Fate/if
同人誌サークル : アメチャン
 アナザーストーリー  Fate/stay night  全6巻 
作者 : 空歩(そらほ)、最上蜜柑

(C)2004 アメチャン/空歩、最上蜜柑

      vol.1 : First Impression
      vol.2 : Day Dream
      vol.3 : Fairy Tale
      vol.4 : Nobody Knows
      vol.5 : Day Break
      vol.6 : Perfect World
「Fate/if」とは?

 「聖杯戦争」…それは、すべての願いを叶えるとされる「聖杯」を手に入れんがために、人類の守護者たる英霊(サーヴァント)を実体として召還して使役し、魔術師(マスター)たちの間で長きに渡って繰り広げられてきた争奪戦である。かつて聖杯を創り出した魔術の名門の一つであった遠坂の家に生まれた者として、新たに勃発した聖杯戦争のマスターの一人になった遠坂凛は、最強のサーヴァントと言われるセイバーとの契約を試みた。自分が呼び出したサーヴァントが最強でない筈がない。彼女を見た瞬間、凛はそう思った。そう、「彼女」を見た瞬間…

 まるでデジャブのように再び繰り返される争奪戦。だが、そこにいる筈の、自分の隣にいる筈の誰かがいないことに凛は気づいてしまう。そう、心の片隅に残っていた微かな想いの残滓は、すべてを忘れさせてくれてはいなかったのです。新たに紡ぎ出される「if」、もうひとつの「Fate」アナザーストーリー、それが「Fate/if」シリーズなのです。

甘さは心の贅肉じゃない。
それは…とても素敵な無駄なこと

 魔術師として冷徹に分析し判断して、切り捨てるべき時には非情な選択をしなければならない…そう頭では判っている。だが、肝心な場面では非情に徹しきれない甘さが出てしまう。あまりの馬鹿さ加減に凛は自分でも呆れながらも、自分の甘さが拾い上げてしまった者たちに囲まれた束の間の喧騒に、小さな安らぎを感じていた。遠坂凛という人間には、人としての情の深さと魔術師としての非情さが、ひどくアンバランスに混在しているのです。そう、かつて「アイツ」に「判りづらいお人好し」と呼ばれたことがあったように…

 本作中には、ショッピングや食事や日常風景などの「無駄」を楽しむシーンが多用されています。セイバーは戦闘というサーヴァントの本分とのギャップに戸惑いながらも、凛の無駄に振り回されることを心地よいものに感じていく。服を着替える。ただそれだけで、見違えるほど気分が変わるのだと…甘さは心の贅肉じゃない。それは…とても素敵な無駄なことなのです。確かに、遠坂凛という人間は魔術師としては甘いのかもしれない。だが、目に前で無力な人間の命が失われることを見過ごすことなどできない。それが例え何度目のことであろうとも、何度だって手を差し伸べるだろう。それが、遠坂凛が遠坂凛たる所以なのだから…そして何度でも思い出すだろう。絶対に忘れてなんてやるもんか!自分の存在を消し去るかなしい選択しかできなかったアイツらのことを…

自分の存在を消し去る…それが彼らが選んだかなしい答え

 「もし」を考えることなんて無意味なことだ。いくら「もし」なんて考えても、起こってしまった事に「もし」なんてない。私は自分で選んだことは後悔しない…そう凛は言い切ります。「彼」がひとりいなくなっても、世界は変わらず続いて行く。ただ「その人のいない未来」が続いて行くだけだ。それは確かに寂しいことかも知れない。でも、私ひとりがいなくなっても一緒なら、誰に強要されることもなく、私は私のしたい事をしていいってことだ。きっと私たちは自分が思っている以上に自由な存在なんだから…

 自分達は最初からいなかった…それが彼らのたったひとつの願いだった。そうセイバーは言います。世界とは自分を映す鏡であるが、彼らの世界は互いの理想と矛盾を映す、かなしい合わせ鏡でしかなかった。だからこそ、彼らは自分の存在を消し去る、というかなしい答えを選ぶしかなかったのです。せめて、残された人達が悔やんだり悲しんだりしないように、記憶からも存在を消し去って…でも、私達は彼らを忘れられなかった。だからこそ闘い抜いて答えを見つけなければならない。そして、私たちの願いは、きっと…

(※この先の物語の展開と終局像については、私的な願望込みの予想を立てることはできますが、新規読者が予想する楽しみを残すことと、作者様の構想と自由な発想を阻害しないために、敢えて伏せさせていただきます。物語が完結してから改めて書き直しさせていただく機会をいただければ幸いです。)

※画像使用許諾:2004/10/19
First written : 2004/10/23
Last update : 2004/12/25

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