Weekly Web Magazine
週刊GM研 Vol.93
2003/05/17


【News Headline】
  • 福岡男児放火通り魔事件
  • 【mini Review】
  • アニメ  : 
  • ガンパレードマーチ〜新たなる行軍歌〜
  • 漫画 : 
  • School Rumble (スクールランブル)(1)
  • 雑誌 : 
  • 週刊ファミ通 5月30日号(vol.754)
    【COLUMN】
  • Electronic Entertainment Expo」(E3)ニュース分析

  • ■News Headline

     【福岡男児放火通り魔事件】 

     5月12日午前8時10分頃、福岡市南区の路上で、登校途中の老司小5年の横山渓君(10)に、中年の男がガソリンの入ったガラス瓶を投げつけ、背中に火を付け逃走した。渓君は悲鳴を上げて逃げながら燃えたデイパックを脱ぎ捨てて近所の家に助けを求めて逃げ込んだ。渓君は背中の服やかぶっていた帽子や髪の毛が燃えていたが、ちょうど洗濯物を干しに庭に出ていた主婦がホースの水を使って火を消し止め、奇跡的に2カ月の火傷に被害を止める事ができた。

     この渓君への放火事件とほぼ同じ時刻に、渓君の自宅のすぐ近くに住んでいた男が、自宅にガソリンをまいて火をつけて自殺を図るという事件が起きていた。男は放火後ベランダで首をつろうとして転倒し、騒ぎをかけつけた建築現場の作業員に救出された。放火に使用したガソリンの瓶の指紋が一致した事から、警察は男を放火通り魔事件の容疑者と断定。容疑者は「すべてが嫌になった。子どもなら誰でもよかった」などと通り魔事件について関与を認める供述を始めている。

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     本当に物騒な世の中になりましたね…このニュースを聞いたときは耳を疑いましたよ。閑静な住宅街で白昼堂々、子供を狙った無差別放火通り魔事件とは…容疑者は失業や入退院を繰り返す母親の介護などで経済的にも苦しい上、近所でも孤立しており「すべて嫌になり、死のうと思った」などと供述している。最初から誰かに火をつけてから自殺する気だったのか、それとも犯行後、我に返って罪悪感に襲われて自殺を図ったのか、刑事裁判ではその辺が争点になるだろうが、無差別凶行に及んだと言う時点で情状酌量の余地などないのだが。

     この事件を聞いて連想せずにはいられないのが、今年の2月に韓国で発生した史上最悪の地下鉄放火事件です。あの事件でも同じように「将来を悲観」した自殺願望者の「無差別道連れ衝動」から生まれたものだった。しかし、いかなる社会的要因がそこにあったとしても、我が身の不遇を更なる弱者や無辜の一般市民に当り散らすことで、刹那的に強者になることでしか自らの生と死を認めることの出来ない、そんな人間に同情の余地など無い!以前、私が提案した「安楽死法」ならぬ「自殺法」の創設も冗談ではすまされない世の中なのかぁ?


    ■mini Review

     【ガンパレードマーチ〜新たなる行軍歌〜】公式HP 
     2000年9月28日に発売され、一部のゲームマニアの間からの口コミで話題が広まり、広報予算ほぼゼロのゲームが20万本という異例のセールスを記録し、日本ゲーム大賞で優秀賞まで受賞してしまった「GPM」。その後も根強い人気に支えられて実現したTVアニメ版は、ゲーム本編の発売から2年半も経ってからであり、何かと異例づくしの作品ですね。

     私もGPMファンの一人ですが、ファンとして言わせていただくと、このアニメは「外伝としては良く出来ている方だと思う」という微妙な評価を下さざるを得ません。あの膨大な世界観を1クール12話に収めるには、速水と舞を中心にした「いいとこ取り」の構成になってしまうのは仕方ないことだけど、壬生屋さんが第5話で早々と戦死してしまった後は、5121部隊の日常と恋の行方の比重が高くなりすぎて、幻獣の脅威や戦争の悲壮感がほとんど伝わらなかった気がする。ブータはただのデブ猫だし、準竜師や萌やなっちゃん(狩谷)の出番も無かったし、原作とキャストCVが一部違うし…

     でも、キャラクターの瞳の描き方とか川井憲次の音楽とかアニメの演出文法も、なかなか見所があったと思う。第5話での戦死者の読み上げ方とか、第11話での舞の不器用な愛情表現の仕方とか…あれはアニメじゃないと出来ない芸当です。吉田真弓の演じる「ののみ」には多少戸惑ったが慣れればこれはこれでいいかも。

     【School Rumble(1)】 小林尽 / 週刊少年マガジン 
     私が週刊少年マガジン連載開始当初から注目していた「無軌道ギャグラブコメ」こと「School Rumble(スクールランブル)」の単行本第1巻が遂に発売されました。ジャンルとしては一応ラブコメですけど、ギャグとラブの割合は「99:1」くらいです。天満ちゃんの鈍感ぶりと前向きなバカさ加減と、播磨くんが絡むダイナミックなバカさ加減など、脱線と暴走しっぱなしのギャグの切れ味には目を見張るものがあります。マガジンスペシャルに掲載されていた、。天満ちゃんの妹:八雲が主役の読みきりも収録されています。でも、惜しむらくは、連載時には載っていたハシラ(コマの外に編集者が入れるツッコミフレーズ)が単行本には載っていないことです。キャラクターの増やし方に失敗しているとか、ネタの質が安定していないとか、普通に分析すればまだまだ甘さと粗が目立ちますが、期待を込めて今後の成り行きを見守りたい作品です。

     【週刊ファミ通 5月30日号(vol.754)】 エンターブレイン 
     今週のソフトウェアインプレッションは「FF11」。私はネットゲーム否定論者のように思われているようですが、それは私自身がネットゲームを遊ぶ気がしないだけであって、批評家としてその存在価値を否定しているわけではありません。むしろ、ゲームをしない分だけ記事での疑似体験にはすごく敏感なんですよ。ファミ通.comで連載中の永田泰大氏のコラムも毎回欠かさず読んでいるし。で、今回のインプレのような国境を越えた出会いと別れのノンフィクションヒューマンドラマを読むと、あー面白そうだなぁーと思う反面、取り残されてしまってもう入ってはいけない敷居の高さを痛感させられてしまう。その面白さを一過性のものにしないために、記録として外部に残し伝えていく方法を、メディアはもっと積極的に行うべきではないだろか?

     E3に合わせて公開された新作ゲームスクープ31連発ですが、任天堂のラインナップは強力だけど完全に続編頼みで新鮮さには欠けると言えるだろう。本当は、こういう質と量の揃ったタイトル群を2年目に投入してから、マリオとゼルダなどのビックタイトルを投入するべきだったと思うのだが… ソニックチームのソニック戦略については、ソニックが世界的にどの程度の求心力があるのか良く分からないので、「ふーん」としか言いようが無い。カードバトルになった「PSO3」については、マニアックになりすぎるのではと心配です(GCという時点でかなり遊び手を選んでいるんですけどね)。 コナミはシリーズ最新作「メタルギアソリッド3」とGC版の「メタルギアソリッド」を公開。「3」の映像は美麗すぎてもう何がなにやら良く分からん世界に突入してしまっています。PS2でここまでできるのに、次世代機なんて本当に必要なの?GC版は「2」のシステムをベースにパワーアップした「1」のリメイクということも判明。任天堂がどの程度関わってるかは不明だけど… カプコンについては、オンライン化された「鉄騎大戦」以外は、開いた口が塞がらないのでコメントする気にもなりません。


    ■COLUMN

     【Electronic Entertainment Expo」(E3)ニュース分析】
     5月14日からアメリカのロサンゼルスで開催されている、世界最大のゲーム見本市「Electronic Entertainment Expo」(以下、E3)」ですが、アメリカの景気減速と新型肺炎SARSを懸念する見方もあったが、今年も3大ハードメーカーを中心とした熱い戦いが繰り広げられています。雑誌に先駆けてネット速報を元に、ハードメーカーの動向を中心に最新動向を分析してみましょう。

    SCE
     世界王者SCEのカンファレンスでは、最後に壇上に上った次期ソニーグループCEO大本命と目される久多良木健社長に、「PS3発表か?」との期待と憶測が集まったが、発表されたのは、何とモニタ一体型プレイステーションのポータブルマシン「PlayStation Portable」(以下、PSP)であった。

     「21世紀のウォークマン」として発表されたPSPは、メディアに直径6センチ容量1.8GバイトのディスクメディアUMD(Universal Media Disk)を採用し、480×272ドットの4.5インチTFT液晶を搭載。グラフィック能力として3Dポリゴン能力を有し,曲面ポリゴンを扱えるNURBSモデリングに対応。またMPEG4にも対応しており,ディスプレイは480×272ピクセルのワイドスクリーン(縦横比16:9)バックライト式TFT液晶を採用している。サウンド面ではPCM音源、3Dサウンド、ATRAC形式などに対応し、ステレオスピーカー、ヘッドホン端子を搭載。32ビットのCPUにUSB2.0,そしてメモリースティック(データはもちろん,ワイヤレス機能、GPSなどのメモリースティック型周辺機器にも対応)も装備できる。バッテリーは充電式リチウムイオン電池でさらにオプションで電源ケーブルも使用可能。アメリカ向けの資料によると,発売は2004年の期末になる予定。

     その他の動きとしては、ネットゲームサービスに本腰を入れるため、北米でネットワークアダプタ同梱版PS2の販売を開始。日本でも6月12日からHDDユニットの店頭販売とHDD内臓モデルのPS2を市場に投入すると発表。同時に、PS2の北米価格を199ドルへと値下げし、マイクロソフトの値下げを牽制。

     気になる次世代機PS3については一切リリースがなかったが、ソニーがIBMと東芝とで共同開発している次世代プロセッサ「CELL」が技術的にもコスト的にも問題の解決に時間がかかるため、PS2の延命へと戦略転換する必要があったのではないか---とアナリスト達は囁いている。

    任天堂
     任天堂のブリーフィングには、岩田聡社長が壇上に上がり、ゲームキューブの販売不調の要因を冷静に分析。携帯ゲーム機市場を完全独占してきたGBAについても、昨日電撃的に発表された「PSP」でソニーが挑戦してくる、まさに剣が峰に立たされた格好の任天堂だが、岩田社長は「ゲームはまだ終わっていない。本当の戦いはこれからだ。かつてこれほど任天堂がリスクを犯したことはないが、任天堂はけっして後退はしない」と、次世代機の開発を含めて任天堂独自路線の堅持を強調した。

     また、岩田社長はネットゲームについて、「これだけ多くのネットワークゲームが登場しているのに、なぜ大儲けしている人がいないのか。私はネットワークゲームのビジネスモデルには、大きな欠陥があると考えている。毎月料金を徴収せず、売り切りでネットワークゲームを提供できないかを現在研究しているところだ」と、あくまでも独自路線で行くことを強調した。

     その後は宮本茂を中心にして、「シムシティ」のウィルライト、「メタルギア」の小島秀夫、「バイオハザード4」の三上真司、ナムコ・セガと共同開発した「F-ZERO GC」、などのコラボレーションの成果を続々と発表。値下げについては発表されなかったが、6月から欧米ではゲームキューブにゲームキューブプレイヤーを同梱して価格据置で販売する実質的値下げを発表。GBAとの連結効果を狙ったばら撒き戦略を取るつもりのようだ。

     また、任天堂は新たに東京にも自社開発拠点を開設してゲーム開発経験者の確保と引き抜きに本腰を入れるようです。サードパーティーの企画チェックも緩和されたのか、エロゲーメーカーのスクウェア(自称)エルフがGC参入を表明(「同級生3」「らいむいろ戦記憚」投入との噂)。おいおい、本当にそれでいいのか任天堂?

    マイクロソフト
     ゲームキューブと僅差で2位争いをしているXboxですが、すでに敗北を認めている任天堂とは違って、マイクロソフトはいつまでたっても強気です。営業赤字が前年同期比2倍の1億9,000万ドル(約220億円)に増大。売上高も同47.7%減の4億9,300万ドルと大幅減収なんですけどねぇ…ちなみに、王者SCEでさえ、経常利益は136億3,100万円。王者の2倍近い赤字を出しておいて、どこからそんな自信が湧いてくるのか、ビルの旦那の経営手腕を疑いたくなるというものです。

     Xboxの米国価格を199ドルから179ドル99セントに引き下げ、日本でもXbox本体とXboxソフト1本、またはXbox本体とXbox Liveスターターキットを購入した人に対し、現金で6,800円がキャッシュバック(銀行振り込み)されるキャンペーンを発表し、テコ入れに躍起になっていますが、非常に面倒な手続きが必要なキャッシュバックというキャンペーンは、すでにセガがサターン時代に失敗しているんですけど…もう少し、日本のゲームの(販売現場の)歴史を勉強して下さいな。

     任天堂から移籍してきたレア社(ドンキーコングの開発担当)については、元々日本での認知度はゼロに等しかったので何の感慨もありません。Xboxライブも低いハード普及率がベースでは、マイナータイトルでは対戦相手が見つからないという事態まで発生しているようだし…大手では3大ハード同時発売も珍しくはなくなってきているし、PS2のネットサービスが本格普及しくきたら、もうXboxでなくてはならない理由なんて何も無く、なんだか「鉄の箱」と「水着」だけでこのまま終わってしまいそうな気配が濃厚です。Windowsユーザーから巻き上げた血税でこんな道楽をいつまで続ける気なのか…


    文責:GM研編集部編集長 gonta

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