「悪代官」とは? 「悪代官」とは、悪徳商人「大黒屋金次」と結託して私腹を肥やし、悪の限りを尽くしまくる悪の権化:悪代官「原黒主水之助兵衛(はらぐろもんどのすけべえ)」となって、用心棒を配置し罠を仕掛けて、理不尽に襲い掛かってくる正義の味方を返り討ちにする”アンチヒーロー時代劇シミュレーションアクションゲーム”です。 遠山の金さん・大岡越前・長谷川平蔵など時代劇で御馴染みの奉行連中だけではなく、なぜか新撰組の襲撃をうけるわ、赤穂浪士は勘違いして討ち入りしてくるわ、安倍晴明の亡霊まで襲ってくるわ…そして最後の敵は水戸黄門御一行。時代考証も何もかも無視した正義の味方たちを、用心棒を刀の錆にして正義の味方の気力を削ぎ、罠の連鎖で憎いあんちくしょうを嬲り殺す!悪人(ワル)の生き方に密かに共感を持つプレイヤーの夢を叶えてくれる、痛快&爆笑ゲーム、それが「悪代官」なのです。 おぬしもワルよのぅ〜痛快(怪?)悪人浪漫コント 見る者・聞く者に強烈な印象を与えて止まない「悪代官」ですが、このゲームの本質は「時代劇を超越した”お笑い”のセンス」にこそあるのです。ゲーム開始早々に「ところでセキュリティの方は大丈夫なのか?」とか「おのれ〜いきなりビックネームが出てきやがって!」というように、時代劇の時代考証をいきなり放り投げてしまう豪快さだけでなく、無駄に力の入っている3つのミニゲーム「ザ・帯回し」「ザ・天井突き」「ザ・乱心斬り」に笑い転げ、アイテム解説欄の一字一句に至るまで徹底的にふざけ倒し抜くコダワリは、毒電波を通り越して、何とも言い難い独特のセンスを醸し出しています。 このゲームをより楽しむために是非オススメしたいのが、「まずは一度負けてみよう」というものです。当然、負ければゲームオーバーですが、世間的に見れば真のハッピーエンドと言えなくもない。各ステージごとに用意されている、紙芝居調でまことしやかに語られるナレーションのトホホな内容は必聴です!その笑いを糧に再挑戦して、お笑いのコントのように悪代官になりきって、笑いながら正義の味方を斬り捨てるのが、なんとも痛快です。 愛すべきバカゲー この作品は、私としては期待をはるかに上回る「おおたわけ(最高の褒め言葉)」な作品であり、「デスクリムゾン」 「サムライガンマン」などの歴史的バカゲーを上回るインパクトを持った「愛すべきバカゲー」と形容すべき内容であり、大満足だったのですが、この前代未聞の異色作に対するゲーム誌の評価は決して高いものではありませんでした。確かに、ゲームの肝というべき罠システムや、操作性などのインターフェースに問題が無いとは思わないでもないし、企画の面でも盛り込みきれなかった部分が見え隠れするのも事実です(でも、すでにソニーチェックぎりぎりの内容なんですけどね) 商業誌のレビューは、作品に点数を付ける以上、他作品との比較評価や一般論で書かなくてはならないのは致し方無い事ですが、「悪代官」は他のゲームと比べることにはあまり意味がないし、それらのマイナス要素を補って余りあるし、奇抜で新鮮なコンセプトと突き抜けた感性があると思います。出口の見えない停滞感に喘いでいる、現在のゲーム業界には、このような突き抜けた感性による「面白さの発明」こそが必要なのではないでしょうか? First written : 2002/08/30
Last update : 2003/11/03 原黒主水之助兵衛(悪代官)
大黒屋金次
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