魔界戦記ディスガイア
対応機種 : プレイステーション2
製作/販売 : 日本一ソフトウェア
プレー時間 : 133時間

「魔界戦記ディスガイア」とは?

 「魔界戦記ディスガイア」とは、ミュージカルRPG「マール王国の人形姫」シリーズで地道に支持層を広げてきた「日本一(にっぽんいち)ソフトウェア」が発売したシミュレーションRPGです。前作「ラ・ピュセル〜光の聖女伝説〜」では、韓国の週間ゲームソフト販売ランキングで、並居る大手の大作ソフトを抑えて1位を獲得する、という快挙を成し遂げましたが、今作では、その路線を踏襲しつつも、システムを大幅にパワーアップ。章立てのストーリーに縛られるRPGの枷を捨てて、SLG色を前面に押し出したことで、純粋にシステムと育成の面白さを楽しめるようになりました。その中毒度は、「史上最凶のやり込みシミュレーションRPG」というキャッチフレーズに嘘偽り無し! 私のような育成型タクティカルSRPG好き人間には、それはもう辛抱堪らん悪魔的なやり込みゲームの誕生です!

史上最凶のやり込みシミュレーションRPG

 システム面では、「方向・高低差・地形効果・属性効果」などの基本要素は勿論のこと、移動キャンセルを駆使した 「連鎖・コンボ攻撃」と、ラ・ピュセルの「浄化システム」をシンプルに進化させた「ジオパネルシステム」で、更に戦術面が強化されました。やり込み要素としては、100以上の職業から選べるキャラクターメイクや、アイテムをLV100まで鍛えられるアイテム界や、LV4000というべらぼうな強さを誇る別次元の超魔王との対決、その他にも隠し要素として、前作「ラ・ピュセル」にも登場していたプリエやマージョリーを仲間にできたりと、果てしないやり込み要素が満載です。

 この手の育成型SRPGにおいて重要なのが、固定のゲストキャラの比重です。ディスガイアでも御多分に漏れず「昨日の敵は今日の友」の法則は健在ですが、彼らは戦力として飛び抜けて強いわけではなく、それどころかほとんど芸人扱いなので、愛着を持って育てた連携率の高い直系の弟子(メイクキャラ)を多く主戦力に組み込めるので、当然、育成の楽しさを実感できる機会もそれに比例して大きくなります。それに、2Dドット絵で丁寧に描き込まれたキャラがちょこまか動いてくれるのも、重要な要素だと思います。数字だけの成長ではなく、レベルアップした時のガッツポーズとその音の心地よさ、芸の細かいアクションで実感できる目に見えて強くなっていく様… ディスガイアは、これらの育成型SRPGの醍醐味をすべて兼ね備えた名作SRPGと言っていいでしょう。

嘘から出た真? 解き放たれし”お笑い魂”

 ストーリー面では、これまで「マール」シリーズ以来、全作品に共通していた「愛と勇気と行動力」というイメージを一新して、悪魔サイドからの徹底的なギャグテイストで構成されています。一応「悪魔と天使と人間」というテーマはありますが、冗談みたいなすごい展開と漫才みたいなキャラクターたちの会話のインパクトが強烈過ぎて、終始笑いっぱなしです。そのあまりの弾けっぷり(褒め言葉)に、驚かされた人も多いことでしょう。しかし、実は遙かなる昔、日本一ソフトウェアは「お笑いゲームメーカーだった」という事実はあまり知られていません。次回予告で使われていた「炎の美少女料理人クッキングファイター・エトナ」、これは知らない人にとっては、「またエトナがバカなことを言ってる」程度で軽く流してしまうポイントですが、実はこれ、「クッキングファイター・好(ハオ)」の自社パロディなんですよ(※その内容は、ある意味では予告よりも強烈です(これは悪い意味で))

 エスカレートする嘘とギャグ満載の幕間劇(次回予告)ですが、「地球勇者キャプテンゴードン」がネタではなく本シナリオで始まってしまった時は我が目を疑いましたよ。不意打ちであり、その効果は絶大でした。まさに嘘から出た真(まこと)! しかし、このような破目を外した反則スレスレのネタやギャグも、強固なゲームシステムがあるからこそ心の底から笑えるのだと思います。5年もの時を経てついに開花した”お笑い魂”、日本一ソフトウェアの新境地にこれからも大いに期待したいと思います。

First written : 2003/02/28
Last update : 2003/10/14