GM研ゲーム大賞2004


■「GM研ゲーム大賞2004」とは?

 GM研ゲーム大賞とは、その年に発売されたゲームに対して、GM研が最高の敬意を表して勝手に表彰しているものです。この賞そのものには何の権威も特典も影響力もありませんが、大手企業サイドの都合の良い出来レースと成り下がったCESAのゲーム賞に比べれば、評価の概念が形骸化してユーザーの購買動機に何ら結びつかなくなってしまった週刊ファミ通のクロスレビューに比べれば、1ユーザーがあきれるほどの時間とお金と労力を費やして、消費の最前線で作品を見聞き・選び抜き・遊び抜いた、実際の体験に基づいた「生の声」を反映している個人による評価と表彰の方が、僅かばかりでも信頼に足るものだと言えるのではないでしょうか? 普遍的な評価という指針を失った価値観の乱立が招いたものは、大作ゲームへの一極集中と、かつての自分の価値観に拠ったリバイバルブームでしかない。ファミコンミニに始まり、ドラクエ8で終わった2004年…GM研なりの総括を行いたいと思います。


■ゲームデザイン部門賞(nominate)

 【脚本賞】 
 ・逆転裁判3
 ・CLANNAD
 ・Fate/stay night

 脚本賞=シナリオ賞にノミネートされたのは、上記の3本です。笑いのツボを心得つつ、シリーズ完結編として全ての謎が解けていく痛快なシナリオを描いた「逆転裁判3」。優しくも悲しく、愛しくも辛い、そんな最高のシナリオを表現しきった「CLANNAD」。そして、破壊的なテキストの表現力でギャルゲーのシナリオを別次元の高みへと導いた「Fate/stay night」。かつてない激戦を制するのは?

 【演出賞】 
 ・逆転裁判3
 ・CLANNAD
 ・Fate/stay night

 トータルでの演出を評価する演出賞には、上記の3本がノミネートされました。期せずして脚本賞と同じ3作品が並びましたが、これは脚本と演出が不可分の存在であることの現れだと思います。ナンセンスな独特の笑いのセンスを追及した「逆転裁判3」。音楽とゲーム全体の雰囲気で最高の感動を演出してみせた「CLANNAD」。そして、ノベルゲームの概念を超える演出効果をふんだんに盛り込んだ「Fate/stay night」。最高の演出の条件とは?

 【設定賞】 
 ・カンブリアンQTS
 ・Fate/stay night
 ・Remember11 -the age of infinity-

 細部に渡るこだわりやトータルでのコンセプトを評価する設定賞には、上記の3本がノミネートされました。現代に蘇ったカンブリア生物という特異な設定をギャルゲーに上手く活かした「カンブリアンQTS」。設定の奥深さと緻密さと情報の出し方が巧みな「Fate/stay night」。そして、infinityシリーズ特有の大掛かりなSFトリックはさすがの一言に尽きる「Remember11」。甲乙つけがたい混戦を制するのは?

 【企画賞】 
 ・スカッとゴルフパンヤ
 ・大美人
 ・ラ・ピュセル 2周目はじめました

 企画が実現した事そのものの意義を評価する「企画賞」には、上記の3本がノミネートされました。ネットゲームなのに遊ぶのは無料、カスタマイズアイテムを有料とする新しいビジネスモデルを作った「スカッとゴルフパンヤ」。D3のSIMPLEシリーズが生んだアイドル(双葉理保)が巨大化して暴れるのを自衛隊が食い止めるという「大美人」。そして、ただの再発売のベスト版ではなく、やり込み心をくすぐるリメイクを施した、「ラ・ピュセル 2周目はじめました」。企画がゲームの未来を変えるかも?

 【美術賞】 
 ・CLANNAD
 ・Fate/stay night

 トータルの視覚デザインを評価する「美術賞」には、優しく温かく儚い色使いで美術の側面からもゲームを盛り上げた「CLANNAD」。とてつもないビジュアルの数と質で勢いと激しさと心の痛みまでを美術で描いた「Fate/stay nigth」。もはやグラフィック単体に止まらない評価の行方は?

 【システム賞】 
 ・Jリーグプロサッカークラブをつくろう!04
 ・実況パワフルプロ野球11
 ・Fate/stay night

 インターフェースの使い勝手や読み込みの軽快さ、さらにシステムバランスを含めて評価する「システム賞」には、大幅なシステム改良で遊びやすさと速度を向上させた「サカつく04」。サクセスモードの楽しさをそのままに、1プレーの時間を劇的に短縮した「パワプロ11」。そして、システム単体でもOEM供給で商売ができそうなほど完成度の高い「Fate/stay night」。快適な遊びは快適なシステムから!

 【エフェクト賞】 
 ・逆転裁判3
 ・CLANNAD
 ・Fate/stay night

 ゲーム中でのさりげない演出効果(エフェクト)を評価する「エフェクト賞」には、大袈裟すぎるほどのギャグテイストの演出で笑いを誘う「逆転裁判3」。主に春原のピエロっぷりで威力を発揮した「CLANNAD」。剣戟の緊張感を余すところなく表現した「Fate/stay night」、以上の3本がノミネートされました。効果を効果的に使えたのは?

 【OPムービー賞】 
 ・Fate/stay night
 ・Remember11 -the age of infinity-

 オープニングムービーの出来栄えを総合的に評価するこの賞は、曲とシンクロした映像美のレベルの高さをみせつけた「Fate/stay night」と、謎めいた雰囲気を巧みに演出した「Remember11」、以上の2本がノミネート。映像世界の一騎打ちの行方は?

 【作曲賞 : 】 
 ・「渚」 (CLANNAD
 ・「日々の遑」 (CLANNAD
 ・「潮鳴り」 (CLANNAD
 ・「茜色の街」 (Fate/stay night
 ・「約束されし勝利の剣」 (Fate/stay night
 ・「消えない想い」 (Fate/stay night
 ・「追憶の彼方」 (Fate/stay night
 ・「エミヤ」 (Fate/stay night

 最も印象に残ったゲームBGMに贈られる「作曲賞」には、上記の8曲がノミネートされました。数が数だけに、ひとつずつ説明するわけには行きませんが、CLANNADとFateに集中していることから分かるように、この2作品の音楽はずば抜けて良かった。サントラCDを買う価値ありです!もっとも、Fateの場合は「約束されし勝利の剣」や「エミヤ」などのように、映像の記憶があってこそ初めて映える曲もあるので、単純に楽曲だけの評価はできません。そんな選考基準を持つ私が選ぶ最高の一曲とは?

 【主題歌賞】 
 ・メグメル (CLANNAD
 ・THIS ILLUSION (Fate/stay night

 最も優れたゲームの主題歌に贈られる「主題歌賞」には、 上記の2曲がノミネートされました。いずれも今年の大ヒット作品の主題歌であるため、主題歌がいいから選んだのか、ゲームがいいから選んだのか、誤解される方もいるかもしれませんが、どんなに歌が上手くても、ゲームに合わなければ主題歌にする意味が無い!と私は思います。2004年を代表する両者の一騎打ちの行方は?

 【やり込み賞】 
 ・Jリーグプロサッカークラブをつくろう!04
 ・実況パワフルプロ野球11

 ゲームのやり込み度(中毒性)を評価するこの賞には、 「サカつく04」「パワプロ11」の2本がノミネートされました。システム改善によってより長く遊びやすくなった「サカつく」、こちらは1回のプレーを短縮することでより多くの試行を実現した「パワプロ11」。手法は違えどやり込みの思想は共通です。似たもの同士の一騎打ちの結果やいかに?


■キャラクター部門賞(nominate)

 【主演男優賞】
 ・岡崎 朋也 (CLANNAD
 ・衛宮 士郎 (Fate/stay night
 ・成歩堂 龍一 (逆転裁判3

 ゲームキャラクター部門「主演男優賞」には、上記の3名がノミネートされました。主人公の身代わりとして、時には楽しく、時には深く悩み、素直に感情移入できる主人公像をしっかりと演じてくれた、CLANNADの岡崎朋也。愚直なまでの純粋さと強い意志の力で、最後まで戦い抜いたFateの主人公:衛宮士郎。そして、あまりにも濃い周囲にあって、常識人であることが笑いとして成立している、逆転裁判の主人公:成歩堂龍一。漢の中の漢の栄冠は誰の手に?

 【助演男優賞】
 ・春原 陽平 (CLANNAD
 ・古河 秋生 (CLANNAD
 ・アーチャー (Fate/stay night

 名作は名脇役の存在があってこそ!最も印象に残ったゲームの脇役に贈られるこの賞には、上記の3名がノミネートされました。最高のお笑いピエロを演じてくれた春原。最高にカッコイイ親父像を演じてくれた秋夫さん。そして、ある意味主人公よりも存在感のあったアーチャー。作品を陰で支える縁の下の力持ち、その栄誉は誰の手に?

 【主演女優賞】
 ・古河 渚 (CLANNAD
 ・藤林 杏 (CLANNAD
 ・坂上 智代 (CLANNAD
 ・遠坂 凛 (Fate/stay night
 ・セイバー (Fate/stay night

 その年で最も印象に残ったゲームのヒロインに贈られるこの賞には、上記の5名がノミネートされました。実は他にも何人か候補にしたかったのですが、収拾がつかなくなってしまうので、単純に自分の好みでこの5名に絞らせていただきました。今年最も輝いたヒロインの座は誰のものに?

 【助演女優賞】
 ・古河 早苗 (CLANNAD
 ・春原 芽衣 (CLANNAD
 ・イリア (Fate/stay night
 ・藤村 大河 (Fate/stay night

 名ヒロインが輝くのも、攻略不可の脇役ヒロインの存在があってこそです。この賞には、上記の4名がノミネートされました。まずここで言う助演女優の条件とは、非攻略対象であることと、そのポジションであるからこそ存在感を示せるキャラクターであることです。攻略ルートがないからこそ、愛着と想像でもっと好きになれる。そんな存在なのです。作品を陰で支える縁の下の力持ち、その栄誉は誰の手に?


■特別賞(nominate)

 【お笑い大賞】 
 ・逆転裁判3
 ・CLANNAD

 その年でもっとも爆笑させてくれた作品贈るこの賞には、上記の2作品がノミネートされました。法廷という真剣な場をナンセンスなキャラクターのとてつもないお笑いセンスによって、お笑いライブハウスに変えてしまう「逆転裁判」の力技は見事の一言に尽きます。そして、春原のバカっぷりだけではなく、ヒロイン達のコンビネーション(ボケ専トリオ)もいい味をだしまくっていた「CLANNAD」。M−1グランプリよりも面白いかもしれない、この決勝戦の行方は?

 【アニメーション賞】 
 ・雲のむこう、約束の場所
 ・ケロロ軍曹
 ・せんせいのお時間

 今年最も印象に残ったアニメーション作品に贈られるこの賞には、上記の3作品がノミネートされました。新海誠監督初の劇場版フルサイズアニメーション「雲のむこう、約束の場所」。バンダイ・サンライズの全面協力の下、ガンプラとのコラボレーションで人気を獲得した「ケロロ軍曹」。そして、原作漫画が持つ独特の雰囲気を余すところ無く再現してくれた「せんせいのお時間」。アニメ業界の裏MVPの行方やいかに?

 【ベストネーミング賞】 
 ・芝九蔵 虎ノ助 (逆転裁判3
 ・本土坊 薫 (逆転裁判3
 ・星威岳 愛牙 (逆転裁判3

 ゲームのキャラクターの名前というものは、基本的には「ありそうであまり無い名前」がつけられことが通例になっています。どんなにいいキャラでも、まかり間違って自分と同じ苗字だったり、家族の名前だったすると、一気に萎えてしまいますから。ところが、「逆転裁判」のキャラの名前のつかけたは、完全に別次元のパンチ力がありました。名前からしてギャグのひとつになっているのです!そして、名は態を示すということわざのとおりの性格だから、尚更笑ってしまいます。そんな「逆転裁判」で一番笑えるネーミングとは?

 【ワースト特典賞】 
 ・ゼノサーガ エピソードII(限定版)

 おそらく、これは今回に限って設けられる賞になると思います。いや、そうでなければ困ります。あんなシロモノに匹敵するモノが毎年出ているようでは、業界のクオリティが破滅してしまいますから。で、ノミネートされたのは1作品のみ…って、これでは賞の行方も何もあったものではありませんね。その問題のブツとは、「ゼノサーガII」限定版のコスモスのフィギュアです。実質1万円するこのフィギュアは、あまりにも出来が悪すぎた。このため、発売当初は入手困難だった限定版の中古買い取り値は暴落し、ゲームの売り上げの面でも前作比で大幅なマイナスとなり、続編製作さえ危ぶまれる事態に…

 【リメイク賞】 
 ・ドラゴンクエストV 天空の花嫁(PS2版)
 ・ファミコンミニシリーズ
 ・ラ・ピュセル 2周目はじめました

 リメイク作品が非常に多かった2004年の中でも、とりわけ出来の良かったリメイク作品に送られるこの賞には、上記の3作品(作品群)がノミネートされました。かねてから要望の強かった作品を、PS2ならではのアレンジを加えてリメイクした「ドラクエ5」。ファミコン生誕20周年を記念してGBAに移植されたファミコンの名作リメイクシリーズ「ファミコンミニ」。そして、単純な廉価版ではなく、やり込み要素を追加してみせた「ラ・ピュセル」。リメイクのお手本はどの作品?

 【最優秀クリエータ賞】 
 ・武内崇&奈須きのこ (TYPE-MOON)
 ・中村光一 (チュンソフト)
 ・日野晃博 (レベルファイブ)

 2004年、最も輝いた(と私が思う)ゲームクリエイターに贈るこの賞には、上記の3名がノミネートされました。商業移行第一弾となる「Fate/stay night」でファンたちの期待を遥かに凌駕するクオリティをみせてくれた、TYPE-MOONの武内崇氏と奈須きのこ氏の黄金コンビ。チュンソフトの創立20周年を記念して、3本のオリジナル作品の製作に挑んだ中村光一氏。そして、XboxのTFLO(トゥルーファンタジーライブオンライン」の発売を断念したものの、誰もが予想しなかったドラクエ8の年内発売を実現させた、レベルファイブの日野晃博氏。間違いなく後世に語り継がれることになるであろう、ゲームの偉人たちの今年の顔と呼ばれるのは誰?


■GM研ゲーム大賞2004 受賞作発表!

 【脚本賞 :CLANNADFate/stay night】 
 脚本賞に輝いたのは「CLANNAD」と「Fate/stay night」の2本です。事実上この2本の一騎打ちだった脚本賞ですが、どちらか1本を選ぶことなど、私にはできそうにありません。それで審査員としての資格が無いと言われても構いません。冷静に分析するだけが審査ではないと思う。自分にとっていかにそれが大切なものなのかを、主観的に評価することで初めて伝えられるものもあると思います。勝った負けたとか、優れているとか劣っているとかではない。ただひとつの真実、それはこの作品を遊んだ者だけが感じられることなのですから…

 【演出賞 : CLANNADFate/stay night】 
 演出賞に輝いたのは「CLANNAD」と「Fate/stay night」の2本です。これもダブル受賞かい!と自分にツッコミをいれてしまいましたが、どちらも素晴らしすぎて選べないのだから仕方がありません。まったく、なんて豊作なんですか今年は!そもそも、演出というのは脚本と不可分の存在であり、そのいずれかが足りなくても感動のシーンは生まれない。どちらが主でどちらが従というわけでもない。演出とは、センスとコンセプトであり、それは脚本の行間から滲み出てくるような自然なものであるべきではないでしょうか?

 【設定賞 : Fate/stay night】 
 設定賞に輝いたのは「Fate/stay night」です。とにかくこのゲームでは、設定の緻密さはもとよりのこと、その見せ方がとても上手かった。ゲームとは直接関係ない部分で、キャラクターのステータス情報や戦況分析や用語集が更新さて行くこの機能。それは心の贅肉ではなく、とても素敵な無駄なことなのです!

 【企画賞 : 大美人】 
 企画賞に輝いたのは「大美人」です。こんなおバカさんな企画(褒め言葉)が製品化されて、そこそこ話題になったというのは、ゲーム業界もまだ捨てたものではありませんね。コンセプト一発でまだまだゲームは面白く出来るはずなのです。2005年はNDSとPSPにそういうチャレンジャブルな作品が少しでも多く出てくれることを期待しています。

 【美術賞 : Fate/stay night】 
 美術賞に輝いたのは「Fate/stay night」です。剣戟の刹那のシーンが多様されるこの作品において、美術というのは単なる背景や画像の「静止した美しさ」ではなく、「動きの中の美しさ」がより強く求められることになります。それは、3Dリアルタイム演出が当たり前になってしまった家庭用ゲームがいつしか忘れてしまった、映像の基本なのではないでしょうか?また、最近のゲームは実在の風景を採色アレンジして使用することが多いのですが、Fateのモデルになったスポットは千葉県から長崎県まで点在しています。聖地巡礼はかなり大変かもしれませんね。

 【システム賞 : Fate/stay night】 
 システム賞に輝いたのは「Fate/stay night」。矢印キーの上下に直感的なページ送りとバックログ機能を割り振り、他のにもショートカット機能を設定するなど、システム単体でもOEM供給で商売ができそうなほど完成度の高いシステムを構築して、ノベルゲームの快適さが追求されています。60時間以上に及ぶ長大な物語を密かに支えた強固なシステムに敬意を表します。

 【エフェクト賞 : 逆転裁判3】 
 エフェクト賞に輝いたのは「逆転裁判3」です。GBAでも、GBAならではの効果的な演出さえできれば、面白いゲームは作れる。そんな信念のようなものを感じました。「待った!」と「異議アリ!」の実行時だけ音声でしゃべってくれるのも、そこだけで使うから効果があるのであり、厳粛な法廷では絶対にあり得ない立ち回りや大袈裟なエフェクトも、それがすべてギャグとして成立しています。エフェクトは単なる演出の一部ではなく、それが大きな武器にもなるのです。

 【OPムービー賞 : Fate/stay night】 
 OPムービー賞に輝いたのは「Fate/stay night」です。美術賞では、「Fateは動きの中の美しさがある作品だ」と述べましたが、それはOPムービーにおいても同じことが言えます。動きを瞬間ごとに切り分けて、その効果を計算して音に合わして連続したムービーを作るわけですから、どちらかができて、どちらかかができないということは滅多にないと思います。OPムービーはプロモーションとしての役割も大きくて、その限られた時間でどれだけの情報を見る者に強く印象付けられるかどうかがポイントとなります。Fateはその点でも完璧でした。

 【作曲賞 : 「潮鳴り」(CLANNAD)、
        「消えない想い」(Fate/stay night)】 
 作曲賞に輝いたのは、「潮鳴り」(CLANNAD)と、「消えない想い」(Fate/stay night)の2曲です。甲乙つけがたいノミネート作品から、なんとか1作品1曲までに絞り込みました。やはり、曲単体として聴いていい曲だと思うのも大切ですが、それ以上にゲームのシーンを鮮明に思い出せる曲であることが大切だと思います。「潮鳴り」が使われたシーンで何度泣いてしまったことか…「消えない想い」が使われたシーンで何度息が詰まりそうになったことか…その思い出があれば、いつでも何度でも、その時で感じた気持ちを思い出すことができるでしょう。名曲はいつもあなたの心の中に在り続ける。大切な思い出とともに…

 【主題歌賞 : メグメル (CLANNAD)】 
 主題歌賞に輝いたのは「メグメル」(CLANNAD)です。ゲーム開始後かなりの時間が経過してからようやく始まったOPで流れた、この曲のインパクトはやはり強烈でしたね。真似をして歌うにはあまりにも難易度が高い曲なのですが、だからこそ何度も聴きたくなるし、何度も口ずさんでしまいます。上手く歌えることじゃなくて、その気持ちを確かめる術として。  やり込み賞に輝いたのは「サカつく04」です。前作と同じ10年を戦うにしても、100時間→77時間と大幅にプレー時間を短縮できた事実からも分かるとおり、システムの改善は相当な効果があったと思います。やり込んでこそ面白さの分かるタイプのゲームにおいて、とっつきの良さとテンポの良さは必須条件です。好き者であれば100時間でも200時間でも遊び倒せるでしょう。でも、私のようにゲームする時間を確保することに四苦八苦している者にとっては、長く遊ぶことを前提とした設計のゲームは、遊び尽くせないことに対してフラストレーションが溜まるのですが…

 【やり込み賞 : Jリーグプロサッカークラブをつくろう!04】 
 やり込み賞に輝いたのは「Jリーグプロサッカークラブをつくろう!04」。いつものように10年分のプレイ日記をつけましたが、これにかかった時間は23%近く短縮されています。長く遊べば遊ぶほど味が出るゲームが、今まで常にストレスを感じていた処理の遅さをクリアして、しかもマニアックさと普遍性を同時に深めた仕様は、サカつく中毒者にはたまらない仕様だと言えるでしょう。

 【主演男優賞 : 衛宮 士郎 (Fate/stay night)】 
 主演男優賞に輝いたのは、衛宮士郎(Fate/stay night)です。感情移入するようなタイプの主人公ではなく、その清廉すぎるほどの無私と、罪深いほどの純粋さに、遊び手自身が魅せられてしまう…そんなタイプの主人公像が、ここまで受け入れられたことは、驚愕に値する結果だと思います。誰もあそこまで強い気持ちを持てないだろう。だから憧れる。本当の強さとはなんなのか?そのひとつの答えが、衛宮士郎という存在なのかも知れませんね。

 【助演男優賞 : 春原 陽平(CLANNAD)、アーチャー(Fate/stay night)】 
 助演男優賞に輝いたのは、CLANNADから春原陽平、Fate/stay nightからアーチャー、以上の2名となりました。同じ助演賞を受賞していながら、これほど役回りが違うのは面白い結果になったと思います。片やお笑いピエロ。片や漢の中の漢ですからね!対極存在の二人ですが、物語において欠かせない要素だったことについては変わりはないと思います。

 【主演女優賞 : 古河 渚、藤林 杏、坂上 智代(CLANNAD)
          遠坂 凛、セイバー(Fate/stay night)】 
 主演女優賞に輝いたのは、CLANNADから古河渚、藤林杏、坂上智代の3名と、Fate/stay nightから遠坂凛、セイバーの2名です。前年に引き続き、今年も規約無視の5人受賞となってしまいましたが、他の部門賞も普通にダブル受賞を出すようになった今となっては、5人受賞も特別なことではない…ですよね? ノミネートの方には「好みで選んだ」と書きましたが、私は何萌えとかそいう感情はありません。女優(ヒロイン)として魅力的な存在だったかどうか。それがすべてです。個別に語り始めたらキリがないので割愛しますが、この評価は一般の平均的な評価とほぼ同一のものになると思いますよ。

 【助演女優賞 : 古河 早苗 (CLANNAD)】 
 助演女優賞に輝いたのは、古河早苗(CLANNAD)です。早苗さんの存在を抜きにしてCLANNADは語れません!前述の主演女優の下りではありませんが、それこそ早苗さんについて語り始めると終わらなくなってしまうので割愛しますが…こんなに好きなのに、ちっとも邪な考えにはならないのが不思議なところです。あくまで早苗さんは早苗さんだから誰もが憧れてしまう存在なのでしょう。

 【ベストネーミング賞 : 芝九蔵 虎ノ助(逆転裁判)】 
 ベストネーミング賞に輝いたのは、芝九蔵虎ノ助(逆転裁判3)です。2002年のGM研ゲーム大賞での、「Ever17」の田中優美清春香奈のためだけに作ったような賞だったので、2003年は該当者なしで、このまま自然消滅するんだろうと思っていましたが…まさかまさかの復活です!「逆転裁判」のキャラクターはベストネーミングの宝庫でしたが、その中でも一際目立っていたのがこの芝九蔵。なんとも大阪の会社であるカプコンらしい発想ですね。

 【お笑い大賞 : 逆転裁判】 
 お笑い大賞に輝いたのは、逆転裁判です。演出でもエフェクトでもネーミングでも、とにかくこの作品の根底にあるのは、飽くなきお笑い魂です。これほど貪欲に笑いを求めてストレートに遊び手に提示するゲームはかつてありませんでした。しかも、エンターテイメントとして成立している。これは素晴らしいことだと思いますよ。

 【アニメーション賞 : 雲のむこう、約束の場所 (新海誠)】 
 アニメーション賞に輝いたのは、「雲のむこう、約束の場所」です。集計期間ギリギリで間に合い、期待に応えて当然のように受賞。しかし、この期待に応えるというのがとても大変なことだと思います。信者化したファンたちが焦らされて期待だけが膨らみ続けて…その想像以上の出来出なければ駄作と言われる。99点でも100点だめ。120点の出来を提示しなくてはならないのですから…

 【ワースト特典賞 : ゼノサーガ エピソードII(限定版)】 
 ワースト特典賞に輝いたのは、「ゼノサーガ エピソードII」の限定版です。多くは語りません。ただ残念なのは、この一件でゼノシリーズに対するユーザーの信頼が失墜してしまったことです。ファンが喜ぶものとは何なのか?もう一度よく考えていただきたい。

 【リメイク賞 : ファミコンミニシリーズ】 
 リメイク賞に輝いたのは、ファミコンミニシリーズです。1本2000円という微妙な価格設定が功を奏して、経済力を持ったファミコン世代がコレクション買いできて、ファミコンを知らない若い世代も気軽に遊べる。ゲーム本来の面白さはこんなに単純なところにあるんだということを証明してくれたのは、とても大きな功績だと思います。

 【最優秀クリエイター賞 : 武内崇&奈須きのこ】 
 最優秀クリエイター賞に輝いたのは、Fateを送り出したTYPE-MOONの武内崇&奈須きのこの黄金コンビです。Fateの大ヒットによって、一気にメジャークリエイターとして認識されるようになった彼らが、次回作で更なる飛躍を遂げてくれることを確信を持って期待するとともに、Fateや月姫についても同人出身ならではのユーザーサービスで、これからも楽しませて欲しいと願っております。


■2004年最優秀作品賞

 【CLANNADFate/stay night】 
 GM研が選ぶ2004年最優秀作品賞の栄冠に輝いたのは、史上最多の13部門にノミネートされ、10部門を制覇するという圧倒的な強さを見せた 「Fate/stay night」と、次いで11部門にノミネートされ、7部門を制した「CLANNAD」。この2作品のダブル受賞と相成り申した。

 この2作品については、それぞれゲームを終えた段階で、「今年の大賞は決まりだな」と感じていました。最初からどちらか1本を選ぶことなどできないと分かっていたし、むしろ興味は他のゲームがどこまでこの2本に迫れるかというものでしたが…結果として、この2本でほとんどの部門を占めることになりました。ノミネートした他の作品が劣っているわけではなく、この2本と同じ年に出てしまったことが運が悪かった、そう思うしかありません。

 これまでのGM研ゲーム大賞をご覧になってきた読者の方にしてみれば、もう少し意外性のある選考を求めていたかも知れませんね。2002年が「Ever17」で、2003年が「魔界戦記ディスガイア」でしたから…今回の選考結果を月並みだと感じたことでしょう。しかし、数年に一回くらいは、こうして諸手を挙げて絶賛できる作品があってもいいんじゃないでしょうか?

 さて、2005年のゲーム大賞の展望ですが…ドラクエ8、メタルギア3、To Heart2、GT4…など、大作ソフトがテンコ盛りです。ゲーム業界が活気付いてくれるのは大変好ましいのですが、問題になりそうなのは、そのうち何本を私が実際に遊べるか?でしょうね。あまりにもサンプル数が少ないと、このゲーム大賞の信憑性も薄れてしまいます。来年の今頃、「今回のゲーム大賞が最後のゲーム大賞でした!」などと謝らなくてもいように、なんとか時間を作ってゲームを楽しむ習慣を取り戻すよう務めたいと思います。