Weekly Web Magazine
週刊GM研 Vol.71
2002/11/09


【News Headline】
  • 日テレ“電波少年”謝罪 鳩山代表替え歌問題
  • 【mini Review】
  • 漫画
  •  : いい電子(3)
  • PC
  •  : iPod for Windows
  • 雑誌
  •  : ドリマガ 11月22日号(vol.369)
  • 雑誌
  •  : 週刊ファミ通 11月22日号(vol.727)
    【COLUMN】
  • 日本球界、死に到る銭闘

  • ■News Headline

     【日テレ“電波少年”謝罪 鳩山代表替え歌問題】 
     日本テレビのお笑い番組「電波少年に毛が生えた最後の聖戦」が、明治学院大学で開催された民主党の鳩山由紀夫代表の公演の質疑応答時間中に、鳩山代表を揶揄する替え歌(「ヤマグチさん家のツトム君」の替え歌)を歌った問題で、同局は8日、大学を編成局幹部が直接訪れ謝罪するとともに、9日に予定していたの番組内での放送中止を決定した。

     つい先日もFRIDAYに「やらせ疑惑」を報じられたばかりの電波少年ですが、表沙汰になっていないものを含めるといくらでも問題は見つかることでしょうね。不謹慎とタブーの一歩手前の笑いがあの番組のウリだということは理解していますが、最近は1時間番組になったことで視聴率を意識した際どすぎるシャレにならない内容が続いており、見るに耐えない内容のものも少なくありません。それは国内だけに止まらず、混迷の続くアフガニスタンやイスラエルなどの世界各国で日本の恥をばら撒いて顰蹙(ひんしゅく)を買っています。

     こんな下世話な番組が20%を超える視聴率を常にキープしているというのだから、まったくもって困った世の中ですね。しょせん他岸の火事、他人の不幸は蜜の味ということですか? しかもこの件に関するテレビ局側は「お笑い番組にいちいち目くじらを立てるような狭い器量だから、鳩山さんも民主党も人気が出ないんだ」などと言い出す始末であり、文面の上では謝罪はしても本音は反省の色まるでない。

     ただでさえ、先月末に民主党の石井紘基議員が刺殺される事件が起きたばかりでピリピリしているこの時期に、感情を逆撫でする様な事をすればシャレでは済まない、なんてことは小学生でも分かりそうな公衆道徳である。「叱られたら放送さえしなければOK」なんて論理では子供にも通じない。T部長なんて持て囃(はや)されて半タレント化してる場合じゃないのでは?


    ■mini Review

    漫画 【いい電子(3)】みずしな孝之  
     桜玉吉先生といい柴田亜美先生といい、どうやら週刊ファミ通に日記漫画を連載していると「アレ」になってしまいがちなようです。ただでさえ引き篭りがちな漫画家にとって、ゲーム漫画という仕事は状況を加速させてしまいます。単行本のあとがきにも「ド鬱編」と書いているくらいですしね。本人の精神状態は極めて「アレ」ですが、ゲーム漫画としてはネタが非常に良く練られていているし、ダークな本人も凶暴な担当もキャラクター(芸風)がそのまま漫画にできるくらい面白いので、危なっかしいけど作品としては今が脂の乗り切ったすごく良い状態なのかも。日記漫画は恥を曝してナンボの身を削る人気が出れば出るほど壊れていく、なんとも因果な商売ですねぇ…

    PC 【iPod for Windows】アップルコンピュータ  
     今までマッキントッシュ専用だった携帯型HDD音楽プレイヤー「iPod」mpWindows版(20GBモデル)を購入しました。9月中旬には発売されていたのですが、品切れが長く続いていて買い時を見失っていたのですが、先日日本橋のソフマップで中古未開封完品のiPod(WIN・20GB・53800円)が連休特別セールでさらに3000円引き=約50000円(定価は59800円)!まさに機をみるに敏!冬のボーナス一括払いでスポーンと衝動買いしてしまいましたとさ。

     iPodのインターフェースは恐ろしいほどに単純です。IEEE1394(ソニー名ではiLink、マック名ではFireWier)ケーブル1本でパソコンとの接続も充電もできてしまう(ケーブル経由でパソコンから充電できるという変わった仕様である)。難点といえば、iPodとパソコンを連動させるソフト「musicmatch JUKEBOX」がiPodを認識するまで時間がやたらとかかることと、ユーザーマニュアルに必要最低限のことすら書いていないこと(マニュアル要らずのマックの伝統?)。

     iPodのファイル管理にはディレクトリという概念がないというのが大きな特徴でもある。MP3ファイルに書き込まれているID3タグから判別して、アーティスト・アルバム・曲・ジャンル・作曲者、この5つのグループに自動分類して選曲できるようになっている。100曲200曲程度なら便利かも知れないが、4000曲も入っていたらお目当ての曲を捜すのも一苦労だと思うが… 多分、iPodはあくまで「音楽を持ち歩くもの」であって「音楽を保存するもの」ではないという設計思想によるものなのかな?つい勢いで20GBモデルを買ってしまったが、実用レベルでは5GBモデルでも十分なのかも知れない… 

     さっそく、手持ちのCDをガンガンMP3化してドンドンファイルをiPodに放り込むが、広大な20GBもの領域を埋め尽くすのはいつになることやら…あ、ちなみに、20GBと連呼していますが、これは正確な容量ではありません。正確には18.5GBです(計測方法が違うだけなのでアップルが嘘を付いているわけではないのだが、何か釈然としない…)。

     iPodのMP3プレイヤーとしての評価は「並」だと思います。ターンタッチパネルの操作性は非常にいいし、ディレクトリ階層ではなくID3タグによるファイル分類も意外と使いやすい。再生開始までの待ち時間も許容範囲だし、HDDの回転音・震動音・発熱も気にならない。たったひとつの難点としては、イコライズ機能(BEATや重低音の割合を段階で調節する機能)がついていないこと。せめてCDウォークマン並の3段階くらいつけて欲しかった(私は音楽の「声」を非常に重視するタイプなので)。

    雑誌 【ドリマガ 11月22日号(vol.369)】ソフトバンク  
     特集1「ドリームキャスト再生計画」では、デス様の真鍋社長とNECiの多部田(呼び捨て)がインタビューで揃い踏み。ドリマガきってのイロモノ(?)の両者ですが、初めて真鍋社長が社長らしいまともな市場分析をしているのに驚きました。「ライトユーザーなんてとっくに絶滅している」という分析には激しく賛成デス。一方、多部田(やっぱり呼び捨て)の方は、またしても「DCで新作を2本出す、しかもちょっとしたニュースも込みで」といつものように思わせぶりな発言をしています(DCのみでとか言っていますが、どうせ半年か1年後にはPS2にも移殖するくせに…)。次号のドリマガで発表とこのとですが、次号も彼奴の顔を見なくてはならないと思うと鬱に…

     特集2「CESA大賞はどうだったのか?」の切り口が非常に面白かった。冒頭から「今年の結果は妥当だがビジネス色を強めた方向性のため各所に不透明な部分が残った」と始まっており、私は思わず「これだよコレ!」と叫んでしまいました。 GAMESPOTのユーザーアンケート結果では、実に72.6%もの人が賞の在り方に「異議あり!」と回答。CESAの授賞式の運営方針(公表されない投票詳細・選考委員・審査基準・受賞理由)に不満が爆発し、特に「GAME AWARDS FUTURE」に関しては非難轟々。TGS(東京ゲームショー)に出展していない作品は対象外になるという、完全にCESAという業界団体の販売促進戦略の一部と化してしまった賞の体質を厳しく批判しています。特集は「ゲームの賞はビジネスのために?それっとどうよ?」と総括されいます。さすがセガマニアの反骨精神を受け継ぐドリマガ!どこぞの御用雑誌とは違って、ユーザーの気持ちを本当に考えていてくれる。これだからドリマガ読者はやめられないネ!

    雑誌 【週刊ファミ通 11月22日号(vol.727)】エンターブレイン 
     fromファミ通.com「FFX-2をどう思うか?」のユーザーアンケートは非常に興味深い結果が出ていました。「FFシリーズの各作品の続編をリリースして欲しいと思うか?」という問いに対して、「してほしい(35.9%)、してほしくない(23.0%)、どちらとも言えない(41.1%)」という結果が出ました。「どちらとも言えない」と解答した人のコメントを分析すると否定論が目立つので、実質的には賛成と反対の総数は五分五分、期待と不安が入り混じった賛否両論真っ二つと言った所でしょう。私は1ゲーマーとしてFFX-2には反対していますが、1アナリストとして歓迎しています。FFX-2が話題になることでFFXにも再びビジネスチャンスが生まれるわけであり、新作ゲームの商品寿命が僅か1〜3ヶ月しか保たないゲーム業界の悪循環構造を変える可能性があると思う(ゲームとしてどのような評価が下されるかは全く別の問題ですけど)。

     SCEの新作RPG「ダーククロニクル」の16Pぶち抜き広告に絶句。一体いくら広告費が掛かっているのか、ページあたりの単価で計算してみると(「おとなのしくみ」第1巻P116を参照)…約1600万円!中小なら会社が傾きかねない金額です。しかも、16P中ゲームの中身の解説として機能しているのは6Pだけという何とも贅沢な広告ですが、ここまでやられてしまうと嫌が応にも目に付いてしまう。インパクトやイメージ優先で意味不明なTVCMに巨額の宣伝費を投じるよりも、よっぽど効果的だと思う。


    ■COLUMN

     【日本球界、死に到る銭闘】 
     ヤクルトとの契約延長交渉が不調に終ったペタジーニを、阪神・巨人・横浜・中日が獲得に向けて大争奪戦を水面下で繰り広げていますが、その年棒は最低でも1年11億円とも言われています。広島の金本、近鉄の中村、横浜の斎藤隆、などなど、中心選手が続々とFA権の行使を宣言している今シーズンのストーブリーグは、空前の銭闘の様相を呈してきました。

    かなり早い時期から「金本・中村・ペタジーニの総獲」を宣言して阪神電鉄本社の金庫に解放を迫り50億円もの資金を用意した阪神といい、松井を引き止めるために用意していた50億円がメジャー流出で浮いてしまったために一転して銭闘に参戦してきた巨人といい…なんとも景気のいい話ですねぇ…野球人気の凋落が深刻なご時世に、どこにそんな金があるんでしょう?

     巨人にとって松井が抜けた穴は確かに痛いが、今回の争奪戦に参戦した意図は解せない。サードの中村は江藤とポジションが被るし、ファーストのペタジーニは清原と被る。衰えの見える江藤と爆弾を抱えている清原に対する保険として獲得しようという意図のようだが、保険だけでウン十億円も出そうというのだからまともな神経ではない。

     現場レベルでは、すでに「センター:高橋、ライト:斉藤、4番:清原」という基本路線が固まっているのに、球団側が余計なお節介で大砲を獲って来て現場に押し付けようというのだ。そんなんで集められた選手に「ジャイアンツ愛」などと抜け抜けと喧伝する、それが読売のいつものえげつないやり口である。

     「誠意(金)を見せろ」と要求するペタジーニはえげつないが、他の選手も必ず「お金の問題じゃない」と奇麗事をぬかすのも嘘臭くて嫌いです。2億も3億も金額に差をつけられたら誰だって気持ちが揺らいで当然だし、引退後の仕事にも影響してくるし、極端な話、契約さえしてしまえば出場機会がなくても金はもらえるのだから、巨人という選択がもっとも利益を上げるのは自明の理である(実際に、持ち逃げ外人「ヒルマン」のように難癖をつけて登板を回避しまくった奴もいたし…)。

     だが、こうして次々にスター選手を掻き集めることによって、玉突き事故のように追い出されていくスターがいるのもまた事実である。かつて清原を獲得するために落合を追い出し、そして今また、中村を獲得して江藤を追い出そうとしている。確かに野球選手にとって巨人は最高の野球環境かもしれない。だが、それは同時に選手の”墓場”にもなりかねないのだ。今年、巨人が圧倒的な強さを見せたのは、生え抜きの若手を積極的に起用したからなのに、球団サイドの体質は何一つ変わってやしないんですね…

     FA権は選手にとってみれば正当な権利のはずなのに、実際にはこの制度のせいで年棒が高騰してしまった。活躍すればするほど年棒が高騰して疎まれるという悪循環を生んでしまった。生涯イチ球団を誓っていた選手にとってはハタハタ迷惑な話でさえある。お手本にしていたはずのメジャーリーグは、際限のない拡大戦略と選手年棒の高騰によって行き詰まりを見せつつあり、市場規模が縮小する一方の日本球界が同様に高騰する年棒を維持できるわけもなく、すでに取り返しのつかない事態になってしまいました。

     もし、我らが阪神タイガースがこの補強で強くなったとしても、素直には喜べないだろうなぁ…


    文責:GM研編集部編集長 gonta

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