圧倒的な説得力 ゲームのオープニングというものは、ユーザーにとっては通常は一回見れば終わりのものに過ぎませんが、メーカーにとっては、店頭デモで流される重要な宣伝材料でもあり、各社とも競ってインパクトのあるものに仕上げようと力を入れています。美麗なCGムービーであったりアニメーションであったり…最近は主題歌付きのゲームも増えてきました。 しかし、ゲームの主題歌というものが、音楽として公正な評価を受けるのは非常に稀なことなのです。どんなに良い歌であっても、元となるゲームの質が悪ければ評価も低くなるし、ゲームが売れなければそもそも陽の目を見ることすらないし、そして、ユーザーにどんなに高く評価されても世間的には「所詮ゲームの主題歌」としか見てもらえないという、非常に損な役回りなのです。 しかし、本当に良いゲームの主題歌というものは、どんな名曲にも勝る圧倒的な説得力を持っています。今回紹介するWindows用ゲーム「AIR」の主題歌「鳥の詩」を初めて聴いた時、私は全身が震えるようなの衝撃を受けました。思わずゲーム本編が始まるのを止めてリセットして、もう一度オープニングを見直してしまった程です。切ないピアノのイントロ… 悲しみに震えるような歌声… まだゲーム内容は何も知らないのに、心のどかかが痛み出すような感覚…そこには圧倒的な存在感と説得力があったのです。そして、その意味を私はゲーム本編で思い知らせれることとになるでした…
「鳥の詩」 唄:Lia 作詞・作曲:Key&折戸伸治
クリアしてこそ分かる本当の意味 この歌の最大の特色は、ゲームをクリアした後に歌詞を読み返してみると、印象が大きく変わることにあります。このゲーム本編は「2度目」になってようやく本当の意味が解るゲームであり、オープニングの本当の意味が解った時こそが「本当の始まり」であり、歌詞に散りばめられた本当の意味を理解した時が「本当の終わり」なのです。始まりと終わりは、いつも同じところに… 「鳥の詩」は私にとって、耳だけではなく心に残る一曲となりました。どんなに時間が経っても人間の記憶というものは消えません。ただ思い出し方を忘れてしまうだけ。どこにしまったか忘れてしまうだけです… 音楽はその思い出の鍵となりえます。この歌を聴くたびに、この詩に乗せて… 私はいつでも、何度でも、思い出すことができるでしょう。「AIR」という作品に夢中になったあの過酷な日々を。そして「AIR」という素晴らしい作品にもらった記憶の欠片と、 幸せという名の記憶を… そして、僕たちには始まりを。無限の終わりを目指して…
First written : 2001/04/01
Last update : 2003/11/03 |