セガガガ
DC販売:セガ / 開発:ヒットメーカー    2001/3/29発売
 経営・セガ  セガ経営SLG  16時間 
開発大首領:ゾルゲール哲

セガガガとは?

 「セガガガ」とは、ゲーム業界の仁義無き抗争をパロディ化した「セガ経営シミュレーションゲーム」です。時は西暦2025年、近未来のゲーム業界でも滅亡寸前に追い込まれていたセガは、起死回生を賭けて、人交(ひとまじり)社長の特命によりプロジェクトチーム「セガガガ」を創設。1組の少年と少女にセガの全権を与えて超ヒットゲームを開発し、次々と襲い掛かるライバル会社の新製品と刺客を退けて、期限の3年以内にゲーム業界のシェア100%=業界制覇を目指すことになる。迫り来る締め切りと年末商戦!修羅場の連続で倒れる・逃げるスタッフたち!狂乱のゲーム業界を舞台に繰り広げられる、奇想天外、虚々実々の物語。それが「セガガガ」なのです。

 あまりにもブッ飛んだ内容と馬鹿ゲーの香りと、特濃セガファンに限定されるターゲットゆえに、この商品はドリームキャストダイレクトによる通販専売となりました。販売本数こそ3万本弱でしたが、限定版のおまけは原価だけで3500円を越えていて、通販専売では異例の3次受注まで行い、保存用のサンプルまで売り尽くすという大反響を呼び、遂には5月31日の一般店頭販売が実現、「ドリコレ化リクエスト」でも7位に選出されて廉価版の再発売まで実現してしまったのです!おそるべし!セガ信者!

阿鼻叫喚のド修羅場

 このゲームの笑いの種類は、「爆笑」ではなく「ニヤリ」とさせる自虐的な笑いですが、それだけではなく今時珍しい熱血バカ一代なドラマパートと、極めて生々しくて奥の深いゲーム開発パートのバランスが絶妙です。ただの馬鹿ゲーだと見くびっていたから、意外なクオリティの高さに戸惑いすら覚えてしまいました。

 一番秀逸だったのは、ゲームの開発パートです。予算の目減りに怯えつつ、開発環境を整えて、スタッフを雇って、資金とスケジュールのギリギリまで引っ張ってクオリティを上げる、その緊張感がたまらない!好況を逃さないための妥協と、発売日を決定したことを広告で告知するタイミングの難しさ。修羅場で倒れるスタッフには、「ユンケル」を強制注入。安月給でやる気をなくしたスタッフには、性格に合わせて「食券・フィギュア・女性携帯番号」をそっと差し出す。スランプで逃げ出すスタッフ、止まる開発ライン、迫るライバル会社の攻勢と、セガ滅亡の危機…

 はっきり言って、死ぬほど大変なゲームです。特に初期は予算も才能のあるスタッフもいないので、最上の手を打ってもMAXでも15万本がやっとです。最大3ラインを同時に稼動させる余裕ができたら、あとは中堅ヒットを量産していけば、最終目標である「シェア100%」を達成することは意外と簡単です。しかし、それでも100万本ゲームを作るのは非常に難しいのです。私の最高記録は91万本。最高ランクのスタッフを揃え、2億円もの宣伝費を投入して期待度を600%に引き上げても届かなかった。しかも開発したゲームはドリキャス対応は一本もなし。かろうじてサターンで「THE HOUSE OF THE DEAD」を作れたのみで、あとはメガドラ以前のものばかり… 開発可能のゲームは全部で104本! お、奥が深いぜ…

さらば、セガファンたちよ!

 このゲームの開発当初から、まさか本当にセガがハード事業から撤退してしまう日が来ようとは、スタッフも考えていなかっただろうけど、幸か不幸か皮肉にも、この作品はセガのひとつの歴史の幕を引く・最後を看取る役割を課せられる事となりました。この作品は、旧き良きセガ時代の名残であり、セガファンのセガファンによるセガファンのためのゲームなのです。

 私はサターン時代になってからの新参者のセガユーザーなので、生粋のセガフリークとは言えないし、そう名乗るつもりもありません。そんな私でも十二分にセガの特殊性を理解して笑うことが出来るこのゲームは、実はとてつもない名作なのかもしれません。「ただ好きだから」というだけで自社を真剣にパロディにしてゲームを作ってしまう、セガ開発者の心意気。それさえあれば、ゲームのジャンルとかありかたなんてどうでも良いのかも知れませんね。

First written : 2001/05/01
Last update : 2003/11/03