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週刊GM研 Vol.97
2003/06/21


【News Headline】
  • ベッカム、Rマドリードへ移籍!
  • 【mini Review】
  • 漫画 : 
  • ななか6/17(12)(完結)
  • CD : 
  • True Love Story Summer Days, and yet...
    プレキャラクターシリーズ Vol.4 & Vol.5
  • 雑誌 : 
  • 週刊ファミ通 7月4日号(vol.759)
    【COLUMN】
  • トラの快”神”撃に「アンチ阪神」勢力出現?

  • ■News Headline

     【ベッカム、Rマドリードへ移籍!】 
     サッカー界の貴公子:イングランド代表キャプテンも務めるデビット・ベッカムが、スペインリーグの世界最高のスター集団:レアル・マドリード(Rマドリード)への移籍を発表した。ベッカムの移籍を巡っては、同スペインリーグの名門バルセロナ(バルサ)の会長選挙で獲得を公約として掲げる候補が圧勝するなど、熾烈なマネーゲームが勃発し、所属のマンチェスター・ユナイテッド(マンU)がバルサのとの金銭合意を一方的に公式HPに掲載し、それに対してベッカムが「マンUを出る(バルサに行く)くらいなら引退する」と涙ながらに発言するなど、様々な憶測と思惑が飛び交っていたわけだが…結局、獲得レースの大本命と目されていたRマドリードが、移籍金約49億円+主力選手(具体的には不明)のトレードという条件で獲得したのだが…

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     先日までの3泊4日の来日で10億円を稼いで帰っていったとも言われるベッカム様(そりゃあそれだけ儲かればいくらでも笑顔でサービスできますがな)。しかし、Rマドリードでの前途は洋々というわけにはいきそうにもない。昨年、鳴り物入りで加入したロナウドでさえ、チームに順応するまでかなり時間が掛かったし、ベッカムの右サイドMFのポジションにはポルトガルの名手ルイス・フィーゴがいるし、ベッカムがこだわってきた背番号「7」は、スペインの至宝:ラウル・ゴンザレスがつけている。この問題についてベッカムは「背番号にもポジションにもこだわらない」と発言し衝突を避けようとしている。背番号については「77」を使うのはどうか?などと奇天烈な案も浮上しているようだが…(野球の背番号かよ!)。実はもっと問題になりそうなのが、戦力として機能するかどうか?というものである。確かに、FW:ロナウド、ラウル、MF:ジダン、ベッカム、フィーゴ…世界最高のスターが並ぶ攻撃陣は魅力的かもしれないが、今シーズンのRマドリードが国内リーグで苦戦し、チャンピオンリーグの連覇を逃す事になったのかというと、守備に大きな不安があったからだ。この上、前線からの守備をしないベッカムまで先発で使ったらどうなることか…中盤のバランスを取って来たグティも「出番がなくなるならチームを去る」と発言しており、その前途は多くのミーハーな日本のファンたちが考えるよりも多難なものになるだろう。親日家のベッカムは晩年を日本でプレーしてすごしたいと発言しているようだが、熱しやすくて冷めやすい日本人が果たして数年後も「ベッカム様」と黄色い歓声を上げてくれるとは思えないのが…(それ以前に、ベッカムの移籍金と年棒を払えるチーム自体がないんだけどね)


    ■mini Review

     【ななか6/17(12)(完結)】八神健/週刊少年チャンピオン 
     八神健作品としては最長の12巻、TVアニメ化もされて、名実共に八神健の代表作になった「ななか6/17(じゅうななぶんのろく)」も、遂に完結を迎えました! 第1部まではギャグパートとストーリパートのギャップとバランスがなかなか定まらなくて、個人的には好きだけど作品論としてはいかがなものか?と思わないでもなかったし、第1部完結の第8巻で、雨宮さんが留学してしまい、七華までアメリカに行ってしまって、どうなることやらと心配していたわけでですが…3ヶ月の充電期間の後に再開された第2部では、完結に向かうハードな流れと、読みきりギャグテイストとのギャップがさらに激しくなってしまいました。良くも悪くも、他誌のように編集者がガチガチにプロットを押し付けてこないチャンピオンらしいといえばらしい作風なんですけど…でも、実は、このアンバランスがこの作品の魅力でもあったようです。

     完結へと向かっていく流れが見えているのに、敢えてその流れを忘れさせるようないつもの楽しい世界がいつもそこにあって…だからこそ、やがて何かひとつを選ばなくてはならない事がなお一層辛くなるのです。おそらく、ただ普通にストーリーだけを追ってこの作品を読んだとしたら、なぜ雨宮さんがすべてを受け入れることが出来たのか、なぜ七華がラストシーンであの表情が出来たのか、理解する事は出来ないと思います。おそらく、このラストシーンは作者自身も最初から想定していたわけではないでしょう。個性的なキャラクターが作り上げた世界に引っ張られた先の必然として生まれた結末(というより、これからも続いていく時間の1シーン)と言えるでしょう。作者にとっても、キャラクターにとっても、読者にとっても幸福な作品になれた、稀有な作品だと思います。

     【True Love Story Summer Days, and yet...  プレキャラクターシリーズ Vol.4(神谷菜由) & Vol.5(有森瞳美) 】 
     今週のファミ通の「期待の新作TOP30」で、ようやく「サマデ」が30位に初登場を飾りました。御用雑誌でこの程度の前人気がなくてどうするよ、と思わないでもないけど、ここに載ったからといっても売れる保証なんてないんですけどね…(ファミ通の影響力なんてそんなもんです)

     さて、Vol.4(神谷菜由)については…すみません、ジャケットで神谷さんが咥えている食パン、あれってちょっと変ですよ?対物比として食パンが小さすぎます。それに、あの角度で焼いていない生の食パンを咥えながら爆走するというのはまず無理なんですが…タカビーでわがままでキュートな女の子という設定は好き嫌いがハッキリと分かれるだろうけど、ツボにはまると強烈な魅力になるかも(ちょっと路線は違うけど、丘野さんや遊季みたいに)。それはさておき、歌(CV.松岡由貴)の感想としては…イメージソングとしては良く出来ている方だと思います。KSS人脈の中では割とまともに歌える声優さんだから、というアドバンテージもあるんでしょうけど…ただし、杉ポネPの解説書きが過剰にノリノリすぎるのがとても気になります。得てして作り手が趣味に走りすぎてしまうとロクなことがないので…

     続いて、Vol.5(有森瞳美) については…キャラ設定公開時では個人的に好感度No.1だった有森先輩でしたが…こうもあからさまに「上流」な雰囲気(あくまで「想像上の上流社会」の雰囲気だけですけど)を掲示されてしまうと、やる気なくすなぁ…解説書きを読んでみるとシナリオは割と面白そうですけど、↑の神谷さんの解説書きでの杉ポネPのノリノリっぷりと比べて、あまりにも少ない有森さんの解説…ここに一抹の不安を感じずにはいられません(杉ポネがシナリオを書いてるわけじゃないんだけど、通す(OKを出す)かどうかはプロデューサの胸三寸だからなぁ…)。歌(CV.かかずゆみ)については、他のキャラとは毛色の違うライトバラード路線が目新しくて、かなりお気に入りの1曲になりそうです。

     【週刊ファミ通 7月4日号(vol.759)】 エンターブレイン 
     「fromファミ通.com」のアンケート「映画化して欲しいゲームタイトルは?」の問いに大いに憤慨。「小島監督が映画を作れば絶対にヒットするはず」とか「CGを駆使した壮大なドラクエを見たい」とか…私にいわせれば、的外れもいいところですな。小島監督の思想についてはドリマガの広井王子との対談を読んでもらうと分かりやすいのですが、私は小島監督が映画の道で成功できるとは思いません。そもそも、映画とゲームでは物造りの概念も娯楽の概念も全然違うんですよ。映画という娯楽は完全なショウビジネスの世界で、スタッフと配役と配給元が決まった段階でヒット規模が決まってしまうんですよ。興行収入○○億円といっても、それは配給力のなせる技であって、内容云々は全く別次元の問題です(だから、アカデミー賞とカンヌ映画祭とでは全然作品の顔ぶれが違うんですけど)。最近、やたらとハリウッドが日本の漫画やアニメやゲームに触手を伸ばしていますが、それは日本的ものづくりによって丁寧かつ強固に構築された作品独自の世界観が欲しいからです。職人気質でショウビズの世界に疎い日本人はホイホイと権利を売り渡して「日本のサブカルチャーが世界を席巻」気取りですが、その実態は、彼らは「日本原作」なんてこれっぽちも言いませんよ。下手すれば権利関係を密かに押さえて「これがウチのオリジナルだ」と言い出しかねないぞ(某D社のようにね)。

     「ゲーム業界真相究明ファイル2003」で、ギャルゲーメーカーの社長が「とにかくパンツを出せ!ソフ倫に引っかかる?だったらブルマならいいだろ!」…という逸話が載っていましたが、はてさて、これってどこのメーカーなんでしょう?パンツで引っかかるってことは、規制の厳しいコンシューマ向けということで…ブルマが出てくるということは学園モノなわけで…そんなゲームってあったかな?(本当はそれ以上のもっと問題にするべきものがあったりするんですけど、信者に抹殺されかねないので自主規制)

     「なっちゃん」の新CMでお馴染みの「星井七瀬」ちゃんがアイドルコーナーに登場していました。で、ついついデビューCDの「ガラスのクツ〜なっちゃん〜」を買ってしまったのですが…テンポのよく「15秒だけのシンデレラ♪」と歌い上げるCMのイメージとは全然似ても似つかない、普通のアイドル曲になっていて…がっかりです。妙なアレンジバージョンを2曲も入れるくらいなら、CMオリジナルバージョンを入れんかい!今時「限定トレカ1枚封入(絵柄は3種類)」というあこぎなやり口も気に入らない…なっちゃん自体はいい素材なんだけど、この路線で歌手としてやっていくにはちょっと厳しいかなぁ…


    ■COLUMN

     【トラの快”神”撃に「アンチ阪神」勢力出現?】
     「魔の6月」にも失速の気配を見せず、どうにもこうにも絶好調((C)ギャラクシーエンジェル)で貯金街道まっしぐらの阪神タイガースですが、盛り上がる関西と18年間隠れ虎党をしてきた全国のファンが狂喜乱舞する中、この独走を快く思わない「アンチ阪神」とも言える勢力が形成されつつあるようです。長良川球場での異臭事件とファン同士の喧嘩騒動に始まり、その火の粉はオールスターのファン投票にまで波及してしまいました。

     以前の週刊GM研のニュースでも取り上げましたが、オールスターのファン投票の投手部門で、2年間1軍登板が一度もない中日の川崎憲二郎投手に対して、ネット投票による不正過剰投票が行われていましたが、5月20日に問題が発覚後、機構側は投票方法にパスワード制限を加えるなどの対処を行ったが、不正投票は一向に減る気配を見せず、6月17日の中間発表ではついに井川を抜いて1位になってしまった。当事者の川崎投手は「最初は励みになると思っていたけど、ある人から(投票の経緯を)聞いて、そんなもんかと思った。ボクが出たらいけないでしょう」と出場辞退する考えを表明したが…

     実は、この問題の背景には、いまさら説明する必要もない某掲示板で、「プロ野球機構と阪神タイガースに対する挑戦」「サボリ選手を球宴1位に」という呼びかけが行われ、短時間で大量の投票ができるソフトなどが配布され、「川崎祭」という名で問題を煽り飛躍的に票を伸ばしてきた、という事実がありました。

     あの掲示板が風刺気取りで「火のないところに火をつけて回る」のはいつものことなので、今さら私から何も言う事はありませんが、この問題は阪神の独走とオールスター独占を快く思わない勢力、つまり「アンチ阪神」と言うべき動きと無関係とはいえません。私も生来の「アンチ巨人ファン」を公言してきましたが、こんな風に毎年毎年、日本の約半分のファンから妬まれ続けてきた巨人のすごさがちょっとだけ分かったような気がします。ですが、これはある意味では「妬ましいほど強い」ということでもある。

     球界1のネガティブ解説者といわれる元南海の門田博光をもってして、関西ローカルの野球中継で「阪神の解説なんてやってらんないよ。だって、信じられないことばかりやってのけるんだから」と言わしめたその強さ…しかし、18年間もの長きに渡って辛酸を舐めさせ続けられた阪神ファンは、いくら2位とのゲーム差が離れていてもいくら貯金があっても、常に不安と隣りあわせで「油断」や「驕り」というものがまったくない。その「贅沢な謙虚さ」と「隙のなさ」が、他チームのファンからさらに反感を買っているのかもしれないが…

     しかし、主力選手がベテランばかりなので、現実問題として、今年を逃したら今後10年間阪神の優勝の目はないだろう。優勝したら経済効果が何千億円とか、日本の野球人気がどうのこうのとか、そんなことはどうでもいい。阪神ファンとしては、「後生だから、今年だけは黙って優勝させてくれ」という心境です。優勝争いを世間話と宴席の肴にするだけがプロ野球の存在意義なのかね、マスコミの諸君?順位に関係なくプロフェッショナルなプレーが見れればそれでいいではないか?18年間、阪神ファンはそうして生きてきた。W杯が日本に来ようと、試合のない翌日でさえも、関西スポーツ誌の一面は阪神だった。万年最下位チームの快進撃に、お調子者の関西人でさえ「どう浮き足立っていいのかわからない」という状態で、目の前の1勝に後先考えず狂喜する様は、首位を独走するチームのファンとは思えないのだが…

     だが、これは夢でも奇跡でもない。ここで失速して優勝を逃したりしたら、それこそ逆の意味で歴史に名を残してしまうことになる。強いという事は「負けること」への恐怖でもある。勝ち続ける阪神の姿の先に何を見るのか、阪神ファンにもそれについて考えることが求められているのかもしれませんね。


    文責:GM研編集部編集長 gonta

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