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 2007/03/31(土)  「(ネタバレあり)あなたを探しに」

ようやく公式の発売日を迎えた、マリみて公式新刊「あなたを探しに」。これで心置きなくネタバレありの感想が書けるというものです。とはいえ、表紙を飾った祐巳ちゃんと瞳子の2ショットを見れば、今更何を伏せるもあったものではありませんが(^^;誰好きとかの枠に限らずに楽しめる・応援できるのがマリみての面白さであり、今回も意外な人が株を大きく上げましたよ。おっと、これ以上はネタバレなので回避回避…

以下、ネタバレ全面解禁した感想です。
まだ読んでいない方は回れ右して本屋にGO!

※空白部分を選択反転させてお読み下さい。
今作を一言で形容すると「夜明け前」です。暗く長く冷たかった夜がとうとう終わろうとしている。明るく温かい朝日がゆっくりと心の壁を溶かしていく。ドラマチックというにはあまりも静かであまりにも自然なラストシーン。そこには「妹オーディション」から丸2年間に渡ってヤキモキしてきたわだかまりは微塵もなかった。もう形式なんて問題じゃない。二人の心は確かにつながった。その絆はもう姉妹(スール)と呼べるものだったから…「次」を待つ気持ちは今までとは違うはず。今はただ、これからの彼女たちの笑顔が幸せでありますようにと願うばかりです。

(マズルカSTEPさんの「瞳子おめでとう本」のGOサインがどうなるかは、一応参加申込をしている端くれとしては気になるところですが…)

さて、どうしても贔屓目で紅薔薇さんちを中心に読んでしまいましたが、由乃さんと志摩子さんのバレンタインデート編もとても面白かったですよ。サブキャラなのに登場する度に株を上げてきた田沼ちさとさんが、とうとう由乃さんの友人的なポジションまで獲得。「私は、いくらでも由乃さまとデートできますもん」と殺し文句を言ってのける菜々といい、黄薔薇さんちの意外性は物語のいいスパイスになっていますね。

一方、物語のアクセントと言えるのが白薔薇さんちの謎掛け。白薔薇カードの在り処については予想通りでした。ヒントが多かったとはいえ大方の読者が正解だったようです。今野先生が募集していた「正解よりも正解らしい不正解」はまだ現れていないようですが…「わけありの一年生」のトリックは「二人にしては多い食材」のあたりで分かりましたが、改めて読み返してみると「わけあり」と最初から情報を与えておくことで、疑うからこそ起こしやすいミスリードの罠がちらほら。純粋に文章書きとして感服しました。

ただ、この三薔薇の蕾たちの3つのデートを同時制で描いたのは、好みの別れるところなのかもしれない。キャラクターだけに絞った読み方をする人には、めまぐるしく切り替えられる場面にストレスがあるかも。でも、この回に限って言えばこの飛び飛びの構成は必然だったと言えます。小説ではよく「行間を読む」と言いますが、今回の話しは時間の経過を含めて個々の場面を「省略」することで、客観的に振り返る余熱のようなものだけを書いていることで想像の余地があり、与えるイメージも上手くコントロール出来ているのだと思います。そういう進行形の前置きがあるからこそ、紅薔薇さんちの一大事にも、読者は構えず力を抜いて臨むことが出来た…というのは難しく考えすぎですか?そうですか。

ただひとつ疑問だったのは、バレンタインイベントの時に鬼の形相で薔薇の館に飛び込んで来た瞳子が、なぜそこまで焦る必要があったのか?という部分の種明かしがなかったことです。個人的な予想としては、可南子が瞳子を炊き付けるような何かが、あの空白の時間にあったと予想しているのですが…まぁ、たとえそうだったとしても、今回のお話には場面設定上入れる余地はそもそもありませんしね…次巻がいきなりロザリオの授受から始まるわけでもないだろうし、その辺の伏線にも期待できる…と思いたい!

マリみての発行ペースで考えると、次巻は3ヶ月後…6月末が有力です。昨年と同じスケジュールであれば、夏コミ前合わせでイラストコレクションのような企画モノを挟んでくる可能性もありますね。この先は祥子様の卒業、菜々の入学と楽しみな展開が待っていますが、今はとりあえず何を置いても本音としては、由乃さんの言葉のとおり、「さっさと、イチャイチャとかイチャイチャとかイチャイチャとかイチャイチャとかしなさいよ」ということで(^^)。瞳子おめでとう本企画がいつ正式稼動しても対応できるように、ラフの準備くらいは始めておきますね。

 2007/03/30(金)  「なのはStrikerSサウンドステージM」

メガミマガジン5月号の付録、なのはStrikerSのオリジナルドラマCD「サウンドステージM」について。テレビ放映開始前の導入部を兼ねた自己紹介といった内容なので、シリーズのファンはこれでしっかりと予習しておきましょう。これまで先行公開されてきたコミックスや制作サイドのインタビューから類推できる範囲の内容であり、これといったサプライズがあるわけではありませんが、こうして改めていつものメンバーの声を聞くと、じんわりと気持ちが盛り上がって来ますね。新キャラのスバルとティアナの声も初聞でしたが、イメージ通りで若者らしく元気がいい役ドコロにぴったり。エリオとキャロの声はリリパIIIのレポート待ちということで。

■声の印象
なのは:
特に何も変わらず。19歳にしてはぽややん?
フェイト:
落ち着いたオトナな声質に。でも不器用で奥手なのは相変わらず。
はやて:
元からしっかり者の性格だったので、変化はなくとも年相応に?

■設定ネタ
なのはの部隊「スターズ分隊」の副隊長にヴィータ、
ファイトの部隊「ライトニング分隊」の副隊長にシグナム。
…美味しい設定だ!
ユーノはたまたま鉢合わせる程度の扱いらしい。
もちろん、なのはとの進展なし!(もちろんなのかっ!)
エイミィとその子供たち…って、子供二人(双子)手が早いクロノ。

■ストーリー予想
はやてが新たに立ち上げた特定ロストロギア専門部署「機動六課」に、なのは・フェイトの両エースが出向してきて、10年ぶりに3人が共同戦線を張るところからスタート。新人として入隊してきたスバル・ティアナ・エリオ・キャロ(新世代四人組)も合流して出会い・出会い・出会いの連続で慌しく賑やかにスタート。過去のエピソード(スバルがなのはに憧れるきっかけとなった事故や、エリオたちがフェイトの被保護下に入ったわけとか)を後づけで紹介していくことによって、前作を知らない人にも「隊長三人衆」がなぜ皆から尊敬され慕われる存在なのかを浸透させて行く流れになると思われる。尺が許せば1キャラにつき1話くらい使いたいところだが、導入部であまり間延びしてもナニなので、ある程度分散させた入れ方にはなると思うが…

コミックス版でも語られたロストロギア「レリック」が物語の最大の鍵になるようだが、聖王教会や時空世界の政治的・軍事的背景や未だに語られることのない「空白の歴史」などなど…設定面での謎をどう絡めてくるのか興味深々。どう考えても1クールに収まるような内容ではないので、2クールは大正解でしょう。でも、2クールだと夏コミにはネタが間に合わないかも知れないので、なのはサークルにとってはネタのチョイスが難しくなるかも。でも、それを含めて読み手としては楽しみなのですが(^^;

■ちょっと苦情
「Service Temporarily Unavailable」を連発する公式サイトのサーバー環境は、もう少し安定したものにした方がいいと思います。あと、フィギュアのクオリティ審査はもっとハードルを上げた方がいいと思います(StrikerSなのは…あの表情はないだろう)。あぁ、はやてもシグナムもヴィータも結局フィギュア化されないまま終わってしまうのだろうか…ワンフェスで買ったガレキを頑張って塗装して組み立てろってことですが、マニアの神様?

 2007/03/29(木)  「今月のきららキャラット」

すっかり恒例ネタになった、まんがタイムきらら&キャラットの自分内番付。レビューの素体にもできるのでネタ的には助かっています。需要があるんだかないんだかは良く分かりませんけど…それでは、ぷっすま並にぐだぐだな前置きはこのくらいにして、早速キャラット5月号のランキングをどうぞ!

 1 GA
 2 HR
 3 火星ロボ大決戦!
 4 教艦ASTRO
 5 ひだまりスケッチ
 6 ドージンワーク
 7 とらぶるクリック!
 8 ハッピーとれいるず!
 9 ことゆいジャグリング(最終回)
10 ちびでびっ!
11 雅さんちの戦闘事情
12 からハニ
13 帝立第13軍学校歩兵科異常アリ!?
14 つくしまっすぐライフ

単行本購入基準を満たしていたのは29本中14本で、打率に換算すると.482。5割ジャストだった先月より数値上では下がっているものの、ランキングの常連だった「まゆかのダーリン」と「ひめくらす」の2本が休載しているにも関わらず、同じ14本を維持できているので、決して質が下がっているわけではない。連載誌増加によるローテーション的な休載は今後も増加していくと予想されるので、そのチャンスを生かして新人やゲストの中から飛び抜けた才能が中々出てこない状況があまり長く続くようだと、雑誌生命を縮めかねない懸念も…正直言ってセンターカラーで押すべき作品のクオリティには疑問がないわけでもないのだが…

そんな中、岬下部せすな先生の「ことゆいジャグリング」が最終回を迎えました。ちょうど単行本1冊書き溜めたタイミングということもあるし、当初から短くキレイににまとめる意図で作られたストーリーだったので、気持ちを切り替えて次回作に期待しましょう。最終回の懸念もあった「HR」は次号から新章突入が決定。「教艦ASTRO」は新学年編だけど職員室はいつもどおりだし、「雅さんちの戦闘事情」は新展開で伏線をうやむやにする大技を披露…というように、常連連載陣も新たなスタートを切った春改変。安定したネタをこれからも楽しめるのはありがたい。

今月は各作品個別の選評は割愛しますが、上級生組とのクロスオーバーではなく、久々にオリジナルメンバーのみで進行する闇鍋ネタが面白かった「GA」。とらのあなの無料冊子「とらだよ」の画材置場に上級生組が出演しているので、未チェックの方はそちらも合わせて読むよろし。「HR」の展開は文字面だけを見ればベタだけど、その仕掛けがキャラの個性から自然と出るものだったので、純粋に良かったねと言える読感に仕上がっていた。高校生編も楽しみです。「火星ロボ大接戦!」のすっとこどっこいなノリは、あい変わらず想像を絶している。やはりペンギンコマンダーが絡むと斬れ味が違いますな。同人から足を洗う宣言が飛び出した「ドージンワーク」。染み付いたオタクの性と親バレ。この痛い展開をどうギャグに仕上げられるかが、今後この作品を冷静な目で評価する上で重要なポイントになるかと。

 2007/03/27(火)  「マリみてレビュー3連荘」

2006年11月末に書いた「涼宮ハルヒの憂鬱」以来、沈黙を守り続けていたGM研の正規レビューでしたが、4ヶ月ぶりに活動を再開しました。しかも中1日で3連荘という信じ難いハイペースです。その3本とは、以下のマリみて同人誌です。

ホソカワミラクルクロニクル」 ティンクルスター
瞳子ライブラリー」 マズルカSTEP
薔薇の蕾の紅茶会」 TUGUMIX

いずれも、私が数年来のファンを続けてきた大好きな作品ばかりであり、GM研通信vol.6のレビュー128選+1に収録を予定しいて、沈黙期間中に水面下で原稿を進めていたものです。今回、コスカ・マリみてオンリーとイベントが続いていたので、日頃親しくしていただいている作家さんたちへの手土産は何かないものか…と色々考えた末に、自分にしかできないプレゼントがあることに思い至った次第です。

急な思いつきだったこともあり、すべての作家さんにお渡しできるには程遠く、3本を間に合わせるのが精一杯でしたが、会場で原稿をお渡ししてとても喜んでいただけたことは、ネットのみのレビューでは決して味わうことのできない感慨がありました。この思い入れたっぷりの良作と、その良作を育むサークルさんの他作品にも触れる機会が増える、微力ながらその一助となれれば幸いです。

ちなみに、vol.6のレビューは作品を要約したキーワードを事前に準備しておいて、国語の例文作成問題の如く文脈を一気に練成する前代未聞の書き方をしていて、とりあえず文字面だけ埋めたラフレビューであれば、1日3本のペースで量産されています。しかし、ここから完成原稿になるにはさらに3日がかかります。3日原稿に掛かりきりというわけではなく、読み直しては書き直しを繰り返します。その日最高だと思っていたものが、翌日になって冷静に読み返すと全然面白くなかったりする。推敲を重ねるという微調整ではなく、昨日の自分を超えるための格闘技に感覚は近いですね。放っておくと無限に煮込みかねないので、即売会でのお土産という短期的な〆切があるのは進行上とてもありがたいものなのかも。

今回のレビュー許諾はweb用で申請しているものではないので、vol.6に収録する作品のすべてをweb版で先行公開することはできませんが、夏コミ発行までの間、GM研がレビューサイトであることを忘れられないように、定期的に更新していきますね。

さて、今夜は「きらきらアフロ」で一息入れてから、やれるところまでやってみましょうか…

 2007/03/25(日)  「秋葉原買出し紀行」

最近は完全無欠のビジネスマンスタイルで通うことの方が多くなっている秋葉原ですが、本日は珍しく即売会のない週末ということで、珍しく完全プライベートでお買い物。といっても、巡回ルートはいつもの通りですけどね…本日の買い物リストはこちら。

・セガのゲームは世界いちぃぃぃ!3
・鋼の錬金術師(16)
・Fate/stay night(3)限定版(西脇だっと)
・夏の魔術(上)(下)(ふくやまけいこ)
・まんがタイムきららフォワードvol.6
・まんがぱれっとvol.5
・奥華子「TIME NOTE」
・コードギアスDVD(3)
・クモハ通信(1)(さうんどすとっく)

セガのゲームは世界いちぃぃぃ!3
実に5年半ぶりの単行本化。あまりにも前巻からの間隔が長すぎたため、ネタの大半が既に昔話になってしまっていますが、それがますます猛毒風刺自爆ギャグの悲哀を強めているように感じるから不思議なものです。大神隊長にも読ませてあげたかった…と青森方面を向いてしばし黙祷。脳内変換トゥルいちを楽しむマニアックな読み方も?

Fate/stay night(3)限定版(西脇だっと)
本編は原作通りに丁寧に進んでいるので特にコメントすることはありませんが、限定版のライダーさんの胸像は、凛・イリヤに比べて自立しづらいように思えるのだが…気のせい?おまけ本の方はアンソロのような切れ味はないものの、おまけとしては中々読み応えあり。ヒロユキさんのブルマネタはよくネームが通ったものだと不思議だったりもしますが…

■まんがタイムきららフォワードvol.6
和風メイドの代名詞「こもれびのーと」のもみじ真魚さんの連載がついに開始。このクオリティを月刊連載でコンスタントに出せれば、新たな看板漫画になりそうな予感大。フォワードはストーリーマンガ誌なので、きらら本誌とキャラットで恒例の自分内格付けは行いませんが、なぜかフォワードで唯一連載されている、引きこもり誤認4コマ「据次カタシの憂鬱」が密かにお気に入り。連載陣から浮いている印象はあるが、4コマ誌で埋もれるよりは遥かにいい。そういう戦略なのか?

奥華子「TIME NOTE」
アニメ賞を総なめにしている「時をかける少女」ですが、その主題歌「ガーネット」がアルバムに初収録された極上の1枚。他の楽曲も時かけテイストが色濃く感じられ、脳内には勝手に「時かけ」に当てはめたifストーリーを作ってしまいそうになったり。初回特典のDVDには、「時かけ」のノンクレ歌詞付きEDとDVD告知映像を収録。4月末のDVDが待ちきれない方はこれを見て我慢しましょう。

クモハ通信(1)(さうんどすとっく)
なぜか女性向けが大半の「HARUコミ12」発行だった、ごく一部の地域で待望の久米田本を書店委託でゲット。絶望先生のアニメ化!そしてアニメ化情報再々削除という、あまりにもタイムリーな時期での発行であり、その時点ですでにネタとして勝利しているような気がします。原作にはいつも黒さギリギリな小ネタと痛すぎる自虐ギャグが満載ですが、この本にも黒さと痛さが精神レベルで見事に再現されています。このネタがそのまま本誌に載っていても違和感は全くない。ただし、ネタが危なすぎてさすがの絶望先生でもNGでしょうけど…まさに作中のネタの通り、この同人誌を書いたこと自体が「黒歴史」になりかねない。さらに、ゲストの美月さんの乗っ取りネタに対して、奥付を本当に乗っ取らせてしまい、手書き斜線で訂正記載する手の込み様…久米田パロディとしてこれ以上望むべくもない、会心の一撃とも言える傑作だと思います。

 2007/03/23(金)  「「読み逃げ」?バカバカしい」

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0703/20/news042.html

最近一部の地域ではこんな暇な話題で盛り上がっているらしい。のっけから誤解を招きそうな表題とトゲのある出だしですが、なぜこんなことが問題視されるのか理解に苦しむ、というのは正直な気持ちであり、まともに論考する気にもなりませんが、ITmediaの記事を日本語の通り読めば、「読み逃げ」なる概念が招くデメリットの大きさに気付くに至ると思いますが、感情で動く人には言っても詮無きことなのでしょうね。

少なくともマイミクさんの反応は「読み逃げ?そんな考え方ってあるんだ」というのが大多数でしたが、これは昔からHTMLでホームページを運営してきた人が多いからなのかもしれない。HTMLベースのホームページでは、誰がどう見ているかを知る術は、カウンタかアクセス分析くらいしかなく、読んでくれる人にリアクションを求めるという習慣自体がなかった。せいぜい、掲示板やチャットの中での限定されたものでしか直接的な接点はなかった。

しかし、ブログ時代になって誰もが何の苦労も工夫も目的もなく情報を手軽に発信することができるようになり、さらに手軽にトラックバックで書き込みができるようになった。さらにそのやり取りを集約して巨大なシステムへと成長させたのがSNSの代名詞となったのがmixiと言える。30代以上のネット人の常識は若者との間には、すでに二世代に近いくらいのジェネレーションギャップが生じているのかも知れない。

マイミクさんとの交流は楽しい。ホームページだけでは実現できなかった多くの喜びをくれるツールです。コメントをいただいたらなるべくコメントを返すようにはしていますが、それも私の場合はまだマイミクさんの人数が少ないから出来ているだけであって、50人100人ともなればそうは行かないでしょうね。mixiに限らずSNSで頻発している「燃え尽き症候群」「情報中毒」のように、楽しさが重荷になってしまったら、せっかくの便利な交流ツールも意味を失ってしまいます。SNSは魔法の道具ではないし、情報の先にいるのも自分と同じ人間だということに思い至れば、「自分がされると嫌なこと」と同等に「相手がされると嫌なこと」にも自ずと行き着くはずなのですが…

別に道徳を説くつもりはないけど、相手に何かをもらったらお返しをしたくなるのは人情であって義務ではないし、「あげたから何かをくれるのは当然だ」と強要すのはあまりにも人を見下した考え方だと思う。よく「ギブ&テイク」という言葉を都合よく解釈する人がいるようだが、これは本来与えたものに対する見返りを期待する辞書的な意味のものではなく、相互の感謝と善意から自然に成り立つ関係を意味するものである。理由がなければ誰かに何かをあげてはいけないのだろうか?そんな無粋な世の中はごめん被ります。

論考というにはいささか感情的でお粗末なものですが、これが私の嘘いつわざる気持ちです。確かに、他者とのつながりと認識の中で初めて人間は存在しうるのですが、すべての答えを自分の外に求めようとすることは、それは考えていないのと同じであり、生きているとは言えないと思う。GoogleやWikiであらゆる情報が手に入る時代だからこそ、すでに自分は多くのものを世界中の人たちから与えてもらっているのだと考えれば、特定の個人に対して見返りを求めることが、いかにちっぽけな考え方なのか分かるはずなのですが…

私は教育者でも何でもないけど、最近の若者の短絡的な思考が”世界の小ささ”に根ざしているのではないかと思う。あらゆる情報が居ながらにして動画で手に入るこのご時世では、自分の目で肌で世界を感じようとは思わないでのでしょうねぇ…世界は美しくも残酷なものであり、人間はあっけなく死ぬ。そして、人が生涯の内で本当の意味で向き合うことのできる者の数は一握りでしかない。そして、そのつながりの確かさを実感するのはとても難しい。求めるのではなく与え続けること。だからこそ、惜しまれて逝った先人達の理想は、今もなお多くの人々の心に生き続けるのでしょう…


と、ヒジョーに話が大きくなってしまいましたが、簡潔にまとめると、せっかく便利なツールなのに、そんな些細なことで揉めるのは勿体無い、ということです。価値があるのは情報そのものではなく、その先にある人とのつながりそのものであり、読んでもらえるだけで嬉しい。コメントがあったらもっと嬉しい。そうシンプルに前向きに考えれば、「相手が喜ぶことをしてあげたい」という見返りを求めない行動が自然に取れると思うし、その気持ちは相手方にも自ずと伝わるのだと思います。


他人の善意に期待するのは青臭い考え方なのかも知れませんが、そのくらいの希望がないとやってられない世知辛い世界ですから(^^;

 2007/03/21(水)  「子羊たちの春休み2&きらきらトリコロール3」

本日は、都産貿浜松町館で開催された、同人誌即売会「子羊たちの春休み2」と「きらきらトリコロール3」に一般参加してきました。18日のコスカから中2日の祝日開催というハードなスケジュールでしたが、いずれのイベントもサークルさん・一般ともにモチベーションが非常に高く、春のイベントラッシュを締めくくるに相応しい盛り上がりのあるイベントだったと思います。

朝8時に現着。この日は他にも「おとボク」「はぴねす」「キミキス」「(よくわからないオリジナル)」なども併催されていましたが、私的には「マリみて」と「きらら」にしかお目当てのサークルさんがいなかったので、5Fだけの対応でラクチンでした。とはいえ、マリみての参加者がダントツで多いというわけでもなく、意外と元気だったのが開場前にカタログが完売していた「準にゃん足りてる?」。陣容が薄すぎると懸念していた「おとボク」と「キミキス」を共通入場とすることで、それなりの勢力を確保していたみたい。オンリーイベントにも再編統合開催の動きが?参加する側にとっては好ましいことですけど、理念や特色が薄れる懸念も?

特にこれといったアクシデントもなく11時に開場を迎える…はずだったのですが、5Fの入り口シャッターが故障していることが判明。急遽、お隣の「きらトリ」と共通の入り口を使って中で分岐させる手法で代用することに。結果的に両イベントの風通しが良くなったとも取れますが…オープニングミッションは、考えるまでもなく「美術部」さんへ。マリみて文庫本の表紙をカナコ風にアレンジしたカバーを無事にゲット。開始早々の行列になるのも納得のこだわりとクオリティにはいつも頭が下がります。このカバーを使って公式と並べて本棚に飾るために、公式の対象巻をもう一冊ずつ調達したくなってきました。

その後は、事前に収集していたコピー本情報を元にして作戦を進行。勝手知ったるマリみてサークルさんばかりなので、遅刻や時限やスケブ可否の傾向を含めて熟知していて、今更作戦に苦慮することなどないように思われるかも知れませんが、「数」の増加だけではなく「質」の向上を目指し始めると、時間もお金も気力も足りることはなく、常に激しい取捨選択を迫られることになります。生き馬の目を抜くコピー本争奪戦を単独ミッションで切り抜けるには、それ相応の経験が必要だったりするわけですし、最近は本を買うよりも優先すべきプライスレスな行動に価値を見出しつつあります。マズルカSTEPさんとTUGUMIXさんへの「お土産レビュー」もそのひとつです。喜んでいただけていることの実感は、物書きにとってこれ以上のないパワーになりますから!

話が逸れそうなので話しを戻しましょう。まだすべての本を読み終わったわけではありませんが、マズルカSTEPさんのコピー本「「あなたを探しに」妄想予想本」がツボにはまりました。公式新刊が出てからでは絶対に描けないネタですから。TUGUMIXさん恒例のオマケ裏表紙漫画が2冊の新刊に渡る続きモノになっていたり、新規開拓で学術系本「「マリみて」解題の試み」の深く論考に頷いてみたりと、冊数以上に充実感のある本が多かったですね。その中でも最大の収穫は、K2 Corp.さんの祐巳&瞳子のコンビ色紙です。3月末の公式新刊を迎えるにあたり、これほど似つかわしいテーマはありませんから。

ちなみに、途中でお隣のイベント「きらきらトリコロール3」にも参加してみましたが、きらら+トリコロ総合イベントとしては、原作のマイナーさを考えるとこれは相当な規模だと思います。オールジャンルのイベントではとても机に並ばないようなマイナーな作品のパロディが、ここでは暗黙の了解でコミュニケートされている。関西に活動の拠点を置く「4コマ小町」の常連さんも関西からこぞって遠征して来ていたし、誰とは書けませんが、きらら系に連載している作家さん本人がこっそりと会場に遊びに来ていて、アフター用にサイン入り単行本を提供していったりと、このイベントが支持されている理由が良くわかりました。芳文社の二次創作に対するスタンスが微妙なこともあり、次回開催は微妙なのがちょっと残念なところですが…

マリみて系イベント恒例?のアフターイベント(ジャンケン大会)では、ネタの応酬と微笑ましい熱戦が繰り広げられました。ノンアルコールのお酒「お米姫」とか、銘菓どじょうすくい饅頭の祐巳ちゃんバージョンとか、福沢姉弟中心イベント「子だぬきたちの秋休み(ネタ)」とか…特に面白かったのは、ティンクルスターの藍川さんによる、バスケットボール型の色紙を使って当選者の目の前で一発描きするというもの。ジャンケンに弱い私は敗退しましたが、勝ち抜けた読者さんの喜びっぷりは、同じファンとして微笑ましいものを感じたし、その後、藍川さんがジャンケンで勝ち抜いて色紙をゲットした時に、この日一番の祝福の拍手が巻き起こったのも含めて、これこそオンリーならではで他では得難い良さなのだと思います。


本日の収穫は、子羊2で38冊・きらトリ3で16冊の、合計54冊でした。コピー本も多かったけど、オフセットの発行率も高くて、アフターイベントへの出席者も各200名近くもいて、サークル・一般ともに高い参加意欲を損なうことなくイベント運営が出来た結果と言えるでしょう。子羊2アフターの最後の締めは、主催さんによる感慨に満ちた挨拶と、スタッフ一同への労いの拍手でした。こうして手本になるようなイベントを経験した人が増えていくことで、他のイベントもレベルアップしてくれればと願っております。

 2007/03/18(日)  「コスチュームカフェ18号店」

本日は、都産貿(浜松町館)で開催された、制服系同人誌即売会「コスチュームカフェ18号店」に一般参加してきました。9年18回の実績が物語るように、コスカは個人レベルでの総合オンリーイベントとしては最大級の規模であり、スタッフのモチベーションも高く常に安定したイベント運営を行い、そしてコスプレイベントとしても愛されている同人誌即売会です。

コスカの一般来場は朝8時以降と規定されているが、連日3月とは思えない寒さが続いている中で、待機列で3時間過ごすのはさすがにキツイし、なぜか私の嗜好は難易度の高い大手さんとは全くと言っていいほど縁が無いので、ちょっとゆっくりめの朝9時前に現着するように予定を組みました。浜松町駅に改札をくぐると、思い掛けない「おはようございます」の声に振り返ると、そこにはマイミクさんが。ここのところ即売会ではすごい頻度でお会いしていますが、こうして会場外でお会いする嬉しい偶然はなかなかありませんから。待ち合わせのご相方とも合流して、歩きながら会場までしばし歓談。今日は朝からツイている。何かいいことがありそうです。

コスカの待機列は、3Fと4Fのフロアごとに列を分けるのが通例になっていて、私の場合はチェックサークルの9割が4Fに集中しているので迷い無く4Fの列に並びましたが、これは4Fは一般・3Fはエロというようにジャンル分けがされているため、自然とそういう偏り方になるだけで、両刀の方には単独ミッションは非常に厳しいイベントなのかも知れません。当日製本の時限コピー本も多いので、早く行ったからといって有利になるわけでもないですしね。

気温は低いものの陽が照っていたので、開場までの2時間で体調を崩すこともなく、つつながく開場を迎える。いつものように整列したメイド隊(スタッフ)の「おはようございます」の声に迎えられて、いざ開戦!時限コピー本になりやすいサークルさんも経験で見極めがついていたし、スケブの依頼を含めて珍しく作戦立案どおりに行動できました。コスカには普段のオンリーではあまり見かけないサークルさんによる、コスカでしか出展していない作品との出会いも楽しみのひとつです。特に「STUDIOぶんぶん」の飲食店系制服イラスト本「かわいい制服倶楽部」シリーズは、ほとんどコスカ発行のコピー本であり、今回でとうとうvol.20に到達しました。関東引越しで関東圏のレポートが今後増える事を期待しています。

その後は折を見て挨拶回り。4日遅れのホワイトデーというわけで、ティンクルスターの藍川さんに「ホソカワミラクルクロニクル」のまだ書きかけのレビュー原稿をお渡ししました。大変喜んでいただけて、イベント前日に書き上げた甲斐があったというものです。たまにはこんなお土産もいいものですね。web公開前に仕上げで細かい調整を入れるので、水曜あたりには公開できるかと。

12時30分、ようやく買い物が一段落したので、コスプレ撮影のカメラ登録を行うことに。私には普段写真を撮る習慣はないし、これまでのコスカでもコスプレ撮影にはノータッチだったわけですが、某マイミクさんのシャーリー&執事姿に触発されて、約7年ぶりに撮影に挑戦してみることに。カメラ登録料が500円、首から下げるホルダーが100円。ホルダーは次回のコスカでも使用可。一眼レフの巨大な高級デジカメや、携帯レフ板を持ち込む猛者揃いの中で、携帯カメラの画素数にも劣る7年前のデジカメはちと情けなかったりもしますが…

それに、写真をお願いするにも結構度胸が必要です。コスカの場合は、コミケのコスプレ会場のように複数のカメラがやたらめったら撮影するわけではなく、自主的に列を作って一人ずつ待つ方式なので、私もそこに便乗して並んで何人か撮影させていただきましたが、特にリクエストがなくても表情を決められるレイヤーさんたちは、ある意味でプロフェッショナルだと思います。撮影者がガツガツしていないので、レイヤーさん同士や仲間内での和気藹々とした雰囲気があるもコスカ・コスプレの魅力です。あまりにも似合いすぎるシャーリーさんと、某執事長と某マスターの2ショットの画をいただけて大満足でした(^^)


本日の収穫は42冊でした。いつもどおりコピー本の比率が高かったけど、初の3月開催の影響はあまりなさそうです。むしろ、2月サンクリとGW前イベントやオンリーイベント激増の狭間で、より難しい時期にあたってしまったのかもしれない。それでも、コスカならではのイベントの充実ぶりと参加者のモラルの高さもあって、閉会までがこれほど短く感じられるイベントも珍しいと思います。今後も19:30〜23:30というかつて無い時間帯で「夜のコスチュームカフェ」という新しい試みを提案するなど、まだまだコスカの躍進は続きそうですね。新興のオンリーイベントもコスカを手本にして、参加者に愛されるイベントへと成長して行って欲しいものですね。

さて、3日後の水曜日にはマリみてオンリーで再び都産貿通いです。

 2007/03/16(金)  「京アニCLANNAD制作発表」

http://www.bs-i.co.jp/clannad/

BS-i公式ページで数日前にアニメ化情報がフライング掲載されて速攻で削除された経緯があったので、遠からず正式に発表されるだろうとは予想はしていましたが、やっぱりあった「京アニ保険」。AIR、Kanonに続いて、CLANNADも京都アニメーション&BS-iの黄金タッグでのTVアニメーション制作が正式に発表されました。これで、劇場版「あしたのCLANNAD」がどんな出来になろうとも、心穏やかにスルーできそうです。なんだかんだ文句を言いながらも劇場版も観ると思いますけど、少なくともグッズにつられて予約券を4枚も買うような愚かな事はもうしませんけど(^^;

それにしても、最近の京アニのオーバーワークぶりは傍から見ていると心配になってしまいます。未だに発表されないハルヒの第二期シリーズの待望論は強まる一方だし、京アニクオリティに対する世間の信頼は、もはや信仰に近いものさえある。そんな状況下にあって、複数の制作ラインのクオリティを落とさずに、しかもほとんど残業をしないスタジオ運営って一体…クリエイターとしても、ビジネスマンとしても興味深いものがありますね。

放映時期の発表はなかったものの、京アニのスケジュールと照合すると、2008年1月の改変期あたりが有力かと。ただし、ハルヒの動向如何で前後しそうですが…

いずれにせよ、BS-iは我が家のテレビ環境では視聴できないんだよなぁ…DVD化を気長に待つしかないのか…いっそのこと、BSアンテナを導入してしまうか?

 2007/03/15(木)  「神戸計画」

来月8日に神戸で開催される「なのフェス2」に向けて、交通機関をチェックしてみる。伝説のオンリーイベントとなった第1回なのフェスから早一年…第2回は即売会など滅多に開催されないアウェイ神戸の地での開催なのに、なのはオンリー史上最大規模:230ものサークルさんがこぞって参加を表明するというお祭騒ぎ、これは見届けずには居られまいて!

だが、やはり神戸は遠い…朝イチの新幹線に乗っても、三ノ宮に到着するのは朝9時。徒歩を入れると現着は9:30か…もし今度も入替制のイベントだったら整理券さえゲットできないかも。年齢的にキツイけど夜行バスもシミュレートしてみたものの、前日の仕事が夜10時に終わる保証はどこにもないし、スーツ姿で仕事場から直行するのも…あ、そういえば去年も夜勤明けのスーツ姿で駆けつけたんだった。なのフェスには何か因縁でもあるのだろうか?

おっと、その前に今週末のコスカの作戦立案も始めておかねば…

 2007/03/14(水)  「量産開始!だが、しかし…」

未だにvol.6の制作進捗パーセントを出せない状態が続いていましたが、ようやく具体的な執筆の段階に入る準備がすべて整いました。今まで何をしていたかというと、別に遊んでいたわけではなく、ひたすらデータや材料を揃える基礎工事のようなものをしていたのです。129本のレビューを1日1本書いたとしても129日…これではいつまで経っても本は出せない。そこで、今回はまったく新しい文章の書き方にチャレンジしています。

その素体となるのが、レビュー対象となる作品ごとにびっしりと書き込まれたエクセルファイルです。3つの段落のキャッチフレーズと、作品を形容する20個前後の特徴キーワード。これらの素材を元にして、執筆時に論旨をアドリブで膨らませて行くことでGM研の正規レビューは書かれているのですが、その流れを事前にすべてのデータをそろえておいてシステム化することで、1日3本以上の量産体制を実現!…しようとしたのですが、何分初めての試みなので試行錯誤の連続で…ようやく量産開始の目処は立ちましたが、別の要因で発行は遅れるかも知れません。

大変お恥ずかしい限りですが、次の夏のボーナスまで制作資金を用立てる目処が立ちそうにありません。今回の仕様の本を実現するためには約40万円にも上る資金が必要になると試算しています。5%のコスト増を覚悟の上でクロネコ@ペイメントでローンを組む非常手段は、@ペイメントの利用上限額が30万円であるため今回は利用できません。また、部数の読めない評論ジャンルゆえ、書店からの事前発注にも大きな伸びは期待できない。とはいえ、発行部数を抑えるととてつもない原価の本になってしまう。個人的にも文字ベースの本は1000円がギリギリだと思うし、黒字だと税金が厄介だし、赤字だと同人購入資金にも影響が出てレビューの供給源が途絶えてしまう。

夏コミまで発行を延期する以外に選択肢はないと分かっていても、多くの読者様や作家さんに約束をしてきた身としては、あまりにも心苦しいものがあります。仏の顔も三度まで…今度こそ見捨てられてしまうかもしれない。確かに私は文章を職業にしているわけではないけど、遊びだからこそ妥協はしてはいけないし、どんな状況であっても楽しむことを忘れてはいけないとも分かっている。これは理屈と計算と根性論だけで超えられるようなヤマではないし、それにこれがゴールというわけでもない。元より転職した時からこの身を同人界の発展に捧げると誓った身なればこそ、そのオタクな人生に一片の悔いなしと思えるように、いついかなる時でも笑顔でいよう。苦しい時こそニヤリと笑え!いつか、「最高の場所」にたどり着くために…


というわけで、vol.6の発行は夏コミまで延期します。お待たせする代わりに、読者の皆様には何らかの形で途中経過を楽しめるプレ版配信も検討していますので、あとしばらくどうかご容赦のほどを…

 2007/03/12(月)  「ハヤテのごとくショートアニメDVD」

週刊少年サンデーの誌上応募者全員サービスをやっていた、ハヤテのごとくのプロモーション用DVDが届きました。代引きでもないのに「料金後払い(490円)」という世にも奇妙な手法であり、未収の場合はどう対応するんだろう?とその手の仕事をしている人間としては思わないでもないが…エライ会社の考えることはよく分かりませんな。

で、肝心の内容について。6分程度のショートムービーで内容の良し悪しを判別できるものではないけど、あまり名を聞かないスタジオだが、とりあえず動画は及第点。声のイメージもキャラに合っていると思う。正ヒロインなのに、公式人気投票ではベスト3にすら入れなかった、三千院ナギ(ひきこもり)がしっかりとヒロインしてるし、ツンデレと言えば真っ先にイメージする「釘宮理恵」はハマリ役だと思う。ナレーションによるツッコミの多い漫画なので、若本さんのトーンも効果的。ただ、ぶっちぎりの人気1位を獲得したヒナギクさんの役ドコロをどうするつもりなのかは不透明ですが…

原作の小ネタや妙に明るい捻くれ具合をどう再現するかは興味が尽きないが、このプロモーションにも何箇所か一時停止しないと認識できないようなネタが隠されていることから、何らかの形で仕込む予定はあるようです。サブリミナル小ネタアニメ?セガとかは許諾に緩そうだけど、なんでもガンダムに例える下り「さすがはフリーダム、やりたい放題だな」とかはNGかも。作中に登場するナギの別次元電波漫画「世紀末伝説マジカル☆デストロイ」は映像化していいのか?日曜朝10時でサービスカットはどこまで大丈夫なのだろうか?

ちなみに、2005年6月時点でGM研がレビューを書いた時に「執事ライフコメディ」と評しましたが、今回のアニメのキャッチに使用されている「執事コメディ」とは特に関係はありませんので、あしからず

 2007/03/11(日)  「むんこコレクション」

らいか・デイズ」の単行本発行のひと月前の発行が恒例になっている、まんがタイムの4月号増刊「むんこコレクション」を休憩時間に見かけたので購入。巻頭の「らいか・デイズ」と「だって愛してる」の競演書き下ろしで、のっけから頬が緩みっぱなしでしたが…あっ、目にゴミが…ごしごし。

この漫画は雑誌で立ち読みしないで、家でひとり、音楽とかテレビとかの「ながら」による雑音を一切入れないで読んでみて欲しい。今、この照れくさくて温かさに包まれた幸せな日々は、父や母や友人達が、いろんなものを乗り越えて積み重ねて来た日々があるからこそなのだと…理屈ぬきでわかってしまうから…

コレクションで描かれるサイドストーリーを読むだびに、胸が締め付けられる思いになる。「だって愛してる」の畑中先生と編集長が、かつて若かりし日に乗り越えた辛すぎる過去「君の為に出来ること」…想い人と交わした悲痛な最後の約束。非情な言葉をかけて殴られた頬より痛いのは心だった。だが、それしかなかった。だから黙って背中で応えた…そんな過去があったからこそ今に続いて行く信頼が生まれ、自分と同じような道を歩む若者世代を、茶化しながら或いはそっと見守るのだと…

前号のコレクションの書き下ろしだった、春菜の母と父の知られざるエピソードは、残念ながら単行本には収録されなかったので、今回のエピソードも単行本に収録される保証はありません。むんこ先生の作品の本質をより深く理解するためにも、雑誌の増刊は買い逃すと二度と手に入らないので、ファン方は今のうちに迷わずゲットしましょう!

この作品は私に勇気をくれる。
書きたい。伝えたい。ただそれだけ…

 2007/03/10(土)  「今月のきらら」

ドージンワークのアニメ化が正式に発表された、きらら本誌4月号。恒例のお気に入り番付を更新しておきましょう。

 1 三者三葉
 2 かみさまのいうとおり
 3 うぃずりず
 4 姉妹の方程式
 5 ふぉんコネクト
 6 ねこきっさ
 7 棺担ぎのクロ
 8 影ムチャ姫
 9 ドージンワーク
10 まーぶるインスパイア
11 あねちっくセンセーション
12 TW
13 猫耳のミコ譚

単行本購入基準をクリアしたのは全29本中13本で、.448。久々に打率5割を割り込んでしまいましたが、今月は「相沢家のえとせとら」と「カニメガ大接戦」が休載だったことを考慮すると、15/29となり5割を超えていた計算になるわけで、別に連載陣のクオリティが下がったわけではありません。休載が出たときの代原のレベルが必ずしも近い将来の指標になるわけではないが、むしろ心配なのは、兄弟誌の掛け持ち作家さんが多くてフォワードの月刊化でますます過密スケジュールになっているのではないか?ということ。「影ムチャ姫」のような異端・異色作の連載終了といい、「スーパーメイドちるみさん」の連載誌変更といい、萌えパロ路線の過剰な追求が雑誌生命を縮めはしないかという危惧も…

■三者三葉
キャラットでの新連載の兼ね合いもあって、兄弟誌2重連載体制にピリオドを打ってから数号が経過して、8P連載になってから面白さに磨きが掛かったように感じます。無表情で行動の読めない西川家の元メイドで、現ケーキ屋店長「薗部さん」のやりたい放題も、すっかり物語に欠かせない人物として定着。葉山姉とは対極の「陰」特性で山路の天敵存在になることで、ネタの幅が一気に広がりましたね。バイト編が終わってからもネタに上手く絡めて欲しいキャラです。葉子様の小学生時代のバカ脚色は個人的にはお気に入りだったりしますが(^^;

■かみさまのいうとおり
いよいよ3年生に進級したメンバーたち。同じクラスのままなのを漫画のご都合主義で片付けず、進路分けでクラスも分かれるところを、それぞれがそれぞれの思いを抱いて選択した進路という必然を持たせてあるのが何気ないけどお気に入りです。谷先生が教頭になるのは意外でしたけど。虚無僧さん(明暗寺暗)の妹:明暗寺明ともクラスメイトになり、メインのシナリオも一気に進む?まりあの出生の秘密はこれまでの伏線で大方の予想通りだとは思いますが、それが最終回へのカウントダウンではないことを切に願っております。

■うぃずりず
先月号の表紙を飾ったり、きららwebのうごうご4コマといい、すっかりきららの看板漫画になりつつある「うぃずりず」。メインキャラたちが全員居眠りしっぱなしで進行する漫画も珍しいだろう。眠気で本音がダダ漏れの「総ボケ」状態に、一人ツッコミを入れる先生がちと不憫に思えたりもしますが…4月末にはコミックス1巻の発売も決定。編集サイドも力を入れてプッシュしてくるだろう。反響はいかに?そうそう、他誌だけど居眠り漫画といえば、「ほんわかちづる先生」もオススメですよ。

■影ムチャ姫
ドキドキ★ビジュアル4コマの定義に喧嘩を売り続けた「最凶」の異端児であり、その他には無い個性でひそかにいつも楽しみにしていた作品でしたが、残念ながら今回で最終回を迎えることになりました。改めてこの強烈な個性がこの誌面に載っていたことを不思議に思えたことも含めて、普通の萌え漫画にはこの大団円を見て同種の感慨を抱くことができるとは思い難いものがあると思います。単行本の2巻はちゃんと出るんだろうか…そして、この強烈な個性に匹敵するモノは現れるのだろうか…

 2007/03/09(金)  「ときメモオンライン サービス終了へ」

ときめきメモリアルオンライン サービス終了のお知らせ

ときメモオンラインが2007年7月31日をもってサービスを終了するとのお知らせを、マイミクの鷹さん日記経由で耳にして、世の諸行無常に深く溜息をついてみる。2006年3月23日の正式サービス稼動から、まもなく一周年を迎えようという矢先に、告げられしはサービス終了の予告…ユーザーの皆様の心中は察するに余りある。色々な意味で残念だ、としか言いようがありません。個人的にはアニメ版は結構気に入っていたので、オンライン本体が火の車だとはちっとも気付きませんでした。

サービス終了の原因は一目瞭然。βテストの募集時点ではそれなりに注目を集めていたものの、課金サービスの開始後は引き潮に歯止めをかける新機軸があるわけでもなく、遂には過疎化対策としてサーバーの統合を行う異例のテコ入れまでしたものの、会員数は採算ラインにはほど遠く、今後もその状況が改善される見込みはない、現運営体制には改善する能力はないとコナミの経営陣が判断したのでしょう。酷な言い方かもしれませんが、見込みのない戦線に資本と人材を浪費することを認めるほど、ビジネスの世界は甘くない。どうせやり直すなら早い方がいい。失敗に学び成功の母とすればいい。…もっとも、然るべき立場の某人物が責任を取るとは思えないし、これを失敗だと認めないだろうから、次の成功が生まれるとは思えませんけどね。

正直言って、ときメモオンラインについては仕様発表の時点から成功するとは思っていなかった。その反論としてGM研通信vol.4に収録していた企画「逆説のときメモオンライン」を読み返してみると…自分でも何を書いたかほとんど忘れていましたが、無謀とも思える数々の新機軸のひとつでも実現していれば、また違った未来があったのかなぁ…と他人事のように思えました。結局、従来のネットゲームの「人」と「時間」に拠って、「ときメモ」というブランドの世界観に当てはめただけのコミュニティに終始して、何一つ新しいネットゲーの価値観を創り出すことができなかった。ギャルゲーを再び「ゲーム」たらしめる可能性をフイにしてしまったこの失敗劇は、後に続く者にとっては障害にしかならない。「ときメモですら駄目だったのに、そんな企画に金を出せるか!」と資本側が考えるのも無理からぬことです…

猫も杓子もオンラインの時代はとうに終わっている。猫も杓子もコミュニティの時代ももうじき終わる。これから選ばれていくのは、そこにしかない価値観の創出と共有と競争…そのために必要なのは「ヒトありき」という依存・概念の打破。NPCを超える、エヌ・キューブリック:NNNPC(Newron Network None Player Character)。スクリーンの先とネットワークの先だけにゲームがあるわけではない。そんな常識を覆す存在が現れない限り、ネットゲームには本質的な進化は訪れない。そんな気がしてならないのは私だけだろうか?

 2007/03/08(木)  「今月のきららキャラット」

しばらくサボっていましたが、久しぶりにきららキャラットのお気に入り番付を更新してみました。最近はアニメ化やら連載の入れ替わりやらで何かときららは動きが大きいですからねぇ…(大きいだけで、必ずしも良い結果になっているとは限りませんが) とりあえず、4月号の番付はこんな感じです。

 1 火星ロボ大決戦
 2 HR
 3 GA
 4 ひだまりスケッチ
 5 かみさまのいうとおり
 6 教艦ASTRO
 7 ドージンワーク
 8 まゆかのダーリン
 9 ひめくらす
10 とらぶるクリック
11 ことゆいジャグリング
12 ハッピーとれいるず
13 ちびでびっ
14 雅さんちの戦闘事情

全28本中、単行本購入基準クリア作品が14本で打率5割ジャスト。漫画雑誌としては驚異的なハイアベレージだけど、まだ物足りないと感じさせるから大した雑誌ですなぁ。さすがに全部にコメントする時間はないのでいくつかを抜粋で。

■火星ロボ大決戦
まさかまさかの番付筆頭にまで上り詰めた、オタンコナスギャグ漫画(褒め言葉)。すべてのオチであらゆる常識を放り投げる見た目真剣なボケっぷりは、最早バカの領域を遥かに超えた「オタンコナス」!(何度も繰り返しますが褒め言葉です)。単行本の帯にもあるように「正義も悪もない、あるのはギャグとエッチ、それだけ。」…きららを萌え4コマ雑誌だと思い込んでいる諸兄に是非読んでみて欲しい逸品です。

■HR
いよいよ高校受験本番を迎えて、それぞれのカップリングも落ち着くところに落ち着いて、連載第1回からのファンとしては最終回へのカウントダウン(多分)に複雑な気持ちだったりもします。島崎君の千夜に対する強がりも、藤村君とハナの微妙な関係も、煮え切らなかった北原君と千夜の関係も、北原君の東京行きをキッカケに決着すると思うし…もうじき見納めなのかと思うと切ないですな。これが卒業というものか…

■GA
まだ直接的な接触はないものの、上級生組もすっかりメインネタメンバーに定着しつつあるGA。あえて混ぜないことで1つのネタで2つの見方ができるし、ニアミスひとつでもニヤリとできるクロスオーバーが楽しめるとも言える。色は混ぜてしまうと1色になってしまうが、2つの色をそのまま使えばコントラストが生まれるし、必要に応じて重ね色も使えますからね。上級生組が人物紹介欄に載るのはいつだろう?

■ドージンワーク
すでに芳文社HPでアニメ化が発表されているドージンワーク。嫌いな作品ではないし、時々見せる「やりすぎ」なノリは好きだったりもしますが、正直アニメ化!と言われてもピンと来ないですねぇ…あの変態さんギリギリのエロ台詞は深夜アニメでも放送コードは大丈夫なのだろうか?アニメ「ひだまりスケッチ」ようにアニメの尺に合わせた演出を「美術的演出」と解釈してもらえるとは限らないと思うのだが…(不安)

そうそう、アニメ化と言えば、絶望先生がアニメ化!というのはネタなのかホンマなのか…書店向けの案内誌でそんなネタをかますとも思い難いし…

 2007/03/07(水)  「秒速5センチメートル感想記(後半からネタバレ)」

本日はサービス業特有の週中の平日休みを利用して、渋谷シネマライズで公開中の新海誠監督の最新作「秒速5センチメートル」を観て来ました。そういえば、私が前に渋谷に来たのは新海誠監督の「雲のむこう、約束の場所」を観るために足を運んだのが最後でした。そういうキッカケでもなければ、オタクにはあまりご縁のない街ですから。

13時15分からの上映回を目当てに30分前に現着してみたものの、特に混雑している様子はなし。3/3の公開からまだ5日目とはいえ、さすがに平日の午後イチだけあって客入りが芳しくないのかな?と思ったら、今回はチケット購入時に席を指定する方式だったので、近場に溜まっている必要がないだけだったみたい。上映終了後に客席を振り返ってみると、7割方席が埋まっていたので平日の興行としてはまずますなんでしょうね(ほぼ100%男性客でしたが)。

ちなみに、今回の上映は地下劇場。座席指定の際には少々注意が必要です。スクリーンに近い方から前・中・後の3段階、左・センター・右の3段階。以上の9分割でどの辺りかを希望することになりますが、スクリーンに近い「前」は選択しないことをオススメします。というのも、前ブロックは平面で見上げるような目線になってしまうし、座席が段状になっていないので前に誰かが座るとスクリーンの下の方が頭で見切れてしまいます。今日の私の場合は、遮蔽物が視界の左隅で正面は誰もいなかったのでマシでしたが…「中段中寄り」が最良ですが、前と後の2択になったら「後」をオススメします。

短館上映作品だからしょうがないのですが、やたらと本数の多い予告編に辟易しながら、5分ほどしてようやく上映開始。第1話「桜花抄」はYahooの先行配信版で丸々視聴済みだったのですが、やはり劇場の大画面で観ると印象は変わりますね。スクリーンいっぱいに舞い散る、ハイライトのかかった思い出の中の桜吹雪。後の伏線となる踏切と通り過ぎる電車。待ちかねた電車がホームに入ってくる時のライト、ローカル線特有の震動・機械音・水滴。音も無く静かに降りしきる田舎の雪。空を往く鳥の俯瞰視点で何度も使われた立体的な夜空と星と雲…すべてのクオリティが圧倒的だった。現実の舞台をモチーフにしている分、風景のイメージを翻訳する写実表現という新海アニメの真骨頂が如何なく発揮された作品と言えるでしょう。

公衆電話越しにお別れを告げる明里の靴に落ちた涙が切ない。携帯電話がまだない時代を知る世代にしか伝わらないノスタルジーかもしれないが…まだ遠い春を待つ桜の木の下で交わした爪先立ちのキスと、お互いに渡せなかった手紙…文字だけを並べてみるとノスタルジックでロマンチックなお話に聞こえるかもしれないけど、そこにあったのは息苦しいほどの漠然とした不安。前作からファンになった方はこの話からどのように未来に繋がっていくのか想像しにくかも知れない。「ほしのこえ」を知っている方であればまた違った受け止め方をしたと思いますが…

第2話「コスモナウト」の舞台は雪の栃木から一転して、貴樹の転校先である南国種子島。物語の視点も男性視点の貴樹ではなく、貴樹に片想いしている花苗の女性視点で進行する。貴樹と並んでバイクを走らせるだけで隣を歩くだけでドキドキした。嬉しかった。でも、その優しさがどうしようなく悲しかった。NASDAのロケット打ち上げの噴煙と見上げた宙の果てに象徴されるように、貴樹はずっとどこか遠くだけを見つめていると気付いてしまったから…

第1話が男性的な恋愛観を描いたものだとすれば、第2話は女性的な恋愛観を描いたものだと言えるでしょう。南国特有の自然、海・風・空、そして宇宙へのロマン。種子島ロケハンによる写実+幻想の融合は、新海アニメの新たな魅力として大いに評価されることでしょう。ストーリーラインにはあまり触れたくないので割愛しますが、花苗の「時速5キロ」という言葉に反応した貴樹の一瞬の表情にはドキッとするものがありました。個人的には第2話は3話中で一番好きなパートですね。

そして最終第3話「秒速5センチメートル」は…ネタバレを避けて紹介できそうにないので、感想は割愛させていただきます。ただ、観る前まではどうにもイメージが合うとは思えなかった山崎まさよしの曲が、曲に合わせた情景描写によって最高の演出効果を発揮して「それ以外にはない」形で3つの短編をひとつの物語に結び付けてくれる名曲になっていました。ちなみに、今回の主題歌化で新たにシングル化されたCDのレーベルに印刷された絵は…観終わってから見るようにして欲しいですね。とっても意味深なのでお見逃しなく。


※以下の文章は全面的にネタバレを含む総括になりますので、これから鑑賞を楽しみにしておられる方は回避して下さい。また、これから書く考察はレビュアーとして語るものではなく、ひとりのファンとして感じたそのままのコトバです。ファンの方にはとっても必ずしも耳に心地の良い感想ではないかも知れませんので、それを踏まえた上で空白部分を反転させてお読みいただければ幸いです。


上映終了後、振り向いてお客さんのリアクションを確認しようとして私が見たものは、ほぼ100%近くを占めていた男性客の困ったような顔顔顔でした。劇場を出て歩いて渋谷駅に戻る最中、偶然後ろを歩いていた人同士の会話が耳に入ってしまいましたが、ちょっと興味深い反応でした。「なんかガッカリだ。ファンが求めているのはこういうのじゃない!結局、主人公って何の意味があったの?」と憤慨しきり。その相方と思しき人は「気持ちは分かるけど、この映画はそういうのじゃないと思う。意味とか幸せとかじゃなくて。結論もなにもなかったけど、そんなものは初めから無いし、それが新海アニメの誠実さってやつじゃないのかな?」(以後は、信号待ちではぐれて聞こえなくなったのでどんな議論になったかは不明です)

上記ようなファン同士のやりとりは、この作品の象徴的なリアクションなのだと私は思います。私も観終わった直後の感想は「このキレイすぎる想いの欠片の物語は、多くの人にとっては受け入れ難いものなのかもしれない」というものでした。私は元より新海誠監督作品の魅力は「感傷や表現欲に流されることなく、蛇足をまったく加えなかったバランス感覚」だと理解していましたし、ストレートすぎる誠実な表現が時として「痛切さ」を伴うものであることも理解していました。実際、「ほしのこえ」も「雲のむこう、約束の場所」も世間一般でのハッピーエンドの定義とは異なるものでしたしね。ただし、最大の論点の違いは男性主観の恋愛観を世界観やテーマで包み隠さず、観る者の心のど真ん中にストレートを投げ込んできたからこそ、今作に戸惑いを覚えてしまう人が多いのかも知れません。

その象徴的なシーンが、第3話のラストで踏切ですれ違った貴樹と明里が、踏切を渡り終えたところでお互いに振り返ったけど、電車が通過して踏切が上がった時にはもう明里の姿はなかった、というシーンです。上り電車が途切れそうになった直後にすかさず下り電車が通過するという、第1話との相違点を出した心憎い演出が個人的には気に入っています。永遠とも思える数秒の後に、私はそこに明里が居てくれることをちょっとだけ期待していましたが、もしそうだとしても、どんな顔をしたらいいのか分からなかったと思う。多分貴樹も同じように感じていたのかもしれない。だからこそ、明里がそこにもういなくても、貴樹はただ心穏やかに、春霞みの都会に降る様に舞う桜を見上げることができたのだと思う。「どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか。」という物語のテーマは、このシーンで成就されたのだと思う。

足を止めてゼロに近いスピードだからこそ身近な世界の美しさを感じられる。今まさに同人界のためにと思いがむしゃらに仕事をして限界を感じている私には貴樹の心境はタイムリーすぎたのかも知れない。第1話で明里が別れ際に言ってくれた「貴樹君は絶対大丈夫だから」という言葉を思い起こして泣きそうなった。たとえ願いが遠くても、思いが届かなくても、思い出は決して消えないし忘れる必要もない。それは未練じゃない。思い出を糧にして生きるのも、アルバムの1ページとしてしまっておくのも、そこには結果とか幸せとか論じれるものではないはずだ。

前作と比較評価されるのは有名税のようなものですが、むしろ、そういうデリケートで正解もないテーマを躊躇いなくぶつけられる立場にまで新海アニメが到達してくれたことを素直に喜ばしく思います。好き嫌いが分かれるのは大いに結構。観る者が冷静ではいられないということは、それだけ心に響くパワーが作品にあったということです。商業的に大成功することだけが道ではないことを、原点回帰で示してくれた今作は、長い目で見れば新海アニメブランドをより確かなものにするだろう。ビックネームとして祭り上げられた挙句に使い捨てられて欲しくないですから。ファンだから絶賛するわけではなく、ファンだから良いところもそうでないところも受け止めることができたことを改めて感謝したい作品、だと思います。

DVDが出るのは夏頃になりそうですが、「if」の余地の大きい物語なので、田舎工房さんや鉄棒少年さん等による同人誌の方も期待できる…かもしれない。レビューの方は久々に正規レビューを書いて見たいところですが、ネタバレを回避するのは難しそうです。さて、どうしたものやら…