「まいきさん」とは？

©1996-2003 泥の沼組/田亜湖

　「はたらくまいきさん」とは、恋愛ＳＬＧ「ヒロインドリーム」に登場するメインヒロイン「舞木静」を主人公にした、パロディ同人誌です（同人誌といっても、即売会でおまけとして配られる無料のペーパーに連載されている漫画ですが）。ゲーム本編があまりにもマイナーすぎて、まず間違いなく誰も知らないと思うので補足説明しておくと、このゲームは、芸能プロダクションのディレクターである主人公が、芸能界に憧れる女子高生「舞木静」を一流のアイドル（ヒロイン）に育て上げるシミュレーションゲームです。

　例えるなら、「プリンセスメーカーのアイドル版」といったところでしょうか？PS初期のゲームですが、育成SLGとしても良く出来ているし、2Dチビキャラの演出も小気味いいし、西村ちなみさんの声の演技もいいし、そして何より、まいきさんは最強のヒロインですから。その手のジャンルが好きな人なら、今からやってみても十分に楽しめると思います。

　ゲーム中では、社会勉強のため舞木さんにアルバイトを経験させるシーンがあるわけですが（花屋、ペットショップ、喫茶店の３種類）、この部分をクローズアップしているのが「はたらくまいきさん」です。読んで文字通りそのまんまですね。でも、お話のメインは舞木さんではなくてお客さんとして来店する、様々なゲームのヒロインの皆さんです。

ヒロインは続くよ、どこまでも

　舞木さんのアルバイト先には、様々なゲームのヒロインキャラが来店します。桂木綾音（TLS）、天野みどり（TLS）、伊集院メイ（ときメモ２）、星原百合（Ｌの季節）、天野聡子（久遠の絆）、川澄舞（Ｋａｎｏｎ）、沢田璃未（TLS2）、大庭詠美（こみっくパーティー）、うらら（スペースチャンネル５）、神尾観鈴（ＡＩＲ）、芝村舞（GPM）、樋口遥（infinity）、石津萌（GPM）、斉藤冬（風雨来記）、里村茜（ONE）、神瞳かりん（Missing Blue）、蒼月たかね（TLS3）、白雪（シスプリ）、佐藤朱鷺子（みちのく秘湯恋物語）、鴨井奈々子（ミッシングパーツ）、春日野唯（ミッシングパーツ）…ある意味、原作ゲームよりも遥かにドリームな豪華メンバーです。これが、ホントのヒロインドリーム（笑）

　『歌は世につれ、世は歌につれ』という諺がありますが、これはゲームにも同じことが言えます。ゲームヒロインは、いわば時代を映す鏡なのです。しかし、いつの時代でも、ヒロインの本質というものはそうそう変わるものではわりません。その魅力を引き出すには、誰も知らない舞木というニュートラルな立ち位置のキャラの方が進行役に適しているのかもしれませんね。花屋、ペットショップ、喫茶店、この３パターンですべて”笑い”にしてしまうのですから。

ペーパー、それは歴史の重み

　当作品は、同人誌サークル「泥の沼組」の結成５周年の記念本として製作された無料本なので、現在入手は著しく困難（と言うよりほぼ不可能）です。同人誌即売会で配られるサークル情報ペーパー「どろぬま通信」に連載されていたものをまとめて、総集編としてオフセット化したものであり、ファンサービスの極地といえる一冊です。

　この「はたらくまいきさん」は、元々ヒロインドリーム製作スタッフに同人誌を献上する際のおまけカラー漫画として気軽に書かれたものでしたが、2000年頃からはペーパーの４コマ漫画として復活＆定着し、いつのまにかサークル泥の沼組の顔のような存在にまでになってしまいました。まさに、継続は力なり！　ペーパー、それは歴史の重み…このようなスタイルの作品づくりができるのも、同人誌ならではの魅力です！

※ゲームヒロインだけではなく、円谷特撮やゴジラなどのディープなネタも随所にちりばめられているので、オチでの笑いのツボは意外と難易度が高いですが、分かる人にとっては、ここでしか味わえない笑いを楽しむことができることでしょう。