Weekly Web Magazine
週刊GM研 Vol.49
2002/06/01


Index
【News Headline】
【mini Review】
  • 漫画
  •  : さよなら、パパ。 高橋しん
  • CD
  •  : SMILE ANGEL(丹下桜)
  • 雑誌
  •  : ドリマガ vol.358 
  • 雑誌
  •  : 週刊ファミ通 vol.704
    【COLUMN】


    ■News Headline

    【TBSまた謝罪、石橋セクハラで大波紋】  

     TBSの人気歌番組「うたばん」で司会者:石橋貴明が、ZONEにセクハラ暴言を発した件について視聴者から批判が相次ぎ、謝罪に追い込まれるという事態に発展してしまった。この番組では恒例となっているあだ名づけで、メンバーの1人を男性性器の幼児表現で「××××の先」と呼んだのが問題となった(以前の出演時から「さきっちょ」と仮あだ名がつけられていた)。これに、メンバーが激怒し、所属レコード会社・所属事務所とTBS側が話し合った結果、放送時に仏具のカネと木魚の音をかぶせる修正を行って放送したが、視聴者から「かわいそうだ」と批判が相次ぎ、NHKと民放連による自主的チェック機関「放送と青少年に関する委員会」からも事情説明を求められる事態に発展してしまった。

     しかし、もっとも問題なのは、「うたばん」がそういう番組であることを承知していない視聴者にあると思う。辛口で下品なトークがあの番組そのものであり、チャンスと同じくらいリスクも背負わなければならない番組なのだ。ファンの心理として不愉快に感じることもあるかもしれないが、彼女らは歌手であってトークはあくまでプロモーションの一部に過ぎないですしね。

     そもそも、話し合いの結果放送されたのだからメンバー側は(嫌々ながらも)承服しているはずだ。それを視聴者が圧力団体まがいのクレームを付けて善人顔でしゃしゃり出るのは、何か間違っている気がしてならない。少なくとも『セクハラ・いじめ行為を助長する行為だ』という理由で叩くのは小賢しい限りである(放送を認めた事務所側の責任が何故問われないのか不思議でならないのだが…)。

     個人的には芸人としての石橋貴明は好きではないが、彼の魅力は下品で野蛮で野放図でナルシストで傲慢なところにある。彼がヒール(悪玉)に徹することで、アーティスト(善玉)の魅力を引き出すという「うたばん」によって、メジャーになっていった人(モー娘。など)も数多くいるわけであり、一部の事例だけですぐ揚げ足を取ろうとする日本のマスコミの体質は大いに問題があると思います。

     TBSはつい先日も「筋肉番付」で怪我人が出ている件を隠蔽していたとして非難されて番組打ち切りに追い込まれたばかりであり、筆頭株主になった横浜ベイスターズは極度の不振にあえぎ最下位を独走し、看板番組「水戸黄門」役の石坂浩二はt直腸ガンで手術… 最近は「赤坂が呪われているのでは?」という説までまことしやかに囁かれる始末である。看板番組からトラブルが相次ぎ、他の番組もパクリばかり…TBSの存在意義すら問われかねない危機なのでは?


    ■mini Review

    【さよなら、パパ。 】「いいひと。」another story集 高橋しん  
     「いいひと。」のアフターストーリー短編集が遂に単行本になりました! 高橋しん先生曰く、「経営者の私にとっては最高にコストパフォーマンスの悪い、一介の漫画描きの私にとっては非常に贅沢で恵まれた作品集」とのこと。それは読者にとっても同じ事が言えると思います。メディアミックスなどの編集サイドの都合で延命を余儀なくされたり、一時的な人気で終ってしまう作品が溢れている漫画界の昨今にあって、完結から4年も経った今でもフォローしてくれるというのは、とても稀有な事例だと思います。

     構成的には、連載時の順番とは逆に「さよなら、パパ。14歳。〜旅立ち〜」を冒頭に配して、最初の短編「さよなら、パパ。」をラストに持ってきて、大幅に加筆修正してあります。この大胆な構成換えによって読みきりとはほとんど別物になってしまいましたが、物語のテーマはより深みを増して読者の心の奥底に届いたはずです。ちなみに、「最終兵器彼女」はTVアニメ化されますが、CS放送なので観れないのが残念ですが…

    【SMILE】 ANGEL(丹下桜)  
     「ANGEL」とは、天使をビジュアルイメージにした音楽とWEBサイトから発信しているユニットであり、ボイスアーティストのSAKURA(丹下桜)と、ビジュアル&WEB制作担当のYURI(イラストレーター&WEBデザイナー)の女性2人で構成されるクリエイターズユニットです。その2ndマキシマムシングル「SMILE」には4曲を収録。ヒーリング&和み系で統一された楽曲なので、声優:丹下桜時代のようにパンチの効いた飛びぬけた名曲はありませんが、クセのある丹下さんの線の細い声の長所を生かすならこの路線も間違いではないでしょう。まだ「SAKURA」として割り切って聴く事が出来ませんが、これからの活躍にも期待していきたいと思います。

    【ドリマガ vol.358】  ソフトバンクパブリッシング  

     今回も「サムシング吉松劇場」はゲーム機値下げ戦争をネタにして一発かましてくれましたねぇ〜♪ Xboxのディスクに傷がつく障害をいじってギャグにしてみたり、PS2のオープン価格化を逆手に取って、「考えようによってはDCの勝ち」と宣言しみたり… サム先生節絶好調! P15にはE3レポート4コマ漫画も掲載されていますが、その4コマ目を「SEGA→ASCII」に置き換えてみると、切ないまでに「トラいち」のネタが思い浮かんでしまいました(TLSには未来への展望が見えないので上3コマが構成しづらいのが難点ですが…)。

     「ときメモGirl's Side」の新キャラに中年男性が登場!通称”バラの紳士”って…しかも氷室先生と懇意にって…(もしかしてアレでナニな展開も?)。すでに出版社や企業向けに開発版ROMが出回っているようですが、某所で聞いた話では「感想は聞くまで無い・語るまでも無い」ということらしいです。そうそう、なぜかこの土壇場になってから限定版を発売することが決定したみたいですが、あからさまに怪しい動きですね。初回出荷分を小売店に押し付けることで、ときメモファンドの対象になっている出荷本数を稼ごう(売り逃げしよう)という魂胆が見え見えです。

     ファミ通より断然充実していたE3特集記事で、一番目を引いたのは、テクモの「DEAD OR ALIVE Xtream Bearch ValleyBall」でした。DOAと言えば、格闘ゲームとしてよりも、むしろ「胸の揺れ方へのこだわり」が世界的に有名なゲームなので、こういったお色気イロモノ路線はある意味必然であり好感すら持てます。世界最高のハード性能をこんなおバカさんな事に使えるなんて、素敵だね! メイドインジャパンが世界を悩殺?

    【週刊ファミ通 vol.704】  エンターブレイン 

     今週から連載が始まった「のーてんプレイガール」ですが、知っている人は知っていると思いますが、作者の「はやのん」さんは鈴木みそ先生のアシスタントであり、ファミ通PS2にも連載を持っていますし、物理学科卒であり「子供の科学」にも連載を持っている…という、かなり変わった経歴の持ち主です。新連載「のーてん〜」は柴田亜美さんとの交互の隔週連載枠のようです。まだ1回目なので良し悪しの判断はしかねますが、ファミ通PS2の「気になったもんで」との作風の使い分けが今後の課題でしょうか?(P211の右上のコマにどえらい誤植があったりしますが)

     回を重ねるごとにつまらなくなっていく「やりこみゲーム大賞」ですが、どうにかならないもんでしょうか?「GameWaveDVD」のように映像を見せられないので、数字系(タイムアタックや低レベルクリア)が中心になるのは必然なのですが… 数字系はそのゲームをやった事が無い人にとっては基準が全く分からないし、やり込みに興味が無い人にとっては「ふ〜ん」で終ってしまう。ネタとして面白い(orバカっぽい)ものも等量に含めないと、記事として全然読む気がしません。ページのデザインに凝るよりも、コンセプトの再構築の方が急務なのでは?

     今週の「たかまれタカマル」は、出会い頭に女の子とぶつかるというお約束な展開で、新キャラ「香椎綾」が登場。なんか大阪弁に違和感を感じるのは気のせいでしょうか? (例)「 → ウチ」「それにしても → せやけど」 よく誤解されるのですが、大阪弁と関西弁は似て非なるものであり、一般的に認知されているいわゆる「大阪芸人弁」とも微妙に異なります。その辺は編集側がちゃんとフォローするべきだと思うんですがねぇ…


    ■COLUMN

    【自己満足の境界線】 
     5月30日、とあるWEBサイトが更新を停止し、事実上の閉鎖となってしまいました。特に名前は伏せておきますが、そこは私が1年以上にわたって巡回し続けてきたサイトであり、ずっとROM(Read Only Member)でしたが楽しくWEB日記を拝見させていただきました。更新の停止はとても残念ですが、長い間本当にお疲れ様でした、と感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。

     さて、更新の停止にあたっては色々と理由があったようですが、精神的な疲れがあったようです。ヒット増に応えるために自分に負担をかけすぎ無理を承知で走りつづけ、それが結果的に自慢話と解釈されてあげ足を取られ、掲示板に好意的なカキコをしてくれる人を信者呼ばわりされて叩かれる…更新材料のことごとくをネタにされ、煽られて… 繊細で生真面目な管理人さんにとって、とうてい耐えられる状況ではありませんでした。

     WEBサイトの始まりは、ありていに言ってしまえば自己満足に過ぎません。しかし、そこに人が集まって来ることによって、プライベート(私的なもの)ではなくパブリック(公的なもの)になります。そして、その規模によってそれ相応の影響力が発生し、言動に対しての責任も重みが変わってきます。ヒット数に見合ったコンテンツ作りも求められます。趣味の延長とは言い切れない存在であり、単なる自己満足・自己顕示欲だけで継続していくことなどできません。

     一応私はペンネームで活動をしていますが、本名も調べようと思えば簡単に調べることはできます(GM研発行の同人誌の奥付にはご丁寧に住所まで載っていますしね)。実際に、私は某掲示板でどんな悪口を言われているか知っています。それについて真剣に悩み、激しい自己嫌悪に陥った時期もありました。サイトの閉鎖を検討したこともありました。

     今でもまったく気にならないわけではありませんが、ほんの数人の陰口のために多くの読者の期待を裏切ることはもっと罪深いことなのだと、同人誌活動や行きつけの掲示板の方々との交流を通して気付くことができました。極論を言ってしまえば、たとえ100人の敵を作ろうとも、たった1人でも支持してくれる方がいる限り、その期待に応えていきたいと思います。

     更新が停止された今でも、開店休業状態のWEBサイトにはいつも通り400人近い読者が訪れています。いかにそのサイトと管理人さんが慕われていたかを示していると思います。WEBサイトは架空世界ではなく「もうひとつの現実」です。GM研も規模の拡大を続けていけば、いずれ同じ問題に直面することでしょう。その時、どれだけの方が支えてくれるか…WEBサイトの本当の価値はそういうところで決まるのかもしれませんね。


    文責:GM研編集部編集長 gonta

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