Weekly Web Magazine
週刊GM研 Vol.25
2001/11/26


Index
【News Headline】
【mini Review】
  • 漫画
  •  : 私立T女子学園(10)(完結)
  • 漫画
  •  : BWH(2)
  • CD
  •  : アニマージュ
    【COLUMN】


    ■News Headline

    CSK、アスキーの経営権を放棄 全株を譲渡へ [asahi.com]

      情報サービス大手のCSKは、パソコン雑誌などを出版する子会社、アスキーの株式をアスキー側に譲渡して経営権を放棄し、アスキーの親会社として投資会社のユニゾン・キャピタルに引き受けてもらう方針を固めた。アスキーは事業多角化の失敗と出版不況が響き、債務超過に陥っているうえ、CSKのオーナーだった故大川功氏の死去により、支援者を失っていた。CSKに見切りをつけられた形だ。CSKはアスキー株を51.8%保有する筆頭株主だが、今年度内をめどに全保有株式をアスキーに譲渡。アスキーはこの株式を消却し、新たに第三者割当増資を実施し、ユニゾン・キャピタルが引き受ける。アスキーの今年9月中間決算によると、雑誌と書籍の返品率の増大と広告収入の落ち込みにより、主力の出版事業が前年同期に比べ16%下落。当期損益は26億円の赤字となり、9月末時点で76億円の債務超過になっていた。CSKはアスキーの経営を立て直すため、CSKグループのセガとの事業統合なども検討したが、セガ側の反発が強く実現しなかった模様だ。

     かつて日本のビル・ゲイツと讃えられた西和彦社長の強引な事業展開によって、アスキーが巨大な負債を抱えて倒産の危機に直面し、CSKグループに救済されてから早ウン年… ベンチャーの父こと大川功CSKグループ会長の好意のみによって、資産的にも事業的にも何の展望も無いまま支えられてきたその関係は、大川会長の死去によって終焉を迎えることとなったのである。

     私にとって不思議でならないのは、なぜアスキーの債務超過がいつまで経っても解消されないのか?ということである。日産がカルロス・ゴーン氏を迎えて劇的な再生を果たしたように、アスキーにも抜本的な変革が必要なのだ。切るべきものは切る。そして、売るべきものは自ら仕掛けてでも売っていく。身軽に変化に対応し専門に特化すること、それが21世紀型の健全経営なのである。アスキーの場合、出版と開発を完全に分離するべきだ。そのためにはアスキーという企業の解体も止むを得ない! 少なくとも、今の器用貧乏なアスキー(エンターブレイン含む)には何の魅力も感じません。読者としてもユーザーとしても投資家としてもね。

     

    DC版「マリー&エリー」のオマケ要素にウイルス [GAMESPOT]

     クールキッズはホームページ上において,同社のDC用タイトル「マリー&エリーのアトリエ〜ザールブルグの錬金術士1・2〜」の隠し要素が,ウイルス感染している可能性があることを明らかにした。DC版「マリー&エリーのアトリエ」には,隠し要素として,ゲーム中に登場するキャラクターのWindows用スクリーンセーバーが収録されている。このスクリーンセーバーがウイルス感染している可能性があるという。同社サイトでは,PCでの使用を避けることをアピールしているほか,シマンテックの協力により,今回のウイルスに対する検知・駆除ツールがダウンロードできるようになっている。

     前代未聞のコンシューマーゲームでのウイルス混入騒動である。しかも混入されているのは、ハードディスクをフォーマットする破壊力満点の悪質な「PE_KRIZ.4050」(詳細→トレンドマイクロ)というウイルスである!その他にも、マニュアルの1ページ目から「おことわり」で動作不良の件に触れているし、動きが遅かったりセーブに失敗したりするらしい。移植を担当したクールキッズの信用はガタ落ちである(そもそも、どの程度のレベルの会社なのかよく知らないが)。発売日延期を繰り返してこの体たらく…言い訳は許されない!

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    ■mini Review

    【私立T女子学園(10)(完結)】 竹田エリ/集英社/週刊ヤングジャンプ

     キュート&ブラックな女子高生4コマ漫画「T女」もこれで最終巻。連載の方はかなり前に終って、特に終る理由が見つからなかったのですが…「キリがいいからやめた」とは作者の言葉。思わず納得。作者自身がニュートラルな気持ちで描いていたから、この作品は他の4コマ漫画とは違う独特の「心地よさ」があったのだろう。本当に長い間、お疲れ様でした。

    【BWH(2)】 花見沢Q太郎/集英社/ウルトラジャンプ

     女子高の女子寮「ベル・ウッド・ハウス(略してBWH)」で繰り広げられるお気楽女の子漫画の第2巻。この作者名を知っている人は相当な漫画マニアか、それともエロ漫画属性かのどちらかです。微妙に可愛い女の子と、微妙にエロティックな描写と、微妙な作画。なんかあらゆる意味で微妙な作風ですが、慣れて来ると他には無い味わいになってきます。

    【アニマージュ】 Vocal:河井英里

     アニソンで癒し?最初は胡散臭いテーマとノリノリな曲目に疑問を禁じえなかったのですが、実際に聴いてみると印象は全然違いました。河井英里さんのヴォーカルにリミックスされた歌と、ピアノで奏でられるインストゥメンタル。良い意味で原曲のイメージを裏切ってくれています。癒されるかどうかは分かりませんが、聴いていると妙に集中力が高くなるので、リラクシングの効果はあるようです。(でも、選曲センスに少々疑問を感じないでもないが…)

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    ■COLUMN

    【「ドリマガファンド」と「ファミ通続編要望企画」が残したもの】 

     偶然にもほぼ同時期に行われた「ドリマガファンド」と「ファミ通続編要望企画」という2つの企画。両者のスタンスは具体的にはかなり違いますが、結局やろうとしていることは同じでした。それは、「読者の声にゲーム会社はどこまで応えてくれるのか」というものです。

     しかし、その結果は惨憺たるものでした。「ファミ通続編要望企画」は約1ヶ月で44201通もの投票を集めたが、メーカーへの直談判ではことごとく玉砕。「ドリマガファンド」は6889人:4633万7520円の出資可能性を集めたが、タイトルを限定しなかったため票が分散してしまい、1位の「ナイツ」でも1515人:796万5301円に留まった。企画発案者の香山哲氏(セガ代表取締役COO)からも「実現の可能性は難しい」との見解が示された。

     しかし、すべてが無駄であったわけでもない。これまでゲームメーカーが、都合が悪くなると言い訳に使ってきた「すべてはユーザーさんからのご要望があれば」という言葉がウソである事が証明されてしまったのだ。結局、ゲームを作るのは会社の都合であって、クリエータのエゴなのである。ユーザーの要望というものはマーケティングの域を出ないのです。

     「ゲームというものは、完成したソフトの内容やビジュアルを見て、実際に触ってみて、自分にとっての価値を慎重に吟味した上で自分の大切なお金や時間を投資するという、消費経済の中でも非常に厳しい目で選ばれる「商材」だと思う」

     と、香山氏が言うように、あくまで選び手は私達ユーザー自身なのであり、私達ひとりひとりが投資家でもあるのです。ゲームという趣味はお金も時間もかかります。だからこそ、それに見合ったクオリティを要求するのも当然のことなのです。そういう声を汲み取らずに、独りよがりな作品を作り続けるゲーム会社と、この声を届けるべきメディアの傲慢と認識の甘さ…今回の企画は、一体何を残せたのだろう?

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    文責:GM研編集部編集長 gonta

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