monthly Game Review
グランツーリスモ3 Aspec
対応機種 : Playstation2
販売/開発 : SCE/POLYPHONY DIGITAL

「グランツーリスモ」とは?

 従来のレースゲームというのは、あくまで「レース(競争)するゲーム」でした。コンマ一秒でも早く走ることが目的であり、今まで一部の「ゲーム走り屋」専門だったこのジャンルに革命を巻き起こした1本のゲームありました。それが「グランツーリスモ」です。「リアル・ドライビング・シミュレーション」をテーマに掲げて、圧倒的な車種とリアリティを見せ付けたのです。「速さだけではなく車を主役に」という思想が非ゲームユーザーだった車マニアに広く浸透し、230万本というレースゲーム史上最高のセールスを記録したのです。

 そして、満を持してPS2で登場したシリーズ第3作「グランツーリスモ3 Aspec」の真価はいかに?


圧倒的なリアリティの追求

 さすがにSCEが威信をかけて総力を挙げて開発しただけあって、リアリティへのこだわりは尋常ではない。車のテカリ、舞い上がる砂煙、跳ねる水しぶき。車の挙動も忠実に再現。Logicool社製のハンドル型専用コントローラ「GTForce」は、ハンドルの反力(スクウェア状態に戻ろうとする力)や路面状態による微妙な振動を伝える「フォース・フィードバック・システム」を搭載し、操作感覚は実車そのもの。車好きには辛抱たまらん設計仕様である。

 完全無欠のリアル・ドライビング・シミュレータとして、これ以上望みようが無い代物に仕上がっています。画像の美しさなんてものは、あっという間に過去の技術になってしまうけど、操作感覚というものは永遠に感覚として残るのだから。「思い出せ、走る歓び」というCMのフレーズに嘘偽りはない!! 


レースゲームの常識「速さ」からの脱却

 レースゲームの基本は「速さへの追求」である。しかし、GT3はその基本を根底から覆す新要素を打ち立てた。それは「操作の快感の追及」である。GT3専用のドライビングコントローラ「GTForce」は、かつてない周辺機器である。あまりにリアルに車の挙動が伝わりすぎて、「速さを追求する」という行為にはむしろ邪魔…という、矛盾した存在です。しかし、その矛盾を上回る「操作の快感」がそこにはあるのです!

 私は大の車嫌いなのですが、そんな私でも車の運転が好きの人の気持ち伝わってきました。ゲームだからぶつけても文句いわれないし、駐車場もいらないし、車検も自動車税もないしね。お金と空間に余裕のある方は、是非体験してもらいたいですね。でも、注意しておいて欲しいのは、畳の上でペダルを踏まないようにしましょう。ゲームに集中しているといつの間にか畳がぼろぼろになってしまうので…下にマットを敷きましょうね。

 GT3はリアルを突き詰めていくことで現実を越えるシミュレート体験を実現させた。それはゲームが目指してきたひとつの答えであり頂点である。では、この上にはもう無いのか?いや、そんなことはない。山の上には空があり、空の上には宇宙がある。理想を掲げ続ける限り目標はいつも先にあるのだから。