Weekly Web Magazine
週刊GM研 Vol.70
2002/11/03


【News Headline】
  • 「ラグナロクオンライン」、12月1日から有料化
  • 【mini Review】
  • 漫画
  •  : こちら葛飾区亀有公園前派出所(132)
  • 小説
  •  : 新ロードス島戦記3 黒翼の邪竜
  • 雑誌
  •  : 週刊ファミ通 11月15日号(vol.726)
    【COLUMN】
  • 史上最悪の日本シリーズを振り返る

  • ■News Headline

     【「ラグナロクオンライン」、12月1日から有料化】 
     オンラインRPG「ラグナロクオンライン」は、現在行われているβ2テストを11月20日午前3時で終了し、12月1日から本サービスに移行すると発表された。利用料金は、2003年2月までの3カ月間はクレジットカード決済が月額900円、ウェブマネー決済が30日900円。その後はクレジットカードが月額1500円、ウェブマネーが30日1500円。現時点でテストユーザーは約85万人。アンケートに答えた1万5525人のうち約94.7%が有料化後もプレイを続ける(「料金次第で」も含む)と答えたとしている。

     オンラインRPG界では「RO」と言えば、その業界で今や知らぬ者はいない代名詞的な存在である。だが、月額1500円という利用料金は、同種の常駐型オンラインRPGである「FF11(月額1280円)」と比べても少々高い気がする。あまりにも繋がりにくくて頻繁に回線エラーが発生するROの貧弱なサーバー環境には、とても払う気にはなれない金額である(商用サービスになればサーバーはそれ相応の物に強化されるだろうけど)。

     94.7%が有料後もプレイを続ける、というアンケート結果もあまり信用はできません。テストユーザー数はアカウントの数で計測しているのだから、1人で複数のアカウントを取得しているケースを考慮しなくてはならない(ROの場合は特に、アカウント取得の時点でキャラクターの性別が決まってしまっため、大抵の人は2つ以上のアカウントを持っているのが常識なのである)。また、私のようにダウンロードしてアカウントを取って…までは行ったものの、あまりに頻繁に落ちる回線とサーバーに嫌気がさしてやならくなった人も大量にいるので…ユーザーの実総数は5万人前後だと推測されます。

     まぁ、あのFF11ですら10万人前後の規模で推移しているのだから、5万人の94.7%が残るとしてもこれは大変な数字なんですけどね。FF11は11月7日にPC版が発売されるけど、あまりにも必須スペックが高すぎるのがネックになりそうです(必須:P3-800,GeForce32MB、推奨:P4,GeForce3 64MB)。ROはそれほど高スペックを要求しませんが、380MBにも及ぶ製品ダウンロードがあるので、ブロードバンド回線が事実上の前提条件となる。ROのビジネスモデルが成立するかどうか、それは日本のネットゲームが根付くかどうかの試金石となるかもしれない。


    ■mini Review

    漫画 【こちら葛飾区亀有公園前派出所(132)】秋本治  
     漫画単行本の世界最長不倒記録は続くよどこまでも〜というわけで、132巻目。最近は新キャラによるネタものが多かったが、この巻では珍しく王道の両さんネタのオンパレードとなっています。やはり、金儲けに目を血走らせて常人離れした発想を常人離れした行動力で実現し、必ず最後は欲を掻いて派手に失敗してこそ両津勘吉!最近の漫画にやたらと多い、ルックスが良くてウケだけはいい角のない美形キャラクターよりも遥かに魅力的です。 これまで何度か話しが出ていた日光・月光の高校「St.フェアリー」の実態がようやく明らかになりましたが、校長先生の絵はどこまで見たような記憶が…あ、ヤクート・パンテル大佐(124巻登場)と顔の傾向がそっくりなのか。なんだか秋本先生の美女像って偏りがあるような気がしないでもないが…

    小説 【新ロードス島戦記3 黒翼の邪竜】水野良  
     ロードス島戦記ファンの間でも好き嫌いがはっきりと分かれている「新ロードス島戦記」シリーズですが、相変わらずマーモ公国の行く先は闇の中であり、物語も局地戦ばかりなのでほとんど進んでいません。新生マーモ帝国の取っている戦術が疫病の流布や民間船舶の無差別攻撃などなど、まるで現実世界のテロリズムのようなものであるため、ファンタジーを読んでいる気になれないというのも、厄介なところです。フォースやシーリスなどのロードス本章の”生ける英雄”が登場するあたりは思わずニヤリとしてしまうが、彼らはあくまで脇役であり、主役のはずのスパークたちの魅力がなかなか見えてこないというのが、新ロードス島戦記の難点であり、同時に発展途上の英雄候補を等身大で描くという狙いでもあるのですが…

    雑誌 【週刊ファミ通 11月15日号(vol.726)】エンターブレイン 
     まずはファミ通エクスプレスの分析から。スクウェアの和田社長へのインタビューは、ありきたりの質問ばかりで発表会の内容を繰り返すような内容でしかなく、これといって興味をそそるものではありませんでした。先週号の時点でFF10-2のクリエータインタビューを載せちゃったから、その後に社長を出して経営を語られても面白いわけが無い。少なくとも、速報性が命のエクスプレスでやる内容ではない、と思います。

     「第6回CESA GAME AWARDS」の結果が載っていましたが、いつものことながらこの賞は集計対象期間が非常に分かりにくい。発売から1年4ヶ月も経ってから今更「最高賞はFF10です!」と言われてもなぁ…「ICO」「逆転裁判」「リネージュ」などの意欲作が特別賞という形で評価されるようになったのは良い傾向だと思いますが、今回から新設された発売前のゲームに贈られる「GAME AWARDS FUTURE」の意義はサッパリ分かりません。どれもこれも大手メーカーの続編続編続編…「FUTURE」の名を冠してるのだから、もっとゲーム全体の未来のことを考えた選考をしていただきたいものである。

     ふぅ…なんだか最近、ファミ通で読まないページが増えてきたなぁ。毎週毎週大作ゲームの代わり映えのしない速報か攻略記事ばかりだし、クロスレビューを読んでも何の参考にもならないし、9割方の編集者の記事は読む気もしないし…ゲーム雑誌情報誌なのにゲームの記事が一番読めないとは、こはいかに? 数本の連載漫画と連載コラムのためだけなら、なんとも割高な週刊誌だなぁ。


    ■COLUMN

     【史上最悪の日本シリーズを振り返る】 
     巨人の4−0のストレート勝ちという圧勝であっけなく幕を下ろした日本シリーズですが、皆さんはどのように感じたでしょうか?GM研のWEB日記では「17年来の西武ファン+生来のアンチ巨人ファン」という主観を大爆発させてしまいましたが、ここでは客観に徹して一人の論客として日本シリーズを振り返ることにしましょう。

     私の友人には巨人ファンもいますが、彼らも「なんだか勝っても全然嬉しくない」と異口同音の感想を漏らしています。その最大の原因は、テレビ中継のあまりの質の低さだろう。第1・2戦を中継した日テレは、完全に巨人の大本営放送と化しており、清原のホームランの時には「清原!清原!清原!!!」と絶叫するばかりで聞くに堪えない。第3戦を中継したテレビ朝日は、イニングの変わり目に自局のドラマ「逮捕しちゃうぞ」の宣伝のため、西武球場のカブレラ地蔵に向って「ホームラン打たないと逮捕しちゃうぞ!」などと言い出す始末。第4戦を中継したTBSに到っては、こともあろうに解説に長嶋一茂を起用するという暴挙に…これほど「聞くに堪えない」日本シリーズは前代未聞だと思います。

     よく「第7戦までもつれてこそ日本シリーズ」と論ずる人がいますが、それはそんなに重要なことではないと思います。たとえ4−0のストレート勝ちであっても、相手が本当に強かったのなら、それはそれで素直に結果を認められるだろう。だが、今回のケースは西武があまりにも不甲斐なかった。フルシーズン西武投手陣の柱として貢献した西口よりも、怪我でずっと戦線離脱していた松坂を起用するという、興行の論理に踊らされて「策士策に溺れた」井原采配、古田がニュースステーションで予想した通り「逆シリーズ男」になってしまった5番:和田。西武球場なのに3塁側の巨人の応援の方が良く響いてどっちのホームなのかわからない状態…

     私は生来のアンチ巨人ファンを公言して憚らない者ですが、私が嫌いなのは「読売巨人軍」という悪しき球界支配構造であって、巨人の選手が嫌いなのではありません。むしろ、選手個人のレベルでは実力を認めているし尊敬すらしている。清原と桑田はPL時代からずっと応援してきたし、松井も星陵時代から応援してきたし、高橋義伸は敵ながら天晴れな天才打者だと思うし、上原の言動はいちいち癪に障るが実力は本物だし、阿部の頭の中はよく分からんが、ありあまる才能に疑いの余地はないし… スタメン全員を褒めても足りないので割愛するが、本当に「よくもここまで集めたものだ」と関心すらしてしまいます。

     かねてから「あの戦力をまともな監督が指揮を執れば無敵だ」と私は言ってきましたが、まさに今シーズンはその予言が的中してしまいました。長嶋茂雄という「ハンデ」があったからこそ、他球団が付け入る隙もあったし、優勝しても誰も文句は言わなかった。だが、今年の巨人は「ただ普通に強い」だけだった。セリーグの5球団が研究に研究を重ねて、エースをことごとくぶつける包囲網を築いても止められなかった。球界最高の頭脳:古田敦也もお手上げ宣言をしてしまうほど強かった。そんな飛び道具のような相手に、無策で臨んだ西武には端から勝ち目などなくて当然である。

     読売が選手獲得のために繰り広げてきた球界の闇の歴史を振り返ってみると良く分かる。空白の1日を利用して江川卓を強奪した悪名高き事件のほかにも、逆指名を得るために野球部の監督・家族などに契約金の上限規定を遥かに超える裏金がばら撒かれ、FA制度もドラフトの逆指名制度もすべて読売の手引きで実現したようなものだ。選択の自由とか選手の権利とか奇麗事を言っておきながら、その実態は才能の独占である。そして、制度改革によって高騰する選手年棒のため貧乏球団は経営が立ち行かなくなり、スター選手の高給が払えなくなりメジャーリーグへの流出を止められない。むしろ、ポスティング制度を利用して積極的に選手を高値で売り飛ばそうとしているくらいだ(FAで海外移籍した場合は球団に補償金は一切入らないから)

     読売の独占欲が日本球界の地盤沈下を招いているのは疑いの余地はない事実だが、あの気紛れなご老人に振り回されるばかりで制度改革はまるで進まない。それどころか、毒に当てられてしまい他球団も青天井のマネーゲームの泥沼に引き込まれつつある。金本・中村紀・ペタジーニの総獲りに50億円を用意して鼻息の荒い我らが阪神タイガースを見ていると、阪神ファンとしてはどうにも釈然としないものがあります。野球界のバブル崩壊はもう止められないところまで来てしまっているのに、懲りずに同じ失敗を繰り返している場合じゃないと思うのだが…


    文責:GM研編集部編集長 gonta

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