なのはまんが大王
同人誌サークル:みはるワークス
 魔法少女リリカルなのは  あずまんが風なのはワールド   
作者:OOE、GAN、KIKI

(C)2006 みはるワークス

「なのはまんが大王」とは?

 大ヒット作となった「魔法少女リリカルなのは」の原点ともいえる作品「とらハ(とらいあんぐるハート)」の時代から、あずまんが大王のネタとのコラボレーション4コマ漫画を出し続けてきた、サークル:みはるワークスさんが、なのは時代になっても決して変わることのない、作品とキャラクターへの愛で描き続けて、これまでのイベントで発行してきたコピー本【出張版】1〜4の再録と描き下ろしを加えた、待望にして新旧いずれのファンからも大好評を博したオフセット版、それが「なのはまんが大王」です。

 かくいう私も「なのは」が「とらハ」のスピンアウト作品だという事を知らずに「A's」からファンになったクチでしたが、原点への興味を持ったのはこの作品を読んだことでした。良いネタとの出会いは、時として最高のきっかけになるのかも知れませんね。

ここには"萌え"も"燃え"も無い。
あるのは力の抜けた笑いだけ!

 とらハまんが大王2巻のセルフキャッチコピーにあった「ここには"萌え"も"燃え"も無い。あるのは力の抜けた笑いだけ!」という表現どおり、この作品では原作の誰を誰に当てはめるとか、設定がどうのこうのとか難しいことを考える必要はまったくありません。ヴィータの役ドコロはちよちゃんのようでもあり榊さんのようでもあるけど、ヴィータはヴィータであることに変わりは無い。むしろネタの方があとから付いてくるような自然さで、結果として「あずまんが大王」と同じ種類の笑いの雰囲気を醸し出しています。

 個人的に一番お気に入りなのは、「フェイトがもしまだサンタを信じていたら夢を壊さないように、リーゼとロッテがツッコミ(質問)を受けた時にどう答えるかを想定して口論(漫談?)になる」という下りです。本来はボケとツッコミの役回りが分かれている二人が、勢いと物の弾みで繰り広げられた掛け合いはある意味新鮮で、「サンタはロストロギアを使ってるのよ!」「なにィ犯罪者なのか!?」というオチにニヤリとする味わいは、紛れも無く「あずまんが」の空気感でした。

愛ってなんだ?躊躇わない事さー

 天然万能素材「あずまんが大王」のネタを他の作品に当てはめる手法は、同人ではそれほど珍しいものではなく、何を書いてもネタもキャラクターも合うし笑いの質も安定していますが、だからこそネタが被りやすくて飛び抜けた個性が発揮しづらいジャンルであるとも言えます。しかし、この作品ではネタのベースそのもので2つの原作の魅力が上手くミックスされているのはもちろんですが、たとえネタが被っていたとしても読感が一味違います。それは、それぞれの原作への愛の成せるものであり、その愛を躊躇わず、力むことなく、ストレートに読者に伝えているからなのだと思います。

 その象徴的なひとコマが、「新設定と新キャラ追加で人気を維持するのは難しいぞーこの中の何人かは悔いの残る第二期になるだろー」と言っていた忍さん自体が出番なしで自爆、という下りです。脇役あってのメインだし、出番がないことすらネタにしていたからこそ、コミックス版で1コマだけの再登場であっても素直に喜べる。長く愛されてきたシリーズだからこそ自然に身についた笑いの素地は、「とらハ」からのファンの方はもちろん、「なのは」で都築ワールドの魅力に初めて触れた方にも、是非この幸せなコラボに触れてみて欲しいと思える逸品です!


※画像使用許諾:2007/02/15
First written : 2007/03/27
Last update : 2007/04/01

※このページで使用している画像は、GM研が作者様より直接使用許諾を受けているものです。
画像の著作権は作者様に帰属します。作者様に無断での転載、及び画像ファイルへの直リンクを禁じます。