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週刊GM研 Vol.86
2003/03/22


【News Headline】
  • コナミ03年3月期連結最終損益270億円の赤字転落の見通し
  • エニックスの人気ゲーム「スターオーシャン3」、店頭回収へ
  • 【mini Review】
  • 漫画
  •  : 始末署の星(竹田エリ)
  • CD
  •  : sweets(石田燿子)
  • 雑誌
  •  : 週刊ファミ通 4月4日号(vol.746)
    【COLUMN】
  • 連載:ギャルゲーは倒れたままなのか?(最終回)

  • ■News Headline

     【コナミ03年3月期連結最終損益270億円の赤字転落】 
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030320-00000025-zdn-sci

     コナミは2003年度3月期の連結業績を,115億円の黒字から270億円の赤字に下方修正し、8年ぶりの赤字に転落することになったと発表した。本業のゲーム・トイ・ホビー部門は好調を維持しており、先日は株主配当の大幅増額を発表するなど順風満帆に思われたが、フィットネス事業が計画を大きく下回り、その上フィットネス事業の資産評価額の下落損失で一気に赤字転落となってしまった。

     まるで銀行みたいな味気ない新コーポレートロゴマークがゲームファンにはえらく評判が悪いコナミですが、またしても本業とは関係のない所で世間を騒がせてしまいましたね。多角化事業でウン百億円の赤字を出して平然としていられるのなら、「ときメモ3」の失敗は道楽みたいなものなんでしょうねぇ…(もっとも、そういう道楽的な部分が無くなってしまったら、ゲーム会社としての存在意義さえ失ってしまいかねないんですけどね)

     【エニックスの人気ゲーム「スターオーシャン3」店頭回収へ】 
    http://www.mainichi.co.jp/digital/computing/archive/200303/14/1.html

     フリーズ騒動で世を騒がせていた「スターオーシャン3」ですが、その原因はSCEが提供したソフトウェアライブラリにあり、SCEを窓口としたディスクの送付交換による対処方法が公式発表され、事態は収拾したかに見えていたのですが…実は3月14日から密かに店頭から順次製品を回収し修正ソフトと交換していることが明らかになった。この記事は新聞の経済欄などには掲載されたものの、どういうわけかゲーム系のネットニュースでは一切報道されていません。店頭販売分についても、それが交換済みの修正バージョンなのかどうか、まったく明記されていないどころか、交換を行っている事実さえ買い手には知らせれていないのです。散々発売を延期しておきながら重大なバグを発見できず、しかもその事後対応に説明が少なすぎる。あの会社は何重にユーザーを裏切れば気が済むのでしょう?(怒)
    ※販売店サイドの情報によると、修正版と交換済みの製品には青いシールが貼ってあるそうです。


    ■mini Review

     【始末署の星】竹田エリ/週刊ヤングジャンプ 
     週刊ヤングジャンプで連載されていた4コマ漫画「私立T女子学園」(全10巻)の後継連載作、それが警察4コマ漫画「始末署の星」です。T女の大ファンだった私は、当然「始末署の星」の本誌連載開始と同時に読み始めたのですが…2〜3回様子を見て連載で読むのを止めてしまいました。どうしても名作「T女」の面白さと比べてしまったからです。…で、すっかり忘れた頃、書店に平積みされた新刊の絵柄を見て、思い出したように買ってみたのですが…面白いじゃないか!そういえばT女もそうでしたが、竹田エリさんの漫画はスロースターターなんですよ。単行本で通して読んでこそ、真価を発揮するタイプです。キャラが出揃って味が出るようになって、説明抜きで笑える漫才のような間を読者が能動的に楽しめるようになるまで、時間がかかるのです。ああ、2巻が出るのが楽しみだ!連載本誌で読むのも再開しようかな?と思っていたら、単行本の表紙に(1)のロゴがないことに気が付いた。ぐはっ!1巻で完結かいっ!!うーん、もったいない…確かにヤングジャンプの読者層にはあまり合わないんだろうけど…

     【sweets】石田燿子/Pioneer 
     いわゆるアニメ系歌手、というやつですね。最近ではアニメ版「ガンパレードマーチ〜新たなる行軍歌〜」の主題歌「真実の扉」を歌っています。ちなみに、燿子は「ようこ」と読みます(普通のワープロ辞書では変換してくれません)。その彼女の1stアルバムを買って聴いてみたわけですが…全体評価は5点満点で「3.36」点。主題歌とアルバム曲の落差が激しいですね。個人的に一番のお気に入りは、かつてのWinkのデビュー曲だった「Sugar Baby Love」のカバー曲。アニメに疎い私は全く知らなかったのですが、この曲は「ちっちゃな雪使いシュガー」の主題歌だったんですね。このアルバムに収録されている「真実の扉」はアルバムバージョンなので、切れ味のいいオリジナルバージョンを聴きたい人は、アニメGPMのサントラかシングルの方を当たってください。声質も路線も米倉千尋にそっくりなので、この先どう独自色を出していくのかが課題か?

     【週刊ファミ通 4月4日号(vol.746)】 エンターブレイン 
     「トゥルーラブストーリー サマーデイズ アンド イエット...」(以下、サマデ)の第2報が入ってきました。”あの”ebが1ヶ月も経たないうちに続報を出してくるとは、正直言ってちょっと意外でした。公式HP「夏ドキッ!放課後通信」も今のところはちゃんと更新されているようだし…(ちなみに、GM研は公式HPの「TLS Fan Fun Link」に参加申請をする予定はありません)

     長年裏切られ続けて順境に慣れていないトゥルラーにとっては、現段階ではまだ手放しでウキウキりんこだぷーしていられないので、今回新たに公開された情報について厳しく徹底分析してみたいと思います。

    主人公の親友:百道誠太郎
     女の子の前ではクールないい人を装う、むっつり助平な写真部の悪友ですか?今のところ他に男キャラは紹介されていませんが、こういう何でも(キザな役でもヨゴレ役でも)こなせる男キャラが1人いると、演出上とても便利です(複数いるとウザイだけだが)。でも、アクが強い色物キャラとしての活躍を期待すると恋のライバル役としては役者不足でちょっと使いにくいかも。

    主人公のお姉さん:るり
     やっぱり姉妹あってのTLS!楽天的で豪快活発・でも意地悪という性格は、個人的にかなりツボをついているので大いに期待したい。妹萌えゲームは世間にいくらでもありますからねぇ…敢えてお姉さんで勝負というのは面白い試みかと(年子の姉弟というのはあんまり一般的ではないと思うが)。姉による女の子との好感度チェックも健在。でも、毎度の事ながらいくら弟思いの姉でも、なんでそんな事まで知っているのかは謎ですが。好感度グラフは縦軸と横軸が何を示しているのか分かりませんが、おそらく「2」のグラフに近いものだろう(イベント発生もグラフの9分割で判断?)。高2にもなって衆人環視の元で姉に「愛してるわよー」と言われる主人公は、周囲からどう映っているのか(シスコン?)、そういうディテールもしっかりこだわっていただきたいものですな(3年だから有森さんとの関係がどんな設定になっているかも気になるところ)。

    新システム:話題レベルアップ
     下校会話時の各話題に5段階レベルを設定する新システム「話題レベルアップ」についてですが、このシステムはプレースタイルの根幹に大きく関わってくるため、それ単体では評価はできません。話題レベルの初期設定は、主人公のタイプを「ガリ勉・スポーツマン・凡人・秀才・優等生」の5つから選択することになっていますが、もう少し良い分け方はなかったのでしょうか?秀才と優等生の違いって何ですか? 各話題は通常会話でレベルアップできるのだが、そうなると戦略的に通常会話を取捨選択して話題レベルを上げる必要があり、今までのように攻略本要らずで気になるあの子のことだけを追いかけていればいい、というお気楽なプレースタイルが失われる危険性が… このシステムはゲーム性を大きく向上させる可能性がある反面、一部の隙もないゲームバランス調整ができなければ駄作になりかねない危険性も孕んでいます。複雑にすればいいというものではない、ということは「ときメモ3」でも実証されていますからね。


    ■COLUMN

     【連載:ギャルゲーは倒れたままなのか?(最終回)
    「ギャルゲーに未来(あした)はあるのか?」】
    第1回 「ギャルゲーの栄枯盛衰:前編」
    第2回 「Leaf、Key、PCエロゲーブランドの勃興」
    第3回 「PCエロゲーの家庭用移植が招く死に至る病」
    第4回 「メディアミックスがギャルゲー業界を滅ぼす?」

     さて、これまで4回に渡ってギャルゲーについて考察してきたこのシリーズも今回が最終回です。これまで様々な問題点を厳しく指摘してきましたが、最後はこれまでの考察の総論として、果たしてギャルゲーというゲームジャンルに未来(あした)があるのかどうか、について考察してみたいと思います。

     何物にも偏らないニュートラルな思考形態を常に心がけている私が、何故ことさらギャルゲーの話になるとこうもネガティブになってしまうのか?というと、それは私がこのジャンルの素晴らしさを知る人間の1人であり、そして、このジャンルにかつて見た希望を捨てきれないからです。

     私が初めてギャルゲーに出会ったのはPS2版の「ときメモ1」でした。当時の私は、ギャルゲーとエロゲーに強烈な偏見を持っていたのですが、そんな私でさえもKOしてしまう強烈な魅力が「ときメモ」にはありました。2次元とか仮想と現実がどうのこうの以前に、まずゲームとして理屈ぬきに面白かったからこそ、気が付けばいつの間にかキャラクターを好きになっていた。その時、私はこのジャンルの先に大きな夢を見てしまったのです。

     しかし、「ときメモ」の成功がゲームとしてのものだけに止まらなくなり、ゲームを叩き台にしたキャラクタービジネスがどれほど儲かるかを実証してしまった時、世の中に大きな誤解が生まれてしまった。ギャルゲーに求められるのは「ゲームとしての面白さ」よりも「商品としての展開力」になってしまったのです。キャラクター性の徹底的な強化と追及が「萌え」という概念を生み出し、ギャルゲーは一般性を排除して「萌え」という特殊な要素に特化させて行った。しかし、他者の理解を求めない内向きの進化は、ゲームジャンルとしての進化を止めてしまったのです。デザインと大手ブランドだけが賛美され、小手先の過激なテーマに走り…エスカレートする苛烈な萌えに、年とともについて行けなくなって退役していくギャルゲーゲーマー達…ギャルゲー市場の縮小が止まらないのは、至極当然の理なのです。

     ギャルゲーの現状は大変厳しいものです。しかし、私はギャルゲーの未来を決して悲観していません。なぜなら、これほどまでに悪い部分が出尽くしたジャンルは他にはないからです。現状を憂いているのは私だけではない。この閉塞的な現状を打破しようという動きが、志有るクリエータ達の間で広がっています。しかし、それだけではまだ足りない。幕末に吉田松陰が草莽崛起論に達したように、この現状を変えられるのは在野の士であるユーザーの一人一人の力が必要なのです。ユーザーの一人一人が常に高い目的意識を持って作品を吟味し、悪いところがあれば率直に批判し、新しい潮流の芽を逃さず守り育てて行く… 作り手と遊び手がお互いの意識と関係を見直すこと、まずはそこから始める事が、ギャルゲーの未来につながっていくのではないでしょうか?

     (終)


    文責:GM研編集部編集長 gonta

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