PV なのはシリーズ
同人誌サークル:ぱるくす
 魔法少女リリカルなのは  ばぼーんな日常  5〜15(続刊中) 
作者:すめらぎ こう

(C)2005-2007 ぱるくす

「PV なのはシリーズ」とは?

 同人界でも絶大な人気を誇っている「魔法少女リリカルなのは」ですが、その中でも独特の笑いのセンスとキャラクターへの愛情が伝わる、ナチュラルな優しさのある切り口の作風で、ファンから支持され長く愛されているシリーズがあります。それが、サークル「ぱるくす」さんの「PV なのはシリーズ」です。

 ちなみに、ぱるくすさんと言えば、年季の入った読者の方であれば、Marronの「秋桜の空に」でのお仕事とその同人誌シリーズ「PKシリーズ」が有名ですが、今回ご紹介するPVは「ぱるくすバリエーション」の略称であり、厳密に言うとPV5から始まり今に続いて行く「PVなのはシリーズ」です。※PV4まではなのは本ではありませんので既刊を探す方はご注意下さい。

微笑ましい「あたりまえの日常」と、ささやかな幸せな日々と

 このシリーズの見所は、なんと言っても優しく微笑ましい「あたりまえの日常」のひとこま、物語の行間とも言うべき何気ない部分やささやかな幸せを、笑いを通してナチュラルに描いている所にあると思います。もはやレギュラーシリーズ化している、「天然」なのはと「ツンデレ」ヴィータの二人が繰り広げる「9歳と7歳相当」の子供っぽさ全力全開の掛け合いの前には、どんなに深刻なシーンであろうとシリアスさを保てません。真面目キャラ設定であるが故にツッコミ役になるしかないシグナムさんの気苦労が絶えませんなぁ…

 これと双璧を成す人気シリーズになっているのが、ナチュラルダークな「考えるフェイト」シリーズです。PVシリーズのフェイトは基本的にとても良い子ですが、なのはラブが高じて邪魔者(主にユーノとクロノ)を排除しようとする危険な思考に走る傾向があり、右人差し指を口元に当てて考える仕草が危険信号。それでも何も事が起きていないのは、専らエイミィさんがフェイトの常識と良心に訴えかけて注意を逸らし、なだめすかして孤軍奮闘しているおかげです。ツッコミ役の気苦労が絶えない漫画ですなぁ…

 さらに、お笑いに厳しいはやてを中心とした八神ファミリーがいて、そこにある穏やかで微笑ましい日常風景を当たり前のものだと感じられる世界観を丁寧に描いているからこそ、読者はネタをネタとして素直に笑えるし、シリーズとしてこの優しい世界が続いて行くことを願い・楽しみに待つことができるのだと思います。

特殊演出効果擬音「ばぼーん」

 「なのは」といえば萌え…ではなく燃えるバトルと熱い展開を真っ先にイメージするかも知れませんが、なのはもフェイトも9歳にしては人間が出来すぎていると思う節があるのも事実であり、だからこそ年相応にコドモらしい一面を描いてくれるこのPVシリーズは、ファンにとって何物にも代え難い読感を与えてくれるのだと思います。その読感を密かに支える演出効果を発揮しているのが、ぱるくす作品の代名詞とも言える特殊擬音「ばぼーん」です。笑いとも落胆とも驚きとも呆れともつかないこの効果音は、随所に使われていてその活用形も多種多様です。オチをつける時の効果音であったり、落ち込む・やさぐれる時の「ばぼ…」であったり、そういえば・そうくるか!的な場面での「ぱぽーん」であったり…なんて表情豊かで便利な言葉なんでしょう(^^)

 今回の紹介用表紙に使わせていただいたPV11は、「いなくなった人たち」をテーマにしたものであり、このPVシリーズの中でも異色作と言える作品ですが、私は通常のシリーズと同じようにこの作品も大好きです。物語が終わって、始まり続いて行くのは日常。家族と友達と仲間たちとの笑いに包まれた日常があるからこそ、幸せな「if」を本当の事の様に読者も喜べるのだと思います。よく出来た作品とは想像力を喚起させてくれる行間も楽しめるものですが、このシリーズは物語そのものの行間として、何気ない日常のすべての要素を心から楽しませてくれる、大推薦したい逸品です!


※画像使用許諾:2006/10/20
First written : 2007/04/06

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