Weekly Web Magazine
週刊GM研 Vol.38
2002/03/02


Index
【News Headline】
【mini Review】
  • CD
  •  : LOVE ANGEL
  • 漫画
  •  : あんたのせいだ 須賀原洋行
  • 漫画
  •  : いちごの宝石 水沢めぐみ
  • 雑誌
  •  : 週刊ファミ通 vol.691
    【COLUMN】


    ■News Headline

    【Xboxの出足はどうだったのか?】 

     2月22日(金)〜24日(日)までの3日間での販売台数は、約12万5千台。初回出荷が25万台だったので、初動消化率はちょうど50%ということになります。ハードの初動消化率50%というのは決して褒められた数字ではないが、失敗と言うほど悪い数字でもない。しかし、今回広報宣伝に投下された莫大な経費と、為替損覚悟の34800円という勝負価格と、同時発売ソフト17本…という万全の布陣で望んだにしては、期待外れの出足だと解釈されても致し方なかろう。

     色々と調べてみて分かったのだが、5万台限定で売り出された「Xbox限定版」のHDDは、通常版よりも容量が小さいのだ(限定版は8GB、通常版は10GB)。なんとも不可解で信じがたい製品仕様である。なぜ、通常版よりも5000円も払って、スペックの劣るマシンを買わねばならないのか?しかも、そのことを隠蔽して報じようとしなかったゲーム雑誌にも大きな責任があるだおる。いっそのこと、Xboxがはじめて発表された頃の「銀色の謎の立体物体X」の限定モデルで発売したら良かったのでは?そこまで思い切られたら、笑いのネタとして私も買ってしまったかも…(マジで)

     それと、ゲームショップ系の知人様経由の情報によると、小売店に設置されるXboxの試遊台は、1台10万円もするらしい(日本の他メーカーでは無料設置が常識)。ゲイツはん、まだまだ日本市場の研究が足りへんとちゃいまっか?「笑っていいとも」でビジネススマイルを振りまいている場合じゃないと思うぞ(しかも段取り最悪だし…)。任天堂のように最初から超然として違う道を走っているのとは違って、Xboxは完全にPS2と同じ土俵で勝負しなければならない。勝つか負けるか、その2つに1つしかない。

    もくじへ戻る


    ■mini Review

    【LOVE】  ANGEL(丹下桜) / ユニバーサルミュージック 
     声優:丹下桜が「ボイスアーティスト:SAKURA」と改名し、WEB上のテーマパーク「WONDER-NET」でビジュアル&WEB製作担当している「YURI」と組んだメジャーデビュー新ユニット、それが「ANGEL」です。「カードキャプターさくら(木之本桜:役)」以降、声優業の第一線から退いた丹下桜さんですが、新しい路線で歌手として活動を再開しました。声優としてのキャリアと知名度を全て捨てた新たなるスタートを、昔からのファンの1人として陰ながら見守っていきたいです。

    【あんたのせいだ】  須賀原洋行 / ビックコミックスペリオール 
     ビックコミック・スペリオールに連載されていた、須賀原洋行先生の「あんたのせいだ」が単行本になりました。「よしえサン」などのファミリー漫画路線とは一味違った、サラリーマンを題材にしたシニカルなギャグを通じて風刺する、それが「あんたのせいだ」です。その鋭い指摘と発想の転換のダイナミズムは、共感できる人にとっては痛快であるが、問題の当事者にとっては笑い事ではありません。週刊モーニングとは読者層が違うということもあり、連載中は様々な議論を巻き起こしたものです。須賀原先生の帯コメントにも「この作品は私の「ルネッサンス」であり「プロジェクトX」です!」とあるように、長年の読者としても非常に新鮮に読むことが出来ました。

    【いちごの宝石】  水沢めぐみ / 月刊りぼん 
     私が初めて少女マンガを読んだのは大学生になってからで、初めて読んだ作品は水沢めぐみ先生の「空色のメロディ」でした。それ以来、すべての水沢作品を読んできましたが、近年は長期連載が少なくて物足りない感は否めなかった。しかし、最近になって「短編なら短編なりの水沢節の良さ」が分かるようになってきました。40Pでラブコメを描き切る構成力によって、水沢節のハッピーエンドがさらに際立っています。長期連載にありがちな中だるみも、少女マンガ特有のドロドロした修羅場もありません(そういうのが好みの人は、「りぼん」系よりも「花とゆめ」系をオススメします)。やっぱり、いくつになっても、心ときめかせてくれる作品はいいものですね〜♪

    【週刊ファミ通 vol.691】  エンターブレイン 
     今週のクロスレビューは、PS2「鬼武者」が36点を獲得(TVCMでも散々強調している通り、バッサリ感の強化が高く評価されてます。松田優作のモデル起用についてはほとんどコメントされてないので評価しようがありませぬ(私は別に優作ファンじゃないが、台詞棒読みの金城武よりは100万倍はマシだと思う))。 PS2「サカつく2002」は34点を獲得(今までセガハードでしかできなかった「サカつく」だが、ついに一般市場に殴り込み。しかし、マイナーチェンジを重ねすぎて敷居が高くなりすぎだし、広報努力も見られないので新規ユーザーの獲得は困難か?)。 DC「みずいろ」は29点を獲得(ギャルゲーとしては、ファミ通のクロレビではほぼ最高の評価です。コメントの割に点数が低いのはナニでアレな大人の事情というやつなので深く考えないように)。

     今週の「いい電子」では。みずしな孝之先生がついに「Kanon」の魔の手に堕ちました。連載開始前から「そういう素養があるからゲーム漫画に向いている」とは思っていましたが、う〜ん…まぁ、ネタに出来ている間は、まだ大丈夫でしょう。日記漫画は自分の恥を切り売りする商売なので、漫画家本人が壊れてしまうことも珍しくない(桜玉吉先生みたいにね)。いつも自分自身を笑えるくらいの余裕を持っていて欲しいものです。

    もくじへ戻る


    ■COLUMN

    【任天堂の行方】 
     任天堂山内溥社長(74)が、今年6月の株主総会をめどに退任する意向を示した。山内社長は1983年に発売したファミリーコンピューターで家庭用ゲーム機市場を開拓し、花札メーカーだった任天堂を世界的なゲームメーカーに育て上げた。ゲーム業界とっては、まさに生ける伝説の人なのである。経営トップの若返りを図るため、数年前から退任の意向を示していたが、ニンテンドウ64での失敗からの立ち直りを軌道に乗せるまでは…の一念で陣頭指揮をとり続けていました。携帯ゲーム機市場では独占的な地位を不動のものとしたゲームボーイと、任天堂の理想を凝縮したゲームキューブを立ち上げの成功を受けて、ようやく一線を退く環境が整ったというわけです。長い間、本当にお疲れ様でした。

     後任人事はまだ明らかにしていないが、「これからの任天堂は1人の人間の力でどうなるものでもない」と社長を中心に数人の幹部で経営を協議する集団指導体制とする方針だという。長年かけて準備していたことだから、後継人事をめぐるお家騒動は起こらないだろうが、合議制となると以前のような強烈なリーダーシップは期待できない。いや、それも当然考慮しての決断であろう。すでにゲーム産業は拡大局面を過ぎて、市場の維持と固着化局面に移行している。任天堂がなすべきことは、これからも、これまでと何ら変わる必要ない。宮本茂がいる限り、任天堂は輝きを失うことはないだろうし、宮本茂のゲームイズムを受け継いだ人材も育ちつつある。「任天堂らしくあること」、それが全てなのだから。

    もくじへ戻る


    文責:GM研編集部編集長 gonta

    GM研TOPページに戻る