MISSING PARTS 2 the TANTEI stories
ミッシングパーツ2 ザ・探偵ストーリーズ
DC製作:FOG   2002/10/24発売
 推理・ドラマ  恋愛アドベンチャー  23時間 
開発:オーツー/システムプリズマ

「MISSING PARTS 2」とは?

 

(C)2002 FOG/O-TWO/SYSTEM PRISMA

 「MISSING PARTS 2」とは、推理アドベンチャー三部作の中巻にあたる作品です(以下、ミパたん2)。システム的にはオーソドックスなクラシカルスタイルの推理ADVであり、推理面ではトリックや謎を解き明かすというよりも、推理ドラマを観て楽しむというタイプであり、「推理小説」というよりも「火曜サスペンス劇場」のような独特のノリがあります。ドリームキャストの製造中止の1年後から始めたシリーズ三連作ということで、シリーズがちゃんと最後まで継続できるかどうか危ぶむ声もありましたが、前作「ミパたん1」は推理ゲームファンから最高の評価を受け、約10ヶ月という異例の短期間で続編の発売が実現しました。

探偵(見習卒業?)真神恭介

 パッケージの帯にも「探偵(見習卒業?)真神恭介」とあるように、今作では「1」に比べて、事件の推理レベルが大幅に上がっています。自由移動の機会が多くなったことで、準備捜査の段階で十分な情報収集ができないと、判断材料が不足することも起こり得るし、何気ない推理モードでの選択肢も、単純なコマンド総当り式ではなく、質問の順番が非常に重要になっていたりと、推理ゲームとしての難易度が大幅に上がっています。初回プレーで探偵評価ランクAを獲るのは至難の業です。前作のレビューを書いたとき、私は「火曜サスペンス劇場」と評しましたが、今回は「はぐれ刑事純情派」と評してみたい。(主人公は刑事じゃなくて探偵ですけど)。真神恭介は身近な人間が次々と殺されていく中で、探偵という職業がどのようなものか本当の意味で向き合うことになるのですが、それは、周囲の人間の支えと協力があってこそ初めて可能になることです。物語が「真神恭介が真神恭介だから解決できる事件」というスタンスを確立したことで、「ミパたん」は推理ドラマとして独特の作風を構築出来たと思います。

 各話完結式だしセーブデータの引継ぎもないので、一応前作を未体験の人でも遊べますが、導入部分やキャラの紹介は必要最低限に止めてあるし、キャラクターの前作での行動背景を知っていないと、笑うポイントを逃しかねないので、前作の経験は必須といえます。前作ではサブキャラだった哲平と奈々子を軸にして展開するシナリオも絶妙。。更に磨きの掛かった奈々子の最終兵器っぷりと、哲平との漫才のような掛け合いに終始笑いっぱなしだし、ゲストヒロインも前作同様に魅力的でした。第3話の涼雪の儚げで謎めいた雰囲気も片言の日本語もいい感じだったし、第4話のまどかちゃんの元気さと純粋さは、第3話の展開と結末がアレでナニだっただけに、本当に救いになりました。

探偵だからできないこと、探偵だからできること

 衝撃的な展開の第3話「託されたペーパーナイフ」では、主人公が探偵であるが故に出来ないことがあることを思い知らされました。そして、物語全体を継ぐ役割を担う第4話「傷ついたテディベア」では、探偵だからこそ出来ることも あることを改めて知ることができました。警察は事件を解決出来ても、それ以上のことは出来ない。探偵には法的な制限がないぶん、人の心の中だけにある事件だって解決できるのですから。主人公:真神恭介が難事件を解決し探偵として成長していくのと同じように、プレイヤー自身も推理ゲーマーとして着実に成長を実感できます。製作者のエゴが突出して、遊び手の心を置き去りにしてしまうゲームが世に氾濫している昨今において、このシリーズが体現している作品と遊び手との不思議な一体感は、非常に貴重な存在だと思います。

 「ミッシングパーツ」を直訳すると、「失われた欠片」となります。伏線として散りばめられた謎の断片(パーツ)から、物語の背景に潜む巨大な謎の影が徐々に浮かび上がってきました。第4話をランクAでクリアした際のエピローグで語られた、衝撃の事実で更に深まる謎!→「TO BE CONTINUTED」 ああ、続きが気になるぅ!…またしばらく生殺しなのか…拡げた風呂敷を綺麗に畳み切ってくれることを願いつつ、今作の余韻に浸りながら、完結編「3」を待ち望みたいと思います。

画像使用許諾:2002/11/19
First written : 2002/11/15
Last update : 2003/11/03

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