monthly GM-ken Head Lecture

 第六回GM研所長講演

新たなる表現の場を求めて
2001/07/01

同人誌サークル活動について

 GM研は今年の夏コミ(コミックマーケット60)にサークル参加することが決定しました。原稿の方は現在鋭意執筆中ですが、なにぶん初めての漫画執筆&製本印刷への戸惑いも多く、他の編集スケジュールに多大な遅延が発生しています。すでに週刊GM研の原稿も1回落ちましたし、今月の月刊GM研もコンテンツ量20%カットという非常事態に陥ってしまいました。おそらくこのようなお見苦しい状態があと1ヶ月近く続くことかと思いますが、どうかご理解の程よろしくお願いいたします。

 なお、参加詳細に関しては【コミケ60】コーナーにて最新情報を公開していますので、参考までにご覧ください。


コミケとは?

 コミケとは、コミックマーケットの略称です。年2回、お盆前と正月前に東京ビックサイトを全館貸しきって開催されるこのイベントは、参加サークル数3万5千、参加者数40万人という、日本最大(=世界最大)の同人誌即売会なのです。

 参加サークルの規模も様々です。1万部以上を売る大手サークルもあれば、100部にも満たない小規模サークルもあります。ありとあらゆるジャンルをカバーし、新規サークルへの門戸も広く解放されています(でなければ、私のような、スクリーントーンを貼ったことすらないド素人が当選したりできるはずがない!)。

 ほんの1年前までは、同人誌のことを「エロと駄作の巣窟だ!」と敵視すらしていたにも関わらず、今では立派な自称:同人誌評論家になってしまった私ですが、まさか自分でサークルを率いてコミケに参加しようなどとは、予想だにしていませんでした。我が事ながら、すさまじい狂いっぷりですなぁ… では、なぜ私は今更同人誌業界へ参入する決断を下したのか? それは、新しい表現の場を求めるためです。

デジタルとアナログの狭間で

 今まで私はずっとHP上(デジタル世界)で批評活動をしてきました。しかし、不特定多数の顔の見えない一方通行のコミュニケーションと、自分以外では評価基準を判断できない閉塞的な価値観に、いつも悩んできました。デジタル世界では良心の許す範囲ならば何でも可能です。手軽にいくらでも情報を量産することができます。ですが、その手軽さが、私から創作の重みというものを忘れさせてしまったのかもしれません。

 創作とは本来、とてもアナログ的なものです。発想という閃きがあり、それをカタチにする地味で長い製作工程があり、答えの無い推敲を繰り返す… ロジックにも道具にもデジタルが入り込んで一見便利になったように見えるが、その核となるべき部分は何一つ変わってはいない。それは、「意志」の力である。重く長く辛い作業を苦にしない不屈の精神力と、自分の世界を創り上げようという創作意欲と、読者の声に応えようとする義務感。それが創作というものなのだ。

 私は今一度、創作の原点に立ち戻ることを決心しました。それが同人誌(アナログ世界)への挑戦なのです。つまらなければ売れない。そのリスクを抱えることで初めて、私と読者は同じ視線で創作というものを捉え直すことができるのです。日本最大の同人誌即売会で、自分が描いた物がどのように評価されるのか?そこには大きな不安とともに、かつてない知的興奮を掻き立てる何かがある。それが何なのか知りたい。そのために私は敢えてアナログ世界で勝負する道を選択したのです。

そのさきにある、なにかをめざして

 現代の日本には道はいくらでもある。それも、綺麗に舗装された道が。就職しなくても結婚しなくても生きていける。でも、その道はどこに続いているのかな?と、私は意地悪な質問をしたくなる。網の目のように張り巡らされた都市の道路は、どこにもいけないまま循環するだけでしかないのに…

 新しい風景に出会う為には、誰も行ったことが無い道を行けばいい。最初の一歩を踏み出す勇気を持てば、それは簡単なことである。道が無いなら自分の手で切り拓けばいい。道とは、人が歩むところに自然とできるものなのだから… そのさきにある、なにかをめざすということ… それはきっとあなた自身が変わるということなのです!

2001/07/01 GM研所長 : gonta


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