monthly Book Review
ゲームの話をしよう
作者 : 永田泰大
単行本 : 1〜2巻
本誌 : 週刊ファミ通
出版社 : エンターブレイン

永田泰大って誰?

 本書は、週刊ファミ通に連載されている人気インタビューコーナー「永田泰大のゲームの話をしよう」を単行本にまとめたものです。以前に所長講演でタイトルのパロディを使ったこともあるくらい、私がずっと愛読している記事です。「永田泰大」氏は、誌面では「風のように永田」であったり、シレンジャーの「アオレンシャー」であったりもします。現在の週刊ファミ通編集部おいて、私が尊敬する数少ない論客と呼べる編集者でもあります。

ゲームの話をしよう

 このコーナーはクリエーターとの対談形式なのですが、その内容はインタビューというよりもおしゃべりに近いものがあります。取材側が綿密な作戦を立てて何かを聞き出そうとする…のではなく、何も準備しないで成り行きとアドリブの楽しいおしゃべりに終始します。そんなリラックスした環境だからこそ、リラックスすることで普通のインタビューでは決して読むことの出来ない、クリエ−ターの本音や素顔を見ることが出来るのです。

 宮本茂さんなどの超大物クリエーターも多数出演し、時には一般人の友人夫妻や一般人の小学生を相手にして、ゲーム文化を多角的に分析しています。その切り口には毎回新しい発見があり、そして深い共感がありました。他人からしたら「どうしてそんな風に難しく考えるの?」と言われるだろうけど、「答えの無い答え」を求める行為そのものに楽しさを感じることは、一種のゲームだと思う。イマジネーションはゲームの基本なのではないでしょうか?

やっぱりゲームが好きだから

 大量のゲームが毎週毎週発売され、遊び手の趣味嗜好も細分化されてしまったこのご時世だからこそ、作り手の顔が見えるゲームというものがとても大切になってくる。それは個人ブランドの安心感であると同時に、作り手と遊び手が目指すものを共有できるということでもあるのです。望み望まれ、そして初めてゲームは単なる商品からかけがえの無い作品へと昇華するのです!

 やっぱりゲームが好きだから、ずっとゲームとつきあっていたいから。今までの自分を振り返って、そしてこれからの自分のゲームスタイルについて考えてみるのも、楽しいものですよ。そのきっかけとして、本書は最適です。