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週刊GM研 Vol.82
2003/02/22


【News Headline】
  • 大邱地下鉄放火事件
  • 【mini Review】
  • 漫画
  •  : 魁!クロマティ高校(6)
  • 雑誌
  •  : Newtype 3月号
  • 雑誌
  •  : 週刊ファミ通 3月7日号(vol.742)
    【COLUMN】
  • ※休載

  • ■News Headline

     【大邱地下鉄放火事件】 
     2月18日午前、韓国第3の大都市:大邱(テグ)市の地下鉄:中央(チュンアンロ)駅で起きた放火事件は、死者120名を超える世界の地下鉄事故史上でも最大級の惨事となった。放火した金大漢容疑者(57)は、かねてから自身の障害(右半身マヒ)を苦にしてこれまで何度も自殺を図っており、「1人で死ぬのは悔しいので大勢の人と一緒に死にたい」と考え、当日の朝ペットボトル2本分のガソリンを購入し、中央駅に到着するとライターでガソリンに火をつけた。駅構内の監視カメラに残された映像では、列車のドアが開きこの駅で降りる乗客が出終わって、列車に乗り込もうとした女性客が後ずさりを始めた。次の瞬間、火達磨になった男(金大漢容疑者)が列車から飛び出してきて、数秒後には視界はガスで閉ざされた…

     しかし、本当の惨劇はそこから始まった。閉まらない防火扉、排煙装置の能力不足、非常灯のない暗闇…混乱の中、数百件の悲壮な緊急通報が災害司令室に寄せられていたが、災害司令室の対応はあまりにも杜撰だった。事故の発生を知りながら反対車線の列車に中央駅への進入を許可してしまった。そして、反対車線の運転手も、ガスの発生を目視で確認していたのに指示通り中央駅に入ってしまった。電車のドアは一旦は開かれたが、煙を検知したために数秒後には再び自動的に閉まってしまった。何の説明も無く、何が起きたのか分からないまま閉じ込められた乗客たち。そして、20分後、携帯電話で助けを求め続けた乗客の声は途切れた…

     今回の事故で決定的な過失になってしまったのが、対向車線の運転手が退避する際にマスターキーを抜いてしまったことである。運転手が自分の判断で非常ボタンですべてのドアを開けたまでは良かったが、マスターキーを抜いてしまったことで、乗客は完全に閉じ込められてしまった。マスターキーを抜くと電車のドアはすべて閉じられる。これは運転手なら誰でも知っていることである。いかにパニック状態にあったとはいえ、乗客の避難の完了を確認しないまま逃げ出してしまった事は重大な過失である。しかも、マスターキーの行方を隠滅しようとしたとあっては、業務上過失致死の適用を免れることはできないだろう。

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     先週も自殺事件を取り上げましたが、その重大さはこの事件の比ではありません。ひとりの人間の身勝手な道連れ自殺という動機によって、無差別に120人以上もの人命を奪ってしまったこと、そしてその何倍にも上る家族などの関係者の人生を破壊してしまった。この事件で救いようが無いのが、一番死にたがっていた犯人が生き残ってしまったことです。韓国は日本みたいな加害者人権天国ではないので、どうあがいでも重刑(極刑=死刑のこと)は免れないでしょう(一応法治国家なので公開処刑に及んだりはしないと思いますが…)。そして、被害を広げる過失を犯した関係者も連座してそれ相応の法的処罰を受ける事になるだろう。

     死のうとしている人間に何を言っても無駄だが、今回のようにが自殺志願者が、生きようとしている一般人を巻き添えにすることは断じて許されない行為である。「安楽死法」があるように、公的に自殺を容認しその手段と場所を提供する「自殺法」というものが必要な時代なのかもしれないなぁ…


    ■mini Review

     【魁!クロマティ高校(6)】 野中英次/週刊少年マガジン 
     GM研レビューのトップを独走し、講談社漫画賞も受賞し、ゲーム化までさてしまい、すっかりメジャーな漫画になってしまった「クロマティ高校」ですが、この「6巻」のネタは少々停滞気味です。「プータン」ネタといい「高橋さん」ネタといい「アラちゃん」ネタといい、前巻までの有無を言わせない不条理の切れ味が感じられず、作者本人がこの作品に対して飽きてきているのを実感してしまいました。メカ沢爆弾解体ネタは面白かったけど、現在の連載では再びゴリラネタのチカラ押しが増えてきているので、次巻の内容が今から心配です。でも、こんな風にどうにも安定しないあたりも含めて、私はこの作品が大好きなんですけどね。まぁ、こんないい加減で投げやりな発想(褒め言葉)をピークのまま維持し続けていたら、本当に危ない人でしかないですからね。ちなみに、クロ高に爆弾を仕掛けた謎の巨大な組織、という前フリについては深く考えないようにしましょう。もちろん、先のことなんて考えていませんし、案の定、何事も無かったように「ゴリラ編」へと突入してしまったし… これだから、クロ高からは目が離せないぜ!

     【Newtype 3月号】 角川書店 
     私は普段アニメ雑誌を全く買いません。そもそも、テレビ東京系のアニメも関東ローカルの深夜アニメも受信できないので、アニメの情報だけ仕入れてもただ虚しいだけですからね。そんな私が何を思ったのか衝動買いしてしまった、Newtype3月号。その理由は、新世紀エヴァンゲリオンのリニューアル版の第1話「使徒、襲来」を丸ごと収録したDVDが付録に付いていたからです。実際に見るまでは「いつまでEVAで引っ張るつもりやねん、GAINAX!」と呆れていたのだが…(鑑賞中)前言撤回!DVD-BOXの予約決定! この付録のDVDには、第1話のAパートを左右2分割にしていて、リニューアル版とオリジナル版の画質の違いが一目で分かるようになっています。原色がとてもクッキリ出るようになって画質は飛躍的に鮮明になっています。でも、肌色などの柔らかい色彩が安定していないし、オリジナルの薄めの色彩の方が好きな人もいるかもしれません(私もその一人ですけど)。5.1chサウンドについては、光接続の擬似5.1chスピーカで試してみました。確かに、今まで聴こえなかった音が聴こえるようになっていますが、それが5.1chの効果なのか、再編集の効果なのかは微妙なところですね。ただし、記事中にあった「追加アフレコには原則としてオリジナルのCVは参加していない」というのが気になります…

     この付録DVDには、2003年冬公開予定の新海誠監督の新作「雲のむこう、約束の場所」の予告編も収録されています。相変わらず予告編の作り方が非常にうまいですねぇ…わずか数分の予告編だけで胸にジーンとくるものがありました(声の演技が平板で聞き取りにくいのはいつもの仕様なので気にしないように)。今回は作画にアニメーのプロが参加しているので、「ほしのこえ」のように「たった一人が作ったアニメーション」という謳い文句はありません。新海誠というブランドを世間が放って置かないし、加熱する一方の過剰な期待に応えるためには避けられない事です。それにしても、こんなに壮大な物語を何分で表現するつもりなんでしょう?どうか、映像美と設定をばら撒くだけで終わらせず、ちゃんと1本のアニメの上でテーマを描き切っていただきたいものです。

     【週刊ファミ通 3月7日号(vol.742)】 エンターブレイン
     【トゥルーラブストーリー サマーデイズ アンド イエット...】 
     今週はファミ通がどうのこうの、なんて無駄な行数を使う暇もありません。トゥルラー待望の新TLS「トゥルーラブストーリー サマーデイズ アンド イエット...(以下、TLS-S)」の情報が遂に公開されたのですから!わずか2ページの情報ですが、さっそく徹底的に分析して行きましょう。

    ●キャラクターデザイナーが変更に
     トゥルラーの大多数の意見として、「松田さんの絵じゃないTLSなんて認めない!」という声があるわけですが、私もその意見に激しく賛成です。今にして思えば、TLSは美術面でとても贅沢なゲームだったんですよ。3学期分の絵を作ってしまったTLS2はその極地です。有名原画家を起用して、わずか数点の萌え絵のクオリティだけを上げれば済む、一般的なギャルゲーとの決定的な違い、それがTLSの魅力だったのですが…

     さて、デザインが一新され(てしまった)「TLS-S」ですが…思ったよりも悪くないですね。新しい絵師が誰なのかまだ裏情報でも流れてませんが、TLSらしい色使い(現実的な髪の色とか、水彩調の背景画とか)は守られているし、キャラクターデザインもお約束ながら無難にまとまっています(詳しくは、下記のキャラ別ファーストインプレッションにて)。妙に肉感的な体型と奇抜な制服のデザインは、かなり好みが分かれるポイントだと思いますが…

     ただ苦言を呈するとすれば、首まわりが隠れる制服のデザインの影響もあって、全体のバランスが狂って見えてしまうことと、ポーズによってデッサンが安定していないのが非常に気になります。それに、デザイン一新と謳っている割りに、あまり変わり映えもしない、というのもいかがなものでしょう?

    ●ゲーム期間が「ひと夏の高校2年生」に
     これは大いに賛成です。1年間に期間を拡張したTLS3での失敗がちゃんと生かされましたね。具体的なゲーム期間までは現段階では判別できないが、おそらく1ヶ月くらいでしょう。夏休みの存在をどう絡めるつもりなのか、今後の情報が楽しみです。ただし、「どうしてひと夏で恋しなければならないのか」という必然性がまったく見えてこないのは大問題だと思います。転校も卒業も関係ないみたいだし、何を動機として、後述の「今日の目標」まで立てて女の子とお近づきになりたい!と思わせるつもりなんでしょう? (何も無いなら何も無いで、それなりの作り方があるのだが、そんな能力をebに期待するのは酷というものか…)

    ●新システム「今日の目標」について
     目的の女の子を捜して校内を徘徊する、というTLSの基本システムは相変わらずですが、「TLS-S」では新たに「今日の目標」というシステムが導入されるようです。しかし、新システムと言うほどのものではありません。これは要するに、その日に起こるイベントの内容と場所のヒントを文章で表示してくれる、というだけのことであり、「誰と何をするのか目標を選択できる」というものではありません。今回は妹も姉もいないみたいなので、恒例の好感度ピラミッドチェックがなさそうなので、その代用としてのガイドシステム、ということでしょう。でも、事前にイベント内容が分かってしまったら、発見の楽しみも意外性も薄れてしまいそうな気がするのだが…決して悪いシステムではないと思うが、新システムとしてウリになる、という程のものではありません。

    ●下校会話モードについて
     TLSの核心部分とも言える「下校会話モード」は健在です。見た目が少し斜め前上からの視点になりましたが、これは女の子の表情を描くのには最適なアングルだと思います。しかし!よーく考えてみてください。この視点は主人公の主観視点なんですよ。こんなアングルが出来るのは、よっぽど主人公の背が高くて、なおかつ女の子をじーっと見つめていなければならないんですよ? これは「恋愛若葉マーク」というTLSのコンセプトを根底から覆しかねない大問題です!

     もし、この文章が何らかの形で関係者の耳に入るとすれば、ぜひ検討していただきたい提案があります。それは、「好感度に応じて下校会話での視点と立ち位置を変化させる」、というものです。最初はよそよそしくて視線もあんまり合わないし、並んで歩くのが精一杯。でも、仲が良くなると目がだんだん合うようになって、徐々にその距離は物理的にも心の上でも縮んで行く。このシステムを使えば、今まで単に記号的に表現されていた「顔を赤らめる」などの、本来よっぽど近づかないと分からないような、表情のわずかな変化を自然に表現できます。あ、これこそポリゴンキャラの「ときメモ3」でやるべきシステムだったのかもしれないなぁ…(現実的には、今から仕様を変えられないし、一枚絵の擬似アニメーションで歩行を表現しているTLSには無理すぎる話ですけど)

    ●メディア展開について
     4月にキャラクターシングルCD(全6枚)、夏にはOVA(全3巻)が発売されるそうです。他のギャルゲーではこのくらいの商品展開は基本であり、むしろ最低条件とさえ言えるのですが、親会社の不遇に泣かされ続けてきたトゥルラーにとっては、OVAだなんて夢のような話なんですよ。でも、前例が無いだけに不安も一杯です。声優のセレクトからも分かる通り、サイトロン・KSS系が絡んでいるわけですが、ハッキリ言ってレーベルを聞いた段階で期待度は9割減です。声優陣は可も無く不可もなく、と言ったところですね。若手の中堅で安く無難にまとめましたが、歌唱力に大いに不安のあるメンバーなので、今後の商品展開が大いに不安です。まぁ、声優に小倉優子が起用されなかった、というのが唯一の救いですな(どうか、隠しキャラの声優、という落ちが付きませんように…)

     それと、ゲームのテーマが「ひと夏の恋」である上に、関連商品を先行リリースする以上、「2003年7月」という発売日は何があっても守らなくてはなりません。最低でも、夏のコミケ前までには発売して、そして、夏のコミケの企業ブースでTLSグッズを投入して、一気に固定ファンの囲い込みを謀る(誤字ではない)、そのくらいの逞しい商魂を見せていただきたいものです(他社製のギャルゲーの後乗りで培った手腕とやらのお手並み拝見)。

    ●楠瀬緋菜(くすのせひな) CV:桑谷夏子
     前向きで一途で行動的でドジっ子、という非の打ち所の無い正ヒロインですが、流行のツインテールがちっとも似合っていないのは、丸顔がさらに強調されてしまうからだろう。丸顔でちょっとポッチャリ系、というのは、個人的にはリアル(現実の女性)でも大好きなデザイン(タイプ)なのですが、正ヒロインとしてどこまで作品を牽引できるか、というとかなり微妙かもしれない。

    ●向井弥子(むかいやこ) CV:折笠冨美子
     外面の良い生意気な幼馴染、という設定はなかなか面白そうですね。1年年下の幼馴染、というのも非常に珍しいと思います。普通に考えれば、クラスも学年も違う幼馴染が高校生にもなって男女を意識せずに、昔と同じように付き合える、というものではないからね。しかし、唯一の1年生なのに「妹キャラ」としては機能してくれそうにないのが少々残念です。

    ●桐谷里未(きりやさとみ) CV:笹島かほる
     これまたお約束、クールで自分勝手で実はナイーブな女の子。まぁ、他のギャルゲーみたいに、魔物を狩ったり街に生贄を捧げたり父親を毒殺したりはしませんけどね。TLSには今までいなかったタイプ(沢田さんとはタイプがちょっと違う)なので期待はしているのですが、この手のテーマは扱い方を少しでも間違えると駄作になってしまう危険性もあるわけであり…シナリオ(誰?)の手腕が問われることになりそうです。

    ●篠坂唯子(しのさかゆいこ) CV:松来未祐
     メガネっ娘復活!はトゥルラーにとって朗報ですね。「文学・おっとり・天然」というあまりにベタな設定と、どこかで見たようなデザインなのが気になりますが、それは悪い意味ではありませんよ。敢えて王道を往くのがTLSの心意気ですから。でも、あそこまで有るか無いか分からない超薄型メガネって一体?

    ●有森瞳美(ありもりひとみ) CV:かかずゆみ
     いわゆる「完璧な学園のマドンナ」タイプですね。唯一の高校3年生、という設定がより一層「高嶺の花」というイメージの強化に一役買っています。なるほど、これは盲点だったなぁ…ここまで直球で勝負してくるとは…そんな高嶺の花を他のヒロインと同列に扱ってしまうところが、TLSの良さでもあり悪いところでもあるのですが…

    ●神谷菜由(かみやなゆ) CV:松岡由貴
     「横暴なともちゃん?(あずまんが大王)」デザインと設定を読んだ私の第一声がそれでした。ヨミというツッコミ役も居そうに無いし…(主人公がその役回りを?)。情報が少ないので何を狙っているのか判然としないけど、現実に居そうなキャラクターと、現実に居て欲しいキャラクター、その匙加減とメリハリはどうつける気なんでしょう?

    ●総評
     キャラクターCDが全6巻ということなので、おそらく、攻略可能なメインキャラはこの6人ですべて出揃った、と考えるのが自然でしょう。もしかすると隠しキャラが1人くらいいるかもしれませんが、初めてキャラ表を見た段階で、隠しキャラに期待しなければならないというのは如何なものか?

     デザインはかなり安直だと思いますが、設定の細かいところで盲点を突いているし、奇跡と奇抜な設定が氾濫する現代ギャルゲーの中で、敢えてリアルの王道を往く姿勢を示したことは、素直に評価したいと思います。「TLS4」ではなく、タイトルのナンバリングを捨てたのも英断だと評価したい(タイトルのセンスの悪さは否めないけど)。

     しかし、これはまだ、料理屋の店頭のサンプルを見て「おししそう」と言っている段階に過ぎません。長年通い慣れた定食屋が、代替わりしてリニューアルオープン。お店の雰囲気は入ってみないと分からないし、厨房ではどんな人が腕を振るっているのか分からないし、味は食べてみるまで分かりません。先代の味を守って欲しいとも思うし、それ以上のものを期待したいという気持ちもある。義理と人情と過去で美化された想い出…そんな高いハードルを超えること、それが「TLS-S」には望まれているのです。その期待が裏切られたとき、失望もかつてないものになる。こうして「夢を見させる仕様」を出してしまった以上、その期待に見合う作品に仕上げていただきたいものである。

    ●TLDについて
     私は現在、TLSをモチーフにした同人ゲーム「トゥルーラブダイアリー」を製作中ですが、今回の発表によって仕様を変更したり予定を変更することは考えていません(現在HPで公開している仕様は、現在の最新仕様とは微妙に異なっていますけど)。予想外だったのは、2003年末を予想してた新TLSが予想外に早く出てしまうことです。「TLS-S」がもし好評を博するようならば、私が出る幕は無くなってしまうかもしれません。でも、それでもいい、と私は思っています。

     不甲斐ない本家への怒りや、崖っぷちの危機感だけで作り続けられるほど、ゲーム作りというものは甘くありません。愛の無い憎悪はいつか燃え尽きてしまいますからね。人間がもっとも力を発揮できるのは「好き」という目標に向かって行動している時であり、そのエネルギーは長く強く燃え続けます。できれば、TLDはレジスタンスとしてではなく、TLS精神が生んだ可能性として好意的に出せる環境が整ってくれることを期待したいですね。


    ■COLUMN

     【休載】
     ※連載:ギャルゲーは倒れたままなのか?(第2回)「Leaf、Key、PCギャルゲーブランドの勃興」は、TLS-S分析に全力投球してしまい気力が尽きてしまったため、臨時休載させていただきます。


    文責:GM研編集部編集長 gonta

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