monthly Manga Review
【なぁゲームをやろうじゃないか】
作者 : 桜玉吉
本誌 : 月刊アフタヌーン
単行本 : 1〜2巻(続刊)

「なげやり」とは?

 「なげやり」とは、ファミ通やコミックビームなどのアスキー系雑誌で長年活躍してきた漫画家:桜玉吉が月刊アフタヌーンで始めた連載漫画「なぁゲームをやろうじゃないか」の略称です。…って略称としては間違っていますけど、「なげやり」という言葉ほどこの漫画の実態を言い表すに相応しい言葉はないでしょう。何しろ、この漫画は実はタイトルとは裏腹に、ゲームとは全然まったく少しも関係ありませんし、ゲームを推薦する気もさらさらありません! ゲームのタイトルを強引にダジャレ化して日記ギャグ漫画にしてしまうのです。

強引ダジャレ日記

 「ゼルダの伝説ムジュラの仮面」 → 「うずら農家MEN」
 「逮捕しちゃうぞ」 → 「鯛干しちゃうぞ」
 「シャドウハーツ」 → 「佐藤は一つ」
 「北へ White Illumination」 → 「鍛えないと生きてる意味ねえでしょ」

 …というように、本当に全くゲームには関係ないですし、しかもダジャレタイトルだけ読んだだけでは、どんな内容なのか想像すらできません。ダジャレタイトルがオチに使われるときもあり、変な意味で緊張感があったりします。「そうくるか!」という驚き…というよりも脱力してしまいます(※玉吉漫画では脱力は最高の褒め言葉なのですよ)。虚無一歩手前の「なげやり」が生む絶妙の芸風は、玉吉漫画ファン必見です!

しあわせのゆくえ

 玉吉先生のもう1本の連載「幽玄漫玉日記」と「なげやり」を平行して読んでいると、「まだ大丈夫」だと安心できます。桜玉吉40歳。私生活を切り売りする日記漫画家の精神的消耗は激しく、一時は精神安定剤を常用したりして、セミリタイア漫画家同然だった時期もあったが、それも乗り越えてむしろ感性は若返っているように見えます。謎多き無職のふーてん娘:ぺそみちゃんとの恋(メシづる?)の行方は如何に?39歳同人誌デビューの顛末は? まったくもって、人間の幸せは何処に転がっているのかわからないものですねぇ。とりあえず、明日も生きてみようかな?何気にそんな前向きな気持ちになれる、不思議な1冊です。