せんせいのお時間
漫画作者 : ももせたまみ
 4コマ  のほほん学園ギャグコメディ  1〜6巻 
連載 : 月刊まんがライフMOMO・竹書房

「せんせいのお時間」とは?

 「ももいろシスターズ」(ヤングアニマル)の連載によって一躍人気4コマ漫画家となった「ももせたまみ」が、教育学部卒という自身の経歴を生かして、先生が主人公の学園モノを…といっても、実は”教育実習を受けなくても卒業できる”ということで、ももせ先生は教員免許を持ってなかったわけですが…そんなわけで、例によっていつものように、実在する”背が小さい先生”の友人(身長147cm)をモデルにして、手探りで始めた連載、それが「せんせいのお時間」でした。

 そうして生まれたのが、27歳だけど、身長148cmのチビで幼児体型でまんまる童顔で、よく小学生にも間違われるけど、本当は興津高校の国語教師というキャラクター:「鈴木みか」でした。そんな「みかセンセ」(敬称じゃなくて愛称)と、個性的過ぎる教え子たちが繰り広げる、のほほん学園4コマギャグコメディ、それが、「せんせいのお時間」なのです。

マンガはキャラ!この学校、個性的すぎっ!

 今回、レビューのために1巻から読み返してみましたが…手探りで始まった連載が、キャラクターの個性を際立たせていくことで、どんどん面白くなっていく様を再確認することができました。関は最初ただのナンパ男だったのに、女装とビューティーに目覚めてから存在感がぐっと増したし、委員長には当初は名前さえなかったし(読者から名前を公募して「流静」と決まったけど、作中でその名前で呼ばれることはまったくないけど)、渡部も後輩の中山ちゃんの登場によって、ただのマンガオタクじゃなくなったし、最初は普通のツッコミ役だった富永はブラックなお嬢キャラ路線を強化して、攻撃的なツッコミに進化したし…その他の最初から路線が決まっていたキャラについても、工藤の末武ラブ妄想、北川のマニアックなみかセンセラブ策士っぷり、小林の平凡ゆえの悩みは尽きる事はなく、オヤジ(中村)の脇役っぷり、末武のおバカなワンパクっぷり→ますます工藤鼻血。などなど、個性をエスカレートさせることで、全てのキャラがこのマンガになくてはならない存在感を発揮してくれています。

 このように、キャラクターの個性があまりにも強すぎるので、季節と行事、この2つのキーワードだけで、いくらでもネタの方から自然と出来てしまいそうです。「こんな面白すぎる学校」ありえないようでいて、とっても身近に感じてしまう不思議な感覚。それが、この作品のえもいわれぬ魅力なのでしょう。

アニメもいいけどマンガもね

 原作から上手くネタを選んで30分の尺のネタに連続性を持たせて、賑やかなエフェクトとカット割りで原作の雰囲気をよく再現しているアニメ版も大好評のようですが、私のように昔からマンガ版に親しんできた者にとっては、アニメ版を見て「面白い」と感じた人は、是非マンガ版も読んで欲しいと思いますね。アニメ版はほぼ月単位で進行している都合上、文化祭など何度もやってきたネタは使いにくいし、ももせたまみ独特の「下品じゃなくて笑える下ネタ」の多くは、アニメ版ではどういうわけかカットされていますしね。番外編の「小学校編」「マンガ家編」「政治家編」、そして現在の連載の原型となった「プレ連載・数学教師編」も単行本には収録されているし、手書き文字による味のある細かいツッコミや、4コマならではのテンポのいい起承転結は、マンガでしか表現できない味わいなので、マンガ原作の方も合わせてお楽しみ下さい。とにもかくにもこの作品は、アニメ製作者が原作の魅力をしっかりと理解してくれた、稀有な成功例だと思います。

First written : 2004/05/11
Last update : 2004/08/19