Weekly Web Magazine
週刊GM研 Vol.53
2002/06/29


【News Headline】
  • ウルトラマンコスモス無実?
  • ポストトルシエは“人格重視”
  • 【mini Review】
  • DVD
  •  : あずまんが大王(劇場版)
  • 雑誌
  •  : ドリマガ 7月12日号(通巻360号)
  • 雑誌
  •  : 週刊ファミ通 7月12日号(通巻708号)
    【COLUMN】
  • 食わず嫌いについて

  • ■News Headline

    6/27 【ウルトラマンコスモス無実?】 (報知新聞) 
     「ウルトラマンコスモス」の主役ムサシを演じているタレントが、19歳のときに起こしたとされる傷害と恐喝容疑で大阪府警守口署に逮捕された事件で6月27日、被害者の少年が容疑者の弁護士立ち会いのもと、事件そのものが狂言だったことを認める陳述書の作成に応じ、事件は一転して、警察史上稀にみる冤罪事件へと急展開を見せています。逮捕を伝える記事に驚いた少年、警察に事情を話したところ、すでにムサシ役のタレントを逮捕していた守口署は少年に対し「警察のメンツがある。軽くでも殴られたのは事実だし、金を振り込んだのも事実だろう?」と押し切ったという。

     警察のメンツは法規よりも大切なんでしょうかねぇ?守口署副署長はスポーツ報知の取材に対し驚いた様子で「そんな陳述書が存在するとは思えない。詳しくは言えないが、とにかく立件する自信はある」と、この期に及んで見苦しいコメントを返しています。もっとも、「逮捕された」という事実だけを鵜呑みにして、事件の裏を取らずに「トカゲの尻尾切り」の如く速攻で番組を打ち切りにしたTBSの判断にも大いに問題があると思う。ウルトラマンがもし本当にいたとしたら、怪獣よりも先に倒すべき相手がいるのでは?

    6/28 【ポストトルシエは“人格重視”】 (日刊スポーツ) 
     日本サッカー協会は、日本のベスト16入り果たしたトルシエ監督の手腕に一定の評価を示すと同時に、たびたび記者会見をドタキャンしたりするワンマンさと、トルコ戦で見せた奇策など情緒不安定な欠点を指摘した。次期監督候補の名前はすでに何人か名前が上がっているが、協会内部には未だに「国産監督待望論」も根強く、様々な思惑を孕んだ情報の錯綜がしばらく続きそうです。(かつて、協会の曖昧な態度がネルシーニョ監督を激怒させて「日本サッカー協会は腐った蜜柑だ!」言われたのは記憶に新しい)

     その条件から浮かび上がってくる候補としては、1998年にフランスを世界一に導いたエメ・ジャケ、現:鹿島アントラーズの総監督のジーコ、あたりでしょうか? でも、ジャケは後進に道を譲る意志が固いみたいだし、ジーコは「強いブラジル」の復活によって満を持してブラジル代表監督に就任するとも言われているので、交渉は難航しそう。4年間を託す「全権監督」なのか、準備段階の「コーチ監督」なのか、ハッキリとした方針を示さないと、世界に赤っ恥を曝すことになりかねない。


    ■mini Review

    【あずまんが大王(短編映画)】   
     電撃大王の誌上通販で申し込んでいた「あずまんが大王(短編映画)」のDVDがようやく届いたので、早速観てみることに… 昨年の「冬の角川アニメ(:『サクラ大戦 活動写真』『スレイヤーズぷれみあむ』『デ・ジ・ キャラット 星の旅』 」とセットで上映されていたのですが、わずか5分の枠のために映画館まで行くのは割に合わないので劇場では見ていなかったし、テレビ大阪が受信できないのでテレビアニメ版も見てません。これがアニメ「あずまんが」初体験になったわけですが

    ・・・(5分後)・・・見なきゃ良かった(怒)。まず、声がイメージと違いすぎ! ちよちゃんのツイテールがでかすぎ! 忠吉さんの顔が可愛くない! よみの口パクがないのはなぜ? ゆかりちゃんの不自然なあの髪型は? せめて止め絵くらいはマシなのを使ってくれよ! …いやはや、たったの5分でこんなにツッコミ所の多いアニメは初めてです。慣れればどうにかなるというレベルの問題ではありません。「エンジェリックレイヤー」と同じ監督なのに、なんでこうなるかなぁ…トホホ

    【ドリマガ 7月12日号(vol.360)】 ソフトバンクパブリッシング 
     今週の「セゲいち」は前回に引き続きE3レポート特集2P特別拡大版ですが、セガのパーティ会場でセガグループの社長を1人ずつ紹介する下りで、「鈴木裕:代表作「シェンムー」」のアナウンスに、さっきまでノリノリだったアメリカ人が引きまくるシーンに悶絶。アメリカのセガファンも想いは同じなんてすねぇ…(遠い目 (ヨーグルトのプロデュースしてる場合じゃないっすよ、ホンマに…

     P110の「Xboxの逆襲」の中で、日本のマイクロソフト戦略責任者:大浦常務が「マイクロソフトは勝つまでやめない!」と息巻いていますが、つい先日、来日中のMS社のCEOが、Xboxの次世代機を2006年頃に商品化するとの方針を明らかにしたばかりなので、嘘臭さどころか虚しさすら感じてしまいます。「Windowsだって始めから勝っていた訳ではない」とWindowsを引き合いに出していますが、Windowsの成功は全世界のユーザーの死屍累々の上に成り立ったわけであり、それと同じ事をXboxでもやるということなんですか? 「Xbox Live」に同梱されるPSOはスタータパック代とは別途に利用料金(ハンターズライセンス料)が発生するとか、2年目以降の料金は金額も徴収方法も未定とか… こんな杜撰なビジネスモデルがまかり通ってしまうMS社って一体…

    【週刊ファミ通 7月12日号(vol.708)】 エンターブレイン 
     夏期ゲーム商戦で密かに期待を寄せている「悪代官」の広告が今週号の表紙裏にデカデカと載っていました。「お主もなかなかの悪よのお…」うーん、いい味だしてるなぁ。あれ?販売元「コナミ/コナミマーケティング」?えぇぇぇ!マヂですか? …自社流通網を持つコナミは、昔から「メジャー事業部」という名義で、中小ゲーム会社の販売代行事業をやってるのは知っていましたが…うーん、なんだか釈然としない。本音と建前の違いをビジネスに持ち込まないしたたかさを評価するべきだと分かってはいるんですが…

     今週号には付録としてXbox25タイトルのムービーを収録したDVDがついていましたが、「鉄騎」は40個ボタンの専用コントローラーでやってナンボだし、「業-MURAKUMO-」はムービーの迫力ほど実ゲーム画面にはスピード感が感じられなかった…今時ムービーで購買意欲を掻き立てられることなんてないし、むしろマイナス効果の方が大きいのでは?


    ■COLUMN

    【食わず嫌いについて】 
     「食わず嫌い」という言葉があります。大辞林によると、【(1)食べたことがなく味も知らないのに、嫌いだと決め込むこと。また、その人。たべずぎらい。】【(2)あるものの真価や面白みをよく理解しないで、ただ初めから嫌うこと。】という意味なのですが、今回のコラムで取り上げるのは(2)の意味の方です。

     私も批評系WEBサイトを運営している仕事柄、「食わず嫌い」という言葉を常に意識しています。正規のレビューは自ら体験(ゲームならひと通りクリアするまで、漫画なら暗記できるほど読み倒すまで)したものしか書きません。しかし、実際にはレビューの対象となる作品を購入する段階で、すでに熾烈な選別が行われており、その選別は様々なソースから仕入れた情報を加味して構築された独自の理論に基づいて行われています。

     「百聞は一見にしかず」という言葉の重みは身にしみて感じています。しかし、一度の体験が百の論理より勝るものだと知っていても、実際に個人がカバーできる範囲には限界があります。時間もお金も限られていますしね。私は時間とお金が許す限り(衣・食・住すべてを犠牲にしてでも)趣味への投資は惜しみませんが、年間100万円以上とも言われる巨額の趣味への支出を持ってしても、私が買いたいと思う物の30%も買えないのが実情です。げに恐ろしきは人間の欲望の果てしなさですなぁ…

     その対策として、私は「信頼の置ける遊び手」を見極めるようにしています。例えば、ファミ通のクロスレビュアーだったら「この人はゲームのどんな要素を重要視するか、ジャンルの好き嫌い、どんな記事担当しているか」まで完全に把握しているし、WEBサイト上のレビューサイトでは、「その人の論点だけではなく個人的な嗜好や人柄まで類推」することによって、相対的に自分と作品との接点を模索する疑似体験が可能になります。自分の趣味ばかり追っていると傾向が偏ってしまい、新しい刺激や発見が失われてしまいますが、この方法で感覚の近しい方と自分を重ね合わせることによって、自分の潜在的な嗜好を発見できるのです。(そんな方に巡り逢うまでがとても大変ですけど)

     人に物事を薦めるということは、とても難しいことだと思います。文句をつける時は短所を指摘して減点法で採点すればいいのですが、褒める時は長所を個別に挙げても説得力がありません。「何処が良いのか?何と比較して良いのか?何故良いと思うのか?」そこまで書かないと、作品の本質はなかなか伝わりません。好きになるのには理由は要らないが、嫌いになるのには理由がある。でも、それで済ませていてはレビュアーとしては半人前だと思っています。

     世の中にはお前の想像を超えることがたくさんある…
     だから下手な想像ならするな! 自らの範囲を狭めるようなことは…
     男の中の男のすることではないっ!

     という島本和彦先生の言葉にもあるように、時には「毒喰わば皿まで」とばかりに体当たりで挑むことも必要なのではないでしょうか?


    文責:GM研編集部編集長 gonta

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