ファイアーエムブレム 封印の剣
GBA販売/開発 : 任天堂/インテリジェントシステムズ
 戦略・育成  シミュレーションRPG  82時間 
公式HP

ファイアーエムブレムとは?

 「ファイアーエムブレム(以下、FE)」とは、シミュレーションRPGの元祖となった作品です。今でこそFEは、SRPG史上に燦然と輝く名作と呼ばれていますが、初代「暗黒竜と光の剣」(1990年)の発売当初は、オペラ調のCMが話題になったものの、未体験のジャンルゆえ売れ行きは芳しくありませんでした。人気に火が付き始めたのは、ゲーム雑誌や口コミで評判が広まりだしてからでした。「FE外伝」(1992年)、そしてリメイク&新作「FE紋章の謎」(1994年)の大ヒットで、名実共に不動の地位を確立したのでした。その後も、「FE聖戦の系譜」(1996年)、「FEトラキア776」(1999年)を発売したものの、時代遅れになったハードでの発売が続き、また高度化しすぎた戦術と厳しすぎる難易度によって、シリーズは次第にマニアック化していったのでした。

 ファイアーエムブレムを120%楽しむためには、遊び手にいくつかの素質が必要です。何度リセットを強いられても、へこたれないド根性と、難易度が高ければ高いほど燃えるチャレンジャースピリットと、厳しい難易度を快感にすら感じられるマゾっ気。この3つの要素を兼ね備えていない人にとっては、単なる難しいSLGでしかありません。しかし、この3つすべてを兼ね備える人にとっては、何物にも代えられない麻薬的な名作となるのです。(GBAを買ってから一度も電池交換をしたことがなかった私が、このゲームのためだけに電池を8本も使ってしまったくらいですから!)

て〜ごわいシュミュレーション♪

 今作「封印の剣」には、システム面ではこれといって目新しい新システムはありませんが、「聖戦」のカップリングを応用した「支援効果」や、「トラキア」の捕える&担ぐを応用した「救出」などにみられるように、過去シリーズの長所をシンプルに熟成させたシステムになっています。バランスやキャラの雰囲気は初代に近いものとなり、総合的な完成度は極めて高いものとなっています。

 「封印の剣」のバランス設定は比較的易しくなったと言われていますが、それは熟練のFE戦士たち「ファイアーエムブリャー」にとっての基準であって、なんだかんだ言って、やっぱり難しい。あまりの難しさに思わず「むっきー」とブチ切れそうな戦局の中で、知恵の限りを尽くした戦術で確率の網を掻い潜りながら、膨大な回数のリセットを繰り返しながら、自軍ユニットをチクチクと成長させていくのが楽しくてたまらないのです! 難易度が下がったことで戦術面での負担が減り、成長面に注力できるバランスになっていて、その「お湯加減」が実に丁度いい。シリーズを初めて体験する人には最適だし、凶悪に手強い「ハードモード」もあるので歴戦のFE戦士にもオススメです!

原点という輝き

 これまでFEシリーズの中心的存在だった加賀昭三氏が独立して、「ティアリングサーガ」という新作PSで発売したのに対して、任天堂が取った道は、表向きには訴訟騒動だけが報じられていましたが、開発の現場においては、半ば完成していた64DD版FE・N64版FEの開発を凍結し、そして携帯ゲーム機でのシリーズ最新作の開発に着手するという大きな方向転換を行いました。天井知らずだった戦術面の高度化と難易度のインフレを大幅に見直し、シンプルさを追求してシリーズの原点に立ち戻り、FEというゲームが持つ魅力を再確認したことで、FEシリーズは再び輝きを取り戻すことができたのです。

 初代FEを髣髴させる「封印の剣」のオペラ調のTVCMは、まさに原点回帰の象徴でした。ハードの進化とともに量的な膨張によって、進化の道を誤るシリーズが後を絶たないゲーム業界にあって、愚直なまでにストレートに原点への回帰を実現して見せた今作は、ゲームの進化のあり方そのものを問う、とても貴重な存在だと思います。

   ファイアーエムブレム 手ごわいシミュレーション
   勝ってくるぞと 勇ましく
   危なくなったなら スタコラ逃げろ
   驕れるものは ドツボにはまる
   (※くりかえし)

First written : 2002/05/24
Last update : 2003/10/24

キャラクター選評(ベスト10)

1位 リリーナ 賢者

 正ヒロインにして最強の魔道士。魔力がガンガン上がるので、どんなボスもファイアーだけで瞬殺してしまいます。FE歴代ヒロインは報われないことが多いのですが、リリーナはしっかりと幸せを掴んでくれて本当に良かった(泣

『わたしが一番はじめに好きになったんだもの!他の女の子になんか負けない!』


2位 フィル ソードマスター

 女子供はよく育つ(エムブレムの法則:其の一)のとおり、すさまじい成長を見せてくれました。女キャラゆえHPと守備力が低いのが難点ですが、ソードマスター特有の「必殺率+30%」は鬼のような破壊力(キルソードを装備すれば必殺率は80%を超える)!

『なのに…気がついたら…あ あなたのことばかり頭に浮かんでしまって…』


3位 ララム 踊り子

 戦略の幅を大きく広げる「再行動」はとても役に立ったけど、ララムの真の魅力は支援会話にあり!突撃暴走天然娘の前に、戦場の勇者たちもタジタジです。特に、ロイとの会話とダグラスとの会話は必見!

『ああ ララムうれしい・・・』そして二人は・・・きゃーきゃーきゃー


4位 ミレディ ドラゴンマスター

 特効を無効にするアイテム「デルフィの守り」を持たせれば、ドラゴンナイトに死角なし!まさに空飛ぶ要塞(魔法防御が低いのが唯一の欠点です)! 将として、そして女として… ゲイルとの戦場の悲恋、そこがまたイイ!

『待って ゲイル 行かないで!ゲイルーーーーー!!』


5位 ルトガー ソードマスター

 無口で美形の剣士は強い(エムブレムの法則:其の二)のとおり、最後まで主力として活躍してくれました。ディークに比べて攻撃力が低いが、必殺率補正による一撃必殺の魅力は捨て難い。同じソードマスターならフィルの方が破壊力は上ですけどね。

『…俺の剣は、人を斬るためだけにある。遊びの剣には興味がない』


6位 ディーク 勇者

 顔に傷のある男は強い(エムブレムの法則:其の三)のとおり、期待通りの成長と活躍をしてくれました。ルトガーに比べると攻撃力は強いけど、必殺率補正がないのは痛い。守備力も高いので壁としても使えるが、オグマ並の鬼神の活躍は期待できないかも。

『おれのような剣闘士あがりなどと気安く付き合うのはやめておけ。おまえの将来に傷がつく』


7位 ロイ マスターロード

 主人公ユニットなので、無闇に前線に立たせるわけにはいかないし、クラスチェンジも終盤のイベントであり闘技場も使えないので、限界まで鍛えるのは難しい。しかし、最終兵器「封印の剣」の威力は脅威(しかもラスボスにも特効アリ)!ラスボスをロイで倒すとエピローグが変化するので、過不足ない程度には育てておきましょう。

『でも、変わってない事だってあるよ。
ぼくがリリーナの側にいること リリーナがぼくの側にいること』


8位 アレン パラディン

 攻撃後の再移動がなくなって利用価値が半減した騎馬ユニットだが、アレンは別格。アーマーナイトの装甲すら貫くバカヂカラは痛快です。カップリングは、ティトがオススメ(アレンがただの突撃バカではない事が判明します)。

『おれが少しでもひるめば敵の士気は高まる。おれの動きに迷いがあれば軍全体の苦戦を招いてしまう… だから おれは逃げない。皆のためにも おれは前へ進む』


9位 クラリーネ ヴァルキュリア

 GO!GO!お嬢様!魔力が低いので回復役としてはあまり役には立ちませんが、機動力がある分だけエレンより有利。ランスとの支援会話は可愛げがあってとてもイイ!

『あら 私どこまでもあなたについて行きますわ!逃がしませんことよ!!』


10位 ドロシー アーチャー

 戦闘には一度も使わなかったけど、サウルとの支援(痴話喧嘩?)が面白すぎ!(犬夜叉の珊瑚と弥勒にそっくりだが…)

『知りません!撃たれたくなかったら さっさとどっかに消えてください!』