同人誌: ヨネザワヨシヒロによろしく(1〜3)(90分\15,000 / 宇奈無英雄)

 古株の同人読者にとっては、コミケカタログに載っていた「謎のブロック長Q&A」でお馴染みの方であり、現在もパロディ同人界の最高峰を突っ走る「宇奈無英雄」さんが、今回ネタにしたのは「ブラックジャックによろしく」。医学会の舞台裏と現実を描くこの作品ですが、宇奈無さんの手に掛かればアラ不思議。何の違和感もなく物語の舞台は「コミケット準備会」に置き換わってしまいました。いや、もっとも、ある意味では同人界は医学会の何倍も複雑怪奇で魑魅魍魎が跋扈する世界なんですけどね。齢50を過ぎても即売会のたびにトラック2台分もの同人誌を買い、癌告知を受け入院したこともネタにして日記にしてしまう、同人界の妖精「イワえもん」。プロ以上のアマチュアを自認する準備会の理念と本音と建前、現場で迫られる現実的な判断と、もはや理念を超えた目的…もちろん、これはフィクションでありパロディです。エロ規制によって同人誌即売会が開催不可能になったこともあった頃に比べれば、現在もこのような「コミケットの理想と現実」について激しいせめぎ合いが繰り広げられる事は遥かに少なくなったと思います。今では商業誌のエロ基準の方がよっぽど野放し状態だし、同人誌そのものがステータスを持つようになり書店売りされるようになって、作家も無茶してギリギリの勝負する危険を冒すより「商品」としての価値を重視するようになった…という状況の変化もあると思いますが…でも、そうしてやがて即売会から活気が失われていくのだとすれば、それはとても哀しいことです。運営側・作家側双方の立場から真剣に「表現」について向き合ったこのシリーズは、同人文化というものをより深く知りたい方に是非読んでいただきたいものです。

同人誌: ギャルゲーム批評 2004年1月号 (O山出版 / YAS O山)

 私自身もオフセットでレビュー本を出しましたが、実は、あの本を製作するにあたって「目標」とする同人誌が存在していたんですよ。それが、サークル:O山出版さんの「ギャルゲーム批評」でした。「ゲーム批評」をパロったデザインも、辛口と絶賛のメリハリの効いたレビューも、まったりとした対談ページも、ページ数に対する単価の安さ加減もすごいけど、同じレビュー本制作者としてやっぱり一番すごいと思うのは、元ネタ雑誌を精神レベルでオマージュしつつ、シリーズを重ねることで自分たちの地歩に合った味付けができていることです。ライターさんが複数いる「集団」としての力も生かせていますし…完全個人製作のGM研からすれば本当に羨ましい限りです…

 このシリーズは年1回の刊行ということになっています。今回の新刊では「ビジュアルノベル一刀両断」特集が組まれていますが、この本で言うところのビジュアルノベルとは「恋愛アドベンチャーゲーム」のことを指しているようです(なぜか「シスプリ2」は別枠になっていますが…)。作品のセレクトは、多人数レビューの利点を生かして有名どころから無名まで、家庭用ギャルゲーの大多数をカバーしています。ロケットの夏、Ever17、TLS-Sなど、GM研が推している作品で同じように高い評価がされていて嬉しかったし、未プレーのゲームについても評価の良し悪しに関わらず「なるほど、この人はそう感じたのか。じゃあ私ならどう書くのかな?」と興味が出てプレーしたくなってきました。明らかなクソゲーでもとにかくやってみて評価するという編集姿勢の本誌には、力押しともいえる説得力があります。書店委託で買える数少ない批評本なので、この手の批評ジャンルがお好きな方には是非オススメしたい一冊です。

書籍?: 爆裂!カップメン!! (KOI2 / キルタイムコミュニケーション)

 あの「悪代官」の製作にも関わっていることでも知られる、ライターの「KOI2(コイコイ、コイツ、コイニー、なんでも可)」氏が、自身のHP上で連載していた記事を本にまとめたもの、それが「爆裂!カップメン!!」です。その記事とは…お湯以外でカップメンを作る!そして食う…というものです。「お湯以外」と聞いて、普通の人が連想するのは「牛乳」とか「コーラ」とか…せいぜい「青汁」くらいのものでしょう。私もそう思ってました。しかし…本を読んでみて絶句。「池の水」「ビルの屋上のタンクの水」…いやまぁ、まだ液体だし…「チョコレート」「雪」…もう液体じゃないよ…「牛乳せっけん」…もう食いものじゃないDEATH… スッポンの生き血でカップメンを作ろうとしてスッポン屋の主人に怪訝な顔をされたり、読者からの指令(リクエスト)を受け付けて新手のカップメンにチャレンジしてみたり、…と、まあこんな調子で「まぜるな危険」なカップメンへの無謀な挑戦が83個も載っています。おまけ企画:「無言電話と話す」でも笑い死ぬくらい大笑いさせていただきました。普通に生きていれば絶対に体験することのない世界ですが(というよりマネすると死ねます)、怖いもの見たさで読んでみてはいかがでしょう?(信じ難い事ですが、この本は列記とした商業誌です。書店で探しても見つからないでしょうけど、amazonとかなら普通に買えますよ)

雑誌: 週刊ファミ通 1月23日号(vol.788) エンターブレイン

 今年もやりますよ、週刊ファミ通レビュー!毎度毎度ストレートに駄目出しをしているわけですが、最近このコーナーを読み始めた方のために誤解のないように説明しておきますが、私はファミ通が嫌いではないんですよ。読者歴16年目の筋金入りの古株読者であり、ちゃんと雑誌を買った上で熟読した上でネタにしています。誌面が大手メーカーに偏りすぎだとか、読み物として面白くないとか、昔を知る愛読者だからこそ言いたい事は沢山ありますが、最近はそれらもあまり気にしないようになってきました。もう新聞感覚ですからね。記事そのものよりも個々の商品に興味を持たせるのは、メジャー誌としてはむしろ健全なのかもしれません。本当のゲーム好きは、マイナー誌やWEBなどで自分の足で情報収集をしますから。もっとも、一般大多数の読者がそこまで気概のある人たちであるとは限らないし、ゲームというものが人々の生活の中での娯楽順位が下がっている現状では、残された僅かな浮動票にアピールしないとヒットが生まれない(逆に言えばイメージだけでどーにかなってしまう)市場が形成されてしまったのも当たり前であり…そういう状況だからこそ、ゲーム誌最大手のファミ通には「ゲームの今」を伝えるだけではなく、未来への提言と目に見える形での投資をする必要と責任があるのではないでしょうか?

 …という私の考えと一致したというわけではないでしょうけど、チュンソフト20周年記念3作品を語る中村光一社長、ウイニングイレブンの未来像を語る高塚さん、大手メーカーVIPが語る未来像…というように、今週号には注目記事が満載です。全文を読むようなマニアさんはそうそういないでしょうけど…何かとぱっとしない話題ばかりのゲーム業界なので、新年一発目くらいは近い未来に夢をはせて見るくらいはいいかと。

 またまたホリの大神(おおが)さんがやってくれました!刀型コントローラ:「鬼武者3」対応コントローラー「打刀明智拵(うちがたなあけちこしらえ)」!剣神ドラゴンクエストとネタが被っているように聞こえますが、これはまったくの別物です。なにより馬鹿馬鹿しいのがコントローラには不要な刀を飾る台座のむやみな立派さとデカさです。私は「鬼武者」にはまったく興味はありませんが、このコントローラーだけでも買いたくなってきましたよ。操作系の問題があるので、他のゲームに使えるかどうかは分かりませんけど…ホリのHP上にはファンクラブまで発足してしまったし…ホリ伝説はどこまで行くつもりなのか?(期待込み)

Update : 2004/01/10