東京冥途綺譚
同人誌サークル : 練馬交通公社
 創作  おとぼけメイド漫談浪漫譚  1〜6巻(総集編1) 
作者 : 除虫菊

(C)2000-2004 練馬交通公社/除虫菊

「東京冥途綺譚」とは?

 それは、なんとなく大正か昭和初期っぽい時代。西洋文化の浸透とともに、従来の「女中」という呼称が、徐々に「メイド」とも呼ばれ始められたっぽい時代(考証に特に意味はありませんけど)。そんなこんな時代のあるところに、ごく一般的な旦那様とメイドたちがいました。ただし、普通のお屋敷とはちょとだけ違っていたのは、旦那様はメイドへの妙なこだわりの道に生きるバカ旦那であり、メイドたちはズボラ・天然・ツッコミという、お笑いの基本となる3拍子を兼ね備えた「かしまし者」揃いだったのです。そんな愉快なキャラクターたちが織り成す「旦那天国」を始め、幾組もの愉快な取り合わせの主従関係の日常風景を描いた短編を集めた「おとぼけメイド漫談浪漫譚」、それが「東京冥途綺譚」なのです。

おとぼけメイド漫談浪漫譚

 午後のお茶の時間は紅茶ではなく緑茶で、自分で漬けたぬか漬け付き。洋風モダンスタイルのメイド姿と東北弁の訛りがミスマッチした、どこまでも和風で我が道を行くキクさん。天然系でマイペースないじられキャラだけど、時々一番きついとも思える節があるミドリさん(天然ボケ・メガネ担当)。ズボラ発言をストレートに口に出してしまう「さくら」さん(勢いボケ担当)。そして、唯一のしっかり者であるがゆえに気苦労が絶えない、メイド長の「広瀬のぞみ」さん(ツッコミ担当)。つっこみどころが満載の旦那様にも恵まれて(?)、メイドさんの日常風景は瞬く間に漫談へと様変わりしてしまいます。まったりと流れる笑いの時間の中で、活き活きと描かれるメイドさんにまつわる浪漫譚は、やがて病みつきなること請け合いです!

メイドの心を持つ者は、誰しもこだわりを持っている

 もちろん、旦那様の方もいい味を出しています。メイドの求人募集の条件は住み込みとか通いとかではなく「観賞用」と言ってみたり、メガネが好きだからといって伊達メガネまでかけさせる。プッチンプリンは皿に返すものだと怒り、さらに、掃除をしたらせっかくのメイド服が汚れてしまうではないか!と矛盾たっぷりに激怒。そのすっとこどっこいなノリに不思議と共感と覚えてしまうのは、誰の心にも少なからず同じ笑いの素養があるということなのでしょう。メイドマンガというと、どうしても倒錯した趣向のように思われがちですが、その業の深さが分かるからこそ楽しめるギャグというものもあると思います。メイドの心を持つ者は誰しも譲れないこだわりを持っているものですが、その「こだわり」を限界までつきつめていくと、それはひとつの「お笑い」として成立するのです!

 メイド道とは、ただのコスチュームでもなく、萌えの記号でもありません。力まず気取らず自然体に、自らの内側から萌え出る心(もの)と見つけたり!そんな境地に達してみたい人に、是非オススメしたい逸品です!

※画像使用許諾:2004/10/18
First written : 2004/10/24
Last update : 2004/12/25

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