monthly Game Review
鬼武者
対応機種 : Playstation2
販売/開発 : カプコン

鬼武者とは?

 鬼武者は2001年1月25日にカプコンから発売されたPS2専用のアクションアドベンチャーゲームです。主人公:明智佐馬介のモーション・声優・モデリングに、人気俳優:金城武を起用し、また金城武自らがゲームの企画に参加。PS2ならではの豪快なCGムービーも世界から高い前評判を獲得し、PS2の性能を引き出した最初の大作ゲームとして、PS2発表当初から多くの期待を集めていました。では、この話題作の真価はいかなるものだったのでしょうか?

鬼武者の正しい楽しみ方

 まず、最初に誤解しないで頂きたいのが、このゲームは「バイオハザードの戦国時代版」です。銃から剣に武器を変えても、舞台が戦国時代に変わっても、システムの根幹に変化はありません。良くも悪くも。ゆえに、今までこの手のバイオ系のゲームが好きだった人なら無条件で楽しめるし、逆に今までこの手のゲームが苦手だった人には絶対にオススメしません。くれぐれも、過剰な期待でこのゲームの本質を見誤って後悔しないよう、ご注意ください。

 鬼武者は良くも悪くもバイオハザードです。それはつまり、バイオの悪いところは何も改善されていないということです。むしろその短所は悪化しているとすらいえます。刀を振り回す豪快なアクションも、遠景に固定されたカメラアングルでは迫力なんてありはしないし、敵を斬っているうちにカメラアングルが切り替ってしまい、敵と自分との位置関係の把握が困難になってしまう。「斬りまくりの爽快感」は皆無。不便さばかりが目立ってしまう。やり込み人間にはそういう「枷」はむしろ歓迎されることなのかもしれないが、多くの初心者を取り込む必要性のあるゲームにおいて、これはマイナスとしか評価されないだろう。

 それと、鬼武者に演出面で期待していると、とんでもない肩透かしを喰らってしまいます。こもりっぱなしの金城武の声。やはり声優という職業は特殊技能なのだと痛感しました。そして、不必要な描写ばかりに力の入ったCGムービー。過剰な演出が鼻につく。そして、変化に乏しいキャラクターの表情… 技術では最高水準であっても、それは期待を越えるものではなかった。「過剰な期待をしない」。それが鬼武者を最大限に楽しむ最低最大の条件なのかもしれません。

次世代、未だ遠し

 私がこのゲームにやたらと厳しいのは、あまりにも期待が大きすぎたからです。ゲームとしては及第点以上のものだと思うし、実際にちゃんとクリアもした。面白くなかったわけではない。だが、面白かったとも言いたくない。誠に屈折した表現になってしまって申し訳ないが、要するに、私が考えていたもの、期待したものとは違っていたのです。

 PS2になってゲームはどう変わるのか? その解答として、鬼武者は役者不足でした。やはり、従来のゲームの延長線上の論理では、本当の次世代ゲームは創れないのだろうか… 次世代、未だ遠し…