ラブひな
マンガ作者:赤松健
 ラブコメ  ドタバタお色気ラブコメディ  全14巻 
連載:週刊少年マガジン

「ラブひな」とは?

 「ラブひな」とは、週刊少年マガジンに連載されていた、 ”ドタバタお色気ラブコメディ”漫画です。アクの強い作品が多い週刊マガジンにはこれまでに無かった「オタク属性のお色気ラブコメ路線」で注目を集めて、赤松健という作家名ともども一躍メジャーへと駆け上がりました。それなりにヒットしたTVアニメ化、賛否両論を巻き起こしたフィギュア付きDVD、中身はともかく数だけはやたらと作られたゲーム化、アニメ出演声優による「ひなたガールズ」ライブ…などなど、ヒット作不在と言われていた当時のオタク業界の牽引役を見事に果たし、ついには第25回講談社漫画賞の少年漫画部門をも受賞してしました。その人気は日本だけにとどまらず、今や世界の共通文化となった「オタク文化」の代表として、台湾や韓国などのアジア圏、さらに英語・スペイン語圏にまで広がりつつあります。

ラブコメの王道ゆえに…

 「ラブひな」は典型的なドタバタラブコメです。むやみやたらと入浴シーンがあってお色気満載で、当然の如く主人公はモテモテです。景太郎のボケ(助平)に成瀬川のツッコミ(殴打)があり、しのぶちゃんが泣けば、素子ちゃんが刀で斬りつけてきて、スゥのメカが火に油を注ぎ、みつねさんはそれを面白がって無責任に高みの見物…というように、他のキャラクターもキャラが立っていていい味を出しているし、引用パロディも巧みに使われています。技術面と設定面ではラブコメとして一分の隙も無いと言ってもいいかもしれません。週刊連載とは思えない(実際には8日周期でやってたみたいだけど)ネタの濃縮度と絵の描き込みは、間違いなくこのジャンルの中ではトップレベルでした。

 赤松先生自身が同人誌上がりの漫画家でもあるため、オタク属性の人間の嗜好をうまく把握できて、ネタの面白さを読者に近い立ち位置で伝えることができたといえます。ただし、お約束満載で既成のヒットギャルゲーの如く高度に文法化されたキャラ作り、という路線を「狙いすぎだ!」と批判されることも少なくありませんでした。しかし、これを良い方に解釈すれば、この作品にはそれだけの知名度と、影響力があったということになります。同ジャンルの他作品に比べて桁違いの発行部数を記録し、頂点を極めた王道ゆえの贅沢な悩みだと思います。

幸せな作品の幕の下ろし方はどうあるべきか

 作者にとって、「ラブひな」はとても幸せな作品だったようですが、読者にとっても本当にそうだったのでしょうか? 実はこの作品ほど、読み手の好き嫌いがハッキリ分かれる漫画も珍しいかもしれません。あまりにもベタでしつこいお約束な展開に呆れてしまう人もいれば、性格が変わりすぎるキャラクターに反感を抱いた人もいたことでしょう。私もそう思ったことがないと言えば嘘になりますが、それでも、それは総合評価を覆すほどのものではないと思います。歴史的名作とは呼べないまでも、良作だったと評価してよいのではないでしょうか?

 作品の幕を下ろすというのは、とても難しいことだと思います。巨大なメディアミックスと連動している、大人気雑誌連載ともなると、それは尚更難しくなります。赤松先生の同人誌「ラブひな・コンプリート」でのインタビューで暴露されていましたが、この作品を作ったのは、良くも悪くもマガジンの担当編集者(O氏)でした。ネームに駄目出しだけではなくて、ストーリーを直したりシナリオに近いこともしていたそうです。確かに、担当さんが手を加えた回の人気投票では好成績をキープしていたようですが、それは本当に「赤松健作品」と呼べるものなのか?という疑問が出てきて然るべきです。どこからどこまでが「赤松健作品」であって、そして何が「ラブひな らしさ」なのか? を今一度考えてみれば、赤松健漫画のファンなら理屈ぬきでその本質を理解し、許容することができるでしょう。コメディで揚げ足を取るのはつまらない楽しみ方だと思います。「読んで笑えたか(YES or NO)?」それでいいんじゃないでしょうか?

First written : 2002/02/04
Last update : 2002/10/31