Weekly Web Magazine
週刊GM研 Vol.95
2003/05/31


【News Headline】
  • プロ野球オールスターファン投票に問題が?
  • 【mini Review】
  • 漫画  : 
  • ダイナマイトダンディ 地獄のワニ蔵
  • 同人誌 : 
  • 頑張れ!小心者
  • 雑誌 : 
  • 週刊ファミ通 6月13日号(vol.756)
    【COLUMN】
  • 「To Heart 2」製作発表について

  • ■News Headline

     【プロ野球オールスターファン投票に問題が?】 

     インターネット常時接続が当たり間のこのご時世、プロ野球のオールスターのファン投票もインターネット投票が一般的になっているようです。5月30日時点で、総計300万票のうち160万票がインターネット、60万票が携帯電話、従来からのハガキは80万票、という比率になっています。しかし、ここで大きな問題が発生してしまいました。ここ数年、一軍での登板機会が一度も無い中日の川崎憲次郎投手が、なぜか投手部門の2位で1位の井川投手との差が詰まる一方なのです。オールスター実行委員会の調査の結果、これは1台のパソコンからによる過剰な投票でることが明らかになり、投票マナーを守るように呼びかけを行ったものその効果もなく、このまま逆転1位を許す様な事態になれば、前代未聞の汚点を残す事になりかねない。

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     一応、ネット投票には一人一日5回までと制限されているものの、本人の認証はユーザーが入力する個人情報によって行われているため、制限回数を超える複数投票をチェックする機能としてはまったく役に立ちません。住所が一文字でも違っていれば、同一人物とは判断できないんですからね。あまりに大量の送信についてはIPアドレスでチェックできるけど、明らかに何らかの法規に違反していないとISP側に発信者情報の開示と警告を要請するのも難しい。それに、途中で投票システムを変更するのは現実的に不可能だし… それに、川崎投手もこんなことで選出されても嬉しくともなんともないだろうし、おそらく出場を辞退することになるだろう。どうも日本のプロ野球は「お客様は神様です」「ファンならなにをやってもいい」という風潮があって好きになれない。組織票にも程がある!本当のファンなら、その選手の現状を素直に認めて、復活するまでを温かく見守り、そして、復活の暁には、その活躍と成績に見合った舞台を与える手助けをするべきだろう。なぜそれが分からないのか…勝った負けた、それを酒の肴にするだけがプロ野球なのかい?ふぅ…


    ■mini Review

     【ダイナマイトダンディ 地獄のワニ蔵】押川雲太郎/近代麻雀 
     ごく一部で有名(?)な豪腕麻雀漫画「根こそぎフランケン」の外伝的作品、それが「ダイナマイトダンディ 地獄のワニ蔵」です。連載開始当初は、前代未聞の痛快ピカレスクヒーロー:ワニ蔵を主人公にした、イカサマし放題&負けて逆切れする相手を腕力でねじ伏せ&新興宗教団体はぶっ潰すわ…完璧にお笑い麻雀漫画だったんですけど、3巻のあたりから普通人「田中君」がメインの話になっていって、最終巻の5巻では予想外にレベルの高い麻雀漫画に仕上がってしまいました。普通人の田中君には、読みや状況に合わせたカミソリのような切れ味はないし、大きな流れで攻める根性もナタのような破壊力も無い。だが、彼には異常な粘り強さと麻雀に対するバカみたいな情熱がある。耐えて粘って、鈍くても重いハンマーのような麻雀を打てばいい。押川作品における麻雀漫画とは、牌理論ではなく勝負師の生き様を描いています。豪腕フランケンでも天才竹井でもない、普通人が修羅場の最後の大一番で見せた執念は、他の作品では味わえない痛快さがある。

     【頑張れ!小心者】サークル:POSTMAN / 作者:露崎雄偉 
     先日、初めて創作系の同人誌即売会「関西コミティア22」に行った時の事、思わぬ掘り出し物を見つけました。それが、この「頑張れ!小心者」です。この作品は元々、10話程度描いて出版社に送って没になったシリーズなのですが、どうしても描きたい話の流れがあったため、同人誌で発表する事になったということです。それも同人誌の醍醐味というやつですね。このシリーズは、チビで童顔で若ハゲで、いつもおどおどしている小心者サラリーマン「小心 強」の何気ない日常を1話4Pのショートショートで描いたほのぼの系漫画であり、全100話構成で5巻で完結予定です(5月現在、3巻まで発行済)。絵が特別に上手いというわけではないけど、そのシンプルさがこのシリーズの雰囲気にとてもよく合っていると思います。そういう微妙なバランスによる表現手法は商業誌ではなかなかお目にかかれません。小心君と憧れのマドンナ岬祐さんとの恋の行方を、今後とも温かく見守って行きたいと思います。

     【週刊ファミ通 6月13日号(vol.756)】 エンターブレイン 
     SCEが発表した携帯ゲーム機「PSP」についてのアンケート結果が掲載されていました。まだ情報が少なすぎる段階なので、ユーザーや販売店側は「期待する」は約50%に止まり、ユーザでは18%が「期待できない」と厳しい意見もあったようだ。それに対して、メーカー側は約70%が期待していると回答し、期待できないと回答したのは僅か2%に止まっている。この温度差の原因はなんなのか?多機能すぎてゲーム機としての狙いが見えてこないとか、スペックが高すぎるため携帯ゲーム機ならではのコンパクトなゲーム設計が失われるのでは、という意見もあるようだ。SCEとしては、PSを立ち上げた時のように、王者任天堂と同じ路線では勝負しないだろうけど、今では立場が逆転してしまっているので、それが改革と映るのか、それとも王者の傲慢の押し付けと映るのか、とても微妙な問題だと思います。

     「また実写系野球ゲームかよ!」と辟易してしまった「リアルスポーツプロ野球」ですが、発売元を見てさらに辟易。eb!かよ!画面写真を見てもシステム解説を見ても、他の野球ゲームとの差異が全く見つからないんですけど…コナミとの独占契約期限が切れた途端、堰を切ったように各社から野球ゲームがボンボン発売されていますが、揃いも揃って似たような企画ばかり立てくさりおって… どうせなら、浜村社長の趣味に走った阪神仕様の野球ゲーム(確か昔、そんなゲームがあったような気がするが、タイトルをド忘れしてしまった)を出したほうがよっぽどマシなのでは?


    ■COLUMN

     【「To Heart 2」製作発表について 】
    発売元: アクアプラス
    発売日: 2004年春
    プロデユーサー: 下川直哉
    ディレクター: 鷲見努
    原画: みつみ美里、カワタヒサシ、甘露樹、なかむらたけし
    シナリオ: 三宅章介、菅宗光、まるいたけし、枕流
    音楽: 松岡純也、石川真也、下川直哉、中上和英

     …最初はネットによくある冗談だと思っていたけど、本気だったんですね。オフィシャルHPにも情報を出さないで、いきなりファミ通の見開き広告で発表ですか…Leafオールキャストとも言えるビックネームを揃えた布陣で、2004年春PS2で発売予定(あくまで予定)とのこと。まだ製作発表の段階ですが、このタイトルについて考察してみることにしましょう。

     まず、アナリストとして分析させていただくと、PCエロゲーではなく、いきなりコンシューマ(家庭用)からスタートするという販売戦略は、狙いとしては悪くないと思います。あのゲームは元々、とってつけたようなエロシーンしかなかったし、あの原画さんのエロ画は、エロ業界標準から判断しても決して上手いとも言えませんしね(問題発言)。それに、近年のLeafがPCに投入したオリジナル新作の不振からも分かる通り、PCギャルゲーユーザーからは、Leafブランドは完璧に信用を失っています。バグだらけのDC版「こみパ」で悪評を買いまくったアクアプラスブランド(Laefの家庭用ブランド)も似たようなものですけど…

     あ、最初に断っておきますが、私はLeaf信者ではありませんよ。「To Heart」は私もやったことがあるし、ギャルゲーの歴史のターニングポイントとなった名作だとも思いますが、それはあくまで過去の話であり、いつまでも崇め奉るものではないと思います。かつてリアルタイムで「To Heart」を経験した信者は、この続編製作発表を歓迎するだろうけど、結局、Leafは自分で作った「To Heart」を超えるオリジナルを作れなかったから、「To Heart」のPS版と「こみパ」のDC版をPCに逆移植するなど、過去のヒット作のネームバリューに頼らざるを得なかったわけであり…それが、自由なフィールドのPCギャルゲーのトップブランドが取るべき企業姿勢なのか、というと、大いに疑問があります。

     同人界では、Leafは完全に神格化されてしまっているけど、その対象は未だに「To Heart」や「こみパ」などの過去の栄光ばかりであり、近年の作品は見向きもされていないのが実情です。私はレビュアーとして、この駄作と死屍累々の果てに、いつかもう一発当ててくれるだろうと期待していたわけですが、どんなにダメでも、潰れない程度に信者が買い支えてくれるという甘ったれたビジネスモデルしか設計できないマイナーメジャー志向の方々には、それは無理な注文だったみたいですね。

     その手の信者なら、今回の「To Heart2」のスタッフ表を見ただけで小躍りするんでしょうけど、ビックネームだけ揃えればいいゲームが出来るなら誰も苦労しませんよ(※某読売巨人軍と同じ論理ですな)。願わくば、原画さんとシナリオライターだけじゃなくて、もう少しマシなプログラマを起用してバグの無いシステムを構築して、もう少しまともな開発進行管理をして発売日を守ってくださいませ。コンシューマーで出す以上は、業界の牽引者としての自覚を持って、ただの萌え絵再生装置ではなく、ちゃんとゲームで勝負できるものに仕上げていただきたいものですな。


    文責:GM研編集部編集長 gonta

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