに寄ってメロン専売の同人誌を確保してきましたが、その道々でやたらと福袋を手に歩く人々が…しかも、ソフマップの20070円福袋とか、ヨドバシの5万円自転車セットとか、極めつけはアソビットの3種の神器(DSLite、Wii、PS3)13万円。それは割高なのではなかろうか?福袋商戦にはちょっぴりだけ景気回復が実感できたのかも。

その帰り道、ヨドバシの近くでGP-KIDSさんのレーシング仕様車(メーカーステッカーが貼りまくってあり、ひと目でわかる)を偶然を見かける。これは新年から縁起がいい…のか?

コミケ荷物の整理もまだ覚束ない状態であり、新年の作家さんへのご挨拶の時間も取れない状態ですが…夜勤生活3連荘、張り切って行きまっしょい!