悪代官2 -妄想伝-
対応機種 : Playstation2
販売/開発 : グローバル・A・エンタテイメント
プレー時間 : 10時間

「悪代官2」とは?

 稀代のバカゲーとしてGAEの名を広く知らしめた、お笑い時代劇トラップアクションゲーム「悪代官」が、更に壮大な妄想を引っ提げて帰ってきてしまいました!「悪代官」とは、天才的悪代官「羽流内匠頭助兵衛(わるだくみのかみすけべえ)」となって、悪の先端技術メーカー「弁天堂」の最高経営責任者(CEO)の「弁天堂菊蔵」と結託して、私腹を肥やし悪の限りを尽くしまくりつつ、理不尽に次々と襲い掛かる正義の味方どもを返り討ちにする、強きを助け弱きをくじく、悪の権化による卑劣な”アンチヒーロー時代劇トラップアクションゲーム”です。

 今回登場する正義の味方は、旗本退屈男・ねずみ小僧・清水の次郎長・ペリー・西郷隆盛・乙姫・モアイ像・宮本武蔵・武蔵坊弁慶…というように、いつにも増して時代設定や時代劇の枠組みを超越したラインナップになっています。用心棒を刀の錆にして正義の味方の気力を削ぎ、罠の連鎖で憎いあんちくしょうを嬲り殺す!悪人(ワル)の生き方に密かに共感を持つプレイヤーの夢を叶えてくれる、痛快&爆笑「おチープ時代劇」、それが「悪代官」なのです。

お主は、やっぱり、悪よのぉ…?妄想、暴走、大爆笑!

 今作のサブタイトルの「妄想伝」、この元ネタは言わずと知れた「真・三國無双2-猛将伝-」だということは自明の理ですが、100万本ゲームのサブタイトルを正々堂々とおちょくってしまうとは!それでこそGAE!しかし、このサブタイトル「妄想伝」はネタだけじゃなくて、その言葉どおりの意味を持っています。今回は「前作の40年後の幕末っぽい時代」という確固たる時代設定とストーリーラインが(一応)あるんですけど、妄想の如く危険なネタのオンパレードで、設定やディテールなんてどうでもよく思えてしまう強烈なパワーがあります。ファーストガンダムをパクり、スターウォーズをパクり…でも、ただパクるだけじゃなくて、徹底的に時代劇風にアレンジすることで理屈ぬきで笑い飛ばしてしまう「お笑い精神」は暴走する一方です。

 前作のミニゲームのぶっ飛び具合も素晴らしかったが、今回はさらに内容が大充実!2ステージごとに1回の割合でミニゲームが挿入されているので、比較的おとなしい演出が多い本編よりもミニゲームの魅力に引っ張られてゲームを進行させて行く原動力になっています。(遊戯1:「おび回し2」)今回は「流れる射的ゲーム」感覚なので、前作のように回転速度を上げすぎると「しばらくお待ちください」の画面が出たりする型破りな笑いはありませんが、外れで相撲取りのふんどしを回す腰砕け感は新鮮かも? (遊戯2:「問答百万石」)これは思いっきり「クイズミリオネア」ですな。出題は江戸時代に関する意外と「まとも」な問題でしたが、ライフラインや最終的解答(アルティメットアンサー=(ファイナルアンサー))などの細部までこだわってフザケ倒してくれています。(遊戯3:「くの一取調べ」)は、ある意味でギリギリです。まさか拷問をギャグにしてしまうとは…神経衰弱のおまけで「拷問ギャグムービー」が見れるという仕組みですが、何もかも間違っちゃった拷問が…痛快なり。(遊戯4:「願仏射撃」)これは…き、危険すぎます。どこをどう取ってもガンダ○です。でも、シューティングゲームとしては意外すぎるほど難易度が高い本格派です。さすがは「超兄貴」をPS2で作ってしまう会社だけの事はある…

正統すぎる続編?一発芸ギャグ→シュールコント路線へ

 前作では大変不評だった、ゲーム部分、主に準備(罠を仕掛ける)モードでの操作性と視覚処理が大幅に改善されています。「見えにくい」と不評だった壁を透過処理し、部屋の出入り口を点滅表示。ポリゴンキャラによる幕間の演出もモデリングを向上させてムービーとの落差を改善。アイテムの説明コメントの馬鹿さ加減は健在だし、いい味を出しすぎている悪役商会の面々の特濃な演技は更にエスカレート!それに、各ステージにレベルを設けて、連鎖を組んで☆を集めることに意味を持たせ、へっぽこな称号もビンゴ形式にして収集可能にし、罠も自在にカスタム可能にするなど…本編だけだと2〜3時間もあればクリアできてしまうゲームなんだけど、その後のやり込みの余地を持たせることでゲームとしての幅が広がり、本作は後継作の役割を十分に果たしたと思います。

 前作では、悪代官と大黒屋の絶妙な掛け合いによる一発芸のようなコテコテな芸風だったのですが、今回はキャスティングの変更にともなって、ちょっとだけ笑いの路線が変わっています。知的でクールなおじ様(当社比)の弁天堂といい、全編出ずっぱりなのに放置プレイの忍者といい、何の脈略もなく登場しておバカ拷問にかけられてしまうくの一といい、マチルダさん役の「お町さん」といい…シュールコントとも言うべき路線になっています。私はこれはこれで好きだしアリだと思いますが、前作とまったく同じノリを期待している方にとっては、好みが分かれる点かも知れません。

 総合的には、続編として概ね満足しているのですが、ただひとつ残念なのは…笑いの面で煮詰め切れていない部分がチラホラ見受けられることです。正義の味方の口上が終わった後に悪代官が「返り討ちにしてくれる!」と言うこの台詞が毎回同じで、前作のように「いきなりビックネームが出てきやがって!」「もう時代劇じゃないだろこれ!」「新撰組の女性ファンを敵に回す気か?このゲーム」などのような「余計な一言」がないんですよね…この決め台詞があるのとないのとでは大違いです。メインパートがシュール路線の演出構成になっているだけに、わかりやすく弾けることのできる笑いも散りばめておいて欲しかったのですが…(※これはゲーム論というよりお笑い論ですけど)

(※前作を未経験の方は、「2」の笑いの質を理解するためにも、廉価版で再登場した「1」から遊んでみることを強くオススメします)

First written : 2003/08/06
Last update : 2003/10/14