School Rumble
マンガ作者:小林尽
 ギャグ  無軌道ギャグラブコメ  1〜13巻 
連載:週刊少年マガジン

「School Rumble」とは?

 「School Rumble(スクールランブル)」とは、週刊少年マガジンに連載されている学園ショートギャグラブコメ漫画です。連載は巻中カラーという、とても微妙なポジションでの静かなスタートでしたが、連載第1回のテンポの良くて脱線と暴走しっぱなしのギャグの斬れ味に、私は思わずのけぞって大笑いしてしまいました。ジャンルとしては一応ラブコメですけど、実際にはギャグとラブの割合は「99:1」くらいです。ヒロイン(のはず)の塚本天満ちゃんの天然すぎる鈍感ぶりと前向きなバカさ加減と、脇役になりがちな片想い役のはずなのに、強烈な存在感を示してしまう播磨くんが絡むダイナミックな空回り具合と、想われ人のはずの烏丸くんのどこまでもシュールで読者も登場人物さえも置き去りにしてしまうリアクション。このトライアングルが絶妙なのです。ごく一部の間で密かに脅威になっている? 無軌道ギャグラブコメ、それが「School Rumble」です!

無軌道ギャグラブコメ

 普通、ヒロインに片想いしている男キャラというものは、損な役回りを押し付けられる目立たない存在なのですが、この作品においてそのポジションを務めている播磨くんは、実は最重要キャラだったりします。何しろ、ヒロインの天満ちゃんが際限なくボケ倒してしまうので、軌道修正してくれるツッコミ役が必要だし、ヒーローの(はずの)烏丸くんには微塵も恋愛の気配がないので、(一応)ラブコメとしてシリアスな役を引き受けてくれるキャラも必要になります。播磨くんはその両方を一手に引き受けていた重要キャラなのに、失恋の果てに(したと思っていただけ)世捨て人(仙人?)にしてしまい、年上のお姉さんに拾われてヒモ生活…あまりにも豪快に脱線させすぎて、どうなることやらと気を揉む事も多々ありましたが…でも、この思い切りの良さがこの作品の魅力なのかもしれまんね。基本的に全然後先考えてない1話完結方式だけど、たまにある続き物のアクセントが効いています。無軌道のようでいて全体を通すと筋が通ってしまう、なんとも不思議な作風です。

経験値の高いマンガ

 「ラブひな」の赤松健先生もこの作品の連載開始時に、自身のWEB日記で「経験値の高いマンガが出てきたな」と評したように、この作品には様々な要素が詰まっています。何も知らないで読んでも当然面白いけど、既存の学園ラブコメのヒット文法にどっぷりと浸ってしまっている人にこそ、ぜひオススメしたいです。これまでの学園モノの良さと要素を踏まえた上で、ちょっぴりの意外性とたっぷりの思い切りの良さを加えると、まるで反則技のような独特のテイストが出来上がってしまいました。あくまで似て非なるものではあるけど、とても親和性が高くて読み手に素養があればなお一層深く楽しめる作品だと思います。

 惜しむらくは、連載時には毎ページに載っていた絶妙なハシラ書き(コマの外に編集者が入れるツッコミフレーズ)が単行本には部分的にしか載っていないことです。脇役キャラクターを一気に増やしすぎて、主役級とのバランスが取れなくなっているとか、なかなかネタの質が安定しないとか、普通に分析すればまだまだ甘さと粗も目立ちますが、この作品の突き抜けた長所と比べれば、それらは些細な問題に過ぎません。この新しい感性がどこまで行けるのか、大きな期待を込めて今後の成り行きを見守りっていきたい作品です。

First written : 2003/09/19
Last update : 2003/11/03