CLANNAD
Windows製作: key   2004年4月28日発売   DVD-ROM   全年齢対象
 恋愛・ドラマ  恋愛アドベンチャー  72時間 
キャラデザ:樋上いたる   シナリオ:麻枝准、魁、藤井知貴

「CLANNAD」とは?

 「Kanon」「AIR」の大ヒットでPCギャルゲー界のトップブランドに君臨していたkeyが、3年半もの歳月をかけて製作し、満を持して発売した新作「CLANNAD(クラナド)」は、度重なる発売延期に焦らされ続けて膨らみ過ぎていたファンの熱い期待に応えて余りある…いや、ギャルゲー史上に大きな衝撃を与える、圧倒的な完成度を持つ作品に仕上がっていました。「家族」というテーマを真剣に語るために、敢えてPCギャルゲーの大きな購買動機になっている「エロ」という要素を排し、直球勝負でkey作品の伝統的な演出手法である「奇跡」の在り方と概念を大きく変えたこの作品は、key作品が目指してきた集大成でもあり、ギャルゲーというジャンルの新しい可能性を見出した挑戦作でもあると思います。

 簡単にですが、あらすじを紹介しておきましょう。主人公:岡崎朋也は、町一番の進学校に通う高校三年生。かつてはバスケに情熱を燃やし将来を嘱望されていたが、父親との大喧嘩による怪我で肩を壊してしまい、バスケの道を絶たれて目標を失ってからは、何もかも嫌になってしまった。それ以来、気がふれたように自分を息子として認識しなくなってしまった。父親と顔を合わせないように、父親が寝静まった深夜に帰宅して朝遅く起きる荒れた生活になると、必然的に遅刻を繰り返すようになり、いつしか不良のレッテルを貼られて、進学なんてとうの昔に諦めていた。そして迎えた三年目の4月…あと1年もこんな無為な日々が続くかと思うと気が滅入る…

 そんなある日、登校時間をとうに過ぎた校門に続く長い桜並木の坂道の下で、ひとり立ち尽くしていた少女と出逢った。長い闘病生活からやっと復学した少女は、二度目の三年生を迎えていた。自分を知っている同級生たちは皆卒業してしまっていた。大好きなれるはずだった場所には、もう自分の居場所はなくなっていた。「楽しいこともうれしいことも、何もかも変わらずにはいられません。それでも、この場所が好きでいられますか?」そう独り言を呟いて、懸命に自分に言い聞かせようとしていた少女に、主人公は「次の楽しいことをみつければいい」と声をかけて背中を押していた。なぜそんなことを言ったのか、主人公にも分からなかった。それはきっと、立ち止まっているのは自分も同じだったから…長い長い坂道をふたりで上り始めたこの日から、すべては始まったのです。「絆」という名の「奇跡」を紡ぎだす、人と町の物語が…

「絆」という「奇跡」を紡ぎ出す、人と町の物語

 『奇跡を是とするか否か?』 

 これは、すべてのkey作品を論じ上で、絶対に避けては通れない命題です。key作品を否定する論拠の大多数は、この問題に集約されると言っても過言では無いでしょう。私はkey作品の「奇跡を必然と感じさせる作品演出能力」を高く評価してきましたが、奇跡という遊び手の主観介入の範囲から超越した現象によってのみ、キャラクターと物語が救済と結末を迎えるという構図に、どこかしら距離を感じてしまう居心地の悪さも、少なからず感じていました。だからこそ、敢えて奇跡を「禁じ手」として取り扱おうとしているのではないか?と感させてくれた、このCLANNADという作品に、私は強く惹かれたのでしょう。しかし、それはちょっと考え方が違っていたようです。CLANNADは奇跡を否定したわけではありません。なぜなら、奇跡なんてものは、始めから始まっているからですから。

 いや、そもそも、出会いのすべてが奇跡なのです。何年間もどこにも歩き出せずにいた主人公が、ヒロインたちと出会った、わずか1ヶ月の日々で変わっていくということ…どうしようもなくお人好しで純粋で気の合う仲間たちと、かけがえのない大切な人と過ごす日々…それは、まるで透き通るような脆く儚い夢。柔らかい永遠。その痛みもその悲しみもすべて受け止めたら、迷わずにどこにだって歩いてゆける。夢という名の奇跡はいつまでも続いていく。そう、ともに手を取って願いを共有する人がいる限り…周囲の支える人々の想いと願いが有機的に結びついて、「絆」という名の「奇跡」を紡ぎ出す物語、それが、CLANNADが本当に実現しようとしたものではないでしょうか?

 CLANNADという作品は、単純にゲームとしても良く出来ていると思います。遊び心溢れるおまけ要素が随所に本筋の中に巧みに盛り込まれており、ヒロイン分岐に至るまでの自由度も抜群に高い設計になっています。また、分岐型シナリオゲームのすべてが内包する「可能性による選択意義の希薄化」という大きな矛盾についても、ひとつの答えを見出せたような気がします。その答えは、主人公ひとりの選択意志によって成し得た結末だけでは、決して辿り着くことのできない次元のものでした。

 各ヒロインのシナリオが紡ぎ出した「絆」「想い」「願い」が、遊び手の心の中に降り積もってゆき、作品全体のテーマを創り上げていく過程によって、初めて勝ち得ることができた「信頼」があったからこそ、あの胸が締め付けられるような心の痛みも、その柔らかな手の温もりも、心に染み渡る温かさも、すべて受け止めて「本物」にすることができたのです。

 私が最後に流した涙は、悲しみによるものではなく、それは尽きせぬ感謝の念であり、純粋に彼等の幸福を祝福する微笑ましさでもあり、説明も付かないような感動によるものでした。その可能性のすべてを含めて、最後に心から素直に「ありがとう」と言うことができたということ…CLANNADという作品は、テーマによって構造を超えてしまった前代未聞の作品なのかも知れませんね。

すべては変わらないではいられないけど、
たったひとつだけ変わらない大切なものがあるから…

 とある同人誌即売会で偶然小耳に挟んだ、作家さんとファンの方との会話がとても印象に残っています。忙しくてまだCLANNADをやっていないという話題に対して、「人生の何分の一かを費やしてでも遊んで欲しい!」と熱く返したその人の言葉を聞いて、私は胸が熱くなりました。本当に、この作品は遊び手の心に特別な「想い」を残して行ってくれたのですね…

 私は攻略中、みっともないほど、何度も何度も泣いてしまいました。その温もりが消えてしまわないように、繋いだその手を痛いほど強く握りしめました。押し寄せる悲しみの予感に耐え切れなくて、何度も何度も愛しい人の名を叫びました。止め処なく溢れる涙を拭うことさえしませんでした。でも、そうして涙の跡で顔がボロボロになってしまっても、最後の最後で彼らの想いが起こした奇跡を笑顔で祝福することができたことが、どうしようもなく嬉しくて嬉しくて…今はただ、「ありがとう」という言葉しか出てきません。そして、この今の気持ちを忘れえぬように。一番の大切な思い出を胸にしまって歩き出せるように…

 CLANNADは、自分のこれまでの人生の中で得る事が出来た感動を、再び思い出させてくれるような不思議な作品だと思います。すべては変わらないではいられない。でも、変わっていくことは悲しいことじゃない。人は変わってゆける。そして、たったひとつだけ変わらないものも確かにあるのです。それは誰かのためにではなく、自分のためであるということ。そして、自分を作らず・演じず・背伸びせず、自然体で大切な人が喜んでくれれば自分も嬉しくなれるから…とても単純で、でも忘れしまいがちな、とても大切なことです。ひとりひとりは弱いけれど、ふたりでなら、家族でなら、どんな困難でも乗り越えてゆける。繋いだその手で喜びも悲しみも分かち合えるから…本当に人生の何分の一かを費やしてでも遊んでみて欲しいと、自信をもってオススメできる名作です!

First written : 2004/05/27
Last update : 2004/08/18

[GM研ゲーム大賞2004]
脚本、演出、作曲、主題歌
主演男優(岡崎朋也)、助演男優(春原陽平)
主演女優(古河渚)、助演女優(古河早苗)
以上、8部門にノミネート予定


「CLANNAD」”泣きなさい笑いなさい♪”キャラクター選評

※この選評は重度のネタバレで構成されています。ゲームの楽しみを致命的に損なう恐れがありますので、ゲーム本編をすべてクリアした方、もしくは完全なネタバレでも読み流せるという方のみ、自己責任において白文字で隠されている空白部分をマウスで選択反転させてお読みください。なお、この注意書きを無視してネタバレ部分を読んでしまった場合の不利益に対して、GM研は一切責任を取りかねますので、くれぐれもご注意ください。(「Ctrl」+「A」で全選択すると簡単に閲覧できます)

 古河 渚 (ふるかわ なぎさ)

 この物語のメインヒロインということもあり、多く方が最初にクリアしたシナリオになったと思います。初対面で「あんパン」と独り言を言い出した時は「大丈夫なのか?」と本気で心配でしたけど、ファーストプレー特有の全員が同じスタートラインで参戦してくる激戦の中でも、渚がメインヒロインとしての存在感を失わず魅力を発揮してくれたのは、何気にすごいことだと思います。CLANNADのテーマは「家族」ですが、渚シナリオはまさにその通り…じんわりと心に染み込んでくる、とても温かい気持ちになれる好シナリオだと思います。途中に何度も挿入される幻想世界も、あんな場所であんな風につなげてOPに持って行くとは…ゾクゾクするものがありました。いや、OPの後の方が短いくらいなので、オープニングと言うと語弊があるかも知れませんね。

 渚とのやりとりでは、文字レベルで「コレ!」という破壊力のあるフレーズはほとんどありませんでしたが、たっぷりと時間をかけて丁寧に描かれた、古川渚という人物の恥ずかしいほど真っ直ぐで素直な個性と、愛すべき家族や友人たちとの軽妙な掛け合いよって、そのなんでもない日々の出来事のすべてが、とても大切なものに思えてきて…渚シナリオの終盤での私は、終始今にも泣きそうな状態の連続でした。もし、このまま渚がいなくなってしまったら…奇跡と伝説上等!のkey過去作品の文法からすれば、それは十分にありえる展開ですからね。そんな期待と不安に駆られていたからなのか、結局、渚TRUE ENDでは悲劇も奇跡も起きなくて、クライマックスで号泣するタイミングを逃して、肩透かしを喰らってしまったのは、私だけではないと思います。もっとも、渚シナリオの本番は、AFTER STORYにあるわけだから仕方が無いんですけど…

 それに、たとえ奇跡なんて起きなくても、渚が主人公と共に過ごした日々の中で強くなってくれたことが、ただただ嬉しくて…二人で歩み始めた幸せな日々を見守れることが嬉しかった。友人一同が渚のためだけに集まってくれた、たった一人だけの卒業式での「最後には私が頑張れた場所だから」という渚の答辞を聞いて…大号泣してしまいました。そこには確かな絆があったから…でも、だからこそ、以前とまったく同じように病に伏した渚が…今では自分にとって生きる意味そのものになった渚を失うことが、どうしようもなく恐ろしくて…それでも、生まれてくる我が子のために強い母であろうと、自分の命も顧みず頑張り続ける渚をみて…涙が止まりませんでした。もう奇跡でもなんでもいい。心から渚が生きてくれることだけを強く強く願いました。

 AFTER STORYの一周目で、渚の忘れ形見の汐とまともに接することの出来なかった主人公は、そのまんま私の心境でした。でも、そんなボロボロになってしまった自分を見捨てずに、自分の力で立ち直るまでずっと支えて待っていてくれた人たちの存在の大切さに気づいて、渚が命を賭して残してくれた想いと初めて向かい合えたとき…またしても大泣きしてしまいました。こんなにもたくさんの想いに包まれて、もう一度笑顔になることができたこと。それこそ奇跡と呼ぶに相応しいものなのだと思います。

 藤林 杏 (ふじばやし きょう)

 渚シナリオを進めていた時から、藤林姉妹…とりわけ姉の杏は、所見からとても気になる存在でした。素直になれない「アンタ、バカ?」アスカ属性の方には、問答無用でオススメのキャラだと思います。 杏シナリオを一言で分かりやすく表現すると、「双子姉妹版:君が望む永遠」です。さすがにヒロインが3年間昏睡したりはしませんけど(笑)、修羅場での痛みと苦しさと切なさは同レベルのもの…いや、君望のように孝之(主人公)のヘタレ具合に責任転嫁できなくて、自分視点ですべてを背負わなくてはならない杏シナリオの方が、遥かに辛く厳しいのかもしれません。妹の椋ちゃんの主人公への想いを知っているから、椋とくっつけてしまえば諦められると思っていたから…だからこそ、どんなに辛くても笑顔でいようとする杏の強さが、良き姉であろうとする杏の優しさが、普段の気丈さからは想像もつかない、頼りない背中を抱きしめた時に漏らした杏の弱さが、なお一層、痛くて辛くて愛しくて…このWindows版にはキャラボイスはないのに、杏のセリフからは、君望の水月の声が聞こえてくるようで…(想像しただけで泣けてきました)。 

 私の場合、椋→杏の順番でクリアしたので、ついさっきハッピーエンドを迎えたばかりの椋ちゃんを、最後に傷つけなくてならなくなる杏シナリオの展開は…ものすごく辛いものになってしまいました(それは、杏と同じ心境でした)。エンディングでの告白シーン直前まで、悩み苦しんだ果てに二人が出した答えに、みっともないほどに大号泣してしまいました。クリア直後にちょうど放送された「内村プロデュース」を観て大笑いするのが後ろめたくて、録画して明日観る事にするくらいに…あ、でも逆に、杏→椋の順番でクリアした人は、椋シナリオが何の山場もなく、あまりにも短かいことに拍子抜けしてしまうかもしれませんね。詳細は次項の椋シナリオ選評に譲りますが、せっかく姉妹の対立構造があるんだから、どんなに苦しんでもいいから、椋シナリオでも納得の行く形で「選ばれなかった者の気持ち」を描いて欲しかったです。杏のキャラは個人的なツボだっただけに、そこだけが残念でならないのです。

 細かいところでは、瞳の色とプレゼントの宝石が連動していたことと、告白シーンを夕日の逆光にすることで瞳の色の違いをカモフラージュした、美術面での芸の細かさにも目を見張るものがありました。春原に対する容赦ない殺し文句(通常の意味とは違う文字通り必殺)には、何度も大笑いさせてもらったし、AFTER STORYで幼稚園の保母さんとして再登場したのも、個人的にはクリティカルヒットでしたし…でも、猪を幼稚園で飼うのはどうかと思うぞ(笑)

 藤林 椋 (ふじばやし りょう)

 さて、藤林姉妹の妹の椋ちゃんのシナリオはといいますと…杏シナリオが辛く厳しいものだったのに対して、あまりにもアッサリと杏が身を引いて、何の迷いもなくお手頃ハッピーエンドで終わってしまって、「あれ?」と肩透かしを食らってしまいました。勝平シナリオの方を椋メインのシナリオと位置付けているからなのでしょうけど…ハイそうですかと、俄かに納得することは出来ませんでした。双子の姉妹の対立構造で2本の話を作るより、まったく別の展開の方がそのキャラクターの魅力を引き出せる。そのくらいのことは、私にだって分かります。なんでも奥手で強く主張しなかった椋ちゃんが、勝平シナリオで初めて見せた、意外な芯の強さと人の心を動かす優しさ…これによって、藤林椋という人間は、より魅力的な存在になりました。

 しかし、私は勝平シナリオを読んでいる間ずっと、とてつもない居心地の悪さを感じていました。私は、ゲームというものは、すべて主人公の行動と決断のみで都合よく動かなくてはならない、などという偏狭な考えを持っているわけではありませんが、それでも、主人公の行動と決断によって積み上げられてきた「キャラクターとの想い出」を上書きするような、二重性のある可能性事象の存在を無条件で認めたくはありません。言ってることが少々難しいかもしれませんが、簡単に言うと、独立メインルートを持つヒロインを、別のシナリオであっても他人とくっつけるようなことはしてくれるな、ということです。

 椋TRUE ENDで、彼女は本当に幸せになれたのだろうか?あの時自分が流した涙は何だったのか?本当に自分で良かったのか…出会いから想いを重ねた日々、その美化された想い出に、僅かでもそんな疑念を抱いてしまうことは、とても悲しいことだと思います。せめて、勝平というキャラクターに「コイツには敵わねぇなぁ」と思わせるだけの魅力があり、椋ちゃんを託して悔いなし!と思えるだけの必然性を持たせるだけの存在であったなら…きっと二人の門出を笑って祝福することができたことでしょう。私だって本当はそうしたい。でも、理屈では理解できても、感情では納得できないんです。

 CLANNADという作品はあまりにも魅力的であり、冷静に「神様視点」で遊べるゲームではありません。リネームするしないに関わらず、主人公は岡崎朋也以外の何者でもなく、そして岡崎朋也は遊び手自身に他ならない。等身大の視点で感じるからこそ、その痛みも温もりも、すべて受け止めることができる。時に残酷な運命のすれ違いを突きつける分岐という可能性にも耐えることができる。だからこそ、自分が選び取ってきた過程というものが、所詮ただのルート分岐でしかない、そう感じされてしまった椋シナリオと勝平シナリオの比重調整が残念で仕方が無いのです…

 個人的には、ことみシナリオでのボケ専トリオでの椋が一番のツボでした。メインじゃないところで意外な存在感を発揮できる、地味だけ人間関係には欠かせない「名雪」タイプのキャラクターなのかも知れませんね。

 一ノ瀬 ことみ (いちのせ ことみ)

 ハサミで図書館や書店の本を切り取っていたり、天才なのに子供っぽい受け答えしかできなかった初対面では、「大丈夫なのか!(その2)」と心配でしたが、おそらくシナリオ単体の完成度としては、ことみシナリオがもっとも評価が高いのではないでしょうか?何しろ、他のルートへの分岐点というものが存在しませんし、実は唯一の幼馴染キャラという隠し味もありましたしね。レビュー本文の中では、選択肢型のゲームにおける可能性事象の取り扱いの問題について、「可能性のすべてを含めて、最後に心から「ありがとう」と言える存在であって欲しいと願う」と書きましたが、一ノ瀬ことみシナリオを終えた私は、その答えにやっと辿り着けたような気がしました。

 その答えは、主人公の選択意志だけでは、決して辿り着くことのできない次元ものだったのですから。演劇部再建のことをすっかり忘れて、ことみのことだけを考えて付き合ってくれる渚がいて、渚とことみとの三人で最強の”ボケ専トリオ”を組みつつ、優しく見守ってくれる椋ちゃんがいて、言い方は乱暴だけど世話焼きな全方位ツッコミ役の杏がいてくれたから…そして、個々の独立シナリオを通して彼女達の持つ本質を理解できていた後だからこそ、ことみと主人公が、あれだけ重くて苦しくて辛すぎる過去に直面した時でも、不器用だけど真っ直ぐに乗り越えようとする二人の姿を、遊び手自身も仲間のひとりとして信頼して、温かく最後まで見守ることが出来たのだと思います。それは単純に、1つの分岐シナリオとしてだけのハッピーエンドはなく、サブのメンバーのシナリオで受け取った温かい気持ちとも有機的に結びついて、遊び手の心を幸せの洪水で洗い流して行くような…本物のハッピーエンドと言えるものだと思います。

 ことみの両親が残した最後の手紙を読み上げるシーンで私が流した涙は、悲しみによるものではなく、それは尽きせぬ感謝であり、すくぐったくなるような温かい微笑しさであり、打ち震える感動によるものでした。親が子供を想う気持ち…参りました。降参です。レビュアーとしては失格かもしれませんが、今感じているこの気持ちを語るべき、気の利いた言葉が見つかりません。今はただ、すべてを見届けるまで、この優しさに包まれていたいから…ことみシナリオが気に入った人は、もう一度始めからプレーしてみることをオススメします。ことみの何気ない言葉の端々に込められた想いに気づいてしまうと…ことみとの初対面での自己紹介でさえ、「ぶわっ」と涙が溢れ出てしまいますから…

 坂上 智代 (さかがみ ともよ)

 主人公とヒロインが(家族のように)ともに手を取って歩きながら、心の奥底に抱えた困難を乗り越えてく成長物語、というのがこの作品の大きなテーマであり、ヒロインに引っ張り上げられていく形で主人公が変わっていく構図が定石となっていますが、この智代シナリオに限っては、主人公とヒロインの荷重比率がちょっとだけ異なります。同じ本質を抱えた二人は共鳴しあうように惹かれて行きます。二人でいることが自然すぎるから…他人目には浅はかで未熟な付き合いに映ってしまうのでしょう。才気に溢れる無私の人であり人を惹きつける魅力を持ち、周囲から将来を嘱望されている智代に対して、落ちこぼれで足を引っ張る疫病神としか見られていない主人公は、やがて、智代の重荷になっている自分を許せなくなり、別れてしまうわけで…それは、悲しい時に流すしょっぱい涙ではなく、悔しい時に流す苦い涙で…歯痒さで胸が締め付けられる思いでした。

 でもそれは、この手の自己断罪型のシナリオによくある演出論による定石とはまったく違う感情でした。その悔しさが向けられていたのは、二人を引き離そうとする教師や生徒会などの障害存在への怒りでもなく、止められない別れに向かっていく主人公と智代の二人への苛立ちでもありませんでした。岡崎朋也という主人公の本質を理解しているからこそ、坂上智代という女性の信念を理解しているからこそ、二人は引くことができないのだと、痛いほどその気持ちが分かってしまうから…ここで泣いてはダメだ。笑って彼女の門出を見送らなくてはいけないから…それは、「スキだ」と言葉にすることより、唇を重ねることより、遥かに勇気が要ることだから…そうして二人を理解できたからこそ、どんなに彼女が遠い存在になってしまっても、遊び手はハッピーエンドを信じて、最後まで耐えることができたのだと思います。

 それはシナリオ単体の力でのみ達成できるものではありません。それこそが、作品全体のテーマがあってこそ初めて勝ち得ることができる「信頼」なのだと思います。エンディングでの、雪の降りしきる坂道での智代の言葉は、私が望んだ言葉と一語一句違わないものでした。ここまでシンクロ率が高い作品に出会ったのは、初めてかもしれません。64ヒットコンボなどの隠し要素も笑えたし、草野球編での大活躍も大いに楽しませてくれました。シナリオとしてはkeyらしからぬスタイルに戸惑いの声もあったようですがですが、キャラクターとしてはかなり人気が出るでしょうね。個人的には、渚の次にお気に入りのキャラになりました。

 伊吹 風子 (いぶき ふうこ)

 風子シナリオの本筋は、渚シナリオと重複する部分が多いのですが、渚シナリオの分岐という位置づけとは感じないのが不思議なところです。渚と藤林椋とことみの3人によるボケ専トリオも強烈だったけど、渚と風子のアホアホコンビも負けず劣らず強烈なセンスを示してくれて、主人公と同様に私も、何度となくずっこけて床にスライディングする破目に…悪戯のスキルがアップして極めると「風子使い」になったり、隠しスキルで「風子マスター」になると他のシナリオで脈略のない場面で「風子参上!」のイベントが発生したりと、遊び心が満載のお笑い担当シナリオ…かと思っていたのですが…実は、メイン格のヒロインのシナリオの中では、唯一の「奇跡」シナリオだったんですね(サブヒロインの美佐江さんシナリオと、渚AFTER STORYは除く)。

 奇跡の取り扱いについての是否については、レビュー本文でも触れましたが、最終的にそのような好意的な解釈ができるようになったのは、この風子シナリオの存在があったからです。風子シナリオはそのすべてが「奇跡」でしたが、私はそんなことはまったく気にならないくらい大泣きしてしまいました。終わり行く奇跡の果てに、ただひとつ私が願ったのは、精一杯頑張って大好きな姉への想いを伝えようとした、風子を「忘れたくない」ということ…ただそれだけでした。CLANNADが本当に実現しようとしたものは、このシナリオに凝縮されているのかもしれませんね。さすがにkeyお家芸の土俵だけに、話の盛り上げ方はとても上手かったと思いますし、このシナリオを「例外であって例外でない」と感じさせる全体としての位置付けも見事だと思います。奇跡を全面否定したままAFTER STORYに入ってしまうわけにはいきませんからね。

 唯一の疑問点は、GOOD ENDとTRUE ENDに分ける意味があるのか?ということですが…このシナリオの意義を考えれば、それは些細な問題ですね。個人的には、風子の「んー!」という表情も、はにゃーんと逝ってしまう表情も、微妙に失礼な言い回しも、慣れてしまうととても微笑ましく感じられるのが不思議なところです。AFTER STORYでは、何気に最後の最後の幕引き役でもあったりしますしね…AFTER STORY三周目をクリアした後のタイトル画面に出てくるあの女の子が誰なのかは…ここでは伏せておくことにしましょう。

 宮沢 有紀寧 (みやざわ ゆきね)

 有紀寧シナリオを終えた感想は…短かっ!これに尽きます。他のメインヒロインなら攻略に6〜7時間掛かるのに、有紀寧シナリオのボリュームは単純計算で半分くらいです。いや、必ずしも長ければいいというものでもないんですが…もちろん、笑いどころも沢山ありましたよ。呪いのように強力な「おまじない」のパターンがやたらと多くて、渚の父の裏稼業(?)ネタが見れたり、智代との嬉しい(?)ハプニングが見れたり、杏のうろたえる仕草に見え隠れする本音も見れたし…しかし、他のメインヒロインのシナリオがあまりにもレベルが高すぎるため、「泣かせてくれて当たり前」という雰囲気でゲームに身構えて臨んでしまった、ということもあってか、メインヒロインのシナリオの中では唯一、有紀寧シナリオでだけは泣くことができませんでした。「ここで終わっていいのかぁ!」と思って迎えたスタッフロールの後、「さあ、ここで決めてくれいっ!」と思いながら臨んだエピピローグで語られたのは、謎の存在だった光の玉についての解釈でしかなく…思いっきり肩透かしを喰らってしまいました。うーん。有紀寧というキャラクター個人については、それなりに過不足なく描けていたと思いますが、それで主人公が自身の抱える問題に対する解決と展望につながるものが何もないのでは…物足りないと感じてしまうのも致し方がないですね。あと、いたるさんの絵にはバイオレンスで硬派なオニーサンは似合わんなぁ…と思ってるのは私だけですか?

 春原 芽衣 (すのはら めい)

 最強のアホアホキャラ春原の妹なのに、おそらくこのゲームで最高の常識人です。冷静に見ると他のキャラが痛い子ばかりだから、そう見えるだけなのかもしれませんが…そのギャップも含めて、とても存在感のあるサブキャラだと思いますよ。純粋無垢かつ使いどころと効果を心得たあざとい「おにーちゃん」攻撃には、分かっちゃいても思わずグラリと来てしまいましたし…主人公との恋愛度はアッサリだけど、それがむしろ、芽衣ちゃんの子供っぽさと純粋さを上手く表現していると思います。こっちとしては、いつでも本気モードの準備はしてたんですけどね(笑)(ダメ発言)。メインとサブの線引きのラインが、「主人公とのカップリングが成立するか否か」にあるので致し方無いですけど…

 「芽衣ちゃん、俺の妹になってくれ!」という、主人公の冗談が冗談に聞こえないで自分の本音に思えてしまうのは、正統派の妹キャラとしては、完勝だったと言えるでしょう。陽平の偽彼女候補はセーブ&ロードを繰り返して、全パターンを楽しみましょう。必見です!それにしても、早苗さん…ノリ良すぎです(笑)演出面では、後半の健気な芽衣ちゃんを見るのは辛くて…泣くより引いてしまう場面ばかりでしたが、ただのアホのヘタレだと思っていた春原が、クリア後には急にイイ奴に思えてしまう説得力はなかなかのものかと…いや、すべての黒幕の幸村のじいさんこそがスゴイのかな?欲を言えば、エピローグで「芽衣ちゃんの生徒手帳に貼られた主人公とのプリクラ」とかの1ショットがあると、もっと良かったんだけど…それは贅沢でしょうか?AFTER STORYでちょっとだけ大人っぽくなった芽衣ちゃんを見てみたかった…(ダメ発言その2)

 相良 美佐枝 (さがら みさえ)

 美佐枝さんは、寮母でオトナの女性というキャラクター設定上、どのように主人公との恋愛に発展するのか、興味津々だったのですが…ふむ、そうきましたか。美佐枝さんの過去を通して、願いを叶える「光」の謎の断片を語る役割を担うこと。美佐枝さんが主人公を好む理由を、かつての志麻くんと重ね合わせる。そういう物語のブリッジ的な存在としての意義は理解できるけど、結局のところ思い出話であり、問題の根本的な解決にはなってないような気がします。主人公が美佐枝さんに惹かれていくまでの過程と動機付けがちょっと説明不足だし、美佐枝さんTRUE ENDを終えた後、智代シナリオでの追加エピソードを見なければならない構造では、泣き所への気持ちの持続が難しくて、すっきりしない後味になってしまいました。個人的には、智代とのやりとりがツボでした。欲を言えば、ユキ&サキのコンビにもビジュアルが欲しかったなぁ…

 古河 早苗 (ふるかわ さなえ)

 「Kanon」の秋子さんも最強の母親でしたが、早苗さんは別の意味で最強のママさんキャラだと思います。あの人に泣かれてしまったら、誰も逆らえないですよ。それを知っていて地雷を踏み続ける渚父との、まるでコントのような、騒がしくも楽しい日常を見ていたら…誰でも「家族」というものの温かさを思い出さずにはいられません。古河パンのお荷物だと分かっていても、アイデア勝負のパンを開発し続ける早苗さんは、ただの天然さんなのか、オッサンの誤魔化し方が上手いのか…それにして、早苗さん…若すぎです!春原は本気で渚のお姉さんだと間違えて告白しそうになるし、芳野さんは主人公の彼女だと間違えてクサイ決め台詞を言ってしまうし、AFTER STORYではお祖母ちゃんになったはずなのに、「朋也さんデートしましょ」と言われてドキっとさせてしまう現役ぶりを発揮…渚を失って汐を突き放して駄目になっていく主人公を見捨てることなく、辛すぎる過去を忘れるために目を背けていた小さな幸せと、自分の意志で向き合えるようになる日を待ち続けてくれたこと…嗚呼!母は偉大なり!個人的には、古河塾の子供たちとのお別れのシーンが一番のお気に入りです。ああ、この人は本当に渚の母親なんだ。だからこんなにも渚は強いんだ…クリア後に再度読み返してみると、いろんな想いがこみ上げてきて、涙が止まりませんでした。

 古河 秋生 (ふるかわ あきお)

 早苗さんのパンを口に頬張りながら「オレは大好きだぁー!」と叫びながら追いかけ、パン屋の店番をサボって子供相手に本気で野球をしに行く、ヤンキーだか子供だか分からないお笑いキャラだと思っていたけど、AFTER STORYの二周目でのバスジャックエピソードでは、本当にこの家族の子供ひとりになったように、オッサンの無事を心の底から祈っている自分がそこにいました。娘のために演劇の夢を捨てて、家でできる仕事をするため焼いた事もなかったパンを焼いて…そして、自分たちの夢そのものの娘をくれと言う主人公を、自分のやり方(野球)で試した男親の心理に…ぐっと来ました。背中で語るような威厳のある父親像ではないけれど、口は悪いけど裏表のないぶっきらぼうな言動だけど、十分にその深い想いは通じました。嗚呼! 父も偉大なり!ところで、有紀寧シナリオの「体育倉庫に閉じ込められるおまじない」での、オッサンの場合で話に上る殺し屋裏稼業は、光線銃戦の最中でなりきっていただけなのか、それとも、なぜ経営が成り立つのか不思議な古河パンの財政を支えているのかも?(笑)

 伊吹 公子 (いぶき こうこ)

 新任教師として赴任してきて、当時高校生だった芳野さんとラブラブになってしまうあたり、さすがは渚の先生といったところ。渚と同じ笑顔のファイティングポーズ(?)の癖は、何度見ても微笑ましい気持ちになれました。贅沢を言えば、芳野さんとのツーショットで揃った絡みが少なかったことと、二人の馴れ初めを公子さん視点からも語って欲しかったなぁ…AFTER STORYの最後での、噛み合ってるのかズレてるのか分からない会話からも分かるとおり、風子みたいな妹(失礼)を持つと気苦労が絶えませんね。でも、今までずっと、そんな当たり前のやり取りでさえできなかったのだから…そう考えると、この何でもないシーンでさえ泣けてしまいました。個人的に一番のお気に入りのシーンは、やはり風子シナリオでの学校での結婚式のシーンですね。過去じゃなく未来を向いた公子さんの笑顔…最高です!ちなみに、公子と書いて「こうこ」です。「きみこ」ではありませんのでご注意ください。私も読者の方に指摘していただくまで気づきませんでしたけど(笑)

 春原 陽平 (すのはら ようへい)

 史上最強のいじられキャラですね。サーカスのピエロのような存在でしょうか?智代には事あるごとに足蹴にされて空中コンボを決められて宙を舞い、杏には問答無用の辞書投擲でボコボコにされ、風子には初対面でヘンな人と呼ばれ、妹の芽衣ちゃんには、偽彼女の早苗さんを見て「こんなにいい人なのにお兄ちゃんと…なんて不憫な…」と言われる始末。でも、そんなトホホな存在の陽平が”狂言師”としていつも主人公の側にいてくれたからこそ、この物語と主人公は最後まで「心の余裕」というものを失わずに笑って見届けることができたのだと思います。

 クビをかけてまでして渚一人だけの卒業式に駆けつけてくれた義理堅さや、芽衣ちゃんシナリオで、主人公に対して「おまえなら(芽衣を任せても)いいって思ったんだよぉーっ!」と言った、複雑な兄貴心が垣間見えたシーンも好きだけど、個人的には、陽平BAD END(?)での「ひいぃぃぃーーっ!」「やっほぅ!その顔大好きっ(笑)」このアホアホなやりとりが一番のお気に入りです。

 芳野 祐介 (よしの ゆうすけ)

 公子さんの彼氏であり、かつてのロックスターであり、美佐枝さんの同級生でもあり…各ヒロインのシナリオでは「妙に出現率の高い隠れキャラ」くらいの認識でしたが、AFTER STORYでは、主人公の職場の先輩として、思わぬ大活躍を見せてくれました。男が惚れる男というか…渚父といい、このゲームの男キャラは揃いも揃って男気溢れる人たちばかりですね。それにしても…「ラブ&スパナ」というセンスはどうかと思いますが(笑)。個人的にお気に入りなのは、早苗さんを主人公の彼女と間違えて「どうかこいつを、いつまでも、あなたを幸せにするために生きさせてやって下さい」とビシッと決めた時の、なんとも居たたまれない空気です。しかも後日に渚に言い直してしまうので、感動のセリフが台無しです(笑)欲を言えば、芳野さんの曲がどんなものか、実曲があればもっと良かったですね。電気工の日常を歌ったロックって一体…

 柊 勝平 (ひいらぎ かっぺい)

 ノーコメントです(吐血)

 幸村 俊夫 (ゆきむら としお)

 幸村先生のシナリオは…うーん、微妙ですね。渚シナリオの派生という位置づけでは、幸村という縁の下の力持ちの存在の大きさを感じることは難しいと思います。春原(妹)シナリオのラストエピソードと合わせて評価するべきだし、風子シナリオのTRUE ENDを迎えて、公子さんとの繋がりも知っておく必要もあると思います(実際に、テキストも一部微妙に変化します)。渚が演劇部として叶えられなかった願いの結果を分岐させるより、春原シナリオの分岐に組み込んだ方が効果的だったのではなかろうか?好々爺の幸村先生もいいけど、バイオレンスだった頃の武勇伝(?)をもっと見てみたかったなぁ…(智代と手合わせとか)

 ※名前自体がネタバレなので伏せておきます

 キャラクター選評の最後を飾るのは、主人公と渚の娘:岡崎汐です。逝ってしまった渚とあまりにも似すぎているから、顔を見ることさえ辛い…主人公の気持ちは痛いほど良くわかりました。5年間、渚の父と母に任せっぱなしで逃げ続けていたのに、それでも汐はパパと一緒にいたいと言ってくれた。それだけで生きる意味を取り戻せて…やっと普通の親子に戻れたのに、渚と同じ病に倒れて衰弱していく汐を見守ることしかできなくて…最後の外出。降りしきる雪の中、短すぎる命を終えようとする汐を抱きしめ、すべてに絶望して奇跡を心から願った瞬間…個人的には、ここがこのゲームで一番の泣き所だと思います。(ああ、思い出してまた泣きそうに…)。敢えて苦言を呈するとすれば、ここで最高潮に達した狂おしい情動に間髪与えることなく、そのまま最終EDに突っ走って欲しかった。二周目に秋生さん編を挟んで、三周目にやっと…というのでは、効果が半減してしまいます。もっとも、半減してもあの破壊力だったから、ノータイムでやってしまうと、遊び手の心の方が感動の洪水に耐え切れなくて、壊れてしまったかもしれませんね(笑)。主人公と渚と汐。やっと揃った家族の幸せな笑顔を見てしまった後では、奇跡がどうのこうの、整合性がどうのこうの、なんて無粋なツッコミなんてする気は起きませんでした。奇跡を起こすことが幸せなのではなく、幸せであろうとする想いの力が奇跡を起こすのですから…