あずかんな大気
サークル : ゆ〜のす通信
著者 : ゆ〜のす
既刊 : 全13巻、番外編4巻、単行本2巻

あずかんな大気
(C)2001-2003 ゆ〜のす通信/ゆ〜のす

「あずかんな大気」とは?

 「あずかんな大気」とは、ゲーム「AIR」のキャラクターをベースにして漫画「あずまんが大王」のキャラクター設定とギャグテイストをミックスしたパロディ4コマ同人誌です。原作「あずまんが大王」は、徒然なるマッタリした絶妙の間が存在する、いうならば「静かな笑い」が魅力の漫画です。それに対してこの「あずかんな大気」は、爆発的なテンションで飛ばしまくりの漫才のような絶妙なリズムと間が存在する、「動の笑い」が魅力の漫画です。

(→)右の表紙画像は、本家「あずまんが大王」と「あずかんな大気」のキャラクター達の夢のコラボレーション(競演)が実現した、シリーズ番外編「あずかんな大気A」です。

空気と調和---原作の精神とのシンクロ

 「静」と「動」、その芸風はまったく違えど、その根本にある「笑いの精神」において両者は非常に近い性質があると思います。「あずまんが大王」のマッタリとした空気を支えているのは、高い技術力とマニアックな着眼点があるからこそ。ダウンタウンの松本人志の名言にもあるように、「お笑いとは、”常識とのズレ”を認識できて初めて面白いと思える」ものなのですから。

 「あずかんな大気」も、基本がしっかりしているからこそ、どんなにアホなネタやマニアックな趣味(車ネタやゲームネタや阪神ネタや斑鳩ネタ)や作者の楽屋ネタに走っても、不思議と全体の調和は崩れない。むしろ、その反則くさいパワフルなネタこそが、「あずかんな大気」の魅力だったりもします。それは、まるで空気のように自然な調和…「あずまんが大王」の同人誌は数あまたあれど、原作と精神レベルでシンクロできる同人誌には、滅多にお目にかかれるものではありませんよ。

天然万能素材と薄幸の物語との幸福な出会い

  ちなみに、原作との各キャラクターの符号を考えてみると、「大阪=神奈」「とも+ちよちゃん=みちる」「榊さん=遠野美凪」「ゆかり先生=神尾晴子」「にゃも先生=裏葉」…となりますが、案外と当てはまらない人物が多いことに今更ながら気付きました。でも、実はこの作品に限っては厳密なキャラ対応にはあまり意味がありません。シリーズを重ねるごとに、すでにオリジナルとしてキャラクターもネタも昇華されています。それに、「あずかんな大気」の人物設定のベースはあくまで「AIR」であって、受け継ぐべきはネタや設定ではなく、”作品の持つ雰囲気”そのものにこそあるのですから。

 「あずまんが」が天然万能素材と云われる所以は、完璧な置き換えが成立しなくても「あずまんが風」に染まってしまう感染力にあるのかも知れません。「AIR」は感動的な歴史的名作ですが、その反面とても哀しい物語でもあります。 でも、天然万能素材と薄幸の物語との幸福な出会いによって生まれたこの作品で、また彼女達の笑顔に会える。そこには、「1+1」を3にも4にもしてしまう魅力があります。両方の作品のファンの方に是非オススメしたい逸品です!

※限りなく原作単行本の素材に近づけて、同人誌の常識を覆した「単行本あずかんな大気」や、原作のグッズまでパロディで作ってしまった「ひめくりあずかんな」、番外編の「あずかんな大気V」では阪神優勝記念セールとして即売会価格100円の大盤振る舞い!同人活動を心の底から楽しんでいる遊び心があるからこそ、面白い作品が生まれるのかも知れませんね。

※画像使用許諾:2002/08/22
First written : 2002/09/03
Last update : 2003/10/07