Weekly Web Magazine
週刊GM研 Vol.111
2004/08/07


【News Headline】
  • アジアカップにおける中国サポーターの反日行動について
  • 【mini Review】
  • ムック
  • : トリコロプレミアム
  • 雑誌
  • : ドリマガ 9月号(vol.406)
  • 雑誌
  • : 週刊ファミ通 8月20/27日号(vol.819)
    【Weekly Column】
  • いと忙しき日々の中で考えてみたこと

  • ■News Headline

     【韓国と中国のサポーターの反日行動について】 
     先日、オリンピック代表の親善試合が開催された韓国では、「列島征伐」「南伐」「○○島は韓国の地」などとノボリがいくつも掲げられるという、異様な雰囲気での試合となり、中国で開催されているサッカーアジアカップでも、日本戦が現地で中継されなかったり、現地中国サポーターの度し難い露骨な反日行動が巻き起こり、国際スポーツ社会から冷ややかな目を向けられている。2008年にオリンピック開催を控えている中国政府は、さすがにこれはまずいと判断したのか、サポーターに対して自制を求めたり、戦う前に両チームの中心選手を招いて会談を持ち、友好ムードを演出しようと必死になっている。

     しかし、これも何だかおかしな話である。中国政府は不満の捌け口として”反日”を教育段階から徹底して教え込んできたわけであり、その世代が成長して制御できなくなってしまったのに、自分たちが種を蒔いたことを棚に上げて「人民に良識を」と言うのだから、なんとも矛盾した話である。外貨に支えられた繁栄を続けていくためには、反抗するから戦車でひき殺しました、なんて天安門事件の時ようなことはできませんしね(笑)あの国のお国柄というものは、4000年前から中華思想と面子主義ですから、とうに風化した戦争の記憶が問題なのではなく、ただ単に相手が自分より強いのが気に喰わない劣等感でしかないわけですから、そんな人たちにコチラの常識で「度量」とか「品位」を求めること・期待すること自体が間違っているような気がします。

     そもそも、サッカーというものはナショナリズムスポーツであり、”兵器を使わない戦争”とも呼ばれるほど、激しい国と国の激突です。島国で農耕民族の日本人にとっては、なぜ「フーリガン」なんてものが生まれるのか理解できないでしょう。もっとも、日本人の場合は怒りの表現以上に喜びの表現が下手くそなんですけどね。阪神優勝でヘドロだらけの道頓堀にウン千人がダイブしたり、W杯では大挙して六本木界隈で朝まで騒いだり…日本人も「度量」だの「品位」だのと偉そうに言えた義理ではないのかも(苦笑)それどころか、オリンピックの時しかナショラリズムを意識できない方が問題だと思いますよ。恥も外聞もなく”恨むならアイツを恨め!”と言ってる方がよっぽど楽ですが、そんな精神が幼稚な国にオリンピックのホスト国を任せたくないなぁ…近代オリンピックは巨大なショービジネスだからしょうがないですけど。

     ま、あの国もオリンピックバブルが弾けて、アイデンティティが崩壊するほどの矛盾と不景気に直面したときに思い知ることになるでしょうね。もっとも、あれだけの巨人が倒壊したら世界経済(特に日本経済)も大打撃を受けることになるんですけど。そんな厄介な隣人に命運を握られていて、なんとも思っていない日本にも大いに問題ありますな。この原稿を書いている段階では、まだ決勝戦(日本VS中国)の結果は入ってきていませんが…EURO2004のように、敗れても相手に拍手を贈れるだけの度量が中国にあるかどうか…見物ですね。


    ■mini Review

     【トリコロプレミアム】 海藍 / まんがタイムきらら 
     本誌連載を長期休業してまで作者が深く関わって進めてきた、ドラマCDとファンブックの「トリコロ」メディアミックスプロジェクトも、これで一段落です。きらら9月号からは本誌連載も再開されるわけですが…本誌の看板連載を休んででも、発売日延期を重ねても、ここまで原作者が深く関わることを許してくれた芳文社は、ある意味すごいと思いますよ。その甲斐あって、そこいらの編集部主導のファンブックやドラマCDなんかとは、比べ物にならないクオリティの高いファンの満足度の高いアイテムに仕上げることができていると思います。まだそれほど歴史があるわけでもなく、少ない画像点数なのによくぞここまで…と関心してしまいましたよ。描き下ろしフルカラー4コマでは、「目撃した長女」で大笑い。3コマ目までの振りの雰囲気を逆手に取って、4コマ目で正反対の方向で落ちをつけるリズムが、なんとも痛快です。4コマあって一度も登場していないキャラの心情がここまで手に取るように分かって笑えるというのは…真面目に考えてみるとすごい手法だと思いますよ。

     ファン必見のラフスケッチの設定資料は、そのまんまアニメの設定資料に使えてしまいそうなほど良く出来ています。3次元を2次元化るのが得意な漫画家が、3次元を3次元のままイメージしてここまで立体的にモノを捉えることができるのは、珍しい事だと思いますよ。ただし、アニメ化するとなると、ネックになりそうなのは、やはり八重ちゃんの髪のボリュームでしょうか(笑)もしアニメ化するなら、アニメ版の「せんせいのお時間」のように、原作の魅力を正確に汲み取った作り方をしてくれる製作会社を選んでいただきたいものです。

     【ドリマガ 9月号(vol.406)】 ソフトバンクパブリッシング 
     不可解なリニューアルが続いた末に、月刊誌になった「ドリマガ」ですが、ひとことで形容すると「セガと美少女の2本立て」といった感じでしょうか?硬派なのか軟派なのか良く分かりませんね。あの表紙なのに、真っ先のページが「下級生2」だというのは、雑誌としてどうなのよ?と思ってみたり。段階的にリニューアルしてきたということを差し引いても、あんまり変わった気がしないのは気のせいでしょうか?それどころか、随所に「雑なったなぁ」と感じてしまう部分が見受けられます。

     例えば、最新ソフト満足度ランキングの応募券。おそらくページ割のミスだと思いますが、応募券が同じ紙の表裏の同じ部分に印刷されているため、どちらか一面の応募券しかしか使えないという、アホみたいな仕様になってます。密かなお楽しみ(むしろ本命)だった、欄外コメントも空白のまんまだし…前号で大量に最終回になったコラムやマンガは、結局コーナータイトルが変わって数が減っただけで、ほとんど同じ面子で復活してます。それにしても、小説の「サクラ大戦巴里前夜」をカラー化する意味がどこにあったのか?まったくもって理解できませぬ。「あした弾ける」は…いや、もう何も言うまい。月刊ペースになってこの内容では処置無しでござる。

     今回のリニューアルで唯一評価できるのは、「サムシング吉松劇場」は1ページに復帰したことでしょう。でも、「セゲいち」としてのマンガは今回で最終回です。リニューアル第1号で最終回宣言とは、非常に”セゲいちらしい”やり方ですね。最後の最後まで笑わせてくれました。キャス子、メガドラ兄さんをはじめ、数多くのキャラクターたちにお疲れさまでしたと感謝の言葉を贈りたいと思います。次回からは新連載「サムシングは世界一」が始まるそうです。今まで表題部分で文字で書いてあった作者近況が日記マンガみたいになる…のかな?ソフトバンクは早いとこ単行本の「3」を出してくださいな。

     今回のリニューアルを総評してみると…雑誌のウリだったはずの”濃さ”はちょっぴりダウン。真新しいところはほとんどなくて、刊行ペースが遅くなった分だけフツーの雑誌になってしまったような気がします。この内容で月刊誌として魅力があるのかというと…甚だ疑問です。公式HPは4月9日発売号の内容のままだし…老兵は死なず、ただ消え行くのみ。それでいいのかソフトバンクパブリッシング!

     【週刊ファミ通 8月20/27日号(vol.819)】 エンターブレイン 
     任天堂の次世代携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」の正式名称と実機モデルが公開になりました。E3でお披露目された丸みを帯びたプロトタイプよりも、直線的でスタイリッシュなイメージに変更され、ある意味任天堂らしからぬデザインですね。やはりPSPを多少は意識したんでしょうか?発売日と価格についての正式発表はありませんでしたが、「日米同時にクリスマス商戦に投入したい」と任天堂はコメントしているので、北米のクリスマス商戦に合わせるとなると…11月下旬が濃厚でしょう。

     先週号の新着ゲーム発売日リストに「ラ・ピュセル 光の聖女伝説 2周目はじめました。」を見つけて、なんじゃいそれりゃ!と疑問に思っていたのですが、今週号の新着ゲーム通信で内容が紹介されていて納得。要するに、ただの再発売のベスト版ではなくて、やりこみ要素を強化したバージョンを低価格で提供しようという…ふっ、さすがは日本一ソフトウェア!やってくれるぜ!

     ドリマガの満足度ランキングでは、初登場226着で大不評だった「ゼノサーガ エピソードII」のソフトウェアインプレッションを読んでいて思ったことは…これって設定や謎に関するものばかりで、ゲームの解説にはまったくなっていませんね。このライターさんの言い方を借りて言うとすれば、ぶっちゃけ「それってゲームである必要って全然ないよね」となるんじゃないんですか?設定や謎を楽しむだけなら小説で事足りるし、映像を合わせて楽しみたいなら映画で事足りる。私は「ゼノギアス」の頃から「この作品にはゲーム部分は要らない」と言ってきましたし、一番評価しているのはゼノギアスのDisc2の大胆すぎるスキップでした。だからこそ、私は「ゼノ2」を買いませんでしたし、このインプレを読んでますます遊ぶ気がしなくなりました。販売本数も前作比で大幅ダウンになるのは確実でしょうし…エピソードIIIはホンマに出せるんでしょうか?

     今週の「魂の叫び」は他人事ではありません。火事による消火活動で水浸しになったファミコンソフト総額114万円という下り…もし、これを私の家に置き換えてみると、どう見積もっても同人誌だけで総額300万円は下りませんよ。しかも、ファミコンカセットのように保険が利いたり代替が利くものではないし、ほとんどが二度と入手できない性質のものですからねぇ…


    ■COLUMN

     【いと忙しき日々の中で考えてみたこと】
     まずは、「週刊」と名乗っておきながら、1ヶ月半もの間発行が止まっていたことについて、深くお詫びさせていただきます。発行を一時停止した目的は、夏コミの新刊製作に集中するためだったのですが、原稿の入稿が終わった7月22日から、はや2週間以上が過ぎてしまいました。

     本来であれば、すぐにでも更新を再開するべきだったのですが、導入研修が終わったばかりの本業が、残業続きで午前様が当たり前という苛烈な状況になってしまい、不定期の休日間隔と2種類の勤務時間シフトに適応していくのも大変で…それになにより、ネタにするニュースや作品を吟味し・思考を重ねるような時間的・精神的な余裕がまったく無くなってしまったのです。メールをチェックして、日記を書いて、30分ほどゲームをやって、録画したビデオを早送りで観ていたら、知らないうちに眠りこけている、そんな毎日です。

     こんな状況で文章を書いて良い物が書けるわけも無く、自分の発言や目利きに自信を持つことが出来ないのであれば、この「週刊GM研」を廃刊にすることも真剣に考えました。しかし、人間の適応能力というものは恐ろしいもので、身体も心も新しい環境に順応してきて、少しずつですが余裕が持てるようになってきました。いざ無くなってしまうと思うと、急に寂しくなるのが人間の情というものです。近鉄とオリックスの合併問題がここまでこじれてしまったのは、そういう不確かな情を一方的に切り捨ててしまったことにあるような…

     ちと話が逸れましたが、試しもしないのに勝手に「限界です」と白旗を上げるのは、論客としてのプライドが許しませんし、それに何より、読者の皆さんに失礼なことだと思います。読んでくれる人がいなかれば、どんなに御大層な御託を並べても、ただの独り言に過ぎません。webで発言をするということは、基本的にほとんどリスクがありません。同人誌のように、多額の印刷費用を投じて元を取るべく販売計画を練り、ミスがあっても容易に修正できない一発勝負、というようなリスクはありません。2ちゃんねるのような匿名掲示板で何でも言いたい放題です。

     しかし、私は自分のメールアドレスさえも公開しないで発言するような人の話には、耳を貸すつもりはありません。私はいつも真剣に作品にぶつかりすぎるため、時にはとてもキツイ事も言いますが、自分がした発言には責任を取ります。自分が感じたことがすべてだとは思いませんし、間違いがあれば素直に認めますし、譲れない部分があれば相手が誰であろうと刺し違える覚悟で戦います。守るべきものは私の価値観ではなく、作品そのものなのですから。

     私は文章のプロでも、ゲームのプロでも、マンガのプロでも、アニメのプロでも、同人誌のプロでもありません。しかし、だからこそ消費者の感覚でモノを観ることができるし、消費者の立場からの発想ができます。そして、モノづくりをできる人を素直に尊敬することができ、作品とキャラクターを愛することができます。他人目には、趣味と呼ぶにはあまりにも過酷で壮絶な生き方に見えるでしょうけど、私は自分を「平凡」だと思います。そして、「平凡」であることを誇りに思います。

     自称天才が溢れかえり、安っぽいプライドを守るために敵を排除して、身内だけの小さな成功で優越感に浸る。そんな散漫な活動の積み重ねが、今日のオタクエンタテイメント市場の閉鎖性を招き、得体の知れない先行きへの不安に繋がっているのではないだろうか?学ぶべきモノは技術だけではないはずだ。追いかけるべきモノは流行だけではないはずだ。物言わぬ信者であるより、疎ましく思われても諫言できるファンになろう。変化は99のYESではなく、1のNOから生まれるのですから!

     …と、久々に思いっきり文章を書いてみてみると、思いの他ブランクを感じませんでした。これまでも、背伸びはいつもしていたけど、自分を演じたり作ったりはしてきませんでしたから、当然といえば当然です。伊達に10年近くwebで文章を書いてきたわけではありませんしね。レビューにはどこまで行っても完成なんてものはありませんが、だからこそ日々弛まぬ努力を続けていくしかありません。続けていくことが目的ではなく、目的があるから続けていくのだ…この基本理念を忘れることなく、これからも頑張って更新して行きたいと思います。


    文責:GM研編集部編集長 gonta