monthly Doujin Review
ひがしんが大戦3
サークル : ラピュタ帝国
製作 : PIA・SAN & へにょぽん

©2001 ラピュタ帝国

万能素材あずまんが

 あずまんがの大きな特徴として、あらゆる素材に相性が良いことが挙げられます。あずまんが大王はオリジナルでありながら、どこかパロディを感じさせる匂いがそこかしこに充満しており、それこそ「犬も歩けば棒に当たる」状態、笑いの入れ喰い状態です。

 しかし、それだけに、世の中にはあずまんが大王の同人誌が溢れかえることになります。いかに売れ線ジャンルと言っても、その中で目立つのは並大抵のことではありません。真似しやすい絵柄であるだけに、純粋にネタの面白さが必要になるのです。ラピュタ帝国の「ひがしんが」シリーズにはそれなりの人気がありましたが、なぜか「3」で突然変異!でも、そのお蔭で、私にとっては特別な一冊になってしまったのだから、世の中不思議なものである。

あずまんが大王+サクラ大戦3=?

 この「ひがしんが大戦3」は、あずまんが大王のネタをベースに、キャラクターと世界観を「サクラ大戦3」に置き換えたものです。これはもう、このコンボを思いついた段階で勝ったも同然です。なにしろ、配役自体がネタになってしまうのですから!

エリカ →  大阪(春日歩)
グリシーヌ →  榊
コクリコ →  美浜ちよ
ロベリア →  水原暦(よみ)
北大路花火 →  かおりん(本名不祥)
メル →  黒澤みなも(にゃも)
シー →  木村の奥さん(名前不祥)
グラン・マ →  谷崎ゆかり
大神一郎 →  木村先生

 濃いあずまんがファンなら、この配役だけでどんな展開になるか想像できる事でしょう。これ以外に考えられないというハマリ役ばかりです。ちなみに、ともちゃんと神楽さんは該当キャラがいないため落選。でも、ちゃかりと黒猫ダンス大阪のバックダンサー(名無し)で登場してたりします。ボンクラーズは永遠に不滅です!

パロディのパロディのパロディ

 あずまんが化という手法で生み出されたパロディ精神に基づく「あずまんが大王」、それを同人誌化した「ひがしんが大王」、それを更にサクラ大戦3化した「ひがしんが大戦3」。要するに、この作品は3重のパロディなのです。でも、問題は複雑にはならずに、むしろ単純化しています。なぜなら、それは何処まで行っても「あずまんが」なのだから。まったくもって、不思議な漫画です。

 同人誌の魅力ひとつは「共感」です。読み手の「こういう本があったらいいのになぁ…」という需要に、同人誌の世界は応えてくれるのです。この作品に私が出会ったように、あたなにもぴったりの特別な一冊が見つかるはずです。それが同人誌の楽しさであり、そしてパロディの面白さの原点でもあるです。

※画像使用許諾:2001/09/25